2017年05月21日

夜明け告げるルーのうた

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監督:湯浅政明
脚本:吉田玲子、湯浅政明
音楽:村松崇継
主題歌:斉藤和義「歌うたいのバラッド」
出演:谷花音(ルー)、下田翔大(カイ)、篠原信一(ルーのパパ)、柄本明(カイのじいさん)、斉藤壮馬(国夫)、寿美菜子(遊歩)、千鳥(大悟、ノブ)

中学生の少年カイは両親の離婚により、東京から寂れた漁港の日無(ひなし)町に移ってきた。父と祖父と男ばかりの3人所帯で、自分の気持ちを口に出すこともなく暮らしていた。たった一つの楽しみは、自分で作った曲をネットにアップすること。匿名なので誰にも知られていない。同級生の国夫と遊歩のバンド“セイレーン”に誘われ、気乗りしないまま練習場所の人魚島に行く。演奏を始めると人魚の少女ルーが3人の前に現れて、楽しそうに歌い踊る。それからたびたび現れるルーに、カイの心がしだいにほぐれて行く。

『夜は短し歩けよ乙女』に続いて公開される湯浅監督の新作。人魚の女の子と人間の男の子の交流ということで、ジブリの『崖の上のポニョ』を思い出しました。海外作品だとディズニーアニメ、実写だと古くは『スプラッシュ』(1984)、中国の『ふたりの人魚』(2000)『人魚姫』(1月公開)など人魚モノは多いですね。
人魚は漁師にとっては不吉で災いをもたらすというのは世界共通なんでしょうか。この作品では、漁師からいやがられるだけでなく、人魚を金儲けに利用しようと企む大人も登場。愛らしいルーがどうなってしまうのか、カイが自分の心からの声を出すことができるのか?が見どころ。大人も子供も楽しめること請け合います。2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門公式コンペティション作品(白)


音楽を聴くと、足が生えて踊りだす人魚のルー。苦手なのは、お日さま。活発に動くのは夜明け前まで。人魚伝説のある町の名前が「日無町」なのも納得です。
海に突き出た家屋の下から、小船がそのまま出せる構造の家がずらっと並んだ様に、あ、これは丹後半島の伊根の光景!と、かつて訪れた時の感動を思い出しました。
裏日本にある日無町は架空の町ですが、「伊根の舟屋」のほかにも、名古屋の島の港町、倉敷の商店街、尾道の旧泉屋別邸などを参考にして描いたそうです。町並みを眺めながら、これはどこかなと想像するのも楽しいです。(咲)


2017年/日本/カラー/107分
配給:東宝映像事業部
(C)2017ルー製作委員会
http://lunouta.com/
★2017年5月19日(金)より上映中
posted by shiraishi at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白 英題:MRS. B, A NORTH KOREAN WOMAN

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監督:ユン・ジェホ
撮影:ユン・ジェホ、タワン・アルン
プロデューサー:ギョーム・デ・ラ・ブライユ、チャ・ジェクン
音楽:マシュー・レグノー
編集:ナディア・ベン・ラキド、ポーリーン・カサリス、ソフィ・プロー、ジャン=マリー・ランジェル

マダム・ベーは、北朝鮮の中国国境近くで暮らしていたが、10年前、家族のため1年間だけの出稼ぎのつもりで中国にわたる。だが、気がついた時には、騙されて、中国の貧しい農村に嫁として売り飛ばされていた。最初は中国の夫と義父母との生活を受け入れられないでいたが、そこで生き抜くために脱北ブローカーとなる。中国の夫と生きて行く決意をした彼女だが、北朝鮮に残してきた息子たちの将来を案じて、息子と共に北朝鮮の夫も脱北させる。やがて、北朝鮮の夫や息子たちと国境を越えタイ経由で韓国に行く。韓国のパスポートが取れれば、正式に中国の夫と結婚できると信じて・・・

衝撃の予告編は、こちらで! 

とにかく、マダム・ベーのパワフルな姿に引き込まれます。監督は、脱北を背景にした家族の物語を撮ろうと思って、中国に住む脱北者を取材する中で、マダム・ベーと知り合い、やがて彼女から自分のドキュメンタリーを撮らないかと提案されたそうです。
韓国で暮らすうちに、どんどん綺麗になっていくマダム・ベー。監督にうかがったところ、今は、どちらの家族とも暮らさず、独立されているとのこと。たくましく一人でお店を切り盛りしている姿が目に浮かぶようです。
体制に翻弄されて、引き裂かれてしまった大事な人との関係。いつか、幸せな日を迎えてほしいものです。(咲)


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ユン・ジェホ監督インタビューは、特別記事で!


カンヌ国際映画祭ACID部門正式出品
2016年モスクワ国際映画祭、チューリッヒ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー映画賞受賞

配給:33 BLOCKS 
2016年/韓国・フランス/72分/DCP/ドキュメンタリー
(C)Zorba Production, Su:m
公式サイト:http://www.mrsb-movie.com
★2017年6月10日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
posted by sakiko at 15:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月20日

オリーブの樹は呼んでいる   原題:El Olivo/英語題:The Olive Tree

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監督:イシアル・ボジャイン(『ザ・ウォーター・ウォー』)
脚本:ポール・ラヴァーティ(『天使の分け前』『わたしは、ダニエル・ブレイク』)
出演:アンナ・カスティーリョ、ハビエル・グティエレス、ペップ・アンブロス

スペイン、バレンシア郊外。養鶏場で働くアルマは、気の強い、ちょっと変わり者の20歳の女の子。家族の営むオリーブ農園が経営難で、お祖父ちゃんの大事にしていた樹齢2000年のオリーブの樹を、お父さんが売り払ってしまう。食事も喉を通らなくなって、しょんぼりしているお祖父ちゃんの為に、オリーブの樹を取り戻そう! 
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c Morena Films SL-Match Factory Productions-El Olivo La Película A.I.E

アルマは、叔父や同僚のラファに、ドイツの会社と交渉成立したので受け取りに行くと嘘をついて、大きなトレーラー車を借り、ドイツを目指す・・・
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c Morena Films SL-Match Factory Productions-El Olivo La Película A.I.E

樹齢2千年ものオリーブの樹が切られて、環境をアピールする会社のシンボルに飾られている! 
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c Morena Films SL-Match Factory Productions-El Olivo La Película A.I.E

新聞記事でそのことを知って驚いた脚本家のポール・ラヴァーティが、妻であるイシアル・ボジャイン監督に話したことが、この映画の始まりだったそうです。
イシアル・ボジャイン監督は、ビクトル・エリセ監督の『エル・スール』でヒロインを演じるなど女優として活躍した後、監督に転じた、スペインを代表する女性監督。ケン・ローチ監督の『麦の穂を揺らす風』『わたしは、ダニエル・ブレイク』の脚本を担当したポール・ラヴァーティとご夫妻とは、実に名コンビですね。

オリーブの樹が切られるというと、パレスチナの人たちが大事にしてきたオリーブが、イスラエルの入植で無残にも切られていることが頭にまず浮かびます。スペインでは、経営難で切って売られることが増えているのだとか。
無謀にもドイツの会社に乗り込もうとするアルマは、まさに現代のドン・キホーテ。
長い長い年月を生きてきた樹を切ってしまうという愚かさを、ユーモアを交えながら、しっかりと伝えてくれる物語。型にはまらない若者のエネルギーが、社会を変えてくれることも感じさせてくれます。(咲)


2016年/スペイン/99分
配給:アット エンタテインメント 宣伝:ムヴィオラ
公式サイト:http://olive-tree-jp.com/
★2017年5月20日(土)よりシネスイッチ銀座にてロードショー、他全国順次公開
posted by sakiko at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | スペイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

あの日、兄貴が灯した光

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監督:クォン・スギョン(『裸足のギボン』)
出演:チョ・ジョンソク(『建築学概論』)、D.O.(EXO)、パク・シネ(『7番房の奇跡』)

詐欺前科10犯で服役中のコ・ドゥシク(チョ・ジョンソク)は、弟のコ・ドゥヨン(D.O.)が、柔道の試合中に不慮の事故で失明したことを知る。国家代表選手として活躍していたドォヨンにとって、それは将来を絶たれる出来事だった。目が不自由になって一人暮らしが難しい弟の世話をするという理由で、まんまと仮釈放のチャンスを手に入れるドゥシク。
一方、ドゥヨンのコーチだったスヒョン(パク・シネ)は、パラリンピックの選手として、なんとかドゥヨンを柔道の世界に復帰させたいと、オリンピックコーチの座を捨てて、ドゥヨンのもとに来る・・・

兄弟といっても、兄は15年前に家出していて、しかも異母兄弟。物語が進むにつれて、なぜ家を出たのかの秘密が明かされていきます。
好青年の印象が強いチョ・ジョンソクが、本作では、ちょっとずる賢い詐欺師にちゃんと見えます。兄弟が、少しずつ心を通わせていく姿に、ほろり。チョ・ジョンソク、やっぱり好青年! (咲)


2016/韓国/110分/シネスコ/カラー/5.chデジタル
配給:CJ Entertainment Japan
公式サイト:http://aniki-themovie.jp/
★2017年5月19日(金)TOHOシネマズ 新宿ほか全国順次ロードショー
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2017年05月14日

メッセージ(原題:ARRIVAL)

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監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作:テッド・チャン「あなたの人生の物語」ハヤカワ文庫刊
脚本:エリック・ハイセラー
撮影:ブラッドフォード・ヤング
音楽:ヨハン・ヨハンソン
出演:エイミー・アダムス(ルイーズ・バンクス)、ジェレミー・レナー(イアン・ドネリー)、フォレスト・ウィテカー(ウェバー大佐)、マイケル・スタールバーグ(ハルパーン捜査官)、マーク・オブライエン(マークス大尉)、ツィ・マー(シャン将軍)

ある日、地球上の12ヵ所に宇宙から来たと思われる飛行物体が現れた。巨大な楕円形をしたそれは、中空に静止し何の働きかけもない。目的も意図もわからず、各国は不安と混乱の中にあった。言語学者のルイーズ・バンクスのもとに、アメリカ軍のウェバー大佐が協力要請に訪れる。ルイーズはウェバー大佐が聞かせた異星人の発する音声に言語学者としての興味を惹かれる。その言語を解読することに力を注ぎ、ついに物理学者のイアンらと飛行物体の中の異星人との接触を試みる。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品は『灼熱の魂』 (2010)、『プリズナーズ』『複製された男』(2013)、『ボーダーライン』 (2015)と公開されていて、いずれも強い印象を残しました。この作品もSFでありながら同時にルイーズのドラマも描いていて、思いがけないラストに観終わった後もう一度観直したくなりました。
原作は短編であっというまに読み終えてしまいましたが、脚本とプロダクションデザインで不安と期待が入り混じった「未知との遭遇」をスクリーンに繰り広げてくれます。異星人の言語(視覚されたのはまるで前衛書道みたいです)をこうやって理解することが本当に可能なのでしょうか??わくわくします。いやその前に人間同士もっとなんとかならんの?とも思うのですが。作中でも各国の様々な対応が観られます。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は SF映画の金字塔ともいえるあの作品の続編『ブレードランナー 2049』の監督にも抜擢、公開は10月末です。楽しみですね。その前にぜひこの作品をお見逃しなく。(白)


2016年/アメリカ/カラー/シネスコ/116分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
http://www.message-movie.jp/
★2017年5月19日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 21:56| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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