2017年02月26日

ラビング 愛という名前のふたり(原題:Loving)

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監督・脚本:ジェフ・ニコルズ
出演:ジョエル・エドガートン(リチャード)、ルース・ネッガ(ミルドレッド)、マートン・ソーカス(ブルックス保安官)、ニック・クロール(バーナード・コーエン)、テリー・アブニー(ガーネット)、アラーノ・ミラー(レイモンド)、ジョン・ベース(フィリップ・ハーシュコプ)、マイケル・シャノン(グレイ・ビレット)

1958年バージニア州では異人種間の結婚が禁じられていた。大工のリチャード・ラビングは恋人のミルドレッドが妊娠したのを大喜びする。結婚が認められない地元ではなく、、ワシントンDCまで出かけて結婚届を出した。しかし、真夜中に保安官が押し掛け「この結婚は違法」と二人を逮捕する。白人のリチャードは翌日釈放されるが、黒人のミルドレッドはしばらく留め置かれてしまう。弁護士に相談し法廷に臨むが、二人への判決は1年間服役するか、州から25年間追放されるかというものだった。
やむを得ず二人は親類を頼ってワシントンに移り住む。子どもが安心して遊ぶ場所もなく、ミルドレッドは自然豊かな故郷が恋しい。1963年ミルドレッドは時のケネディ司法長官にそれまでの事情と「故郷で暮らしたい」という望みを打ち明けた手紙を書いた。 アメリカ自由人権協会にこのケースが委ねられ、二人を担当する弁護士が現れる。

ただ互いを愛し、故郷で暮らすことを願った夫婦が、法律をも変えることになった真実の物語。先に発表されたドキュメンタリーを作った監督がプロデューサーとして長編映画の企画を立て、コリン・ファースも制作に加わります。『テイク・シェルター』(2012/マイケル・シャノン主演)のジェフ・ニコルズが監督・脚本です。
夫妻役にぴったりの俳優を得たうえ、実在の場所でのロケはリアリティを深めました。ジョエル・エドガートンは監督・主演の『ギフト』(2015)で主人公に接近してくる不気味な旧友を演じています。昨年観たばかりですが、こちらの『ラビング〜』では実直で家族思いの職人役。髪はもちろん顔立ちも違って見えてすぐに気づきませんでした。妻役のルース・ネッガも共にアカデミー賞にノミネートされています。
これまでにもほかの映画で、白人と黒人の結婚を反対されて苦労した話を観ましたが、州ごとに法律が違っていることや罰則がこんなに厳しいものであったことをこの作品で初めて知りました。ご夫婦の姓が「Loving 」だなんて偶然なのでしょうが、なんとも素敵です。
1967年6月12日、米国連邦最高裁判所で「異人種間結婚禁止法は違憲」とする全員一致の判決が下されました。この日は「Loving Day」と呼ばれる記念日になっています。(白)


2016年/イギリス・アメリカ合作/カラー/シネスコ/122分
配給:ギャガ
http://gaga.ne.jp/loving/
(C)2016 Big Beach, LLC. All Rights Reserved.
★2017年3月3日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 20:17| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アシュラ   原題:阿修羅

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監督/脚本:キム・ソンス
主演:チョン・ウソン、ファン・ジョンミン、チュ・ジフン、クァク・ドウォン、チョン・マンシク

悪の渦巻くアンナム市。刑事ハン・ドギョン(チョン・ウソン)は、街の利権を牛耳る市長パク・ソンベ(ファン・ジョンミン)のために裏の仕事を引き受け手間賃を貰っている。難病の妻の治療費を稼ぐために始めたことだったが、今や、市長の犬に成り下がっていた。
一方、悪徳市長の逮捕に燃える検事キム・チャイン(クァク・ドウォン)がドギョンを脅し、市長の不正の証拠を掴もうと必死だった。ドギョンは警察を辞めて市長のもとで働く予定だったが、検察ににらまれた状態では辞めることもできず、自分を兄と慕う後輩刑事ムン・ソンモ(チュ・ジフン)を説き伏せて、市長のもとに送り込む・・・

冒頭、「人間が嫌いだ」というチョン・ウソンの声が聴こえたときから、ぞくぞく。
今回のチョン・ウソンは、もう、ぼろぼろ。悪徳市長には尻尾を振り、可愛がっていた後輩には裏切られ、これでもかというくらい、みじめな姿を見せつけてくれます。でも、やっぱりウソンさまはウソンさま! また一段と、役者魂を感じさせてくれました。
キム・ソンス監督といえば、『ビート』(1997)や『太陽はない』(1998)で、チョン・ウソンをスターダムに押し上げた監督。また違った魅力を引き出してくれました。
そして、悪徳市長役として、ほんとに嫌な奴を演じきったファン・ジョンミン! いい人も悪い人も、どっちも地?と思わせてくれる名優ですね。可愛いお尻も見せてくれます。(見たくないって?!)
チュ・ジフンも、先輩を裏切る調子のいい奴を演じきってます。
あ〜、凄かったけどキツイ映画でした。(咲)


2016年/韓国/133分/韓国語/原題:아수라
配給:CJ Entertainment Japan
公式サイト:http://asura-themovie.jp
★2017年3月4日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー 
posted by sakiko at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お嬢さん  原題:AGASSI  英題:HANDMAIDEN

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監督:パク・チャヌク(カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞『オールド・ボーイ』)
出演:キム・テリ、キム・ミニ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン、キム・ヘスク、ムン・ソリ

1939年、日本統治下の朝鮮半島。
華族の令嬢・秀子(キム・ミニ)は、幼い時に両親を失い、後見人の叔父(チョ・ジヌン)の厳格な保護のもと、大きなお屋敷で暮らしている。毎日、おじと向き合い声を出して本を読むのが日課だ。
一方、盗賊団に育てられた孤児の少女スッキ(キム・テリ)は、藤原伯爵と名乗る男(ハ・ジョンウ)から、華族のお嬢さん(アガシ)である秀子の下女として屋敷に住み込み、自分が秀子と結婚できるよう助けて欲しいと頼まれる。そして、結婚できた暁には、お嬢さんを精神科病院に入れて財産を奪い、一緒に逃げようと持ちかけられる。
スッキは献身的に秀子に仕え、秀子もスッキに心を開いていく。やがて、藤原伯爵は、スッキの手助けもあって、秀子との結婚にこぎつける・・・

自称伯爵は、もちろん詐欺師。ハ・ジョンウは、こういう役が実によく似合います。
日本統治下で日本を信奉する男を演じたチョ・ジヌンは、実年齢より上に見せるため、18キロ痩せて臨んだそう。和風に洋風をミックスしたお屋敷の地下の隠れた大きな書庫に、怪しげな本を所蔵しているエロおやじを好演。
男たちに支配されるお嬢さんや下女も、叔父の留守には、地下の書庫に忍び込み、きわどい書物を楽しむしたたかさも。
3部構成の本作、次々に明かされるからくりに驚かされ、最後の最後に、さらにまた驚かされました。(咲)


2016年/韓国/145分/シネマスコープ/5.1ch/R-18
配給:ファントム・フィルム
公式サイト:http://ojosan.jp
★2017年3月3日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他ロードショー

posted by sakiko at 18:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ラ・ラ・ランド  原題:LA LA LAND

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監督・脚本:デイミアン・チャゼル (『セッション』)
出演:ライアン・ゴズリング(『ドライヴ』)、エマ・ストーン(『バードマン』)、J.K.シモンズ(『セッション』)

女優をめざし、映画スタジオのカフェで働くミアと、いつか自分の店を持って、好きなだけ演奏したいと願っている売れないジャズピアニストのセブ。出会いのきっかけは最悪だったけど、恋に落ちる二人。お互いの夢を叶えるべく励ましあう二人だったが、セブが資金作りの為に入ったバンドが成功したことから、いつしか心がすれ違い始める・・・・

米アカデミー賞過去史上最多14ノミネートとあって、とにかく試写の混みようは異常でした。
2度目には2時間前に行って、お陰でお気に入りの隅っこの席で観ることができました。
二人は夢を叶えることができるのか、そして恋の行方は?と、甘く切ない音楽と共に楽しみました。
ライアン・ゴズリングを観たくて、来日記者会見にも参加。
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おぉ〜なんと、デイミアン・チャゼル監督のほうが、グッと甘くて素敵でした。
「叶う夢もあれば、叶わない夢もある!」という監督の言葉が印象に残りました。
叶わなくてもいい、人生、夢に向かって前に進むのみ! (咲)



『ラ・ラ・ランド』来日記者会見 
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デイミアン・チャゼル監督と主演ライアン・ゴズリング 二人の絶妙なトークに会場が湧きました。 

2016年/アメリカ/128分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル
配給:ギャガ/ポニーキャニオン
公式サイト:http://gaga.ne.jp/lalaland/
★2017年2月24日 (金) TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー!
posted by sakiko at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月24日

彼らが本気で編むときは、

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監督・脚本:荻上直子
撮影:柴崎幸三
音楽:江藤直子
出演:生田斗真(リンコ)、桐谷健太(マキオ)、柿原りんか(トモ)、ミムラ(トモの母・ヒロミ)、小池栄子(ナオミ)、門脇麦(佑香)、りりィ(サユリ)、高橋楓翔(中学時代のリンコ)

小学5年生の女の子、トモはママと二人暮らし。ある日ママは家出したまま帰ってこなくなった。一人ぼっちになったトモは前と同じように、ママの弟のマキオの家を訪ねていく。前は一人暮らしだったマキオは、今は恋人のリンコが一緒だ。リンコはマキオの母のいる老人施設で働いている。トモの家と違ってきちんと片付き、美味しいご飯が食卓に並んだ。トモの髪を可愛く結ってくれて、お弁当も持たせてくれる。そしてよく編み物をしている。リンコはトモに「生まれたときは男の子だったけど女になったの」という。トモが初めて会ったトランスジェンダーの女性だった。

『レンタネコ』(2012)以来久しぶりの荻上直子監督作。自ら「第2章」という新しい切り口でトランスジェンダーの女性と家族を描きました。生田斗真さんが「これまでにない難しい役」といっていますが、わざとらしくない女らしさが出ています。見た目も心も美人のリンコがちゃんといました。わりとテンション高めの役が多かった桐谷健太さんが、包容力のある落ち着いたマキオで新鮮です。
荻上直子監督がアメリカと日本に住んで、マイノリティの人についての違いを感じたたこと、“女の子になりたい息子に、偽のおっぱいを編んだ母親のエピソード”に出会ったことから始まった作品です。
観ているうちに、自分の中の偏見にも気づかされる作品になっていました。知識がない、身近にいない(いてもわからない)ということも大きいのでしょう。ひとり親家庭や育児放棄された子どもについても考えるきっかけになりそうです。
荻上監督作品には美味しそうな料理がたくさん登場します。今回もフードスタイリストは飯島奈美さん。お弁当の鯉のぼりウインナーが可愛い!そうそう、リンコたちが「本気で編む」のが何なのかはぜひ劇場で。
公開を前にニュースが飛び込んできました。第67回ベルリン国際映画祭において、LGBT(セクシュアル・マイノリティの人たち)をテーマにした全37作品の中で、優れた作品に与えられる“テディ審査員特別賞”と、ドイツの観客の投票により決まる“観客賞(2nd place)”をダブル受賞しました!おめでとうございます!!(白)


2017年/日本/カラー/ビスタ/127分
配給:スールキートス
(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会
http://kareamu.com/
★2017年2月25日(土)、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする