2016年10月22日
PK ピーケイ 原題:PK
監督:ラージクマール・ヒラーニ(『きっと、うまくいく』)
出演:アーミル・カーン(『きっと、うまくいく』)、アニュシュカ・シャルマ(『命ある限り』)、スシャント・シン・ラージプート、サンジャイ・ダット、ボーマン・イラーニー
ラージャスターンの沙漠に着陸した宇宙船から降り立った裸の男。黄色いターバンの男に首から下げたメダルを盗られてしまう。メダルは宇宙船を呼ぶリモコン。これがないと自分の星に戻れない。途方に暮れる裸の男。
同日、ベルギーの水の都ブルージュ。「俳優アミターブ、父の詩を詠む」の会場にやってきたインドの留学生の女の子ジャグー。チケットは売り切れ。ダフ屋が高値で売りつけようとする。そこにやって来たパキスタンの青年サルファラーズと半分ずつ出しあってシェアすることにするが、まんまとインドの老人にチケットを買われてしまう。意気投合し、たちまち恋に落ちた二人。ヒンドゥーとイスラームという宗教の違いから、親に打診すれば反対されること間違いなし。同意を得ないで教会で結婚式を挙げてしまおうとするが、約束した日、教会でサルファラーズを待つジャグーに「家族の問題があって結婚できない」とのメッセージが届く。失意のジャグーは帰国し、テレビ局で働き始める。
ある日、ジャグーは地下鉄の中で「神様を探しています」のビラを配る風変わりな男を見かける。いろいろな宗教のシンボルを身に着けている。黄色いヘルメットを被っているのは、神様が自分を見つけやすいようにと言う。身の上話を聞いたジャグーは、そのPKと呼ばれる男を手助けしてメダルを見つけてくれる神様を探しはじめる。
さて、神様は見つかるのか? そして、無事メダルを取り戻してPKは故郷の星に帰ることができるのか・・・
宗教によって、良しとするもの、禁じているものが違うことを、PKという純粋無垢な宇宙人の目を通して愉快に描き出していきます。また、外見でその人の宗教を判断してしまうことに警鐘を鳴らしてくれます。「偽の神様は金を要求する」と、宗教を利用してお金を稼ぐ人たちがいることに苦言も呈しています。どんな神様でも信じる心が大切とPKは教えてくれます。
地球で親切にしてくれたジャグーにどうやら恋してしまったらしいPK。恋は実るでしょうか・・・ そして、ブルージュで恋に落ちた二人のその後は?
あちこち伏線がはってあって、なるほど〜とお楽しみがいっぱい。
PKがインドの人たちと言葉を交わせるようになるプロセスにも、思わず唸ります。
ジャグーを演じたアニュシュカ・シャルマ、そしてサルファラーズを演じたスシャント・シン・ラージプート、どちらもとても爽やかで、素敵。濃いインドの俳優さんたちを見てきた目に新鮮です。(咲)
なぜ宇宙人の彼がPKと呼ばれるようになったかは、アジア映画巡礼の松岡環さんの解説をどうぞ!
◆『PK』の公開を前に、ラージクマール・ヒラーニ監督が初来日
2016年7月28日、インド大使館で監督を迎えて記者会見&試写会が開かれました。
日本で大ヒットした『きっと、うまくいく』の監督来日に、大勢のファンの声援が飛びました。
監督の言葉から:
インドの映画学校で日本の映画に出会いました。『7人の侍』をはじめとして、黒澤明監督作品は見逃したものはないはずです。製作会社を作って「デンフィルム」と名付けたのですが、『どですかでん』から取った名前です。黒澤と出会って25年、今、初めて家族と日本に来ることができました。
息子が、日本で電話に出たときに最初に「もしもし」というのを、ハローの意味と聞いていて、日本に着いて空港で皆に「もしもし」と言ったのですが、皆が笑顔で迎えてくれました。礼節の国ですね。
この映画は、大切なメッセージを込めています。
神や宗教の見方を示しています。我々が神を見守る必要はない。神は自分で守れます。
人が皆、共存していくことができれば、平和になります。
山崎貴監督と女優の檀れいさんが、監督とスジャン・R・チノイ駐日インド大使への花束贈呈ゲストとして登壇。
上映前だったので、内容に触れないよう気を遣いながら、感動した思いを伝えてくださいました。
2014年/インド/153分/カラー/シネスコ
配給:REGENTS
公式サイト:http://pk-movie.jp
★2016年10月29日(土)新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開