2016年10月16日

奇蹟がくれた数式   原題:The Man Who Knew Infinity

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監督:マシュー・ブラウン
主演:デヴ・パテル(『スラムドッグ$ミリオネア』)、ジェレミー・アイアンズ、デヴィカ・ビセ、トビー・ジョーンズ、ドリティマン・チャタージー、アルンダティ・ナグ

1920年、32歳の若さでこの世を去ったインドの天才数学者ラマヌジャンの物語。
英国植民地時代のインド。大学を出ていないことから、インドの数学者たちに受け入れてもらえないラマヌジャン。研究成果をイギリス、ケンブリッジ大学に送る。才能に驚いた数学者ハーディ教授は、ラマヌジャンをイギリスに招聘する。母親は遠い異国に行くことを反対するが、新婚の妻に、すぐに呼び寄せると言い残してイギリスに旅立つ。1914年のことだ。
ハーディ教授の後押しで、研究の一つをロンドンの数学会の会報に発表し、歓喜するラマヌジャン。だが、ハーディ教授も彼の才能を認めながらも、彼の”直感“は否定する。
やがて、第一次世界大戦に英国が参戦したことが、ラマヌジャンの運命に影を落とす・・・

インドといえば、ゼロを発見した国。そして、二桁の掛け算を小さい頃から暗記している国。そんなインドで、数学者ラマヌジャンは、誰もがその名を知る有名人。ラマヌジャンの考え方は、いまだに世界の数学者たちに影響を与えているそうです。例えば、コンピューターのセキュリティに用いられる数学の分野にも応用されているのだとか。
天才数学魔術師と呼ばれるほどのラマヌジャンですが、戦争で野菜不足となったことが、菜食主義者の彼には打撃だったようです。愛妻をすぐに呼び寄せることができなかったことも、命を縮めたのではないでしょうか。
権威主義がはびこる中で、自身の研究成果をなんとか認めてもらおうとするラマヌジャンの姿に、なにごとも諦めてはいけないと勇気づけられました。(咲)


2016年/イギリス/英語/108分/スコープ/5.1ch
配給:KADOKAWA
公式サイト:http://kiseki-sushiki.jp
★2016年10月22日(土)より角川シネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、角川シネマ新宿他全国ロードショー
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2016年10月15日

われらが背きし者(原題:Our Kind of Traitor)

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監督:スザンナ・ホワイト
原作:ジョン・ル・カレ「われらが背きし者」(岩波書店刊)
脚本:ホセイン・アミニ
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
音楽:マーセロ・ザーボス
出演:ユアン・マクレガー(ペリー)、ステラン・スカルスガルド(ディマ)、ダミアン・ルイス(ヘクター)、ナオミ・ハリス(ゲイル)

大学教授のペリーと妻のゲイルはモロッコに休暇にやってきた。ぎくしゃくしてきた夫婦関係の修復をはかるつもりだったが悪化するばかり。たまたま入ったバーで、ペリーはロシア人のディマと知り合い、ディマは息子の誕生日にペリー夫妻を招待する。ディマはロシアンマフィアの一員で、マネーロンダリングの担当者だった。秘密情報の入ったUSBを預けられて困惑するペリーだったが、家族の命がかかっていると聞いて断れない。ペリーとゲイルは、その日から思いがけない大きな渦に巻き込まれることになってしまった。

スパイ小説で有名なジョン・ル・カレ原作。元イギリス秘密情報部につとめていた経歴を生かした作品群を送り出していて、最近では『誰よりも狙われた男』 (2013)『裏切りのサーカス』(2011)が映画化されています。本作は普通の人があれよあれよというまに、危険な犯罪に関わってしまう巻き込まれ型サスペンス。
ユアン・マクレガーはスター・ウォーズのシリーズで一躍世界中で有名になりましたが、あんまりスター風を吹かせるような感じはなくて、どこか気弱な雰囲気があります。頑張っているのにいまいち冴えなくてという役柄が似合い、これもそちら。冒頭のペリーは弁護士として活躍している妻に去られそうなのですが、命がけの事件に巻き込まれたおかげで男っぷりが上がります。
ロシアンマフィア役のステラン・スカルスガルドはスウェーデンの俳優ですが、今やどこの国の映画でも見かけます。子沢山で息子4人が俳優だそうです。トム・ハンクスが出てくると「これで大丈夫&事件は解決」と思えるのと逆に、この人だと「これで終わらない&もっと何か起きる!」と思ってしまいます。監督が女性でした。『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』(2010)で長編映画デビューしたスザンナ・ホワイト監督。(白)


2016年/イギリス、フランス/カラー/シネスコ/109分
配給:ファントム・フィルム
(C)STUDIOCANAL S.A.2015
http://wareragasomukishimono-movie.jp/
★2016年10月21日(金)より、TOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー
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ダゲレオタイプの女(原題:La femme de la plaque argentique)

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監督・脚本:黒沢清
撮影:アレクシ・カヴィルシーヌ
音楽:グレゴワール・エッツェル
出演:タハール・ラヒム(ジャン)、コンスタンス・ルソー(マリー)、オリヴィエ・グルメ(ステファン)、マチュー・アマルリック(ヴァンサン)、マリック・ジディ(トマ)

職探しをしていたジャンは、経験はないけれども写真家の助手として働くことになった。訪ねたパリ郊外の古い屋敷には気難しい写真家のステファンと、娘のマリーが住んでいた。ステファンの写真は最古の撮影方法である“ダゲレオタイプ”と呼ばれるものだった。長い露光時間をかけて銀板に直接写し込むもので、ネガはなく世界に一枚しか存在しない。妻ドゥニーズが長くモデルを務めていたが亡くなり、娘のマリーが後をついでいる。撮影の間中は動かないよう体を拘束器具で固定しなければならない。狂気とも見える父の情熱を理解しながらも、マリーは自分の人生を夢見ていた。60分、70分と長くなる拘束に耐えるマリーを見つめながら、ジャンはしだいに惹かれていく。

黒沢清監督が初めて海外で制作しオール外国人キャスト、フランス語の作品。昔の写真撮影は長い間動かないようにしなくてははいけない、と聞きかじってはいたけれど本当にこんなに長いとは!ダゲレオタイプに固執するステファンは、妻と娘を愛するが故に銀板に永遠に残したかったと言いますが、自分の執着でしょう。相手の苦痛も考えずに押し付ける愛情は勘弁してほしいです。
子どもの頃からじっとしているのが苦手な筆者には拷問としか思えず、何かわからないモノより拘束器具のほうが恐怖。自分がモデルになって体感したらどう?動かない静物や景色でも撮ってなさいよ!と映画を観ながら憤慨。ステファン役のオリヴィエ・グルメの名演ということですね。はかなげなコンスタンス・ルソーの青いドレス姿は素敵でした。もう一人の主役ともいうべきなのが、物語の舞台となる古い洋館。ジャンの目線で見るドアや階段、部屋の壁やカーテンの一つ一つに時間が積み重なり、語られない物語が潜んでいるようでした。(白)


『ダゲレオタイプの女』メイン画像 縮小.jpg
(C)FILM-IN-EVOLUTION - LES PRODUCTIONS BALTHAZAR - FRAKAS PRODUCTIONS – LFDLPA Japan Film Partners - ARTE France Cinéma

黒沢清監督が主役に選んだタハール・ラヒムは、アルジェリア移民の両親のもとに生まれたフランスの俳優。『預言者』(ジャック・オディアール監督)で、コルシカマフィアが牛耳る刑務所の中で、人望を集めていく青年を颯爽と演じているのを観て、ぐっと惹かれました。その後、『パリ、ただよう花』(ロウ・イエ監督)、『ある過去の行方』(アスガル・ファルハディ監督)、『消えた声が、その名を呼ぶ』(ファティ・アキン監督)と、私のお気に入りの監督たちの作品に出演。ついに、日本の監督に起用され、来日の運びとなりました。やっと会える!と、飛び上がって喜んだのですが、取材日に私は福岡へ・・・  
お会いする夢は叶いませんでしたが、一つだけ宣伝さんに質問を託しました。真摯な回答をいただきました。

Q: これまで、フランスの監督だけでなく、ロウ・イエ監督、アスガル・ファルハディ監督、ファティ・アキン監督、そして今回は黒沢清監督と、さまざまな国の名だたる監督に起用された理由を、ご自身、どのように考えていますか?また、それぞれの監督の演出と、今回の黒沢清監督の演出方法で、きわだって違いを感じた点はありますか?

タハール・ラヒム:比較はしにくいですが、『預言者』のジャック・オディアール監督は、瞬間的に役者の感情面に突っ込んでくる感じがある一方、黒沢監督は物静かに演出する方だと思いました。彼の演出は特徴的で感情ではなく動きで作ります。まるで一枚一枚の絵のようでした。カットとビジョンの構成の仕方が細かくて正確。特に光の使い方がさすが巨匠だと思いました。
登場人物の感情や動きを考えて演出しているんです。例えば、枯れ葉が光の中でどのように在るから、人がどう動くべきなのか、を考え、そこに感情を表現している。まるで光を操るコンダクターのようでした。
『ダゲレオタイプの女』の演出における一番の発見は、黒沢監督の人間性かもしれません。親切で物腰が柔らかく、とてもつつましい方でした。そして、彼ほど、役者を自由にさせてくれる監督はいないと思います。しかも、守られた空間で自由を与えてくれるのです。言葉よりも監督はどう動くべきかについて、細かな指示をしてくれました。各シーンを組み立てるという大きな考えの中で動かしているようでした。
ロウ・イエ監督の現場もかなり自由でしたが、フィーリングを大切にする監督なので、どちらかというと不安定ななかでの自由でした。それに対して黒沢監督は描きたいものが明確にあるので安心して役に没頭することができたのです。とても居心地の良い現場でしたね。世界にひとつしかない現場だったと思います。しかし、外国の監督と仕事をするのは楽しいですね。どのように笑うのか、泣くのか、未知の発見があります。外国の監督たちから声をかけていただけることはとても光栄なことだと思います。

☆ちなみに、私が一番好きな出演作は、2015年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映された『サンタ・クロース』(フランス、アレクサンドレ・コフレ監督)。サンタさんの格好で屋根から泥棒に入るタハール・ラヒムの素敵なこと! ぜひ公開してほしい一作です。(咲)


2016年/フランス、ベルギー、日本/カラー/シネスコ/131分
配給:ビターズ・エンド
(C)FILM-IN-EVOLUTION - LES PRODUCTIONS BALTHAZAR - FRAKAS PRODUCTIONS - LFDLPA Japan Film Partners - ARTE France Cinema
http://www.bitters.co.jp/dagereo/
★2016年10月15日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国ロードショー!
posted by shiraishi at 14:28| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハッピーログイン(英語題:Like for Likes)


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監督:パク・ヒョンジン
脚本:ユ・ヨンア、パク・ヒョンジン
出演:イ・ミヨン(チョ・ギョンア)、チェ・ジウ(ハム・ジュラン)、キム・ジュヒョク(チョン・ソンチャン)、ユ・アイン(ノ・ジヌ)、カン・ハヌル(イ・スホ)、イ・ソム(チャン・ナヨン)

チョ・ギョンアは気難しいと評判の脚本家。新作ドラマの主演俳優がなかなか決まらず、プロデューサーは兵役から戻ったばかりの人気スター、ノ・ジヌに打診する。彼は新人のころギョンアの作品でブレイク、公にできない関わりもあった。ハム・ジュランは独身アラフォーのキャビンアテンダント。仕事一筋でここまできて、不動産に貯金をつぎ込んだが、詐欺にあって元も子もなくしてしまう。そのマンションを契約したチョン・ソンチャンは、結婚相手に逃げられ一人で住むことになった。相手をなくしたソンチャンに、家と財産をなくしたジュランは同居を頼み込む。
草食系で恋愛経験のないイ・スホ。実は常にヒットチャートに登る天才作曲家、ソンチャンのレストランの常連客でもある。そこで出会ったチャン・ナヨンは、ギョンアの作品を担当する新米プロデューサーだった。仕事はまだまだながら恋愛経験豊富なナヨンは、スホに一目ぼれしてアタック開始。しかし奥手なスホは思ったように反応してくれず、空振りばかり。

年の差、アラフォー、ベテランと奥手という3組のカップルの出会いといつしか落ちる恋の行方を描いたラブコメディ。スマホが必需品の今、男女の出会いも進展もSNSが大きな役割を果たしています。こまめにアップする画像や近況、ラインで繋がり親密さを確認する男女などなど、初級者と上級者のテクニックの違いを見せ、ぼそっとつぶやく本音とのズレも笑いを生み出していました。
ドラマ「冬のソナタ」で日本での人気を確立したチェ・ジウ、映画では久しぶりです。『ビューティー・インサイド』(2015)のキム・ジュヒョクは、昨年ソン・イェジンとの共演作もあるようですが日本未公開。
『王の運命 歴史を変えた八日間』(2016)、『ベテラン』(2015)など公開が続いたユ・アインが『ある会社員』(2012)のイ・ミヨンに思いを寄せる若いスター役。毎回違う表情を見せるいい役者さんになってきました。『二十歳』(2015)のカン・ハヌル、『愛のタリオ』(2014)のイ・ソムの若いカップルのすれ違いも可愛いです。(白)


中年カップルや、かなり年下の男の子との恋に、なんだか励まされました。(って、もうそんな年も、とっくに越えてますが・・・)
6人それぞれが、役柄に成りきっていて見事でしたが、中でも嬉しかったのがキム・ジュヒョクさんの出演! ドラマ「プラハの恋人」で、チョン・ドヨン演じる大統領の娘の恋人役で、爽やかな刑事を演じていた彼も、バラエティー番組「1泊2日」での試練を経て、すっかり落ち着いた中年男に。東京国際映画祭で上映されるホン・サンス監督の新作『あなた自身とあなたのこと』にも出演。これから、ますます活躍が期待できそう!  (咲)


2016年/韓国/カラー/ビスタ/123分
配給:CJ Entertainment Japan
(C)2016 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved.
http://happylogin.jp/
★2016年10月15日(土)新宿バルト9、T・ジョイPRINCE品川ほか限定ロードショー
posted by shiraishi at 13:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第 6 回日本学生映画祭

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■日時: 2016 年 11 月 3 日(木・祝) 14:25 開場 14:45開演 / 17:50 閉演
■場所: TOHO シネマズ六本木ヒルズ SCREEN1
■主催: 日本学生映画祭企画委員会
■提携: 東京国際映画祭、東京学生映画祭、TOHO シネマズ学生映画祭、京都国際学生映画祭
■チケット:大人/1000 円 学生/500 円
10月15日(土)正午より、東京国際映画祭のHPにて発売開始
■ゲスト: 大友啓史(映画監督)
http://www.nitigakusai.info/
c 2016 Japan Student Film Festival Executive Committee

=上映作品=
第 18 回 京都国際学生映画祭 実写部門グランプリ
『The Bad Old Us』 Lily Erlinger
👑第 18 回 京都国際学生映画祭 アニメーション部門グランプリ
『その家の名前』 坂上直
👑第 6 回 TOHO シネマズ学生映画祭 ショートフィルム部門グランプリ
『トイレハザード〜一緒に食べよ〜』 酒井日花
👑第 6 回 TOHO シネマズ学生映画祭 ショートアニメーション部門グランプリ
👑第 28 回 東京学生映画祭 アニメーション部門グランプリ
『あたしだけをみて』 見里朝希
👑第 28 回 東京学生映画祭 実写部門グランプリ
『お姉ちゃんは鯨』 村上由季
posted by shiraishi at 10:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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