2016年10月23日

戦場のメロディ  原題:오빠생각(兄思い)

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監督:イ・ハン (『優しい嘘』『ワンドゥギ』)
出演:イム・シワン(『弁護人』「未生 -ミセン-」
)、コ・アソン(『スノーピアサー』)、イ・ジュニュク、パク・スヨン、イ・ヒジュン(『海にかかる霧』

1950年6月に勃発した朝鮮戦争。ハン・サンヨル少尉は、家族を失い、最前線で戦友の死を間近で経験し、1952年、失意のうちに釜山に転属になる。任務は軍部が建設した孤児院の管理。孤児院の若き女性院長パク・ジュミは、戦争孤児たちが“カギ爪の男”カルゴリに意のままに働かされていることに心を痛めていた。大学で音楽を専攻していたサンヨルは、音楽を通して戦争孤児たちの心を癒そうと、「ソルリン児童合唱団」を結成する。選考会を経て、約30人の孤児たちが合唱団のメンバーとなり、サンヨルの指導のもと、米軍司令部幹部の前でお披露目をするまでになる。子どもたちの歌声は評判を呼び、上官から前線での慰問公演を命じられる。サンヨルは子どもたちを危険にさらすことはできないと合唱団の解散を発表する・・・

合唱団を解散させないで〜とせがむ子どもたち。戦争で親を失った子どもたちにとって、合唱団は今や大事な家族。自分たちの歌声が前線の兵士たちの慰めになればという思いに、じ〜んとさせられました。
本作は、朝鮮戦争中は戦場や軍の病院などの慰問公演を行い、1953年7月27日の休戦後はアメリカ、日本、東南アジア、ヨーロッパに巡演した実在の児童合唱団をモデルにした物語。
サンヨル少尉を演じたイム・シワンは、K−POPアイドルグループ「ZE:A」のボーカル。なのですが、私は歌っている姿は見たことがなく、もっぱらドラマで静かに光るシワン君を見てきました。長身の俳優が多い韓国ドラマ界の中で、170cmちょっとと小柄。
韓国で社会現象を巻き起こしたというドラマ「ミセン-未生-」(2014年)での真面目な見習い新入社員がはまり役。初めてシワン君を認識したのは爆笑ラブコメの「スタンバイ」だったけど、そこでも彼一人、真面目なキャラでした。生き別れになった3兄弟を描いた「トライアングル」では、カジノ王の養子になり後継者として育てられた、ちょっと生意気な若造を演じていて、こんな役も出来ると驚きました。映画は、ソン・ガンホの『弁護人』での存在感ある脇役を経て、本作で初主演。これからが楽しみな俳優です。(咲)


2015年/韓国/124分/カラー
配給:ハーク
公式サイト:http://senjo-melody.info/
★2016年10月29日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
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2016年10月22日

PK ピーケイ  原題:PK

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監督:ラージクマール・ヒラーニ(『きっと、うまくいく』)
出演:アーミル・カーン(『きっと、うまくいく』)、アニュシュカ・シャルマ(『命ある限り』)、スシャント・シン・ラージプート、サンジャイ・ダット、ボーマン・イラーニー

ラージャスターンの沙漠に着陸した宇宙船から降り立った裸の男。黄色いターバンの男に首から下げたメダルを盗られてしまう。メダルは宇宙船を呼ぶリモコン。これがないと自分の星に戻れない。途方に暮れる裸の男。
同日、ベルギーの水の都ブルージュ。「俳優アミターブ、父の詩を詠む」の会場にやってきたインドの留学生の女の子ジャグー。チケットは売り切れ。ダフ屋が高値で売りつけようとする。そこにやって来たパキスタンの青年サルファラーズと半分ずつ出しあってシェアすることにするが、まんまとインドの老人にチケットを買われてしまう。意気投合し、たちまち恋に落ちた二人。ヒンドゥーとイスラームという宗教の違いから、親に打診すれば反対されること間違いなし。同意を得ないで教会で結婚式を挙げてしまおうとするが、約束した日、教会でサルファラーズを待つジャグーに「家族の問題があって結婚できない」とのメッセージが届く。失意のジャグーは帰国し、テレビ局で働き始める。
ある日、ジャグーは地下鉄の中で「神様を探しています」のビラを配る風変わりな男を見かける。いろいろな宗教のシンボルを身に着けている。黄色いヘルメットを被っているのは、神様が自分を見つけやすいようにと言う。身の上話を聞いたジャグーは、そのPKと呼ばれる男を手助けしてメダルを見つけてくれる神様を探しはじめる。
さて、神様は見つかるのか? そして、無事メダルを取り戻してPKは故郷の星に帰ることができるのか・・・

宗教によって、良しとするもの、禁じているものが違うことを、PKという純粋無垢な宇宙人の目を通して愉快に描き出していきます。また、外見でその人の宗教を判断してしまうことに警鐘を鳴らしてくれます。「偽の神様は金を要求する」と、宗教を利用してお金を稼ぐ人たちがいることに苦言も呈しています。どんな神様でも信じる心が大切とPKは教えてくれます。
地球で親切にしてくれたジャグーにどうやら恋してしまったらしいPK。恋は実るでしょうか・・・ そして、ブルージュで恋に落ちた二人のその後は?
あちこち伏線がはってあって、なるほど〜とお楽しみがいっぱい。
PKがインドの人たちと言葉を交わせるようになるプロセスにも、思わず唸ります。
ジャグーを演じたアニュシュカ・シャルマ、そしてサルファラーズを演じたスシャント・シン・ラージプート、どちらもとても爽やかで、素敵。濃いインドの俳優さんたちを見てきた目に新鮮です。(咲)


なぜ宇宙人の彼がPKと呼ばれるようになったかは、アジア映画巡礼の松岡環さんの解説をどうぞ!


◆『PK』の公開を前に、ラージクマール・ヒラーニ監督が初来日

2016年7月28日、インド大使館で監督を迎えて記者会見&試写会が開かれました。
日本で大ヒットした『きっと、うまくいく』の監督来日に、大勢のファンの声援が飛びました。

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監督の言葉から:
インドの映画学校で日本の映画に出会いました。『7人の侍』をはじめとして、黒澤明監督作品は見逃したものはないはずです。製作会社を作って「デンフィルム」と名付けたのですが、『どですかでん』から取った名前です。黒澤と出会って25年、今、初めて家族と日本に来ることができました。

息子が、日本で電話に出たときに最初に「もしもし」というのを、ハローの意味と聞いていて、日本に着いて空港で皆に「もしもし」と言ったのですが、皆が笑顔で迎えてくれました。礼節の国ですね。

この映画は、大切なメッセージを込めています。
神や宗教の見方を示しています。我々が神を見守る必要はない。神は自分で守れます。
人が皆、共存していくことができれば、平和になります。

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山崎貴監督と女優の檀れいさんが、監督とスジャン・R・チノイ駐日インド大使への花束贈呈ゲストとして登壇。
上映前だったので、内容に触れないよう気を遣いながら、感動した思いを伝えてくださいました。

2014年/インド/153分/カラー/シネスコ
配給:REGENTS
公式サイト:http://pk-movie.jp
★2016年10月29日(土)新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
posted by sakiko at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月17日

ドイツ映画祭2016 HORIZONTE

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10月15日から19日まで東京のTOHOシネマズ六本木ヒルズで、“ドイツ映画祭2016 HORIZONTE”が開催されています。
詳細は東京ドイツ文化センターへ
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/sta/tok.html

ドリス・デリエ監督、桃井かおり主演の話題作『フクシマ・モナムール』や、日本でも一般公開される『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』をはじめ、若手監督たち(女性監督が多いです!)がドイツ社会の現代の問題に取り組んだ素敵な作品が公開されます。15日には記者会見が開催されました、詳しくは次号のシネマジャーナルでお伝えいたします。(香)
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posted by shiraishi at 01:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月16日

高江ー森が泣いている

藤本幸久 影山あさ子 共同監督作品
2016年9月10日完成/64分
撮影 : 栗原良介 小田切瑞穂 藤本幸久 影山あさ子
編集 : 栗原良介
ナレーション : 影山あさ子
音楽 : 海勢頭豊「喜瀬武原」
製作・著作 : 森の映画社
配給 : 影山事務所

高江を今、ぜひ映画で見て欲しい。

ここ数年、辺野古を中心に沖縄を撮り続け『ラブ沖縄@辺野古・高江・普天間』(2012年)や『圧殺の海』(2015年)、『圧殺の海 第2章「辺野古」』(2016年)などの作品を発表し続けてきた影山あさ子監督から最新作の緊急公開の案内をいただきました。
影山あさ子監督からのメールを下記に記します。
『圧殺の海−沖縄・辺野古』をまとめた後7月10日から1ヶ月、私たち森の映画社の撮影スタッフは、高江で起きていることに付き合い、撮影を続けてきた。今、高江で起きていることを全国の人たちに伝えなければならないと、急遽1本の記録映画にまとめることにした。
今、高江で起きていることは、これから日本全国で起きることの序章なのかもしれない。500名の機動隊導入も「緊急事態条項」を先取りするかのようだ。力ずくで沖縄の民意を圧殺しようとしている安倍政権、抵抗を続ける県民たち。 高江を今、ぜひ映画で見て欲しい。

左 影山あさ子監督 右 藤本幸久監督 _R.jpg
右 藤本幸久監督 左 影山あさ子監督
2015.4.20『圧殺の海−沖縄・辺野古』上映時

映画公開情報
◎東京・ポレポレ東中野 映画「高江-森が泣いている」
10/15(土)より毎日18:00〜
http://www.mmjp.or.jp/pole2/
◎沖縄・桜坂劇場 10/15(土)より
http://www.sakura-zaka.com/movie/1610/1610_takae.html
◎愛知・名古屋シネマテーク 10/29(土)より
http://cineaste.jp/
トーク、自主上映などの情報を後のほうに記しました

森の映画社HP記事より
7月10日の参議院選挙の翌朝、数百名の機動隊に守られて、工事用資材の搬入が始まった。7月22日早朝から、警察・機動隊が県道を10時間にわたり封鎖。機動隊の壁を作り、市民と車両を力ずくで排除、抗議行動の拠点となっていたテントを破壊した。沖縄県警、東京の警視庁、千葉県警、神奈川県警、愛知県警、大阪府警、福岡県警……全国から動員された500名の機動隊による激しい暴力。この日、3人が救急搬送された。
高江は今、戒厳令状態だ。留まり続ける数百名の機動隊による排除が繰り返され、県道を封鎖し、毎日、トラック10台分の砂利が運び込まれている。工事を少しでも遅らせようと、市民の阻止行動も続いている。
森の映画社HP
http://america-banzai.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html

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『笹の墓標』(2013年)、『One Shot One Kill』(2011年)、『アメリカ−戦争する国の人びと』(2009年)、『Marines Go Home 2008-辺野古・梅香里・矢臼別-』(2008年)など、一貫して戦争に振り回された人々を撮影してきた藤本幸久監督と影山あさ子監督。
2016年7月10日の参議院選挙。沖縄では辺野古新基地に反対する伊波洋一氏が現職大臣を破って勝利したのに、その翌朝、機動隊に守られて、米軍北部訓練場へのヘリパッド建設資材の搬入が始まった。そのニュースを聞き、その日から高江へ行き、約1ヶ月撮影を続けたという。今の高江は戒厳令状態ということを知らせるため、急ぎ編集し緊急公開した。ぜひ高江の今の状態を見てほしい。(暁)


詳細な上映情報
◎東京・ポレポレ東中野 映画「高江-森が泣いている」
10/15(土)より毎日18:00〜
http://www.mmjp.or.jp/pole2/
トーク情報
*第1週は、上映後、毎日、藤本監督とゲストのトークあり。
10/15(土) 佐々木弘文さん(高江の現地阻止行動リーダー)
10/16(日) 金平茂紀さん(TBS報道特集キャスター)
10/17(月) 伊波洋一さん(参議院議員)
10/18(火) 辛淑玉さん(人材育成コンサルタント)
10/19(水) 小森陽一さん(東京大学教授・9条の会事務局長)
10/20(木) 高江現場報告/古賀加奈子(ゆんたく高江)

◎沖縄・桜坂劇場 映画「高江-森が泣いている」
10/15(土)より
http://www.sakura-zaka.com/movie/1610/1610_takae.html

◎神戸・元町映画館 映画「辺野古」
10/15(土)より *16日 影山監督トークあり
http://www.motoei.com/index.html
10/16(日)「高江」上映も
http://shiminshakai.net/post/1791

◎愛知・名古屋シネマテーク 映画「高江-森が泣いている」
10/29(土)より *29日(土)、30日(日) 監督舞台挨拶
http://cineaste.jp/

*映画「高江‐森が泣いている」は上映権付DVDを普及しています。映画とDVDの詳細は、以下からご覧ください。
http://america-banzai.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html
(すでに、各地で上記以外の自主上映も始まっています。ぜひ、皆さんの周りでも上映会を)



posted by akemi at 20:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アッバス・キアロスタミ監督追悼 「キアロスタミ全仕事」 および東京国際映画祭での特別上映

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去る7月4日に76歳でご逝去されたアッバス・キアロスタミ監督を偲んで、ご縁の深かったユーロスペースさんで、追悼上映第2弾「キアロスタミ全仕事」が開催されます。
また、10月25日から開催される東京国際映画祭でも、追悼上映が行われます。
イランが世界に誇る巨匠の軌跡を、ぜひこの機会にご覧ください。

◎キアロスタミ全仕事

http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000136

期間:10月19日(水)〜27日(木)
主催:ユーロスペース
会場:ユーロスペース
渋谷区円山町1‐5 KINOHAUS 3F
03-3461-0211
http://www.eurospace.co.jp/access/

◆上映作品
◇キアロスタミ監督作品  14本
◇キアロスタミに関するドキュメンタリー作品  3本
◇キアロスタミ脚本作品 2本
◇短編作品 2本
※上映作品のタイトルおよび情報はユーロスペースのサイトで確認ください。

◆写真家としてのキアロスタミ
キアロスタミ監督は写真家としても一流の腕前をもち、写真集を出版し、日本でも3度個展を開催しました。本特集上映期間中、劇場ロビーにてキアロスタミ監督の写真の展示を行います。

◆詩人としてのキアロスタミ 
キアロスタミ監督はまた、多くの詩を残したことでも知られています。本特集上映にご来場のお客様には、選りすぐりの数編を日本語に訳したポストカードをプレゼントいたします。


◎東京国際映画祭2016 での、追悼上映


「アッバス・キアロスタミ監督追悼」として、ワールド・フォーカス部門で、
下記2本が特別上映されます。 (2本同時に上映)
『キアロスタミとの76分15秒』
http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=147
『Take Me Home』 キアロスタミ最後の短編
http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=325


ユーロスペースさんが桜坂にあった頃、1993年に観た『友だちのうちはどこ?』がキアロスタミ監督作品との最初の出会いでした。
その後、監督が来日された折に、数回、立ち話をしたことはあるのですが、とうとうインタビューをすることは叶いませんでした。恐れ多くて遠慮していたということもあります。
印象深いのは、東京藝術大学での講演会。藝術を専攻する学生さんたちの対話は、とても嬉しそうでした。
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2010年の東京フィルメックスで、『トスカーナの贋作』上映後、明るくなったらキアロスタミ監督が舞台下に立っていらしたのも懐かしいです。和やかなQ&Aでした。
最後にお会いしたのは、ユーロスペースや映画美学校の入っているビルの1階。カフェの表の席で、ショーレ・ゴルパリアンさんと打合せをされているのに遭遇。日本での撮影準備をされている頃のことです。ほんの少し言葉を交わせたのが思い出です。
手術後は、中国に撮影に行かれる予定だったとのこと、まだまだご活躍していただきたかったと残念です。ご冥福をお祈りするばかりです。(咲)
posted by sakiko at 11:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする