2016年01月16日

白鯨との闘い(原題:In the Heart of the Sea)

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監督:ロン・ハワード
原作:ナサニエル・フィルブリック
脚本:チャールズ・リービット
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
音楽:ロケ・バニョス
出演:クリス・ヘムズワース(オーウェン・チェイス)、ベンジャミン・ウォーカー(ジョージ・ポラード)、キリアン・マーフィ(マシュー・ジョイ)、ベン・ウィショー(ハーマン・メルヴィル)、トム・ホランド(トーマス・ニカーソン)、ブレンダン・グリーソン(トム・ニカーソン)

1819年、鯨油が灯火、燃料、さまざまな加工品に重用されていたころ。オーウェンは、捕鯨船エセックス号に乗り組むベテランの一等航海士。次の航海では船長に昇格できるはずだったが、約束は反故にされ、代々船長を担ってきたポラード家の長男が任命される。わだかまりはあったが、船乗りとしての誇りと、家族への愛情と責任を胸に、21名の仲間と共にオーウェンは出立する。ポラードの判断ミスから、洋上で嵐に遭遇した船は大きなダメージを受けてしまう。補給のため立ち寄った港町で悪魔と呼ばれる巨大な白い鯨の噂を聞く。まだ充分な成果の上がらないエセックス号は、鯨を求めて再び漕ぎ出していくのだが。

アメリカ文学の不朽の名作といわれる「白鯨」。そのモデルの海難事故をたんねんに追ったノンフィクション小説「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」を原作に、ロン・ハワード監督が映画化しました。技術の進んだ今だからできる大迫力の映像に圧倒されました。
19世紀の帆船での捕鯨の様子がダイナミックに描かれる場面と、30数年後、ただ一人生き残っていた孤児のトーマスが、訪ねてきた小説家ハーマン・メルヴィルに語る回想場面とでなりたっています。クリス・ヘムズワース演じるオーウェンはじめ、個性的な乗組員たちのそれぞれのドラマが描かれます。悲劇的な状況の中でもなんとしても生き抜こうとあがく彼らが無事に帰還できますように、と祈るような思いで観ました。
ロン・ハワード監督が俳優として出演した『アメリカン・グラフティ』(1972/ジョージ・ルーカス監督)は今もサントラCDをときどき聞いているお気に入り映画です。あの細いおにいちゃんがこんなにヒット作を送り出す監督になるとは!(白)


2015年/アメリカ/カラー/ビスタ/122分
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS ESERVED
http://wwws.warnerbros.co.jp/hakugeimovie/
★2016年1月16日(土)新宿ピカデリー他 全国ロードショー 2D3D同時公開
posted by shiraishi at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

バーバリアンズ セルビアの若きまなざし  原題:VARVARI

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監督・脚本:イヴァン・イキッチ
出演:ジェリコ・マルコヴィッチ、ネナド・ペトロヴィッチ、ヤスナ・ジュリチッチ

内紛が続くセルビア。仮釈放中の青年ルカは、仕事にも就けず退屈な日々。唯一の楽しみは仲間たちと地元のサッカーチームを応援しながら飲んで騒ぐことくらいだった。やがて、コソボがセルビアから独立宣言をする。仲間と首都ベオグラードにコソボ独立反対デモに繰り出すが、ただ騒ぐだけの仲間たちに違和感を覚える。コソボ紛争中に父親は行方不明になっていたが、実は生きていることを母親が隠していたことを知ったルカは、父に会いにバスに乗る・・・

だ30代半ばのイヴァン・イキッチ監督による長編デビュー作。監督自身、ユーゴスラビアが分裂していく中で育った世代。地元の不良たちをキャスティング。暴れまくる姿は、まさに本物。その不良たちが、コソボ独立反対を叫んで行進する姿は圧巻。セルビアとして独立後も紛争の絶えない中で、仕事も夢もなく暮らす若者たちが自分探しをする様がグッと迫ってくる。(咲)

2014年/セルビア=モンテネグロ=スロヴァニア/87分
配給:アニモプロデュース
公式サイト:http://barbarians.jp/
★2016年1月16日(土)シアター・ イメージフォーラムほか全国順次ロードショー!

2016年01月14日

LIVE! LOVE! SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版

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監督:井上剛 脚本:一色伸幸 音楽:大友良英 Sachiko M
出演:石井杏奈、渡辺大知、木下百花、柾木玲、前田航基 他

東日本大震災の影響でバラバラになった同級生たちが4年ぶりに再会、
福島の立ち入り制限区域内の母校に埋めたタイムカプセルを掘り起こしに行く
ロードムービー。ヒロイン・朝海を、話題作に相次いで出演している
石井杏奈(E-girls)、旅をする仲間に渡辺大知(黒猫チェルシー)、木下百花(NMB48)
柾木玲弥、前田航基などフレッシュな役者が勢揃い。
監督は『その街のこども 劇場版』や『あまちゃん』で被災地に生きる
人々を見つめてきた井上剛。脚本はNHK特集ドラマ『ラジオ』が
文化庁芸術祭大賞を受賞した一色伸幸、音楽は『あまちゃん』でも
井上監督とタッグを組んだ大友良英、Sachiko Mが担当。

2015年3月にNHKにて全国放送された特集ドラマ
『LIVE!LOVE!SING!生きて愛して歌うこと』に26分を追加し、兵庫、福島の
県域において限定的に放映された全長版。全国放送時にはカットされた
未公開シーンを含む再編集バージョン。去年の山形国際ドキュメンタリー映画祭
でも上映された。フクシマの光景と大友良英さんの音楽が輝きながらも痛々しい・・
フクシマが、こんな状況の日本において4年後には本当に東京オリンピックが開催
されるのだろうか・・ (千)


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人生には時として震災のような重いつらい出来事が起こる。
絶望しか見えないような時、人間はどうしたらいいのか。
人は自分の視点でしかものを見ることができない。
「自分がこう思うからほかの人もこう思うだろう」という態度は大きな間違いだ。
東日本大震災を経験した朝海に神戸復興を願う歌「しあわせ運べるように」を
歌わせることは「暴力」だと、岡里はそう思い至った。しかしそれでも、
この映画の最後には高らかに美しく「しあわせ運べるように」が歌われる。
なぜか世界はこうなっていて、いきなり放り出されたようにわたしたちは
感じている。家族をすべて失いたった一人になって、その記憶を留める写真さえ
失ってしまうことがどういうことなのか…
なぜかわからないがこんなことが起きて、わたしたちはこれから
どうなるかもわからない。この世界でただ希望を語り、ただ希望を歌うことが
なぜできなかったのだろう?生きて愛して歌うこと。それだけしかできないし、
それができれば充分だと思う。良い映画だと思った。
絶望の底から音楽の力や映画の力が立ち上がってきたようだ。 (せ)


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配給:トランスフォーマー 2015/日本/100分 (C)2015 NHK
公式サイト
★2016年1月16日よりフォーラム福島他にて先行公開
 23(土曜日)より渋谷イメージフォーラムほか全国順次ロードショー

posted by chie at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月10日

神なるオオカミ  原題:狼図騰  英題:WOLF TOTEM

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製作・監督・脚本:ジャン=ジャック・アノー (『セブン・イヤーズ・イン・チベット』『愛人 ラマン』)
出演:ウィリアム・フォン 、ショーン・ドウ、バーサンジャブ、アンヒニヤミ・ラグチャア

1967年、中国。文化大革命の下放政策で北京の知識青年チェン・ジン(ウィリアム・フォン)は、内モンゴルに赴く。伝統を重んじる族長ピリグのもとで放牧に明け暮れる日々。半年ほど経った頃、チェンはオオカミの縄張りに足を踏み入れ、凶暴なオオカミの群れに取り囲まれてしまう。死の恐怖を味わうが、一方でオオカミたちの統率の取れた威厳に満ちた姿に魅了される。やがてチェンは政府機関よりオオカミが害獣だとして駆除することを命じられる。チェンは見つけた赤ん坊の1匹を連れ帰り、「小狼(シャオラン)」と名付けて密かに育て始める・・・

内モンゴルの雄大な自然の中で繰り広げられる物語。原作は、著者ジャン・ロンが実体験をもとに30年かけて書き上げた小説「狼図騰(神なるオオカミ)」。中国のみならず世界110ヵ国で翻訳出版されたベストセラー。
都会育ちのチェンにとって過酷な環境での肉体労働を強いられた暮らしは大変だったはずなのに、下放された知識青年の苦悩がほとんど感じられなかった。そのことに観た直後、ちょっと物足りなさを感じたのだが、思えば、過去に観た映画の中の下放の描かれ方に捉われているのだと気がついた。もしかしたら、こんな風に下放された先で地元の民の知恵に感化された青年もいるのかもしれない。本作からは、遊牧の民が培ってきた大自然や動物たちと共存する術も垣間見ることができて、人は自然に逆らってはいけないことを強く感じた。
監督は、本作のロケに入る前に、まずオオカミを撮影に慣らすために2年かけたという。オオカミたちの飛ぶ姿は、息を飲む美しさ。神がかったようにも感じる風格だった。(咲)


文革で下放された青年の物語。冒頭、青年は都会から大自然の暮らしへの変化に
むしろ喜んでいる様子だった… 文革とは苦しいだけではなく、一部のひと達にとっては
嬉しかったのかもしれないと私の認識を新たにした…。そしてオオカミの演技?!が
素晴らしい!! この演技を観るだけでも一見の価値アリ。あんなに賢いオオカミが人間の
せいで滅んでしまったのでしょうか、信じたくないです、、 (千)



配給:ツイン
2015/中国・フランス/中国語・モンゴル語/121分
公式サイト:http://aoyama-theater.jp/feature/mitaiken2016
★2016 年1月 ヒューマントラストシネマ渋谷およびシネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」で上映後、全国公開  ※初回上映:1月12日(火)
posted by sakiko at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シーズンズ 2万年の地球旅行(原題:Les Saisons)

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監督:ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾ
日本語版ナレーション:笑福亭鶴瓶、木村文乃

2001年『WATARIDORI』、2009年『オーシャンズ』と素晴らしい映像を送り出してきたジャック・ペラン監督がひさしぶりに製作・監督したネイチャードキュメンタリー。氷河期が終わり、新たな命が満ち始めた2万年前地球はこんなふうだった!? 地を走る大小の獣たち、空飛ぶ鳥たちがスクリーンいっぱいに躍動します。
『WATARIDORI』(03年公開)を観たのは確か新宿のテアトルタイムズスクエア(09年に閉館)の大きなスクリーンでした。まるで鳥と一緒に空を飛んでいるような映像に感激したものです。今回の作品にもそんなシーンがたくさん。機器がさらに発達しているので臨場感たっぷりです。期間限定(1月15日〜4月8日)で、保護者同伴の小学生以下のお子様は500円!ぜひお子様にも見せてあげてください。(白)


2015年/フランス/カラー/シネスコ/97分
配給:ギャガ
(C)2015 Galatee Films - Pathe Production - France 2 CinEma - Pandora Film - Invest Image 3 - Rhone-Alpes Cinema - Winds - Pierre et Vacances
ttp://gaga.ne.jp/seasons/
★2016年1月15日(金)TOHOシネマズ 日劇他 全国拡大ロードショー
posted by shiraishi at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする