2017年05月14日

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17 ロイヤル・オペラ『蝶々夫人』

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(C)ROH. PHOTO BILL COOPER

作曲:ジャコモ・プッチーニ
演出:モーシュ・ライザー/パトリス・コーリエ
指揮:アントニオ・パッパーノ
出演:エルモネラ・ヤオ(蝶々夫人〉、マルセロ・プエンテ(ピンカートン)、スコット・ヘンドリックス(シャープレス領事)、カルロ・ボッシ(ゴロー)

バレエ、オペラともに世界最高の名門歌劇場、英国ロイヤル・オペラ・ハウスの人気公演の舞台映像を『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17』と題して上映される9本目の作品。

上空から見た英国ロイヤル・オペラ・ハウス。
そこに続々と集まる人々。
開演前の楽屋。
ナビゲーターの女性による解説で、プッチーニが3年かけて作りあげた渾身の作も、1904年の初演は失敗に終わり、1幕目が長すぎるなどの批判をもとに練り直して上演。それが評判をよび、現在も演じられていることが語られる。
そして、いよいよ1幕目。
長崎の港を見晴らす丘に立つ家。アメリカ人士官ピンカートンと結婚することになった蝶々さんは15歳。裕福な士族の娘だったが、父親がお上の命で切腹し家が没落、芸者となった。結婚仲介人ゴローの口利きで現地妻を娶るピンカートンの行為を、アメリカ総領事シャープレスは軽率だと忠告するが意に介さない。そんなことも知らず、キリスト教に改宗し、親族とも縁を切って、ピンカートンを信じて結婚する蝶々さん。やがて、ピンカートンは任期を終えて帰国する。

10分の休憩をはさんで、第2幕の前に、また解説。
蝶々さんを演じたアルバニア人のエルモネラ・ヤオの練習風景も。

3年後。ピンカートンが帰ってくるのを信じて待つ蝶々さん。女中のスズキに、彼の乗った船が入港したと眼を輝かせて告げるが、夜になっても彼はやってこない。寝ずに待っている蝶々さんの傍らには3歳になる男の子が寝ている。早朝、ようやく蝶々さんが横になった頃、ピンカートンがアメリカ人の妻ケイトを伴ってやって来る。後ろめたさに逃げるピンカートン。ケイトは、蝶々さんの息子を引き取り、アメリカでわが子として育てると進言する。息子の幸せを願う蝶々さんは承諾し、父が切腹した時の短剣で自害する。

ロイヤル・オペラの音楽監督アントニオ・パッパーノが、 明るく興奮に満ちた少女から、愛によって自己を犠牲にする女性へと変化する蝶々のドラマチック な心の旅を指揮する。

あまりにも有名な「ある晴れた日に」の歌と共に、知っているつもりだった「蝶々夫人」ですが、オペラを全編通して観たことはありませんでした。解説付きの本作を通じて、日本を舞台にした物語が、どんな風に演じられているのかを知ることができ、興味津々。
日本人からみると、衣装がどこかおかしいとか、室内にある仏像を拝んでいるとか、違和感があるのは否めません。まぁご愛嬌。映画だと、顔がアップになるので、日本人役なのに西洋人の顔であることや、年齢が設定年齢と違うことなどが気になりますが、微妙な表情がよく見えて、それはそれで利点でしょう。舞台だと、遠くから見て、きっとそれらしく見える演技者たちの実力。

長崎のグラバー園にあるリンガー邸で、戦前のヨーロッパで蝶々夫人を演じて名を馳せた喜波貞子(Teiko Kiwa)さんの展示を見たのを思い出しました。長崎に住む母親から送ってもらった着物やかんざしなど装飾品の数々が目を引きました。ヨーロッパで使われていた衣装に違和感を覚えて、本物にこだわり、取り寄せたのでしょう。

一途に夫を愛する純情な蝶々さんの悲恋物語。(若いですからね)
まったくひどい男だと思うけど、こんな輩はどこの国にもいるでしょう。
百年以上にわたって上演し続けられている「蝶々夫人」。外国人は、きっと異国情緒に惹かれるのでしょう。
それにしても、長崎があんなにも風光明媚なところと、原作者も、プッチーニも知っていたでしょうか。グラバー邸のあるのは南山手で、蝶々さんの家のある東山手ではないのですが、グラバー邸に佇むと、いかにも蝶々さんの舞台という思いがします。あの景色を毎日眺められるなら、待っていられるかな。(咲)


配給:東宝東和
公式サイト:https://www.tohotowa.co.jp/roh/
★2017年5月26日(金)より全国順次公開 
posted by sakiko at 20:48| Comment(0) | TrackBack(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夜に生きる  原題:Live by Night

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監督:ベン・アフレック(『アルゴ』)
原作:デニス・ルヘイン(「ミスティック・リバー」)
出演:ベン・アフレック、エル・ファニング、ブレンダン・グリーソン、クリス・メッシーナ、シエナ・ミラー、ゾーイ・サルダナ、クリス・クーパー

1920〜30年代、禁酒法時代のアメリカ。ジョーは、ボストン警察幹部の父に反発するかのように、幼馴染の仲間3人で強盗を繰り返していた。アイルランド系とイタリア系のギャングが敵対する中で、組織に属することなく無法者を貫いていたが、エマという女性と恋に落ちたことから状況は一変する。エマはアイルランド系ギャングのボスのホワイトの愛人だった。ボスの知るところとなり、ジョーは強盗事件の犯人として刑務所に入ることになる。3年後、出所したジョーは、イタリア系ギャングのボス、ペスカトーレに雇ってもらう。復讐するには敵対する組織に入ってのしあがるしかないと考えたのだ。フロリダでラム酒の闇取引で力をつけていくジョー。ラム酒の原料の糖蜜を仕切る女性グラシエラに心を癒されたジョーは、彼女との間に息子を授かるが・・・

冒頭、ジョーが政府の命で英仏戦争に参戦し、無駄死にしていく兵士たちを目の当たりにしたことから、もう誰の命令も聞かないと決めたことが語られます。無法者となった所以。物心ついた息子を連れて映画館にいったジョーが、この子はもう戦争に巻き込まれるようなことはないだろうとつぶやくのですが、スクリーンにはヒトラーの姿が・・・。映画本編の前のニュース映像でしょうか。ギャングの抗争が描かれているのに、反戦のメッセージをずっしり感じた映画でした。夜に生きると決めた男の信念もしっとりと心に染み入りました。(咲)

2016年/アメリカ/129分/スコープサイズ/5.1chリニアPCM+ドルビーサラウンド7.1(一部劇場にて)
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:http://yoruni-ikiru.jp/
★2017年5月20日(土)丸の内ピカデリー 新宿ピカデリー、大阪 ステーションシティシネマほか、全国ロードショー
posted by sakiko at 09:45| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月13日

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(原題:Guardians of the Galaxy Vol. 2)

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監督・脚本:ジェームズ・ガン
撮影:ヘンリー・ブラハム
音楽:タイラー・ベイツ
出演:クリス・プラット(ピーター・ジェイソン・クイル/スター・ロード)、ブラッドリー・クーパー(ロケットの声)、ヴィン・ディーゼル(ベビー・グルートの声)、ゾーイ・サルダナ(ガモーラ)、デイヴ・バウティスタ(ドラックス)、マイケル・ルーカー(ヨンドゥ)、カレン・ギラン(ネビュラ)、ポム・クレメンティエフ(マンティス)、カート・ラッセル(エゴ)
日本語吹替版キャスト:山寺宏一(ピーター・クイル)、加藤浩次(ロケット)、遠藤憲一(ベビー・グルート)、秋元才加(マンティス)

刑務所で出会ったはみ出し者のチーム「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は“黄金の惑星”ソブリンの依頼で引き受けた仕事を終了させた。しかしアライグマのロケットが欲を出したばかりに、ソブリンの指導者アイーシャの怒りをかってしまう。ソブリンの無敵艦隊から総攻撃を受け、逃げまくるもガーディアンズの宇宙船ミラノ号はひん死の状態となる。これが最後かと思った瞬間、敵機が全て消滅。命拾いしたガーディアンズの前に現れたのは、エゴという男性と、彼に付き従うマンティスだった。しかもエゴは行方不明だったピーターの父親だという。

2014年9月公開の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の続編。邦題にリミックスとあるのでどういうこと?と思いましたが、原題はVol.2とあります。
寄せ集めチームがだんだんと結束固く家族のように変わってきています。前編では不明だったピーターの父親が明らかになりました!なんとカート・ラッセルです。『ヘイトフル・エイト』(2015)で顔を見て、お久しぶり〜と思いましたが、今公開中の『バーニング・オーシャン』『ワイルド・スピードICE BREAK』にも出演しています。ガモーラの妹ネビュラも登場して、おや、家族もののいい話になるのか?と思えば、やっぱり妙に外すドラックスのギャグ(本人は正直に言ってるだけ)や、強大な敵と戦うという見せ場がちゃんとあるのでした。
前作で巨木のグルートが倒れましたが、挿し木をして小さな「ベビー・グルート」となって蘇っています。成長途中なので愛らしく、みんなに庇われ可愛がられています。「僕はグルート」という一つの言葉にいろいろな意味を込めているのをロケットが通訳。マンティスの可憐さもいいですが、ベビー・グルートが一番目立っていました。ベビーになっても声はヴィン・ディーゼルと遠藤憲一さん。(白)


2016年/アメリカ/カラー/シネスコ/136分/2D・3D
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(C)Marvel Studios 2017
★2017年5月12日(金)より全国公開
posted by shiraishi at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サクラダリセット 後篇

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監督:脚本:深川栄洋
原作:河野裕「サクラダリセット」シリーズ
撮影:清久素延
出演:野村周平(浅井ケイ)、黒島結菜(春埼美空)、平祐奈(相麻菫)、健太郎(中野智樹)、玉城ティナ(村瀬陽香)、恒松祐里(岡絵里)、岡本玲(宇川紗々音)、岩井拳士朗(坂上央介)、矢野優花(皆実未来)、奥仲麻琴(若き日の魔女)、吉沢悠(津島信太郎)、丸山智己(加賀谷)、中島亜梨沙(索引さん)、八木亜希子(浅井陽子)、及川光博(浦地正宗)

特殊な能力を持った人間ばかりが住む咲良田(さくらだ)。高校の奉仕クラブに所属する浅井ケイは体験した全てを記憶する。春埼美空は最大3日分を巻き戻すリセットの能力を持っている。2年前に二人が行ったリセットの結果死んでしまった同級生・相麻菫を再生させようと様々な能力を持つ仲間を集めていた。特殊能力を厳重に見張っている管理局内では、対策室室長の浦地正宗が、ある計画を実行しようとしていた。

3月に公開した前編に続く完結編。相馬菫がリセットで死んでいたのを知った美空は一人ではリセットが使えなくなりました。いつもケイと行動を共にしなければならない自分の能力に疑問を感じています。さらに控えめになってしまった美空を支えつつ、管理局の計画を阻止しようとケイが仲間と奔走するのがこの後編。ケイの過去も語られます。相馬菫の想いが明かされて、前編での布石が全て回収されていきます。原作から入れ込めなかった小さなエピソードはたくさんありますが、あの長いシリーズがよくまとめられています。対策室室長・浦地正宗役のミッチーこと及川光博さんの悪人っぷりにもご注目ください。(白)

2016年/日本/カラー/ビスタ/125分
配給:ショウゲート
(C)2017 映画「サクラダリセット」製作委員会
http://sagrada-movie.jp/
★2017年5月13日(土)ついに完結!全国ロードショー
posted by shiraishi at 20:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月07日

八重子のハミング

2017年5月6日(土)より有楽町スバル座他全国ロードショー
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(C):Team『八重子のハミング』
監督・脚本:佐々部清 原作:陽信孝
プロデューサー佐々部清,野村展代
キャスト
升毅:石崎誠吾 高橋洋子:石崎八重子
文音:石崎千鶴子 中村優一:石崎英二 安倍萌生:石崎百合子

癌手術から生還した夫とアルツハイマー病の妻。
壮絶な介護の日々を綴る


 癌の手術を4度受けた夫と、若年性アルツハイマー病を発症した妻。実話を元に二人の絆を描いた。
山口県萩市を舞台に、4000日にも及んだ妻八重子の介護を続けた石崎誠吾。夫の献身的な老老介護と家族の協力。友人たちや地域の人たちの協力、地元との関係も浮き出される。
二人は教員時代に巡り会い結婚。かつて音楽の教師だった八重子は徐々に記憶を無くして若年性アルツハイマー病を発症した。大好きな歌を口ずさむ時は明るい顔を取り戻すことも。八重子の好きだった歌のこと、アルツハイマーを発症してからの生活。家族のこと。
夫も癌を患いながらの介護で、二人の闘病生活はなかなか思い通りにいかない。
妻に寄り添い続ける誠吾の12年にもわたる日々が描かれる。なれない介護生活の中で夫は短歌を詠む。
「紙おむつ 上げ下げをする 度ごとに 妻は怒りで われをたたけり」
「幼な子に かえりし妻の まなざしは 想いで連れて 我にそそげり」
この短歌に、原作者 陽信孝(みなみ のぶたか)氏の妻への思いがこもる。
陽さんは、後に講演会で「妻を介護したのは12年。その12年間はただただ妻が記憶をなくしていく時間やからちょっと辛かったですいねぇ。でもある時こう思うたんです。妻は時間を掛けてゆっくりと僕にお別れをしよるんやと。やったら僕も妻が記憶を無くしていくことを、しっかりと僕の思い出にしようと」と、語っている。
『陽はまた昇る』『半落ち』の佐々部清監督が故郷山口県で撮影し、誠吾役を升毅、八重子役を高橋洋子が演じている。

この作品を撮っているのが、半年くらい前にTVで放映されていたのを見た。『陽はまた昇る』『半落ち』などを撮った佐々部清監督をして、こういう作品では大手からの出資は得られず、資金を集めるのに苦労したそうだけど、「市民の協力があって作り上げることができた」と語っていた。その番組を見たときから、いつこの映画を観ることができるかと思っていた。
隅さんは12年の介護と語っているが、これはかなり根気のいることだったことでしょう。
私も母の介護は10年くらいだったけど、実際、寝たきりになってからの家での介護は半年くらい。その後、くも膜下出血で倒れて病院に入院したので、病院への見舞いという形になったけど、家での介護はほんとうに大変だった。私の場合は4人姉妹で担ったけど、隅さんはほとんど一人で背負っていたようだった。その後、家族やまわりの人たちの協力も得られたようだったけど、介護というのは一人で背負ったら、自分も倒れる。しかも隅さんは癌も患っていた。そんな日々の介護模様が描かれる。ぜひ観にいってみてください。(暁)

『八重子のハミング』公式HP http://yaeko-humming.jp/
2016年/日本/112分 アークエンタテインメント

posted by akemi at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする