2017年12月10日

花筐 HANAGATAMI

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監督:大林宣彦
原作:檀一雄作「花筐」より(講談社・文芸文庫)
脚本:大林宣彦/桂千穂「花筐」2017
撮影台本:大林宣彦「花筐」2017
製作:辻幸コ(唐津映画製作委員会会長)/大林恭子(PSC)
協力:檀太郎
出演:窪塚俊介、矢作穂香、常盤貴子、満島真之介、長塚圭史、山崎紘菜、柄本時生、門脇麦

1941年春、17歳の榊山俊彦(窪塚俊介)は両親と過ごしていたアムステルダムから一人で帰国し、佐賀県唐津の叔母(常盤貴子)の元に身を寄せる。新学期、海辺の教室では、個性豊かな同級生たちが山内教授(村田雄浩)と対峙していた。たくましい美男子の鵜飼(満島真之介)、ひょうきんな阿蘇(柄本時生)、虚無僧のような吉良(長塚圭史)・・・ 隙さえあれば、教室を抜け出し、松林で煙草を吸い、裸になって海で泳ぐ日々。俊彦は、肺病を患う従妹の美那(矢作穂香)にほのかな恋心を抱きながらも、あきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)ら女友達と遊び、“不良”なる青春を謳歌していた。しかし、そんな彼らの前に、いつしか戦争の足音が近づいてくる・・・

大林宣彦監督が、1977年のデビュー作『HOUSE/ハウス』よりも前に書き上げていた幻の脚本を映画化し、『この空の花』『野のなななのか』に次ぐ戦争3部作の最終章として撮り上げた青春群像劇。原作は、昭和11年(1936年)に文芸誌に発表された檀一雄の純文学「花筐」。翌年、日中戦争が勃発。処女短編集「花筐」出版記念予告日に檀一雄は召集令状を受け取り、戦地へ赴いている。
映画では、時代を大林監督自身が経験した1941年に設定。

「青春が戦争の消耗品だなんてまっぴらだ」という言葉に、戦争前夜の若者の葛藤が象徴されている、
クランクイン直前に癌で余命3ヶ月を宣言された監督の、まさに命を振り絞って作り上げた作品には、敗戦を経験した作家として、語り継がなければいけないという思いが溢れている。
ここに描かれている青年たちは、お国の為に戦うという綺麗ごとをいうわけでもない。今を楽しみ、将来を夢見るいつの時代も変わらない若者たち。「戦争はいやだ」という大林監督の率直な言葉が胸に迫る。

そして、この映画の魅力はロケ地の唐津。冒頭の松林の向こうに海が見える教室。あんな教室で学びたい! 世捨て人のような吉良が暮らす家は、海辺の屋敷。かつて唐津を訪れた時に、海辺に広い庭園に囲まれたゆったりとした日本家屋の宿がいくつか並んでいて、その一つで昼食をいただいたのを思い出した。窓から海の向こうに唐津城を見晴らせる落ち着いた和室での至福のとき。祭の時期ではなかったが、唐津くんちの記念館では、赤い鯛の形の屋台が目をひいた。また訪れたくなった。(咲)


2017年/日本/カラー/DCP/アメリカンビスタ/169分
配給:新日本映画社
公式サイト:http://hanagatami-movie.jp/
★2017年12月16日 (土) 有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー




posted by sakiko at 21:04| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヒトラーに屈しなかった国王 原題 Kongens nei

2017年12月16日より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

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c 2016 Paradox/Nordisk Film Production/Film Vast/Zentropa Sweden/Copenhagen Film Fund/Newgrange Pictures

監督:エリック・ポッペ
製作:ピーター・ガーデン
製作総指揮ヘンリク・ツェイン
出演:
イェスパー・クリステンセン:ホーコン7世
アンドレス・バース:オラフ
モ・クリスティアンセン
カール・マルコビクス:クルト・ブロイアー
カタリーナ・シュトラー:アンネリーゼ・ブロイアー
ツバ・ノボトニー:マッタ

第二次世界大戦時の1940年4月9日、ナチス・ドイツ軍がノルウェーの首都オスロに侵攻。ドイツ軍の攻撃に交戦するノルウェー軍だったが、圧倒的な軍事力によって、主要な都市は相次いで占領されていく。降伏を求めてくるドイツ軍に対しノルウェー政府はそれを拒否した。ノルウェー国王のホーコン7世は、政府閣僚とともにオスロを離れるが、ヒトラーの命を受けたドイツ公使は、ノルウェー政府に国王との謁見の場を設けるように、最後通告をつきつける。翌日、ドイツ公使と対峙した国王は、ナチスに従うか、国を離れて抵抗を続けるか、家族のため、国民のため、国の運命を左右する究極の選択を迫られるが、家族と離ればなれになっても、ナチスに抵抗することを選んだ。
ナチスドイツに抵抗を続けることは、北欧の小国ノルウェーにとって国の滅亡にも繋がりかねない。歴史に残る重大な決断を下した国王ホーコン7世の運命の3日間を描く。本国ノルウェーで3週連続1位の大ヒットを記録し、アカデミー外国語映画賞ノルウェー代表作品にも選出された。
ホーコン7世(1872-1957)は、デンマーク国王フレゼリク8世とルイーセ妃の次男。1905年にノルウェーがスウェーデンとの同君連合を解消して独立した時、国民投票によりノルウェー国王に即位。日本との縁も深く、八甲田雪中行軍遭難事件のお見舞いとして、1909年に明治天皇にスキー板を贈呈し、日本とノルウェーのスキー交流が始まったという。

ナチスドイツに関わることは映画でたくさん描かれてきたが、ノルウェーの 状況を描いた作品を観たのは初めてだった。ナチスに抵抗したということで絶賛はされたけど、そのおかげで戦争が長引いたというのは否めない。その間、国王は国外にいたというのが気になる(暁)。

配給:アット エンタテインメント 後援:ノルウェー王国大使館
c 2016 Paradox/Nordisk Film Production/Film Vast/Zentropa Sweden/Copenhagen Film Fund/Newgrange Pictures



posted by akemi at 21:00| Comment(0) | ノルウェー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アランフエスの麗しき日々   原題:Les beaux jours d'Aranjuez

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監督・脚本:ヴィム・ヴェンダース
原作:ペーター・ハントケ「アランフエスの麗しき日々 夏のダイアローグ」(論創社)
出演:レダ・カテブ、ソフィー・セミン、イェンス・ハルツ、ニック・ケイヴ

古い家に置かれているジュークボックスから流れてくる昔懐かしい曲。
書斎では、男がタイプに向かっている。
庭先の町を見晴らす木陰には、男と女が座っている。
男が女に初体験のことを聞く。
相手は男じゃなかったと語る女。
子ども時代の話から、男と女の本質の違いなど、とりとめもない会話が続く中、男がアランフエスに行った思い出を語る。
タホ河が流れる小さな町。夏の宮殿があるが、自分が観たかったのは、農夫の家。
でも、それは王宮より手入れが行き届いているもう一つの宮殿にすぎなくて、壁の農夫を描いたフレスコ画から来ている名前とわかった。
板小屋を期待していたのかなとつぶやく男・・・

女性の語る内容が、小難しくて、いかにも部屋でタイプを打っている男が作り出した言葉という感じ。女性の心からの言葉じゃない作り物。彼女がなんとも堅い話をしているのに、男は初体験のことをまた尋ねたりと、なんともかみ合わない会話劇。
そして唐突に語られるアランフエスの思い出。
タイトルからスペインのアランフエスを期待していたら、見事に裏切られました。思い出話に出てくるだけ。
木立ちに囲まれた高台に建つ古い家は、遠くにパリの町が見晴らせる位置にあって、望遠鏡で眺めたときに、パリの高層ビルが連なっているのが、ぼぉ〜っと見えます。
手打ちのタイプライターに、ジュークボックスと、いつの時代?と、くらくら。
そして、唐突にピアノの弾き語りをする男。有名なミュージシャン、ニック・ケイヴ。(すみません、私は知らなかった!)
なんとも不思議な余韻の残る映画。
なにより、男を演じたレダ・カテブが渋いです。
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2016年の東京国際映画祭コンペティション部門で『パリ、ピガール広場』が上映された折に来日したレダ・カテブ(上記写真)にぐっと惹かれました。父親はアルジェリア出身の俳優マレク・エディーヌ。レダ・カテブ自身は1977年フランス・イヴリ=シェル=セーヌ生まれ。
ジャック・オーディアール監督作『預言者』でのジプシー青年ジョルディ役で注目を集めたそうですが、『預言者』では、タハール・ラヒムにしか目がいきませんでした。
そのほか、『愛について、ある土曜日の面会室』『不機嫌なママにメルシィ!』にも出ていたそうなのですが記憶になく・・・ 11月25日から公開されている『永遠のジャンゴ』でも、伝説のジャズギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトを素敵に演じていて、ちょっとマイブームのレダ・カテブなのです。(咲)


2016年/フランス・ドイツ・ポルトガル/97分/カラー/DCP
配給:オンリー・ハーツ
公式サイト:http://aranjues.onlyhearts.co.jp/
★2017年12月16日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開



posted by sakiko at 20:00| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

フラットライナーズ(原題:Flatliners)

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監督:ニールス・アルデン・オプレブ
原案:ピーター・フィラルディ
脚本:ベン・リプリー
撮影:エリック・クレス
音楽:ジェイコブ・グロス
出演:エレン・ペイジ(コートニー)、ディエゴ・ルナ(レイ)、ニーナ・ドブレフ(マーロー)、ジェームズ・ノートン(ジェイミー)、カーシー・クレモンズ(ソフィア)、キーファー・サザーランド(ウルフソン教授)

医学生のコートニーにはぜひやってみたい実験があった。「人が死んだらどうなるのか」ということを知るために、自分が実験台となって臨死体験をするつもりだった。仲間を誘って「1分間心臓を止めた後、蘇生させる」実験をする。事故を回避して蘇ったコートニーは突如記憶力がよくなったり、ピアノが弾けるようになったりと能力が覚醒したかに見えた。尻込みしていた仲間もコートニーをみて張り切って参加する。競うように心停止の時間を延ばすことを危険だというものもいたのだが。

1990年製作の同名映画(ジョエル・シュマッカー監督)のリメイク。チラシ画像で想像つきそうですが、良いことと悪いことは背中合わせになっているもの。臨死体験に挑んだ医学生たちは、恐ろしい思いもするんですね。学生役にはエレン・ペイジのほか注目の若手俳優たちが揃って出演。
オリジナル版でジュリア・ロバーツやケヴィン・ベーコンと一緒に学生役だったキーファー・サザーランドが今回教授役です。過ぎさった時間を感じますね。医学と共に映像の技術も進んだので、オリジナルよりもよりリアルな臨死体験になっているのではと思います。観た後でもオリジナル版を見なおすと面白そうです。
今回メガホンを取ったのは『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009)に抜擢され、世界中で大ヒットさせたデンマーク出身のニールス・アルデン・オプレブ監督。(白)


2017年/アメリカ/カラー/シネスコ/110分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
http://www.flatliners.jp/
★2017年12月22日(金)TOHOシネマズ シャンテ他ロードショー
posted by shiraishi at 19:53| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Mr.Long ミスター・ロン(原題:Mr. Long)

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監督・脚本:SABU
撮影:古屋幸一
音楽:松本淳一
出演:チャン・チェン(ロン)、青柳翔(賢次)、イレブン・ヤオ(リリー)、バイ・ルンイン(ジュン)、有福正志(平助)、忠雄(諏訪太朗)、久美子(大草理乙子)、町子(歌川雅子)、君枝(真下有紀)、肉屋(山崎直樹)、魚屋(瀬口寛之)、電気屋(水澤紳吾)

台湾人の殺し屋ロンは日本での仕事を請け負い、東京・六本木にやってきた。標的の台湾マフィアをクラブで狙ったが失敗し、言葉もわからないまま北関東まで逃れていく。寂れた田舎町で少年ジュンやその母と出あい、空き家におちつくことになる。新しい住民のロンに、世話好きなご近所さんたちが入れ代わり立ち代わりやってくる。人と関わらずにいたロンだったが、彼らに勧められるまま牛肉麺(ニュウロウミェン)の屋台をひくことになってしまった。手作り屋台の美味しい麺は評判となったが、ロンを追うヤクザたちにも居所を知られてしまう。

2015年、台湾の高雄国際映画祭でSABU監督とチャン・チェンが会ったことから、この映画の企画がスタートしたとか。SABU監督がチャン・チェンのために当て書きし、彼にとても気に入ってもらった脚本なので、雰囲気によくあっています。ロンは日本語が話せない設定のためセリフが少なく、無口な分クールさが際立ち、より繊細な表情が出たようです。ナイフの達人ということで、接近してのアクションをスタントなしで本人が演じています。返り血を浴びた姿がありますが、それまでに培った住民との絆もこれで終わった、という悲しみもたたえていて凄惨ながら印象的なシーンでした。
チャン・チェンが『クーリンチェ少年殺人事件』 (正式には漢字)に出演したのは15歳のとき。ジュン少年に向けるお父さんのような眼差しに、40代になったんだなぁと感慨深いです。(白)


2017年/日本・香港・台湾・ドイツ合作/カラー/シネスコ/129分
配給:HIGH BROW CINEMA
(C)2017 LIVE MAX FILM / HIGH BROW CINEMA
https://mr-long.jp/
★2017年12月16日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 19:06| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オレの獲物はビンラディン(原題:Army of One)

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監督:ラリー・チャールズ
原作:クリス・ヒース
脚本:ラジーブ・ジョセフ、スコット・ロスマン
撮影:アンソニー・ハードウィック
音楽:デビッド・ニューマン
出演:ニコラス・ケイジ(ゲイリー・フォークナー)、ラッセル・ブランド(神)、ウェンディ・マクレンドン=コービー(マーシ・ミッチェル)、レイン・ウィルソン(CIA職員シモンズ)、デニス・オヘア(CIA職員ドス)

アメリカ コロラド州の田舎町に住むゲイリーは信仰心×愛国心の塊のような男。同時多発テロの首謀者と目されるビンラディンがいまだ見つからないのに業を煮やしている。病院での人工透析中、突如“神”からの啓示を受けたゲイリー、政府は頼りにならない、俺が行っちゃる!と決心する。まずパキスタンまでの足を確保、武器を揃え、と準備する熱血オヤジなゲイリー。たった一人でも気持ちは軍隊なのだ。ところが土地の人の温かさに触れてどうも勝手が違ってしまった。それでも初志貫徹と何度もパキスタンを訪れる不思議なオヤジの行動はCIAの知るところとなる。

2010年、実際にビンラディン誘拐を企てた容疑でパキスタン当局に拘束されたアメリカ人ゲイリー・フォークナーの実話。『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』のラリー・チャールズ監督が、「正気じゃないけど、とことん本気」な男の熱い日々を、これまたとことん熱く役作りをするニコラス・ケイジとタッグを組んで作り上げた作品。本人映像がエンドロールで観られますが、ほんとにそっくりに役作りしています。あんな物騒な人がパキスタンまで行ってしまうところが凄い。こんな人がいるなんてアメリカは不思議な大国です。秋のしたまちコメディ映画祭でいち早く上映されました。これは大きな劇場でみんなしてワッハッハ〜と観るのがお勧め。まるで現代のドン・キホーテのようで、その一途な思いにちょっとほだされます。真似はしないけどね。(白)

2017年/アメリカ/カラー/シネスコ/92分
配給:トランスフォーマー
(c)2016 AOO Distribution, LLC. All rights Reserved
http://www.transformer.co.jp/m/finding-binladen/
★2017年12月16日(土)シネマート新宿ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 17:52| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

彼女が目覚めるその日まで(原題:Brain on Fire)

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監督・脚本:ジェラルド・バレット
原作:スザンナ・キャハラン「脳に棲む魔物」(KADOKAWA刊)
撮影:ヤーロン・オーバック
音楽:ジョン・パエザーノ
出演:クロエ・グレース・モレッツ(スザンナ・キャハラン)、トーマス・マン(スティーヴン・グリウォルスキ)、リチャード・アーミテージ(トム・キャハラン)、ジェニー・スレイト(マーゴ)、キャリー=アン・モス(ローナ・ナック)

憧れのニューヨーク・ポスト紙に採用されたスザンナは、仕事もスティーヴンとの恋愛も充実、幸せな日々を送っていた。スザンナの両親は離婚していたが、それぞれのパートナーと共にスザンナの誕生日パーティに集まってくれた。そのとき初めて目眩をおこし、体の変調にきづく。そして単独インタビューできることになった大切な日、全く取材を忘れていたスザンナは大失敗をしてしまう。幻聴や幻覚に悩まされ仕事もままならなくなったスザンナは病院で精密検査を受けるが、原因も病名も特定できなかった。医師は次第に悪化し、壊れていくかに見えたスザンナを精神病院へ転院するようにと言う。しかし、両親と恋人のスティーヴンはあきらめずに彼女を見守る。

原作は原因不明の難病に冒された女性記者スザンナ・キャラハンの闘病記「脳に棲む魔物」。先に書いてしまいますが、“抗NMDA受容体自己免疫性脳炎”という病名で、10年ほど前にわかった(概念が確立)したものだそうです。それまでに原因も治療法も不明なまま、悪魔憑きとか狐憑きとか言われていたものも含まれるのかもしれません。映画『エクソシスト』のモデルとなった少年の映像にこの病気の特徴が見られるそうです。映画原題の“Brain on Fire”は「燃える脳」でいいんでしょうか。想像するだけでも辛く凄まじい感じがします。
自分の大切な人がある日突然豹変してしまったら、家族や恋人の嘆きや悲しみはいかばかりでしょう。本人にもわからず、悪化すれば訴えたくとも身体が動かず、声も出せないのです。幸いスザンナ・キャラハンご本人は回復して闘病記を書き、この病気のことをもっと知ってもらうために活動中。本作にもプロデューサーとして参加、役作りにも全面協力しています。同じ16日に公開されるやはり実話をもとにした日本映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(瀬々敬久監督/佐藤猛、土屋太鳳主演)も同じ病気だそうなので、両方見比べるのも良いかも。(白)


2017年/カナダ・アイルランド合作/カラー/シネスコ/89分
配給:KADOKAWA
(C)2016 ON FIRE PRODUCTIONS INC.
http://kanojo-mezame.jp/
★2017年12月16日(土)より角川シネマ有楽町ほか全国公開
posted by shiraishi at 16:55| Comment(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

52Hzのラヴソング(原題:52Hz, I Love You)

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監督・脚本:ウェイ・ダーション
撮影:チン・ディンチャン
音楽:リー・ジェンファン
ジェニファー・ジョン・リー
出演:リン・ジョンユー(小安 シャオヤン)、ジョン・ジェンイン(小心 シャオシン)、スミン(大河 ダーハー)、チェン・ミッフィー(蕾蕾 レイレイ)、リン・チンタイ(ドン師匠)

バレンタインデーを迎えた台北。花屋のシャオシンはアラサーの今も恋人なし。パン職人のシャオヤンはいつも自分を頼るレイレイに片思いしている。彼女が10年越しの恋人ダーハーと同棲中なのも知っているのだけど…。売れないミュージシャンのダーハーの夢をずっと応援してきたレイレイは、生活力のない彼を支え続けるのがこのごろ虚しくなっている。そんな気持ちも知らず、能天気なダーハーは飛び切り大きな花束を注文した。自分のバンドが演奏するレストランで、音楽賞をもらった報告とプロポーズをするつもりなのだ。
配達に忙しいシャオシンとシャオヤンは不注意から衝突し、シャオシンの車が動かなくなる。シャオヤンのバイクに二人乗りして両方の配達をすることになってしまった。

台湾のミュージシャンたちが出演。17曲のオリジナルラブソングを歌う、ハッピーなミュージカル映画。老若男女、様々なカップルが歌い踊ります。ウェイ・ダーション監督は監督デビュー作の『海角七号 君想う、国境の南』(2008)が大ヒットしました。霧社事件を題材とした『セデック・バレ』2部作以来、日本では久しぶりの新作公開です。『セデック・バレ』のリン・チンタイ、『海角七号〜』の出演者たちもそこかしこに登場しますので、よく観ていてください。
タイトルの「52Hz」とは“世界で一番孤独なクジラが発する音の周波数”、ほかのクジラとは周波数が違うため仲間とコミュニケーションがとれず、たったひとりで大海を彷徨っているのだとか。この孤独なクジラをモチーフに、都会の孤独な人々に向けた「決してひとりじゃないよ」という監督流のラヴソングがこの映画なのです(HPより)。台湾では映画と一緒に観客も歌って大盛り上がりだったそうですよ。(白)


●魏徳聖(ウェイ・ダーション)監督インタビューを特別記事にアップしました。こちら

2017年/台湾/カラー/シネスコ/109分
配給:太秦
(C)2017 52HzProduction ALL RIGHTS RESERVED.
http://www.52hz.jp/
★2017年12月16日(土)ユーロスペースほか全国順次公開
posted by shiraishi at 16:06| Comment(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命   英題:THE ZOOKEEPER’S WIFE

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監督:ニキ・カーロ(『スタンドアップ』) 
脚本:アンジェラ・ワークマン 
原作:ユダヤ人を救った動物園 ヤンとアントニーナの物語(亜紀書房)
出演:ジェシカ・チャステイン、ダニエル・ブリュール、ヨハン・ヘルデンベルグ、マイケル・マケルハットン 

1939年、ポーランド、ワルシャワ。ヤンとアントニーナの夫妻は、当時ヨーロッパ最大の規模を誇るワルシャワ動物園を営んでいた。
1939年秋、ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発する。動物園の存続が危うくなる中、アントニーナはヒトラー直属の動物学者・ヘックから、動物を救うため希少動物を預かりたいと申し出を受ける。しかし、数日後、ヘックは態度を一変。「上官の命令だ」と、園内の動物たちを撃ち殺し始める。
この頃、ユダヤ人が次々とゲットー(ユダヤ人強制居住区)に連行されていた。その様子に、ヤンは妻のアントニーナに動物園をユダヤ人の隠れ家にすることを提案する。すでに動物園としては成り立たなくなっていて、ヤンは、動物園をドイツ兵の食料となる豚を飼育する「養豚場」として機能させていた。その餌となる生ごみをゲットーからトラックで運ぶ際に、ユダヤ人たちを紛れ込ませて運び出すという作戦を実行する。連れ出したユダヤ人たちを、自分たちの住む管理棟の地下に広がる動物のための檻が置かれた場所に匿う。園内にはドイツ兵が常駐していたが、夜になり彼らが寝静まった頃には、上の部屋に呼び出して温かい食事を提供し、くつろぎのひと時を過ごせるよう配慮した。上にあがっていい安全な時と、音をたてないで身を潜める時の区別は、アントニーナの弾くピアノの曲が合図だった。
ヤンは地下活動で留守がちで、アントニーナは一人でドイツ兵からユダヤ人たちを守る日々が続く・・・

ナチスの迫害からユダヤ人をいろいろな形で救った人たちがいることは、これまでにも映画で描かれてきましたが、動物園を隠れ蓑に匿ったことは初めて知りました。二人が匿ったユダヤ人は、数日の人から長期に亘った人まで総勢約300人にのぼるそうです。映画の最後に、ヤンとアントニーナの夫妻が、戦後およそ20年後、イスラエル政府から「諸国民の中の正義の人」に認定されたと記されていました。多くの非ユダヤの善意の人のお陰で命が救われたことを忘れないためのユダヤ人国家としての感謝の気持ちを表わすもの。そのユダヤ国家のパレスチナへの仕打ちを思うととても複雑な思いになります。そして、いま、世界全体に広まっている不寛容の空気。そんな時だからこそ、本作を鏡に、人種で他者を排除することの悲劇を繰り返さないようにしてほしいものです。(咲)
  
2017年/チェコ・イギリス・アメリカ/127分/スコープサイズ/5.1ch
配給:ファントム・フィルム
後援:ポーランド広報文化センター 公益社団法人日本動物園水族館協会 
協力:赤十字国際委員会(ICRC)
公式サイト:http://zookeepers-wife.jp/
★2017年 12月15日(金)より、TOHOシネマズみゆき座他にて全国公開




posted by sakiko at 09:29| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする