2017年05月21日

光をくれた人(原題:The Light Between Oceans)

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監督・脚本:デレク・シアンフランス
原作:M・L・ステッドマン「海を照らす光」(早川書房刊)
撮影:アダム・アーカポー
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:マイケル・ファスベンダー(トム・シェアボーン)、アリシア・ヴィカンダー(イザベル)、レイチェル・ワイズ(ハナ)、ブライアン・ブラウン(セプティマス・ポッツ)、ジャック・トンプソン(ラルフ・アディコット)

1918年オーストラリア。トム・シェアボーンは第一次世界大戦から深い心の傷を抱えて戻った。人と関わらずにすむ無人の孤島・ヤヌス島の灯台守に志願する。3ヶ月の試用期間をすぎて本採用となり、契約のために町に戻ったトムは生命力に溢れた娘イザベルに出会う。町の名士である校長の一人娘のイザベルもトムに好意を抱き、二人は手紙をかわすようになった。やがて祝福されて結婚し、夫婦はヤヌス島で幸せな新婚生活を送る。
イザベルが妊娠して喜んだのもつかの間、流産してしまう。悲しみを乗り越え、細心の注意を払って2度目の妊娠期間を過ごしたにも関わらず、死産となってしまった。イザベルが立ち直れず、夫婦が悲劇に沈んでいたとき、沖に漂流するボートを見つけた。すでに亡くなっている男性と泣き声をあげる女の子の赤ちゃんがいた。トムは早速打電しようとするが、イザベルは赤ちゃんを休ませてからと懇願する。一日母子のように過ごしたイザベルは、もはや手放すことができなくなっていた。イザベルの頼みに負けたトムは悪いことと思いつつ遺体を埋め、イザベルが早産したことにする。女の子をルーシーと名付け、二人は我が子として愛情を注いで育てていく。

イザベルは太陽のように明るく、戦争で傷ついたトムを癒しますが、2度の流産で悲しみの淵に沈んでしまいます。そんなときに海から赤ちゃんがやってきたら、イザベルならずとも“神様からの贈り物”と思いたくなるでしょう。愛する妻が喜ぶことをしてやりたいと思うのも道理。二人が救わなければすでになかったはずの命ですが、実の親のことを考えないのは、やはり罪でしょうね…。案の定、実の母親であるハナと出会ってもっと辛い選択をしなければならなくなりました。あなたがトムだったら、イザベルだったらどんな選択をしたでしょうか?
島の名前“ヤヌス”とは前後二つの顔を持つローマ神話の出入り口と扉の神。二つの顔が違うものを見るので、二つの間で引き裂かれるトムとイザベルを象徴しているように思えます。(白)


2016年/イギリス・ニュージーランド・アメリカ合作/カラー/シネスコ/133分
配給:ファントム・フィルム
(C)2016 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC
http://hikariwokuretahito.com/
★2017年5月26日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(原題:Lo chiamavano Jeeg Robot)

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監督:ガブリエーレ・マイネッティ
脚本:二コラ・グアッリャノーネ
撮影:ミケーレ・ダッタナージオ
音楽:マッシミリアーノ・ストュリアーレ
出演:クラウディオ・サンタマリア(エンツォ)、イレニア・パストレッリ(アレッシア)、ルカ・マリネッリ(ジンガロ)

現代のイタリア郊外。街のチンピラのエンツォは、追っ手から逃れるために汚れた川に入る。その後これまでになかった超人的なパワーを得たことがわかった。喜んだエンツォはATMを破壊して現金を盗むなどやりたい放題。監視カメラの映像が出回って大騒ぎになってしまう。世話になっていたオヤジが殺され、生き残ったエンツォはオヤジの一人娘アレッシアの面倒を見る羽目になった。アレッシアはアニメ「鋼鉄ジーグ」の熱狂的なファンで、怪力のエンツォを「ジーグ」の主人公である司馬宙(しばひろし)と呼ぶ。アレッシアに頼りにされ彼女を守るため、エンツォは正義に目覚めていった。極悪組織のリーダー、ジンガロがエンツォの能力を手に入れようと接近してくる。

なぜイタリア映画で「鋼鉄ジーグ」??と疑問でしたが、75年にテレビで人気だった永井豪原作のアニメが79年にイタリアでも放映され、ガブリエーレ・マイネッティ監督が大ファンなのだとか。それまで短編を発表していた監督が大好きなヒーローを主人公に、満を持しての初長編作品。
3月に来日した折に、永井豪氏、アニメソングの水木一郎氏に会えて大感激されたようです。当時永井氏原作のヒーローもの(グレンダイザー、マジンガーZなど)は一世を風靡していて、私も主題歌まで覚えています。
主人公エンツォ役に『ジョルダーニ家の人々』(2012)『緑はよみがえる』(2016)のクラウディオ・サンタマリア。ゴロツキっぽくするためか髯と太めの体形(20s増量!)ですぐには見分けられず。敵のジンガロ役のルカ・マリネッリは切れっぷりが凄くて、開いた口がふさがりません。エンツォとのガチバトルが見ものです。アレッシア役のイレニア・パストレッリは“すきっ歯”が可愛く、傷ついた娘を好演。イタリアで受賞多数、ハリウッド映画をおさえて大ヒットしたそうなので、続編も観られるのではないでしょうか。(白)


2015年/イタリア/カラー/シネスコ/119分
配給:ザジフィルムズ
(C)2015 GOON FILMS S.R.L. Licensed by RAI Com S.p.A. ? Rome, Italy. All rights Reserved.
http://www.zaziefilms.com/jeegmovie/
★2017年5月20日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夜明け告げるルーのうた

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監督:湯浅政明
脚本:吉田玲子、湯浅政明
音楽:村松崇継
主題歌:斉藤和義「歌うたいのバラッド」
出演:谷花音(ルー)、下田翔大(カイ)、篠原信一(ルーのパパ)、柄本明(カイのじいさん)、斉藤壮馬(国夫)、寿美菜子(遊歩)、千鳥(大悟、ノブ)

中学生の少年カイは両親の離婚により、東京から寂れた漁港の日無(ひなし)町に移ってきた。父と祖父と男ばかりの3人所帯で、自分の気持ちを口に出すこともなく暮らしていた。たった一つの楽しみは、自分で作った曲をネットにアップすること。匿名なので誰にも知られていない。同級生の国夫と遊歩のバンド“セイレーン”に誘われ、気乗りしないまま練習場所の人魚島に行く。演奏を始めると人魚の少女ルーが3人の前に現れて、楽しそうに歌い踊る。それからたびたび現れるルーに、カイの心がしだいにほぐれて行く。

『夜は短し歩けよ乙女』に続いて公開される湯浅監督の新作。人魚の女の子と人間の男の子の交流ということで、ジブリの『崖の上のポニョ』を思い出しました。海外作品だとディズニーアニメ、実写だと古くは『スプラッシュ』(1984)、中国の『ふたりの人魚』(2000)『人魚姫』(1月公開)など人魚モノは多いですね。
人魚は漁師にとっては不吉で災いをもたらすというのは世界共通なんでしょうか。この作品では、漁師からいやがられるだけでなく、人魚を金儲けに利用しようと企む大人も登場。愛らしいルーがどうなってしまうのか、カイが自分の心からの声を出すことができるのか?が見どころ。大人も子供も楽しめること請け合います。2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門公式コンペティション作品(白)


音楽を聴くと、足が生えて踊りだす人魚のルー。苦手なのは、お日さま。活発に動くのは夜明け前まで。人魚伝説のある町の名前が「日無町」なのも納得です。
海に突き出た家屋の下から、小船がそのまま出せる構造の家がずらっと並んだ様に、あ、これは丹後半島の伊根の光景!と、かつて訪れた時の感動を思い出しました。
裏日本にある日無町は架空の町ですが、「伊根の舟屋」のほかにも、名古屋の島の港町、倉敷の商店街、尾道の旧泉屋別邸などを参考にして描いたそうです。町並みを眺めながら、これはどこかなと想像するのも楽しいです。(咲)


2017年/日本/カラー/107分
配給:東宝映像事業部
(C)2017ルー製作委員会
http://lunouta.com/
★2017年5月19日(金)より上映中
posted by shiraishi at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白 英題:MRS. B, A NORTH KOREAN WOMAN

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監督:ユン・ジェホ
撮影:ユン・ジェホ、タワン・アルン
プロデューサー:ギョーム・デ・ラ・ブライユ、チャ・ジェクン
音楽:マシュー・レグノー
編集:ナディア・ベン・ラキド、ポーリーン・カサリス、ソフィ・プロー、ジャン=マリー・ランジェル

マダム・ベーは、北朝鮮の中国国境近くで暮らしていたが、10年前、家族のため1年間だけの出稼ぎのつもりで中国にわたる。だが、気がついた時には、騙されて、中国の貧しい農村に嫁として売り飛ばされていた。最初は中国の夫と義父母との生活を受け入れられないでいたが、そこで生き抜くために脱北ブローカーとなる。中国の夫と生きて行く決意をした彼女だが、北朝鮮に残してきた息子たちの将来を案じて、息子と共に北朝鮮の夫も脱北させる。やがて、北朝鮮の夫や息子たちと国境を越えタイ経由で韓国に行く。韓国のパスポートが取れれば、正式に中国の夫と結婚できると信じて・・・

衝撃の予告編は、こちらで! 

とにかく、マダム・ベーのパワフルな姿に引き込まれます。監督は、脱北を背景にした家族の物語を撮ろうと思って、中国に住む脱北者を取材する中で、マダム・ベーと知り合い、やがて彼女から自分のドキュメンタリーを撮らないかと提案されたそうです。
韓国で暮らすうちに、どんどん綺麗になっていくマダム・ベー。監督にうかがったところ、今は、どちらの家族とも暮らさず、独立されているとのこと。たくましく一人でお店を切り盛りしている姿が目に浮かぶようです。
体制に翻弄されて、引き裂かれてしまった大事な人との関係。いつか、幸せな日を迎えてほしいものです。(咲)


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ユン・ジェホ監督インタビューは、特別記事で!


カンヌ国際映画祭ACID部門正式出品
2016年モスクワ国際映画祭、チューリッヒ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー映画賞受賞

配給:33 BLOCKS 
2016年/韓国・フランス/72分/DCP/ドキュメンタリー
(C)Zorba Production, Su:m
公式サイト:http://www.mrsb-movie.com
★2017年6月10日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
posted by sakiko at 15:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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