2016年04月17日

花開くコリア・アニメーション2016 東京会場

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今年で開催 9 回目を迎える、花開くコリア・アニメーション 2016
韓国唯一のインディーズ・アニメーション映画祭「インディ・アニフェスト」の最新上映作から、短編 25 本を「懸命に生きる」「色彩の中の秘密」「あなたは遠くに」の 3 つのテーマでお届けします。「懸命に生きる」は、昨年インディ・アニフェストに参加した評論家・土居伸彰氏セレクトによる、スペシャル・プログラムです。さらに、アン・ジェフン監督の長編オムニバス作品『そばの花、運のいい日、そして春春』を、日本初上映します! 上映作『Afternoon Class』で、インディ・アニフェスト 2015 学生優秀賞を受賞したオ・ソロ監督と、土居伸彰氏を迎えてのゲストトークも開催します。
*全作品日本語字幕あり

■「花開くコリア・アニメーション 2016」東京上映
日程:4 月 23 日(土)〜4 月 24 日(日)2 日間
会場:アップリンク・ファクトリー(東京都渋谷区)
料金:1プログラム(トーク付きの回も含む)1,200 円 学生 1,000 円 3 回券 3,300 円 パスポート 4,000 円
*トーク付きの回のみ UPLINK ホームページにて予約可能 http://www.uplink.co.jp
■ゲストトーク
オ・ソロ(『Afternoon Class』監督) パネリスト:土居伸彰(ニューディアー代表)
日時:4 月 23 日(土)18 時 25 分〜 土居セレクション上映後
*日本語通訳あり

主催:韓国インディペント・アニメーション協会(KIAFA) UPLINK
後援:大韓民国文化体育観光部 駐日韓国大使館 韓国文化院 日本アニメーション学会 日本アニメーション協会
協力:ANIMATION TAPES 韓国コンテンツ振興院(KOCCA) 土居伸彰(ニューディアー) チェッコリ
■公式サイト:http://anikr.com/
Twitter:@hanakoriJP
facebook ファンページ:http://www.facebook.com/koreanimation




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2016年04月10日

オマールの壁   原題:OMAR

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監督・脚本・製作:ハニ・アブ・アサド(『パラダイス・ナウ』) 
出演:アダム・バクリ、ワリード・ズエイター、リーム・リューバニ ほか

ヨルダン川西岸地区に住むパレスチナの青年オマール。イスラエルが建設した分離壁の為、幼馴染や恋人の家に行くのに検問所を通らなければならない。近道をするため、8mもの高さの壁を乗り越えて行く日々。幼馴染のタレク、アムジャドと3人で、検問所襲撃を企てる。アムジャドの撃った弾がイスラエル兵に命中。数日後、イスラエルの秘密警察に拘束されたオマールは罠にかかり、協力者になるならと仮釈放される。だが、オマールは親友アムジャドを実行犯として差し出すことはできない。オマールはタレクの妹ナディアと恋仲だったが、仮釈放中にアムジャドもナディアが好きだと知る・・・

2014年11月、立教大学で『オマール、最後の選択』のタイトルで上映されたのを観て、公開を待ち望んでいた作品。オマールの恋の行方を固唾を呑んで見守ったのを思い出します。
高い分離壁で不便な生活を強いられ、それをなんとか打開しようとする人々。そんな中でも、日常は続き、若者たちは恋をする・・・  
政治的な背景はもちろんあるけれど、この映画は、もっと人間の本質を描いた物語。
人間ドラマとしてもよく出来ていますが、アクションあり、サスペンスあり、恋愛ありと、いろいろな楽しみ方ができる映画です。(咲)


主演のアダム・バクリさんが公開を機に来日しました!
精悍な好男子でした♪
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スタッフ日記 『オマールの壁』主演アダム・バクリさんに連日お会いした幸せな日々
http://cinemajournal.seesaa.net/article/436787063.html

特別記事 『オマールの壁』主演アダム・バクリ来日レポート 
http://www.cinemajournal.net/special/2016/omar/index.html
プレス試写後の挨拶、インタビュー、初日舞台挨拶の3本立てです!

2013年/パレスチナ/97分/アラビア語・ヘブライ語/カラー
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/omar/
★2016年4月16日(土)角川シネマ新宿、渋谷アップリンクほか全国順次公開
posted by sakiko at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | パレスチナ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハロルドが笑う その日まで  英題:HERE IS HAROLD

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監督/脚本:グンナル・ヴィケネ
出演:ビョルン・スンクェスト、ビヨルン・グラナート、ファンニ・ケッテル

ノルウェーの海辺の町オサネで、40年以上にわたり家具店を営んできたハロルド。スウェーデンの大型家具チェーンIKEAが店の目の前にオープン。クオリティの高い家具にこだわってきたハロルドだが、閉店に追い込まれてしまう。おまけに愛する妻も急逝。自暴自棄になったハロルドは、店に火をつける。炎を見ながら、IKEAの創業者イングヴァル・カンプラートを誘拐して復讐しようと決意。おんぼろ車で、IKEA誕生の地エルムフルトに向かう途中で、ハロルドは孤独な少女エバと知り合う。誘拐計画を面白そうと、同行するエバ。やがて、ハロルドたちは雪道で車が故障し立ち往生している老人を車に乗せる。なんと、その老人は、カンプラートだった。期せずして誘拐に成功するが・・・

仕事も家族も失ってしまったハロルドの行動を、ユーモアと愛情をたっぷり交えて紡いだ物語。ハロルドは、IKEA創設者に「クズを売ってすみません」の声明を言わせたくて誘拐を図ります。大量生産につぶされてしまう伝統的な手作りの物は家具だけはないことにも思いが至ります。といいながら、私のベッドも、40年前に買ったIKEAの下が大きな引き出しになっているもの! それはそれで、機能的で便利。
雪に凍りついた北欧から届いた、ほんわり暖かい物語。人との出会いが人生を豊かにしてくれることを感じさせてくれます。(咲)


2014年/ノルウェー/ノルウェー語・スウェーデン語/88分/シネスコ
配給:ミッドシップ
公式サイト:http://harold.jp/
★2016年4月16日(土)、YEBISU GARDEN CINEMA 他にて全国順次ロードショー
posted by sakiko at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ノルウェー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

緑はよみがえる  原題:torneranno i prati

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監督:エルマンノ・オルミ (『木靴の樹』
撮影監督:ファビオ・オルミ
出演:クラウディオ・サンタマリア、アレッサンドロ・スペルドゥティほか

1917年冬、第一次世界大戦下の北イタリア、アジア―ゴ高原。雪深い山の尾根でナポリ民謡を歌うイタリア兵。鉄条網の向こうの塹壕の中からオーストリア兵がアンコールの声をかける。束の間の停戦のひと時。お互い塹壕の中で出撃命令を待っている。
鼠の走る劣悪な塹壕。唯一の楽しみは、家族や恋人からの手紙。カンテラの灯を頼りにむさぼり読み、返事を綴る兵士たち。
ある日、少佐が若い中尉と共に司令部の命令を携えてやってくる。通信が傍受されているので新たなケーブルを引けというが、山の起伏を考慮せずに地図に線を引いただけの理不尽な計画。大尉は命令を受けられないと軍位を返上する。後を任されたのは若い中尉。命令を果たすべく塹壕から出た兵士たちが狙撃兵にやられる。
「犠牲者の遺体は、雪の中にまとめて葬るのでなく、一人一人名前を確認して」と声がかかる。せめてもの礼儀。母への手紙に「生き延びた者も目にした死を忘れられない」と認める若い兵士・・・

本作は、83歳になるオルミ監督が、少年時代に父からよく聞かされた戦争のつらい体験を映画にしたもの。19歳で従軍した父は多くの死を目の当たりにし、そのことが一生忘れられなかったという。
「敵は鉄条網の向こうにいるのではない、理不尽な命令をぬくぬくとした部屋から発している上層部こそ戦地に送られた若者たちの敵だ」という言葉も、まさにそうだと心に残った。
100年前の戦争は、塹壕に潜んで機を狙ってお互いが殺しあうものだった。現在の戦争は攻撃する側は遠隔操作でボタンを押すだけ。我が身に危険は及ばない。敵の死も直接見るわけでないから心の痛みも少ない。これでは強い者が戦争をやめるはずがない。
戦争とは、人の命を意味なく奪うものであること、そして、いかに人間の尊厳を傷つけるものなのか、市井の人を殺人者にする権力者にこそ観て欲しい映画である。(咲)


2014年/イタリア/80分/1:1.85/5.1ch/DCP 
後援:イタリア大使館 特別協力:イタリア文化会館
配給:チャイルド・フィルム/ムヴィオラ
公式サイト:http://www.moviola.jp/midori/
★2016年4月23日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー
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アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち  英題:The Eichmann Show

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監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ 
出演:マーティン・フリーマン、アンソニー・ラパリア、レベッカ・フロント

1961年、イスラエル、エルサレムで行われた《アイヒマン裁判》。
イスラエルの諜報機関は元ナチス親衛隊将校アドルフ・アイヒマンを逃亡先のアルゼンチンで拘束する。ナチスによるユダヤ人撲滅計画(ホロコースト)を推進した責任者であるアイヒマンの罪を問う裁判が4ヶ月にわたって行われた。
米国の若き敏腕プロデューサーのミルトン・フルックマン(マーティン・フリーマン)は、いち早くテレビ放映権を獲得する。監督に指名したのは、ロシア移民のドキュメンタリー監督レオ・フルヴィッツ(アンソニー・ラパリア)。ワケありでブラックリストに載って仕事に恵まれないでいたが、マルチカメラを用いたスタジオ放送の草分け的存在だった。法廷の壁を改造して、見えない場所にカメラを設置し、フルヴィッツはフルックマンが集めた精鋭メンバーに撮影の指示を出していく・・・

ホロコーストの実態は、今や皆が知っているが、世界がおぞましい事実を初めて知ったのは、このアイヒマン裁判だった。
本作は、その世紀の裁判を撮影してテレビ放映し、世界にホロコーストの真実を伝えたテレビマンたちの実話を描いたものである。
衝撃的な映像や証言の数々に世界は驚くが、防弾ガラスの壁の中に座るアイヒマンは微動だにせず、淡々と罪状を否定し続ける。変化のない映像に苛立つフルックマンは、「裁判全体を撮れ!」と叫ぶが、フルヴィッツはアイヒマンにフォーカスし続ける。
このせめぎあいに真実を伝えたいという信念をずっしりと感じた。映像はどうにでも捏造できる。ずっとアイヒマンを捉え続けてこそ、表情一つ変えなかったことが事実だと証明できるのだ。報道のあり方を考えさせられたエピソードである。

もう一つ、本作を観て、はっと思ったことがある。
フルヴィッツがイスラエルで泊まった宿の女主人ミセス・ランドー(レベッカ・フロント)は、ホロコーストの経験者。最初、そのことを口にすることはなくフルヴィッツにもぶっきらぼうな態度だったが、裁判が進むにつれ、自らの過去を話し出す。これまではとても信じてもらえなかったおぞましい経験。放送を機に、話す勇気が出たと感謝を述べる。
イスラエルといえば、ユダヤ人のために出来た国。ホロコーストでひどい目にあって生き残り、イスラエルに移民してきた人たちには手厚いフォローがあるものだと思っていた。
昨年、イスラエル映画『ハッピーエンドの選び方』のシャロン・マイモン監督&タル・グラニット監督インタビューした折に、ホロコーストサバイバーへの政府としての施策を伺ったら、「イスラエル政府としてホロコーストサバイバー等は無視してきました。今の政府になって、少し政策を打ち出しましたが、遅すぎるし、あまりに小さな政策です」という回答があって、驚いたのを思い出した。
ユダヤ人政治思想家ハンナ・アレントが、アイヒマン裁判をベングリオン首相がユダヤ人意識を強化する場として利用したと指摘していることも思い出した。
アイヒマン裁判を機に、ホロコーストの実態が明かされても、公的に癒されることはなかったホロコーストを生き抜いた人たち・・・ なんとも虚しい。(咲)


配給:ポニーキャニオン
2015年/イギリス/96分/ カラー/ビスタサイズ
公式サイト:http://eichmann-show.jp/
★2016年4月23日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBIS GARDEN CINEMA他全国ロードショー
posted by sakiko at 14:10| Comment(0) | TrackBack(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする