2017年03月12日

娘よ  原題:Dukhtar   英題:Daughter

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監督・脚本・プロデュース:アフィア・ナサニエル
出演:サミア・ムムターズ、セーレハ・アーレフ、モヒブ・ミルザー

パキスタン北部の争いの絶えない部族社会。死には死の連鎖を断つ為、10歳の娘ザイナブを敵対する部族の長老に嫁がせることになる。自らも15歳の時に部族対立を鎮めるため嫁がされた母アッララキ。娘の人生はこれで終わってしまうと、結婚式の朝、娘を連れて決死の逃避行を敢行する。二人はトラックの荷台に忍び込む。運転手のソハイルは、追っ手に見つかれば自身にも身の危険が及ぶのを承知で二人を助ける・・・

壮大なカラコルム山脈を背景に描かれるスリリングな逃避行。母が娘の幸せを願う気持ちが、ずっしりと伝わってきます。パキスタンの中でも女性隔離の慣習が強く、独特の掟を持つパシュトゥーン族の物語。
自らも母方がパシュトゥーン族のアフィア・ナサニエル監督が、幼い娘二人を連れて逃げた母親の実話に触発されて脚本を書き始め、10年後にようやく完成した映画。資金が集まらず諦めかけたこともあったそうですが、結婚し、自らも母親となり、この物語を是非世に出したいと強く願い、映画化が実現。パキスタン映画として、日本で初めて公開される映画となりました。
パキスタンというと女性が虐げられているイメージが強いですが、昨年8月に公開された『ソング・オブ・ラホール』(資本はアメリカ)も、メインの監督はパキスタンの女性シャルミーン・ウベード=チナーイでした。
パキスタンの女性たちの地位向上をけん引していって欲しい監督たちです。(咲)


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公開を前に来日したアフィア・ナサニエル監督にお話を伺いました。
華奢な身体に秘めた強い意志を感じました。

第87回アカデミー賞外国語映画部門 パキスタン代表

2014年/パキスタン・米国・ノルウェー/デジタル/93分
配給:パンドラ
公式サイト:http://www.musumeyo.com
★2017年3月25日(土)岩波ホールにて公開
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2017年03月11日

おとなの事情   原題: Perfetti Sconociut

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監督:パオロ・ジェノヴェーゼ 
出演:ジュゼッペ・バッティストン、アルバ・ロルヴァケル、ヴァレリオ・マスタンドレア、カシア・スムトゥニアク

整形外科医のロッコは、妻エヴァが自分のことをほんとに愛してくれているのか不安だ。年頃の娘のことも全く理解できない。そんなある日、ロッコとエヴァの夫妻は3組の友人たちを家でのディナーに招く。新婚のビアンカとコシモ。夫婦仲がすっかり冷え切っているレレとカーロッタ。失業中で仕事を探しているぺぺ。彼女を連れてくるはずが、病気で来られなくなったという。食事も佳境に入り、エヴァが突然、「ゲームをしない?」と提案する。スマホをテーブルに置いて、メールがきたら読み上げる、電話がかかってきたらスピーカーにするというのがルールだ。
面白そうと、全員、スマホをテーブルに置く・・・

身に覚えのある者は、内心冷や冷や。こんな時に、あの人から電話がかかってきたらどうしよう、メールが入ったら・・・それでも、こんなゲームは嫌だと抜けられない雰囲気。
実は、この映画を観たころ、同級生の男性が癌で亡くなりました。その男性の親友は、彼がスマホにロックをかけているのを知っていて、メールに返事がないので、そろそろ天に召されるのではと、奥様宛に何かあった時には、この電話番号に連絡をとハガキを出したそうです。奥様から亡くなったとの電話があって、連絡をいただいてなければ、スマホが解除できなくて友人関係の連絡先がわからなかったとのこと。亡くなった男性は、もちろん、奥様に見られたくなかった情報があるからロックをかけていた次第。
かたや、私の知人は、スマホにロックをかけていなかった為、亡くなったあと、いろんなことを奥さんに知られることとなりました。ま、存命中でなくてよかったかもですが。
手の平に入る小さな機器が、人間関係に大きな問題を起こすこともある! そんな『おとなの事情』。いろんな顛末に思わず笑ってしまいますが、他人事とは思えなくて、笑えないエピソードもあるかも? (咲)


公開を前に来日したパオロ・ジェノヴェーゼ監督のオフィシャルインタビューは、こちらで! 

☆イタリアのアカデミー賞と言われるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞・脚本賞をW受賞

2016年/イタリア/96分/ビスタ/5.1ch
配給:アンプラグド 
公式サイト:http://otonano-jijyou.com
★2017年3月18日(土) 新宿シネマカリテ他全国ロードショー
posted by sakiko at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月05日

モアナと伝説の海(原題:MOANA)

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監督:ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ
アニメーション監修:エリック・ゴールドバーグ
製作:オスナット・シューラー
製作総指揮:ジョン・ラセター
脚本:ジャレド・ブッシュ
音楽:マーク・マンシーナ
オリジナルソングス:リン=マヌエル・ミランダ 他
声の出演:アウリイ・クラヴァーリョ(モアナ)、ドウェイン・ジョンソン(マウイ)、レイチェル・ハウス(タラおばあちゃん)、ジェマイン・クレメント(タマトア)
声の出演(日本語吹替版):屋比久知奈(モアナ)、尾上松也(マウイ)、夏木マリ(タラおばあちゃん)、ROLLY(タマトア)

モアナは南国の楽園の島で生まれ、幼いころ海に選ばれた特別な女の子。サンゴ礁の外に出ることは固く禁じられていたが、モアナはいつか外海へ出ることを夢見て16歳になった。父の後を継いで族長として島を守ることが決まっていたが、外海への憧れがなくなることはなかった。タラおばあちゃんだけがモアナを理解し、心の声に従いなさいと励ましてくれるのだった。
自然の恵み豊かだった島に次々と異変が起こり、島に伝えられた伝説が蘇る。英雄マウイが命の女神テ・フィティから“心”を盗み出したことで生まれた闇がこの島にもせまってきたのだった。モアナは愛する島と人々を守るため、マウイを探し出し女神テ・フィティの“心”を返そうと、祖先の遺した舟で外海へと旅立っていく。

太平洋の島々に残る伝説をちりばめて生まれた心躍るストーリー。賢くて勇敢なヒロイン、モアナ(海という意味)が、初めて外海に乗り出します。相棒はたまたま荷物に混じってしまった鶏のヘイヘイ。何も考えていない和ませキャラで航海の役には立ちそうもありません。それでもいつ活躍するのかとつい注目してしまいます。風と海の守り神マウイは、かつての小錦関を思い出させるような巨漢。傲慢さも残っているけれど愛すべきキャラで、これまでの物語を表したタトゥーが体にびっしりと刻まれています。タトゥーのミニ・マウイがモアナの後押しをしてくれます。
ほとんどが海のシーンなので、海を表現するための特別チームが組まれたそうです。動きも色も透明度もこれまでのアニメの中で一番!島の緑や砂浜の美しさ、衣装や髪や肌の質感に「ここまでできるのか〜」とほれぼれしました。厳しい両親に従い王子様を待つだけでなく、自ら決めて行動できるヒロインが登場したのはいつからだったでしょう?女の子も男の子も大人もぜひご覧ください。

ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ監督は『リトル・マーメイド』(89)や『アラジン』(92)、『プリンセスと魔法のキス』(09)などを生み出した黄金コンビ。今回は初のCGアニメーションです。日系ブラジル人のレオナルド・マツダ監督・脚本の短編『インナー・ワーキング』も同時上映。(白)


2016年/アメリカ/カラー/シネスコ/107分
配給:ディズニー
(C)2016 Disney. All Rights Reserved
http://www.disney.co.jp/movie/moana.html
★2017年3月10日(金)全国ロードショー
posted by shiraishi at 12:45| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

しゃぼん玉

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監督・脚本:東伸児
原作:乃南アサ
撮影:宮本亘
音楽:奈良悠樹
主題歌:秦 基博
出演:林遣都(伊豆見翔人)、市原悦子(スマ)、綿引勝彦(シゲ爺)、藤井美菜(美知)、相島一之(スマの息子)

伊豆見翔人(いずみしょうと)は、老人や女性ばかりを狙い、ひったくりや強盗傷害を繰り返して暮らしていた。ある晩抵抗されたはずみに、ナイフで相手を刺してしまう。遠くへ逃げようとヒッチハイクをし真夜中にトラックから降ろされる。道端で眠り込んで目を覚ますと、どことも知れない山の中だった。近くで怪我をして動けずにいた老女スマを助け、なりゆきで一人暮らしの家に厄介になる。素性を追及もせず「坊はええ子じゃ」と受け入れるスマと暮らし、これまでにない安らぎを覚える翔人だった。村の人はスマの孫と思い込み、何かと頼りにされるようになる。祭の手伝いで美知に出会った翔人は、自分の犯してきた罪を初めて振り返った。

翔人がたどりついたのは宮崎県。平家の落人が隠れ住んだという言い伝えのある山深い村との設定です。翔人の生い立ちは詳しく描かれませんが、言葉やしぐさの端々、無軌道な生き方で想像がつきます。映像はこんな風に表現ができるんですね。気になる方は乃南アサさんの原作をぜひどうぞ。
親に見捨てられ誰にも愛されず荒んでしまった翔人の心に、スマやシゲ爺の愛情がしみこんでいくのが目に見えるようでした。この人たちに会えてよかったね、と胸なでおろす思いでした。
配信ドラマの『火花』主演ほか、活躍著しい林遣都がまた一つ成長した証を見せた作品。ベテランの市原悦子、綿引勝彦の渋い存在感、相島一之の不肖の息子≠チぷりも凄い!(白)


2016年/日本/カラー//108分
配給:スタイルジャム
(C)2016「しゃぼん玉」製作委員会
http://www.shabondama.jp/
★2017年3月4日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国公開
posted by shiraishi at 09:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月04日

ヨーヨー・マと旅するシルクロード   原題:The Music of Strangers

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監督:モーガン・ネヴィル(『バックコーラスの歌姫たち』)
出演:ヨーヨー・マ、ジョン・ウィリアムズ、タン・ドゥン、ケイハン・カルホール、梅崎康二郎、キナーン・アズメ、ボビー・マクファーリン

2000年、世界的チェロ奏者ヨーヨー・マが、「音の世界遺産」を世界に発信するために立ち上げた「シルクロード・アンサンブル」。そこには、中国、日本、シリア、イラン、スペイン・・・ シルクロードにゆかりのある世界東西、さまざまな国から伝統音楽や現代音楽の名手たちが参加している。本作では、そのメンバーの中から数名を取り上げ、文化的、政治的、歴史的背景を紐解いていく。
ヨーヨー・マが音楽で世界を変えようと努めてきた20年の歩みを知ることのできる素敵な一作。

冒頭、トルコ、イスタンブルの第二ボスポラス大橋のたもとで楽しそうに演奏する人たちの姿が繰り広げられる。まさに東西の架け橋。ヨーヨー・マの目指す東西の融合にぴったりな場所。
ヨーヨー・マといえば、思い出すのが1997年 香港返還の折、タン・ドゥンが作曲した中国回帰記念の「交響曲1997 天・地・人」の世界初演。縁あって、一番前の席で楽しみました。そのコンサートの前日、インターコンチネンタルホテルの廊下で、偶然、大きなコントラバスをヨーヨー・マさんが2人がかりで運んでいるのとすれ違いました。にっこり会釈してくださったのですが、自分の楽器でもないのに運ぶんだ〜と感心したものです。人を包み込むような笑顔。大勢の人たちが、彼のもとに集まったのも納得です。

日本では、2005年にNHKスペシャル「新シルクロード」シリーズのテーマ音楽を担当され、シルクロード・アンサンブルの活動についても特集番組で知ることができました。私にとっては、その時に知ったイランの伝統楽器ケマンチェ奏者のケイハン・カルホールのその後の人生を本作で知ることができて、感慨深いものがありました。(咲)


映像(予告編付き)
http://29.gigafile.nu/0314-b427df5eec14569e1922969a669a1fa2e

2015年/アメリカ/英語/95分/カラー
配給:コムストック・グループ 配給協力:東京テアトル 
公式サイト:yoyomasilkroad.com
★2017年3月4日(土) Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか全国公開
posted by sakiko at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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