2016年02月23日

シェル・コレクター

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監督:坪田義史 原作:アンソニー・ドーア 脚本:澤井香織、坪田義史
プロデューサー:エリック・ニアリ
出演:リリー・フランキー、寺島しのぶ、池松壮亮、橋本愛 他

アメリカ人作家アンソニー・ドーアの短編小説を映画化。
貝の美しさと謎に魅了された盲目の貝類学者は沖縄の孤島で厭世的生活を送っていた。ある日、学者の前に奇病を患った女性画家が現れる。学者は偶然にも貝の毒で奇病を治してしまい、それを知った人々が治療を求めて島に押し寄せ、静かだった学者の日々は一変する……。

第45回ロッテルダム映画祭正式出品。
沖縄の海、海中生物の美しさ、映像ファンタジーと云う言葉そのままの作品でした。アピチャポンみたい。日中の撮影は16ミリフィルムで撮影されたそうです。私もフィルム大好き!! 主役をつとめるリリー・フランキーさんは15年ぶりの単独主演、にもかかわらず盲目の難しい役を淡々と演じていた。NHKの朝ドラ「あまちゃん」で全国区になった女優・橋本愛さんはアイドルでもヤンキーでもなく不思議ちゃんでした。 人間の欲望は偉大な自然を前にしては到底叶わない… 原作も読みたくなりました。 (千)


2016/日本・アメリカ合作/配給 ビターズ・エンド 映倫区分PG12
http://bitters.co.jp/shellcollector/
★2月27土曜日よりテアトル新宿ほか全国ロードショー




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2016年02月21日

牡蠣工場(かきこうば)  英題:Oyster Factory

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監督:想田和弘

瀬戸内海にのぞむ岡山県牛窓(うしまど)。日本のエーゲ海と呼ばれる風光明媚な地は、日本でも有数の牡蠣の産地である。養殖された牡蠣の殻を処理する牡蠣工場は、かつて20軒近くあったが、現在では6軒しかない。牡蠣の「むき子」は、代々地元の人々が担ってきたが、過疎化で労働不足に陥っている。中には、中国人労働者を雇い始めた工場もある。
一方、東日本大震災で家業の牡蠣工場が壊滅的打撃を受け、宮城県から移住してきて牛窓で工場を開いた者もいる。

想田監督の観察映画。
宮城県から移住してきて開いた牡蠣工場で、広島で働いている中国人労働者を受け入れる日。工場にちょっとした緊張が走る。
「牡蠣の殻をむく作業は、慣れるまでに時間がかかるけど、あの人たちは早い」と地元の老婦人。
狭い工場で、黙々と殻をむく作業。恐らく牡蠣のにおいもすごいと思う。
地元の名産を支えていくのは大変なことだと実感する。
でも、誰かがやらないと伝統は途絶えてしまう。
淡々と綴られる映像を観ながら、いろいろなことを考えさせられる映画である。だからといって、答えやメッセージは発しない。あくまで観察映画。ちょっと長いかな?(咲)

実は、牡蠣にハマっていて、この数年、毎年7月に千葉県旭市の磯牡蠣を食べに行っている。宿では生牡蠣、蒸し牡蠣、焼き牡蠣などが出る。でもなんと言っても生牡蠣が美味しい。
昔は牡蠣といえばほとんど牡蠣フライで、それは決しておいしいとは思わなかった。しかし、30年くらい前に石垣島に行った時、珊瑚礁に行き岩場にいる牡蠣を獲って、その場で殻を割って食べた。そのあまりのおいしさに驚いた。それから私の生牡蠣巡礼は始まった。旅行先で生牡蠣を食べられる時はほとんど食べている。
そして、その地方それぞれの牡蠣の養殖方法があることを知った。
この映画の舞台、牛窓には行ったことがないが、画家の友人がいつも絵を描きに行っているところで、気になっていた場所。友人はオリーブの木をいつも描いていたが、牡蠣の養殖が盛んなところだとは知らなかった。
そして、ここの牡蠣養殖の大掛りなことに驚いた。クレーンを使って養殖の牡蠣を吊り上げるとはびっくり。それに獲れた牡蠣の殻を外す作業場の作りにも驚いた。壁に向かって1日中、牡蠣を剥き続ける作業。これはかなりつらい作業だと思った。これでは20軒近くあった牡蠣工場が6軒になってしまったのもうなずける。
大量生産の影で人間性が追いやられていると感じた。確かに牡蠣剥きの作業を楽しくやるというのは無理があるかもしれないけど、せめて働く環境をもうちょっと工夫したら、若者も戻ってくるのではと思った。そして、日本の若者が嫌う3Kの仕事を外国人労働者に押し付けるのはどんなものかと思った。これでは、この産業も続いていかないのではないかという気がする。
ちなみに、今まで食べた牡蠣の中で、一番美味しかったと思っているのは、台湾基隆の夜市で食べた生牡蠣。生牡蠣はタレにレモンや酢を使うことが多いけど、ここで食べた生牡蠣は味噌と葱を使ったタレを使っていた。生牡蠣の美味しさも素晴らしかったけど、タレも意外性があって美味しかった。また、いつか食べてみたい。やっぱり牡蠣が好きだ! 牛窓にも行ってみたい。(暁)


2015年/日本,アメリカ/145分/カラー/DCP
配給:東風
公式サイト:http://www.kaki-kouba.com
★2016年2月20日(土)シアター・イメージフォーラムにてロードショーほか全国順次公開 
posted by sakiko at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

中島みゆき 夜会VOL.18 「橋の下のアルカディア」 −劇場版−

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c2014 YAMAHA MUSIC PUBLISHING,INC.
2016年2月20日(土)全国ロードショー
新宿ピカデリー&丸の内ピカデリーほか

音楽監督 瀬尾一三
撮影監督 翁長裕
キャスト 中島みゆき 中村中 石田匠

2014年11月15日(土)〜12月16日(火)東京・赤坂ACTシアターで開催され、23公演3万人を動員した中島みゆきの「夜会」。『夜会VOL.18「橋の下のアルカディア」』の劇場版が公開されている。2008年から2009年にかけて行われた『夜会VOL.15「〜夜物語〜元祖・今晩屋」』以来6年ぶりに書き下ろされた「夜会」。脚本・作詞・作曲・歌、そして主演の5役すべてを中島みゆきが務める。書き下ろされた劇の挿入歌は過去最多の46曲を収録。「橋の下のアルカディア」では、中島みゆきのほか中村中、石田匠が歌を歌う。
ほとんどの店のシャッターが下り、たった二つしか店を開けていない地下道。そこに住む占い師(中島みゆき)とバーの代理ママ(中村中)、そして、今はガードマンをしているが、以前は占いの店の隣に店があった男(石田匠)。その地下道はかつて防空壕だった。そして、さらに昔は「暴れ川」。その怒りを鎮めるために人柱の犠牲が払われていた。外の世界から隔離され、見捨てられた街で暮らす3人の過去と記憶が追憶のように出現する。

1975年にデビューし、「時代」「世情」「ファイト!」「空と君のあいだに」など、シンガー・ソングライターとして数多くの名曲を世に送り出してきた中島みゆき。その中島みゆきを語る上で欠かすことのできないのが「夜会」。1989年、Bunkamuraシアターコクーンの誕生と共にスタートした。本人は「コンサートとも演劇ともミュージカルとも称しがたい舞台表現」と語っている。脚本・作詞・作曲・歌、演技と、1人5役を務めるというもの。
今回は、中島みゆき一人で歌を担当するのではなく、中村中 石田匠の二人が歌い手として参加している。二人はけっこうたくさんの歌を歌い、みゆきさんに劣らずいい味を出している。
チケットをなかなかゲットできないファンにとっては、とても楽しみな劇場公開であり、生で見た人にとってもアップの映像などは貴重。ファンでない人にとっては意外な中島みゆきを見ることができる。(暁)

