2016年03月27日

下衆の愛

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監督・脚本:内田英治
撮影:野口健司
音楽:T字路s
出演:渋川清彦(テツオ)、でんでん(貴田)、忍成修吾(ケン)、岡野真也(ミナミ)、内田慈(響子)、津田寛治、木下ほうか、古舘寛治、細田善彦(マモル)

テツオは、売れない自主映画監督。唯一の自慢は昔映画祭で受賞したこと。映画への夢を見続けて40歳も目前になってしまった。夢は語るが仕事はなく、女優の卵を自宅に連れ込むていたらく。地方から俳優や脚本家を目指して出てきた若者たちを相手に食いつないでいる。その中にミナミがいた。彼女の演技力に目をつけたテツオは、シナリオを書いてきたケン、助監督のマモルと一緒に、貴田プロデューサーに製作を持ちかける。

昨年のTIFFで一足お先に見せてもらいました。内田監督が見たり聞いたりしたことをもとに、映画業界を描いた作品。「全員下衆」とキャッチにあるけれど、まじめに取り組むウブな若者もちゃんといます。新人の苦労は当たり前とはいえ、過酷な世界であります。
女とみれば手を出すテツオ、身体で役をとってくる響子、テツオを慕うマモル、うさんくさいプロデューサー…。欲と金にまみれても、ダメダメ人間でも、映画への愛は人一倍のゲスな人々の物語。公式HPのキャスト画像がそれぞれ有名な映画のポスターになっています。元ネタが何か、どうぞ当ててみて。(白)


2015年/日本/カラー/シネスコ/110分
配給:サードウィンドウフィルムズ
(C)third window films
http://www.gesunoai.com/
★2016年4月2日(土)よりテアトル新宿にて公開
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第3回岩槻映画祭

2016年4月2、3日
各日午前9時20分開場・9時50分開演・午後16時50分最終上映開始

【会場】市民会館いわつき
住所:埼玉県さいたま市岩槻区太田3丁目1−1
【屋外会場】市民会館いわつき 大階段
お笑いライブ・アイドルライブ・和太鼓・アコースティックライブ

実施概要
・短編映画コンベ部門:応募数約120作品中11本の入選作品を上映・監督出演者による舞台挨拶
・招待作品部門:6作品の招待作品の上映・監督出演者による舞台挨拶
・特別製作作品上映:
   映画「街をみる」特別試写上映・主演:前田希美・細田善彦はじめ出演者監督による舞台挨拶
・映画制作者交流会
・さいたまロケーションフォト展示
・えんにちお笑いライブ
・アイドルライブ(N☆RNiR・パワフル娘)
・アコースティックライブ(SwimmingFlyWalkman)

【主催】
岩槻映画祭実行委員会
【後援】
さいたま市・埼玉県教育委員会・さいたま商工会議所・岩槻人形協同組合

http://iwatsuki-moviefes.com/


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2016年03月26日

蜜のあわれ

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監督:石井岳龍
原作:室生犀星「蜜のあはれ」
脚本:港岳彦
撮影:笠松則通
音楽:森俊之
出演:二階堂ふみ(赤子)、大杉漣(老作家)、真木よう子(ゆり子)、高良健吾(芥川龍之介)、永瀬正敏(辰夫)

赤いひらひらドレスの赤子は作家の「おじさま」と暮らしている。「あたいを恋人にして」「短い人生楽しいことでいっぱいにしなくちゃ」とおじさまに迫り、ダンスを踊って見せたりくっついて寝たりする。老作家は映画と称してこっそり愛人のもとへ出かけ、戻っては赤子との毎日を楽しんでいる。赤子の前に白い着物姿の女が現れた。老作家のかつての愛人だというゆり子は、作家への強い思いが残って出てきてしまう幽霊らしい。

老作家の妄想から生まれた金魚の女の子の赤子。もう「男のロマン」と「夢」が全開です。丸い顔と丸いお尻の可愛い赤子に「おじさま」と迫られた日にゃメロメロでしょう。出演作が途切れることのない二階堂ふみさんが愛らしい小悪魔金魚に扮していますが、原作を高校生のときに読んで「赤子」は絶対にやりたかった役なのだとか。『私の男』のときもそんなコメントがありました。読書家なんですね。大杉漣さんは石井岳龍監督との仕事を切望していたそうで、老作家の眼鏡を自ら探し出して眼鏡屋さんに加工してもらったという力の入れようです。
室生犀星といえば「故郷は遠くにありて思うもの」と始まる詩が有名です。多くの作品を残し、文豪と呼ばれ、愛妻家で良き父でもあったという彼が70歳のときに、こんな作品も書いていたことにへぇ〜です。実際に親交が深かった芥川龍之介もこの作品中に登場、写真でおなじみの髪型やポーズそのままの高良健吾に目を奪われました。この人の目力と華ときたら。
試写で気になったのが、いくつかのシーンで着物の衿が左前だったこと。意味があるのかただの間違いなのか知りたいものです。(白)


2015年/日本/カラー/ビスタ/105分
配給:ファントム・フィルム
(C)2015『蜜のあわれ』製作委員会
http://mitsunoaware.com/
★2016年4月1日(金)より、新宿バルト9他にてロードショー
posted by shiraishi at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

あやしい彼女

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監督:水田伸生
脚本:吉澤智子
撮影:中山光一
音楽:三宅一徳
出演:多部未華子(大鳥節子)、倍賞美津子(瀬山カツ)、要潤(小林拓人)、北村匠海(瀬山翼)、金井克子(相原みどり)、志賀廣太郎(中田次郎)、小林聡美(瀬山幸恵)

戦後をがむしゃらに生きて、娘を女手一つで育て上げた瀬山カツ、73歳。口うるさく毒舌だけれど、大手出版社の編集長になった娘と可愛い孫が自慢。いつもの苦労話を始めて娘と喧嘩してしまい、とぼとぼと歩いていると見慣れない写真館があった。オードリー・ヘップバーンの写真にひかれて入り、思わずポートレートを撮影してもらう。店を出たが何かがおかしい。なんと20歳の姿に変わっていたのだ!中身は73歳のまま若返ったカツはこれでは家に帰れない。この際オードリーと原節子にちなんで名前を“大鳥節子”に、髪型と洋服も変えて青春を取り戻すことにした。

オリジナルは韓国で大ヒットし、2014年日本公開された『怪しい彼女』、中国でもリメイクされて、2015年『20歳よ、もう一度』として公開されています。この人生リセットものは多くの人の共感を呼ぶのでしょうね。
さて、日本でのリメイクでメガホンをとったのは『綱引いちゃった!』(2012)『謝罪の王様』(2013)などコメディ作品を送り出してきた水田伸生監督。73歳のカツは倍賞美津子さん、20歳で中身が73歳のままのカツは多部未華子さん。初の老け役(?)を表情豊かに演じています。歌は苦手だったそうですが、昭和のヒット曲を次々と披露して特訓の成果を見せました。歌と一緒に当時の出来事を思い出してしばし60年代にひたりました。笑ったり泣いたり、最後にほっこりしてください。オリジナルと同じくラストのサプライズもお見逃しなく。(白)


2015年/日本/カラー/ビスタ/125分
配給:松竹
(C)2016「あやカノ」製作委員会 (C)2014CJ E&M CORPORATION
http://ayakano.jp/
★2016年4月1日(金)エイプリルフール 全国ロードショー
posted by shiraishi at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月25日

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件(原題:Mr. Holmes)

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監督:ビル・コンドン
原作:ミッチ・カリン
脚本:ジェフリー・ハッチャー
出演:イアン・マッケラン(シャーロック・ホームズ)、ローラ・リニー(マンロー夫人)、真田広之(ミスター・ウメザキ)、ハティ・モラハン(アン・ケルモット)、パトリック・ケネディ(トーマス・ケルモット)、ニコラス・ロウ(映画の中のシャーロック・ホームズ)

シャーロック・ホームズが引退して30年。よき相棒だったワトソンと別れ、ベイカー街をひきはらい、郊外の農場でミツバチを飼う穏やかな老後を過ごしていた。マンロー夫人が家事と食事の世話をし、その息子10歳のロジャーがホームズの暮らしに明るさを加えている。93歳の今、老いをひしひしと感じ、今のうちにやり残したことを成し遂げたいホームズであった。たったひとつ心に重く沈んでいる未解決の事件を、ロジャーを助手に探ることにする。

さすがのホームズも年をとるのねぇと妙に親近感を感じてしまいました。膨大な記憶と知識を整理し、瞬時に目の前の事件と結び付け鮮やかに解決してきたホームズにも老いの影は忍び寄ってきます。悠々自適の農場暮らしは現役のころから夢に描いたものでしたが、自分の老いは想定外だったのでしょうか。ホームズを尊敬している聡明なロジャー少年が、30年前の事件をひもとく活力になります。大きな目のこの少年がなんとも愛らしく、ホームズは孫に目を細めるお爺ちゃんになります。
事件そのものはそう難しいものではなかったのに、失敗だったとホームズが引退した理由が徐々に明らかになります。ホームズの日本の旅を手伝うウメザキに、海外の作品出演が続く真田広之さん。人生のたそがれ時に来し方を思って逡巡する一人の男性のストーリーで、いつものホームズとは違いますが、イアン・マッケランがしみじみと演じています。(白)


2015年/イギリス・アメリカ合作/カラー/シネスコ/104分
配給:ギャガ
(C)Agatha A Nitecka / SLIGHT TRICK PRODUCTIONS
http://gaga.ne.jp/holmes/
★2016年3月18日(金)より公開中
posted by shiraishi at 09:39| Comment(0) | TrackBack(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする