2016年08月05日
五島のトラさん
監督:大浦勝
プロデューサー:城谷英知
テーマ曲:さだまさし「案山子」
ナレーション:松平健
長崎県五島に住むトラさんこと犬塚虎夫さんは、同級生だった益代さんと結婚して7人(3男4女)の子どもに恵まれた。製麺業を営み、家族総出で名物の「五島うどん」と「天然塩」を作っている。子どもたちも立派な働き手。早朝5時から順に起き出してタイムカードを押し、それぞれ1時間ほどうどん作りを手伝ってから学校に行く。年齢と手伝った時間に応じて賃金=お小遣いが支払われる。子どもたちが成長し、進学、就職、結婚して巣立つ様子を22年間にわたって追い続けたドキュメンタリー。
テレビ長崎のディレクターだった大浦勝監督は、トラさん夫妻がまだ若々しく、子どもたちが小さいときから取材してきました。これまでテレビで放映され、ドラマ化もされましたが大浦監督が定年を迎えるので、これを機に映画としてまとめようと思われたのだそうです(試写室でのご挨拶より)。
トラさんは確固たる信念で子どもたちに家業を分担させ、自分の仕事に責任を持たせています。どんなに小さくても、親の信頼にこたえて手伝う姿がほほえましいです。ふつうのサラリーマン家庭ではできないことで、少子化が進んだ現在ではますます不可能でしょう。子どものできることでも、親が手を出してしまいがちですから。かつてどこでも見られた家族の懐かしい風景がここにありました。
年頃になって反発したり、全く違う仕事についたりするものの、大きくなった子どもたちは年取った両親を気遣って顔を出します。めっぽうお酒に弱くなり涙もろくなっているトラさん、親孝行な子どもたちにこちらももらい泣きしてしまいました。ご苦労も多かったでしょうが、豊かな人生だと思いました。(白)
長男・拓郎、長女・こころ、次女・はなえ、三女・さくら、四女・こはる、次男・竜之介、三男・世文(せぶん)。トラさんが付けた子どもたちの名前が素敵です。7人それぞれが自分の道を見つけていく姿が見られるのも、22年追ってきたからこその魅力。
トラさんは、32歳のときに、自宅前に工場を建ててうどん作りを始めます。五島うどんは、遣唐使の時代に大陸から伝わったといわれる由緒あるもの。トラさんは、さらに、天然塩の製造を県内でいち早く始めました。廃屋になっていた船小屋を利用しての塩作り。お金をかけずアイディアでどんどんやってしまうところがすごいです。手作りの天然塩を使ったうどんの味は格別でしょう。
「俺が死ぬまで撮っていいよ」と、撮り始めるときに承諾したトラさん。大浦監督は、トラさんと愛する奥さま、そして二人の宝物である子どもたちの姿をしっかりと追っています。とても愛おしい一作。(咲)
★トラさん一家に会いに行こう!
8月6日(土) 、ポレポレ東中野で初日舞台挨拶
12:20の回上映後 および 14:50の回上映後
トラさん家族と監督によるトークセッション
司会進行:フジテレビ新人アナウンサー 永尾 亜子(新上五島町出身)
2016年/日本/カラー/114分
(C)テレビ長崎
配給:テレビ長崎
http://www.ktn.co.jp/torasan/
★ 2016年8月6日(土)より東京・ポレポレ東中野にてロードショーほか全国順次公開