2014年/日本/約120分/カラー/5.1ch/DCP
公式HP http://yakai-movie.jp/
配給:ローソン HMV エンタテイメント
協力:株式会社ヤマハミュージックパブリッシング・株式会社ヤマハミュージックアーティスト





posted by akemi at 20:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大地を受け継ぐ

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監督:井上淳一
出演:樽川和也、樽川美津代

2016年5月、16歳から23歳まで11人の学生が福島県須賀川へ向かった。原発から65qにある農家、樽川さんを訪ねるのだ。和也さんとお母さんの美津代さんが出迎える。2011年の3月24日、和也さんの父は農産物出荷停止のFAXを受け取った翌朝、キャベツ畑で自死してしまった。農業を継がせた和也さんに「お前に農業を勧めたのは、間違っていたかもしれない」という言葉を残して。大きなテーブルを囲んだ学生たちに、訥々と語る和也さん。その言葉を食い入るように聞く学生たち。

福島の人たちを記録したドキュメンタリーはこれまでにもたくさん観てきましたが、細切れになったりエッセンスだったりでなく、一人の言葉をこんなに長い時間きかせてもらったのは初めてです。自分も同じようにあの畳の部屋にいたような気がしました。
一人息子の和也さんは途中から農業に転身しました。先祖からの土地を守り、美味しい作物のために土づくりを大切にしていたお父さんの志を継ごうと思ったに違いありません。それが原発事故のために何よりも大切な田畑が汚染され、せっかく成長した作物は出荷できず廃棄処分になります。農家にとって何よりも辛いことです。いろんな思いを持って(あるいは持たないまま)やってきた学生たちの質問や感想は率直です。聞く前と後で必ず何かが違って、忘れていったとしても深いところに何かは残ったはず。(白)

ゆっくりと福島弁で語る樽川さんの姿は、朴訥な人柄があふれ出ていました。実は、最初はゆっくりと話す言葉にちょっといらいらしていました。でも、そのうちに樽川さんの話に引き込まれていきました。
彼が話したのは原発事故からの4年間の出来事。放射能に汚染された土地で農作物を作り続けることへの不安。「全検査をして放射能に汚染されていないと証明されても、福島の米や野菜は今までの値段では売れないし、売れても黒字になることはない。農業だけで生きていくことは難しい現状だけど、それでも自死した父や先祖から受け継いできた土地を捨てるわけにはいかない」と語る。
彼の穏やかな話し方の中から、彼が絶望することなくこの土地を耕していく決意が見えてくる。最後は心揺さぶられる映画でした。(暁)

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(C)「大地を受け継ぐ」製作運動体

2015年/日本/カラー/HD/86分
配給:太秦
(C)「大地を受け継ぐ」製作運動体
https://daichiwo.wordpress.com/
★2016年2月20日(土)ポレポレ東中野ほかロードショー
posted by shiraishi at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ディバイナー 戦禍に光を求めて  英題:THE WATER DIVINER

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監督:ラッセル・クロウ
出演:ラッセル・クロウ(『グラディエーター』『ノア 約束の舟』)、オルガ・キュリレンコ(『007/慰めの報酬』『オブリビオン』)、ジェイ・コートニー『ダイ・ハード/ラスト・デイ』『ターミネーター:新起動/ジェネシス』、イルマズ・アルドアン

1915年12月、第一次世界大戦下のトルコ。ガリポリの塹壕に潜むオスマン帝国軍が「アッラー アクバル!」と飛び出していく。軍楽隊もちゃんといる。開戦から7ヶ月 ようやく撤退の時期を迎えたのだ。その間、13万人以上の戦死者を出した激戦だった。
1919年、ガリポリの戦いから4年。オーストラリアの乾いた大地で暮らすディバイナー(水脈を探し当てる職人)のジョシュア・コナー。息子3人がガリポリの戦地から帰らぬことに絶望して妻が自殺してしまう。せめて妻のそばに息子たちの骨も埋葬したいとトルコに向かう。コナーは3ヵ月かけてイスタンブルにたどり着き、ガリポリに行こうとするが、許可を取れと埒が明かない。はたして、息子たちは見つかるのか・・・

コナーがイスタンブルの船着場で、客引きの少年に「お湯も出るしドイツ人もいないよ!」と荷物を奪われるようにして連れて行かれたのはこざっぱりした小さなホテル。少年の母である宿の女主人アイシェは、オーストラリア人と聞いて、「部屋はない」という。オスマン帝国にとって、大英帝国の一員であるオーストラリアは敵だったのだ。そばにいた男が「客は選べない」と諭し、泊めてもらうことになる。この男は夫かと思ったら、後の会話で音楽家の夫はガリポリで戦死していて、アイシェを第二夫人にと迫っている夫の兄とわかる。
また、アイシェの父(義父?)が、「昔、皇帝の痔を治した」とつぶやいていて、一家はオスマン帝国時代、いい暮らしをしていたらしい。

どうしてもガリポリに行きたいコナーだが、ギリシャ軍が攻めてきていることもあって許可が下りない。アイシェが「チャナックからダーダネルス海峡を小船で渡ってガリポリ近くのチャナッカレの町に行ける」と教える。「チャナッカレでは7万人が亡くなって町全体が墓場よ。そんな町に行きたい?」とアイシェがいう。
チャナッカレは、1983年に初めてトルコを訪れた時、最初の夜に泊まった町。海辺の佇まいの美しい町にそんな悲しい歴史があったとは・・・
 こうしてコナーはガリポリにたどり着くが、イギリス軍からは、許可なく来たので帰れと見放される。途方に暮れるコナーに、「死亡日から場所は推測できる」と手を差し伸べたのはオスマン帝国軍のハサン少佐。オーストラリアから参戦したコナーの息子たちにとっては敵方だった少佐が手助けするという物語に、映画を公平なものにする工夫が感じられる。冒頭、塹壕の中で祈りを捧げていたのはハサン少佐だったのだと思い当たる。

コナーが町を歩いている時に、「イギリスは出て行け!」と叫ぶ民族運動のデモを見かける。やがてハサン少佐は民族運動家達とアンカラでのムスタファ・ケマルの総会に赴く。オスマン帝国が終焉を迎え、トルコ共和国建国へと向かっている時代が垣間見られる映画にもなっていて興味深い。
ハサン少佐役のイルマズ・エルドガンは、ゴバディ監督の『サイの季節』で詩人の妻に横恋慕し仲を引き裂いたアクバルを演じたトルコのクルド人俳優。本作では元敵方の兵士の父を思いやるイイ男だ。
アイシェ役のオルガ・キュリレンコは『007/慰めの報酬』や『オブリビオン』が有名だが、私には『故郷よ』(ミハル・ボガニル監督)で演じたウクライナ女性役が印象深い。本作では、なかなか上手なトルコ語を駆使して奮闘している。
本作は、戦地から帰らぬ息子を探す父親の思いを軸に、戦争で敵だった相手を許す心を描いたラッセル・クロウ渾身の作品。
ブルーモスクで祈りを捧げる人々や、少年の割礼を賑やかにお祝いする光景もあって、トルコの文化も味わえる映画となっていて嬉しい。
一方で、塹壕の中で殺し合い、暗くて敵も味方もわからない状況が語られ、いかに戦いが虚しいものかも思い知らされる。(咲)


2014年/オーストラリア・アメリカ・トルコ/英語・トルコ語・ギリシャ語/111分/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル
提供:日活
配給:東京テアトル
公式サイト:http://diviner-movie.jp
★2016年2月27日(土)有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー
posted by sakiko at 18:43| Comment(0) | TrackBack(0) | オーストラリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする