2016年10月09日

GANTZ:O

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総監督:さとうけいいち
監督:川村泰
原作:奥浩哉
脚本:黒岩勉
音楽:池頼広
声の出演:小野大輔(加藤勝)、M・A・O(山咲杏)、郭智博(西丈一郎)、早見沙織(レイカ)、池田秀一(鈴木良一)

小学生の弟と二人暮らしの高校生加藤勝は、帰宅途中の地下鉄駅で事件に巻き込まれて死亡した…はずだったが、なぜか見知らぬ部屋の一室で目が覚める。そこには黒い球体と、黒いバトルスーツに身を固めた男女がいた。鈴木と名乗る中年の男の説明では、ここにいるのは死んだ者ばかり。球体は“ガンツ”と呼ばれていて、その表面に果たさなければならないミッションの文字が現れるので、みんなでそれをクリアするのだという。事態が少しも呑み込めない加藤は、一人残した弟が心配でならない。加藤たちのグループは大阪に転送され、いくらでも湧き出てくる日本の妖怪たちと戦うことになった。

ヤングジャンプ誌に連載されていた青年コミックが原作。大人気でテレビアニメ、実写版の映画も作られたそうですが、いずれも見ていなくて、試写で初体験。いやぁびっくりしました〜〜!!
男子高校生が、突如荒唐無稽な世界に放り込まれ、異形の敵との戦いを強いられるストーリー。本作は連載の中でも好評だった大阪篇を中心に描いています。コミックでは毎回違う敵とのバトルがありますが、ここで戦うのは日本の妖怪。すごく細かく描きこまれて気持ち悪いのなんの。しかし胸を熱くするチームプレイもあり、男の子の好きなボインのお姉さんも可愛い女の子も出てきて、見どころ満載です。
これはコミック(HPから試し読みができます)と佐藤信介監督の実写版『GANTZ』(2010)『GANTZ: PERFECT ANSWER』(2011)も観てみなくては。
英語吹き替え版が東京国際映画祭で一夜限りの上映!ヒロイン山咲杏役は河北麻友子が声を当てるそうです。(白)

2016年/日本/カラー//96分
配給: 東宝映像事業部
(C)奥浩哉/集英社・「GANTZ:O」製作委員会
http://gantzo.jp/
★2016年10月14日(金)よりロードショー! 劇場によりMX4D、4DX上映あり
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記憶の中のシベリア 祖父の想い出、ソウルからの手紙

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『祖父の日記帳と私のビデオノート』
監督・撮影・編集:久保田桂子
出演:久保田直人

1920年生まれの久保田直人さんは、20歳で徴兵され中国北部に赴いた。敗戦後は、シベリアのクラスノヤルスクの収容所で4年間の捕虜生活を送っている。1949年故郷に戻って以来、農業に従事。大学で映像を学んだ久保田監督は、2004年から祖父の直人さんのインタビュー撮影を始めた。

2013年/日本/カラー/デジタル/40分

『海へ 朴さんの手紙』
監督・撮影・編集:久保田桂子
出演:朴道興、山根みすえ、山根秋夫(写真のみ)

久保田監督はシベリアに抑留された人々の聞き取りをしていて、元日本兵の朴道興(パク・ドフン)さんに出会う。1924年生まれの朴さんは同年兵の山根秋夫さんと配属先の色丹島で出会い、意気投合する。シベリアの収容所で生き別れとなるまで3年間親友だった。
北朝鮮に帰国してから、広島に住んでいるはずの山根さんあてに手紙を出したが届かなかったという。久保田監督は手紙を1通預かり、そこに書かれた不完全な住所を頼りに、山根さん探しを始めた。ようやく訪ねあてるも山根さんは39歳で病死していた。

2016年/日本/カラー/デジタル/70分

1作目は久保田監督のおじい様の直人さんに焦点を当てています。大きくなった孫にカメラを通して見つめられる直人さんは、そう照れる風でもなく黙々と畑の手入れをしています。寡黙な人間の代わりに雄弁に語るのは遺された日記帳。畑仕事の覚書のようですが、几帳面に毎日記録されています。戦争の体験は家族にも語らない人が多いそうです。詳細は明らかにならなくても、こうして元気な姿を残せてよかったね、と思います。

1作目をきっかけに生まれた2作目。現在はソウルに一人住まいの朴さん、90を過ぎておられるのに肌つや良くお若い。70代といっても通ります。戦友の山根さんとの交流を今もはっきりと記憶していて、生き生きと熱く語るようすがほほえましいです。戦争中の日本人を憎むのでなく、会いたいと言ってくれる人がいるのは自分は無関係なのにちょっと嬉しいです。
山根さんの奥さんのみすえさんは、11年の結婚生活で山根さんが亡くなられた後、山根さんの実弟と再婚。こちらも鮮明な想い出話を披露してくださるのですが、まるで女子会の恋バナのようです。こんなに愛された山根秋夫さん、早く亡くなられたとはいえ、お幸せな方です。

本作は9月に開催された“あいち国際女性映画祭”フィルムコンペティションで 金のコノハズク賞(グランプリ)を受賞しました。まだ2作目とは思えないほど、編集もきちんとまとまっている作品です。
フレームワークが美しいのは絵も描かれる方だからでしょうか。(白)

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あいち国際女性映画際での久保田桂子監督

配給:スリーピン
http://siberia-memory.net/index.html
★2016年10月8日(土)〜10月21日(金)新宿K's cinemaにて珠玉の2作品一挙公開
posted by shiraishi at 18:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ある戦争(原題:Krigen)

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監督・脚本:トビアス・リンホルム
撮影:マウヌス・ノアンホフ・ヨンク
出演:ピルウ・アスベック(クラウス)、ツヴァ・ノヴォトニー(マリア)、ソーレン・マリン(マーティン弁護士)

デンマークから派遣された平和維持軍の部隊は、市民を守るためアフガニスタンの紛争地域で巡回を続けている。地雷に接触した兵士が両足を吹き飛ばされて殉死し、緊張の途切れない日々に疲弊してパニックに陥る者も現れる。隊長のクラウスは部下を落ち着かせるために、自分も一緒に巡回に出ることにした。故郷では妻マリアが3人の子どもを一人で育てながら自分を案じているのに、約束の電話ができないまま朝になった。
巡回中にタリバンからの攻撃を受け、部隊は窮地に陥った。敵の居場所が確認できないでいるうち次々と被弾していく。クラウスはここと思った地区への空撃を要請した。砲撃は止み命拾いをしたが、後日クラウスは軍規違反として強制帰国の処分を受ける。爆撃した地区で戦闘員ではない11人の民間人が亡くなったという。
突然の父の帰国に子どもたちは大喜びするが、法廷で有罪になれば懲役4年ほどになると聞き、クラウスとマリアは暗澹とする。

デンマークのトビアス・リンホルム監督、1977年生まれのまだ30代です。これまでに『光のほうへ』(2010年)『偽りなき者』(2012年)の脚本、『シージャック』では脚本・監督。どれも心にぐさっと来る真摯な作品です。
アフガンで部隊を率いる軍人が、猛攻撃にさらされ部下を守るために、空爆要請の決断をせまられます。戦争なら何でもあり、ではなくいろいろと軍規があるようです。民間人を死なせてしまうとこういう法廷に立たされるというのを、他の映画では観た覚えがありません(戦争映画を好んで選ばないせいもありますが)。
愛する妻子のいる優しい父親が、戦場では人間らしくあることができません。戦争は非情で、日常の感覚はなくなります。敵も人間である、という意識が残っていれば戦えないからでしょう。
自衛隊員を平和維持のために外国へ派遣する話も、いったん戦地に赴いたなら同じように命がけになるのではと気がかりです。身を挺して戦地で戦う人を送り出すのも、糾弾して裁くのも遠く離れて土埃ひとつかぶらずにいる側なのが、どうにも胸につかえます。観客に戦争とは、正義とはなんなのか、自分ならどうするのか、突きつけられる作品です。第88回アカデミー外国語映画賞にノミネートされました。(白)


2015年/デンマーク/カラー/ビスタ/115分
配給:トランスフォーマー
(C)2015 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
http://www.transformer.co.jp/m/arusensou/
★2016年10月8日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 16:48| Comment(0) | TrackBack(0) | デンマーク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする