2017年05月28日

ローマ法王になる日まで   原題:Chiamatemi Francesco - ll papa della gente

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監督・原案・脚本:ダニエーレ・ルケッティ
主演:ロドリゴ・デ・ラ・セルナ、セルヒオ・エルナンデス、ムリエル・サンタ・アナ、メルセデス・モラーン

現ローマ法王フランシスコの半生を描いた物語。
2013年3月、第266代ローマ法王に就任したホルヘ・マリオ・ベルゴリオは、イタリア移民2世のアルゼンチン人。266代にして、史上初のアメリカ大陸出身のローマ法王。

コンクラーベ(法王選挙)のためにバチカンを訪れたベルゴリオは、自身の半生を振り返る。
1960年、ブエノスアイレス。大学で化学を学んでいたベルゴリオは、神に仕えることが自分の道と確信し、イエズス会に入会する。35歳の若さでアルゼンチン管区長に任命される。時は、ビデラ大統領による軍事独裁政権。多くの市民が反政府として捕らえられ、謎の失踪を遂げる。
ベルゴリオのもとに、家族が行方不明になった一般市民や彼らを支援する神父たちが相談に訪れるが、神学校にも軍のスパイの神父がいて、安全な場ではなかった。ベルゴリオは行方不明者の家族の訴えに耳を傾けるオリベイラ判事に助言を求めるが、彼女も軍に目を付けられて、職場を追われる。恩師エステルの妊娠中の娘も失踪したと知り、ベルゴリオはたった一人でビデラ大統領官邸を訪れる。やがて、行方不明者家族の会のメンバーとして活動していたエステルと友人たちも、密告により逮捕されてしまう・・・

カトリック世界を描いた宗教的な物語かと思っていたら、1970年〜80年代のアルゼンチンの独裁政権時代を中心に描いていて、過酷な時代を経てきたことが、法王フランシスコの弱者への温かい眼差しを作ったことをずっしり感じさせてくれるものでした。
『チリの闘い』(パトリシオ・グスマン監督)や、『アルジェの戦い』(ジッロ・ポンテコルヴォ監督)を彷彿させられる内容で、独裁政権に対して果敢に闘う市民の物語にもなっています。なおかつ、独裁政権が、いかに卑劣な手段で市民を抹殺したかも描かれていて、胸が痛みます。

選挙運動中に、「メキシコ国境に壁を作る」と発言したトランプに、「壁ではなく橋を」と苦言を呈したフランシスコ法王。この度、トランプ大統領との対談が実現しましたが、成金のトランプに、清貧のフランシスコ、二人きりの場で、どんな会話がなされたのか気になるところです。(咲)


2015/イタリア/スペイン語、イタリア語、ドイツ語/カラー/113分/2.39:1/ドルビーデジタル
提供・配給:シンカ・ミモザフィルムズ
後援:駐日バチカン市国ローマ法王庁/在日アルゼンチン共和国大使館/イタリア大使館/イタリア文化会館/セルバンデス文化センター東京
推薦:カトリック中央協議会広報
公式サイト:http://roma-houou.jp/
★2017年6月3日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA 他にて全国公開
posted by sakiko at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Viva!イタリアVOL.3 『日々と雲行き』『Viva!公務員』『マフィアは夏にしか殺(や)らない』 

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今年で3回目となる≪Viva! イタリア≫。
過去に「イタリア映画祭」で紹介された作品が3本上映されます。
どれも、いかにもイタリアらしい作品です。

◆『日々と雲行き』 
原題:GIORNI E NUVOLE  英題:DAYS AND CLOUDS 
監督:シルヴィオ・ソルディーニ 
出演:マルゲリータ・ブイ/アントニオ・アルバネーゼ

 一人娘が成人し、豪邸で仲睦まじく暮らす ミケーレとエルサの中年夫婦。妻のエルサは、フレスコ画の研究に打ち込む日々。だが、夫のミケーレが共同経営者から外されてしまい失職してしまう・・・

イタリア・アカデミー賞 最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞/モスクワ国際映画祭 最優秀主演女優賞/ゴールデンCIAK賞 最優秀主演女優賞/
イタリア映画記者協会賞 最優秀主演女優賞/ローマ映画祭 特別賞
イタリア映画祭2008上映作品

2007年/イタリア・スイス・フランス共同製作/デジタル/117分


◆『Viva!公務員』
原題:QUO VADO? 英題:Where Am I Going? 
イタリア映画祭2016上映時の邦題『オレはどこへ行く?』)
監督・原案・脚本:ジェンナーロ・ヌンツィアンテ 
主演:ケッコ・ザローネ 

イタリア映画歴代興行収入トップの大記録を打ち立てたコメディ。
子供のころからの夢だった安定した終身雇用の職=公務員に就いて15年のケッコ。
だが、ある日、政府による公務員削減の対象になってしまう。
地方に飛ばしてもなかなか辞めると言わないケッコを、リストラ担当者はついに北極圏に転勤させるが・・・

会社が傾いて希望退職した私にとって、ちょっと身につまされる話でしたが、決して屈しないケッコに大笑い。最後はハッピーな気持ちに♪ 人生、何が転機になるかわからない!(咲)

イタリア映画記者協会賞 最優秀プロデューサー賞/ゴールデンCIAK賞 最優秀助演女優賞/ナストロ・ダルジェント賞 最優秀プロデューサー賞/
バリ国際映画祭 最優秀助演女優賞/イタリア・コンテンポラリー映画祭 観客賞

2015年/イタリア/デジタル/86分

◆『マフィアは夏にしか殺(や)らない』 
原題:La mafia uccide solo d'estate 英題:The mafia kills only in summer 
監督:ピエルフランチェスコ・ディリベルト 
出演:ピフ/クリスティアーナ・カポトンディ 

イタリア・アカデミー賞新人監督賞・青少年審査員賞/イタリア・ゴールデングローブ賞 最優秀脚本賞/イタリア映画記者協会賞 新人監督賞・最優秀脚本賞/
トリノ映画祭 観客賞/ゴールデンCIAK賞 脚本賞・編集賞/バンピ・ペリ映画祭 作品賞・話題賞/ブストアルシツィオ映画祭 観客賞・脚本賞/
バリ国際映画祭 作品賞/アヌシー・イタリア映画祭 グランプリ
イタリア映画祭2014上映作品

2013年/イタリア/デジタル/90分
提供:オンリー・ハーツ


公式サイト:http://www.vivaitaly3.com/
★2017年5月27日 (土)ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開!
posted by sakiko at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

花戦さ

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監督:篠原哲雄
原作:鬼塚忠
脚本:森下佳子
音楽:久石譲
美術:倉田智子
出演:野村萬斎(池坊専好)、市川猿之助(豊臣秀吉)、中井貴一(織田信長)、佐々木蔵之介(前田利家)、佐藤浩市(千利休)、高橋克実(吉右衛門)、山内圭哉(専伯)、和田正人(専武)、森川葵(れん)

戦国時代、京の六角堂に池坊専好という風変わりな花僧がいた。人の名前と顔が覚えられず、天真爛漫。ただただ花が好きで、世情にも出世にもとんと関心がない。時の権力者・織田信長に活けた花が気に入られ、いっきに評判が上がる。本能寺の変以後、豊臣秀吉が天下人となり、しばし世情は安定する。専好は千利休と親しくなり、互いに尊敬し高めあっていく。その後、権力を手にした秀吉は一粒種の鶴松を亡くし、正気を失ったごとく傲慢な圧政をしく。意に沿わない者は次々とは始末され、無辜の民が苦しむようになった。大切な人たちの窮状に、専好は刃でなく花を持って闘うことを決意する。

華道家元池坊に伝わる逸話を元に書かれた鬼塚忠氏の同名小説が原作。狂言師・野村萬斎、歌舞伎俳優・市川猿之助をはじめとして主役を張れる俳優が勢ぞろい。書ききれないほどたくさんの出演者です。野村萬斎さんの飄々とした軽さ、温かさが主人公そのままのようでした。池坊初代家元の専好が花を活けたとされてから、今年は555年になるそうです。先週ちょうど日本橋三越で池坊展が開催されていたので、覗いてきました。映画の紹介パネルもあり、専好と秀吉の衣裳が2点飾られていました。
秀吉と千利休の確執はこれまでにいくつかの作品で描かれてきました。1989年の『利休』(勅使河原宏監督)では、三國連太郎さんが千利休。今回は同じ役を実子の佐藤浩市さんが演じています。親子2代ですね。
作品中、池坊監修のいけばなが200余。茶道、華道をたしなむ方は必見です。劇中れんが描く絵画は小松美羽さん、題字は金沢翔子さん、と各界の才能のコラボレーションとなっています。(白)


2017年/日本/カラー/ビスタ/127分
配給:東映
(C)2017「花戦さ」製作委員会
http://www.hanaikusa.jp/
★2017年6月3日(土)いざ、勝負!
6/24(土)〜25(日)丸の内TOEIで日本語字幕付上映
posted by shiraishi at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

LOGAN ローガン(原題:Logan)

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監督・原案:ジェームズ・マンゴールド
脚本:スコット・フランク、ジェームズ・マンゴールド、マイケル・グリーン
撮影:ジョン・マシソン
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演:ヒュー・ジャックマン(ローガン/ウルヴァリン)、パトリック・スチュワート(チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX)、ボイド・ホルブルック(ドナルド・ピアース)、スティーブン・マーチャント(キャリバン)、ダフネ・キーン(ローラ)

2029年。地球上のミュータントは大半が死滅し、ウルヴァリンことローガンもこれまでの闘いで傷つき疲弊して、治癒能力もしだいに衰えていた。メキシコ国境に近いテキサスで出自を隠して運転手として働き、ミュータントのキャリガンと、老いを迎えているチャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)の世話をしていた。ある日ガブリエラという女性が、娘のローラをノースダコタまで送り届けてほしいと現れる。ガブリエラは子どもに実験を繰り返すトランジェン研究所の看護婦で、収容されていたローラや子どもたちを脱走させたのだった。ローラを奪還しようとピアース一味が襲撃してくる。ローガンはチャールズとローラを車に乗せ、ノースダコタへと向かう。ローラは押し黙っていたが、凶暴で戦闘能力が高く、しかもローガンそっくりの特徴を持っていた。

2000年に公開となった最初の『X-MEN』(ブライアン・シンガー監督)でローガン/ウルヴァリンを演じたヒュー・ジャックマン。17年間にわたって9作目の出演となりました。2013年日本ロケを行った『X-MEN SAMURAI』の監督も務めたジェームズ・マンゴールド監督と一緒に来日、先日プレミア上映会、翌日記者会見が行われました。
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ミーハー心を満タンにして出かけた会見。すらりと背が高く(小顔!)立ち姿も美しいヒュー・ジャックマン。最後のウルヴァリンとなった本作には格別の思いがあるようでした。ヒーローものでは今までになかった主人公が描かれています。ジェームズ・マンゴールド監督とヒュー・ジャックマンがミュータントのスーパーヒーローではない「人間的なドラマ」に全身全霊をこめた作品。
「最後に監督から素晴らしいプレゼントをもらった気分です。今はとても平和で満足しています」と語っていました。また特筆に値するのがローラ!台詞がないときの目力といい、動きの良さといい、二人が「ダフネ・キーンに会えたのは奇跡」というだけあります。(白)


2017年/アメリカ/カラー/シネスコ/138分/R15+
配給:20世紀フォックス映画
(C)2016 Twentieth Century Fox
http://www.foxmovies-jp.com/logan-movie/
★2017年6月1日(木)全国ロードショー
posted by shiraishi at 19:14| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。

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監督:谷内田彰久
原作:モギサン、モギサン奥さん著「ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。」
出演:中野裕太、簡嫚書 (ジエン・マンシュ−)、王彩樺(ワン・サイファ−)、 蛭子能収

Facebookで結ばれた台湾の女の子と、日本人青年の実話から生まれた物語

台湾に住む女の子リンは、日本のドラマやアニメが大好きで、大学で日本語を専攻している。2011年3月に起こった東日本大震災の話題がfacebookでも駆け巡っていた時、リンのところに、日本人青年モギから友達リクエストが届く。いち早く復興支援の手を差しのべた台湾の人たちのことを知りたいというメッセージに、さっそく友達承認して、交信が始まる。やがて、ゴールデンウィークになり、友人二人を連れてやってきたモギさんを歓待するリン。ほんの数日の滞在だったけど、二人の気持ちは一気に縮まった。やがて、日本に嫁に行くというリンに、ママは行くなという・・・

ジエン・マンシュ−演じるリンちゃん、実にキュート。でも、本物のリンちゃんも負けず劣らず、ほんとに可愛い。中野裕太演じるモギサンは、人は良さそうだけど、ちょっともっさりした青年。本物のモギサンも、写真で見る限り、そんな感じ。よくぞ、こんなに可愛い女の子を射止めたなと感心してしまいます。ネット上で、お互いの気持ちがわかった上で会ったから? それにしても、ネットで知り合って結婚までしてしまうのか〜と思っていたら、昨日会った同級生の娘さん、結婚相手をネットで見つけたそう。今や、そんな時代なのですね。 さて、本物のリンちゃんとモギサンは、すっかり有名になり、日本と台湾を行き来して、日台の架け橋となって活動中とのこと。素敵なカップルです。(咲)

2016年/日本/94分/16.9/カラー/5.1ch
配給:朝日新聞社 / アティカス
公式サイト:http://mama-dame.com/
★2017年5月27日(土)新宿シネマカリテ他全国順次公開
posted by sakiko at 18:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする