2016年12月11日

幸せなひとりぼっち   原題:En man som heter Ove  英題:A MAN CALLED OVE

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監督・脚本:ハンネス・ホルム
出演:ロルフ・ラスゴード、バハー・パール(バハール・パールス)、フィリップ・バーグ,アイダ・エングヴォル,カタリナ・ラッソン
原作:フレドリック・バックマン訳:坂本あおい(ハヤカワ書房刊)

59歳のオーヴェは、妻を亡くし、郊外の住宅地で妻の思い出が詰まった家でひとり暮らし。ある日、43年間勤めていた鉄道局から突然クビを言い渡される。かつては町内の自治会長も務めていたが、選挙で落選。もともと厳格な性格のオーヴェは、暇に任せて共同住宅地の敷地内の規律が守られているか見回る日々。それも虚しく、首を吊ろうとしたところに、子ども連れの家族が騒々しく隣りに引っ越してくる。夫パトリックの運転する車がオーヴェ宅の郵便受けを壊してしまい、お詫びにと、妻パルヴァーネは故国イランの料理を差し入れる。「美味しかった」とメモをつけ器を返すオーヴェ。少しずつだが、パルヴァーネや二人の娘たちと打ち解けていくオーヴェ。
ある日、倒れたオーヴェのために家に入ったパルヴァーネは、台所の作りが低めなことより、オーヴェの妻ソーニャが車椅子生活だったことを知る・・・

妻のもとに行こうと首を吊るオーヴェの頭に、母を早くに亡くし、育ててくれた父も残念な事故で亡くした過去や、妻ソーニャと出会った頃のことが走馬灯のように駆け巡ります。頑固で偏屈な性格のオーヴェを、パッと咲いた花のような笑顔で包み込むソーニャ。そのソーニャが車椅子生活を余儀なくされるようになった事故。教師として働きたいソーニャのためにオーヴェがしてあげたこと等々、オーヴェの人生が次第に明かされていきます。
共同住宅地に住み始めた頃、規律を一緒に作った性格の似たルネが、今や認知症になり、強制的にケアハウスに入れられようとしているのを助けたりもします。
私にとっては、何より、隣りに越してきた一家の若い身籠った奥さんがイラン人ということに興味津々。オーヴェに差し入れたのは、サフランを使ったイラン料理。さて、どの料理かなと想像を巡らしてしまいました。演じたBahar Parsさんは、1979年イランのシーラーズ生まれ。10歳の時に家族でスウェーデンに移住。28歳の時、女優として本格的デビューした後、舞台と映画で活躍。近年、映画監督としても活躍しているそうです。
バハー・パールと表記されていますが、バハール・パールスが近いと思います。バハールは「春」の意味。役名のパルヴァーネは、映画の中でも自身で語っていますが「蝶々」のこと。時々、ペルシャ語で独りごとを言うのですが、娘たちにもペルシャ語で話しかけています。二人の娘たちも「yek do seh(ペルシャ語で、1,2,3)」と言いながら縄跳びをしていて、スウェーデンに居ても、母親の母国語も使っているのが嬉しいです。
本作を観て、最近だんだん薄れているご近所付き合いの大切さを思いました。素敵な一作です。(咲)


2015 年/スウェーデン/HD/116 分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/スウェーデン語・ペルシャ語
配給:アンプラグド
公式サイト:http://hitori-movie.com/
★2016年12月17日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ 渋谷ほかにて全国順次公開
posted by sakiko at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | スウェーデン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うさぎ追いし 山極勝三郎物語

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監督:近藤明男(『ふみ子の海』『エクレール・お菓子放浪記』)
出演:遠藤憲一、水野真紀、豊原功輔、岡部尚、高橋惠子、北大路欣也
横光克彦、緒方美穂、尾崎右宗、秋月成美、森日菜美、古今亭文菊、白川和子、三上寛

「癌が作れれば、癌は治せる」
その一念で、人工的に癌を発生させる実験を成功させ癌研究に生涯を捧げた山極勝三郎の物語。

江戸から明治への転換期。上田藩の下級武士の家系に生まれ育った山本勝三郎(遠藤憲一)は、16歳のとき、東京で町医者を開業する山極吉哉(横光克彦)の後継ぎとなるべく上京し、吉哉の娘・かね子(水野真紀)の婿養子に入る。郷里の親友、金子滋次郎(豊原功補)とともに東京帝国大学の医科に進学した勝三郎は、臨床医ではなく病理学の道へ進むことを決意する。32歳で東京大学教授に昇進し、3人の子にも恵まれた勝三郎だが、結核に見舞われてしまう。病を患いながらも、「癌刺激説」の証明をめざして、うさぎの耳にあらゆる手段で刺激を加え続け、人工癌が出来るかどうかの実験を続ける。

今年も日本人研究者がノーベル賞を受賞されました。山極勝三郎博士も受賞には至らなかったものの、数度にわたってノーベル賞候補に推薦されたことがあるそうです。まさに、日本が世界に誇る研究者のお一人だと、本作を観て知りました。
映画には、信州上田への深い郷土愛も描かれています。プロデューサーの永井正夫氏も上田のご出身。大腸癌を患ってがん研有明病院に入院された折に、がん研究会設立者の中に見つけた山極勝三郎博士が、自身と同じ上田の出身であることを後に知ります。山極勝三郎博士と親友の小河滋次郎氏が明治18年に設立した「郷友会」は、130年経った今も健在。私の同級生や知人にも上田高校出身の方がいて、郷友会の会報を何度かいただいたことがあります。誰しも故郷への思いは深いものですが、上田の方たちの郷土愛の強さいには格別のものがあるように感じます。(咲)


2016年/ビスタサイズ/カラー/DCP/111分
配給:新日本映画社
公式サイト:http://usagioishi.jp/
★2016年12月17日(土)より有楽町スバル座他全国ロードショー
(11月5日(土)よりTOHOシネマズ上田・長野グランドシネマズ他先行公開)
posted by sakiko at 14:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

フィッシュマンの涙   原題:突然変異 英題:Collective Invention

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監督・脚本:クォン・オグァン
エグゼクティブ・プロデューサー:イ・チャンドン
プロデューサー:キム・ウサン
出演:イ・グァンス、イ・チョニ、パク・ボヨン

パク・グ(イ・グァンス)は、大学を出て定職につけないままフリーターを続けていた。高報酬目当てで製薬会社の新薬のテストに参加し、副作用で上半身が魚になってしまう。
彼が魚人間として一躍有名になったのは、テレビ局の見習い記者サンウォン(イ・チョニ)が目にとめた「私の彼は魚人間」というネットの投稿がきっかけだった。サンウォンは書き込みをしたジン(パク・ボヨン)に会いに行く。一夜限りの関係を結んだパク・グが、魚人間になってしまい逃げ場を求めてジンのところにやって来たが、ジンは製薬会社に彼を売ってしまったという。製薬会社に忍び込み、魚人間の存在をスクープしたサンウォンは正式にテレビ会社に採用される。魚人間もまた時代の寵児として一世を風靡する。しかしそれも束の間、製薬会社の悪意の証言で世の中から葬られてしまう・・・

大学を出て、公務員を目指すもなかなか試験に受からないパク・グ、一流大学を出ていない為、やっと見つけた職場でも肩身の狭いサンウォン。日本よりさらに就職難で学歴重視の韓国社会の現状がひしひしと伝わってくる物語でした。
歴史大河ドラマ「トンイ」で愛敬のある宮廷楽師を演じていたイ・グァンス主演とのことで、楽しみにしていたのですが、ずっと顔は魚のままで素顔が観られませんでした。(一瞬素顔が出たのかも) 長身の彼が大きな魚の頭なので目立つことこの上なし。
見習い記者サンウォンを演じたイ・チョニは、ドラマ「オンリー・ユー」でハン・チェヨン演じるイタリア料理店見習いシェフに片思いするシェフ役や、ペ・ドゥナ主演ドラマ「グロリア」でナイトクラブの用心棒役で、暗い男のイメージが強かったのですが、本作では、三流大学出ながら真実を伝えたい記者を好演していました。

新薬開発といえば、私の同級生に製薬関係の仕事に就いている人がいて、やはり実験に参加することがあるそうで、危険度の高いほど報酬が高いとのこと。
新薬開発のための実験台というテーマは、アル・パチーノとアンソニー・ホプキンスに加えイ・ビョンホンも出演している『ブラック・ファイル 野心の代償』(2017年1月7日公開)でも取り上げられています。これまで治癒できなかった病のための新薬開発が、多くの人の勇気ある実検によって成されてきたことを再認識させられました。(咲)


2015/韓国/92分/カラー/シネスコ/ドルビー 5.1
配給:シンカ 
公式サイト:http://fishman-movie.jp
★2016年12月17日(土)よりシネマート新宿、HTC渋谷ほかロードショー
posted by sakiko at 13:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月10日

モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ

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監督:江崎慎平
脚本:岸本卓
キャラクターデザイン原案:岩元辰郎
モンスターデザイン原案:近藤雅之
キャラクターデザイン・総作画監督:金子志津枝
主題歌:ナオト・インティライミ「夢のありか」
声の出演:坂本真綾(焔レン・小学生)、村中知(神倶土春馬・小学生)、Lynn(水澤葵・小中学生)、木村珠莉(若葉皆実・小中学生)、水樹奈々(アーサー)、山寺宏一(ゲノム)、北大路欣也(石橋健太)

小学生の焔レンと春馬、葵、皆実3人のチームメイトは、街はずれの研究所でゲーム「モンスターストライク」の開発に協力している。レンの祖父と春馬の両親もそこで働いている。
研究所の地下でこの世にいるはずもないドラゴンを見つけた。レンの父親が話してくれた「赤いドラゴン」に違いない。レンたちは、どこからか現れた武器を持った男たちに襲われ、とてつもない陰謀に巻き込まれてしまった。ドラゴンを元の世界へ返してやろうと、追っ手をさけながら考古学者であるレンの父が失踪した場所へと向かう。チームワークの苦手なレンは仲間とぶつかりながら父の背中を追うように旅をしていく。

人気ゲームアプリ「モンスターストライク」の劇場用アニメーション。15年10月からyoutubeで配信されたアニメ(1話7分くらいと短い)50話が今も見られます。映画がお初でもストーリーは追っていけますので安心を。モンスターとの派手なバトルだけではなく、どの世代にも通じるレンと仲間との友情と冒険、レンと父との親子の情などが描かれています。
江崎慎平監督と脚本の岸本卓さんが『スタンド・バイ・ミー』と『グーニーズ』の2本を“精神的支柱”としたという記事を読んで、そうか〜と納得しました。レンたちが旅していく景色もきれいですが、ここは危険じゃ?と思ったT字路が一か所。実際にあるのかなぁ。事故必至だと思うけれど。(白)


2016年/日本/カラー/103分
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)mixi, lnc. All rights reserved.
http://anime-movie.monster-strike.com/
★2016年12月10日(土)より公開
posted by shiraishi at 18:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た(原題:Ants on a Shrimp)

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監督:モーリス・デッカーズ
撮影:ハンス・ボウマ
音楽:ニコラス・ジャー
出演:レネ・レゼピほかスタッフ

英国の月刊誌「レストラン」が選ぶ“世界ベストレストラン50”で7年連続ベストテン入り、しかも4度も第1位の座に輝いたのが、デンマーク・コペンハーゲンのレストラン“noma(ノーマ)”。2015年、カリスマシェフ、レネ・レゼピがデンマークの本店を休業し、東京のマンダリンホテルに期間限定(2015年1月㏨〜2月14日)で出店することになった。期間中提供できるのは2000席。6万円近い高価なメニューにも関わらず世界各地からの予約が殺到し一日で満席、6万2000人がウェイティングリストに名をつらね、2週間の期間延長が決定した。レネ・レゼピとスタッフは、その土地の食材のみを使うというコンセプトを貫き、日本各地へと食材探しに奔走する。開店までの彼らに密着したドキュメンタリー。

『ノーマ、世界を変える料理』(2015年作/2016年4月日本公開)で、3年連続首位にたったノーマが2位に落ち、再びトップに返り咲くまでのドキュメンタリーを見ました。レネ・レゼピの天才とカリスマぶりが強烈に記憶に残っています。本作は初めてスタッフ全員が海外にいくという気合の入った出店です。レシピ開発チームのスタッフたちが、慣れない日本でレネの高い要求にこたえるため日々寝るまも惜しんで苦心する様にこちらも緊張が高まりました。ようやくレネのOKが出てメニューが完成したのは開店5日前。鬼コーチと選手のようなやりとりが繰り広げられますが、誰よりも独創的なメニューを生み出すレネにスタッフが食いついていくさまに、内心声援を送っていました。
庶民には縁のなさそうなお値段で、一生口福にはあずかれそうもありませんが、レネの審美眼に叶った14〜16品のメニューはどれも美しく眼福でした。原題はチラシ画像のお料理。あ、蟻…!(白)

「ノーマ」という世界一のレストランというのも知らなかったし、その店が日本にやってきたということ自体も知らなかったのですが、この作品で知りました。グルメなんて、私には関係ないなと思いながら観ていたのですが、スタッフたちが日本全国各地へ食材探しに奔走する姿を見て興味を持ちました。
私も長野県で働いていた25年くらい前、山菜や木の実などを食材として採集しに行っていたのですが、その中で毎年秋に山へ採集しに行っていたのがサルナシでした。そのサルナシの実を、このノーマ日本が料理に使っていたのでびっくり。ミニキウイと言っていたのがそれです。(暁)


2016年/オランダ/カラー/ビスタ/92分
配給:彩プロ
(C)2015 BlazHoffski/Dahl TV. All Rights Reserved.
http://www.nomatokyo.ayapro.ne.jp/
★2016年12月10日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
posted by shiraishi at 14:19| Comment(0) | TrackBack(0) | オランダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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