2016年01月20日

ザ・ウォーク(原題:The Walk)

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監督:ロバート・ゼメキス
原作:フィリップ・プティ
脚本:ロバート・ゼメキス、クリストファー・ブラウン
撮影:ダリウス・ウォルスキー
音楽:アラン・シルベストリ
出演:ジョセフ・ゴードン=レビット(フィリップ・プティ)、ベン・キングズレー(パパ・ルディ)、シャルロット・ルボン

子どものころから高いところが好きで綱渡りに魅せられていたフィリップ・プティは、学校や家庭の枠には納まっていられず、10代から大道芸人として身を立てていた。ある日目にしたアメリカのツインタワー建設計画の写真に釘付けになる。この地上411m、110階のワールドトレードセンターの二つのビルにワイヤーを張って綱渡りをする!とプティは決心する。パパ・ルディの指導のもと綱渡りの技術に磨きをかけ、強力してくれる友人を巻き込み、着々と準備をすすめていく。

フランスのあちこちの建築物で綱渡りを敢行し(犯罪です)、有名になっていたフィリップですが、このとてつもない夢はとうてい実現するとは思えませんでした。ところがフランスからニューヨークへわたり、建築中のビルの内部や人の動きなど事細かに観察し、調査して周到な準備をします。まるで銀行強盗計画みたい。そちらは少なくとも地に脚はついています。命綱もネットもないところで、横風でも受けたら、1歩踏み外したら・・・おしまいです。ああ、もう!と呆れながらも、それまでの苦労を見ているとしらずしらず応援したくなってしまいました。
ドキュメンタリーの『マン・オン・ワイヤー』(2008年/ジェームズ・マーシュ監督)を観たときに、フィリップとは逆に高いところの苦手な私は、気が知れないと思ったものです。ゼメキス版には高所恐怖症男子が出てくるので、親近感を抱きました。ドキュメンタリーは当時の画像や動画、インタビューなどで構成されてアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を獲得。白黒映像や静止画でも充分に脚がゾワゾワしましたが、ゼメキス監督渾身の3D映画で観られるとは!1974年当時のニューヨークの町並み、今はないワールドトレードセンターが忠実に再現されています。高いところの苦手な方、下を見たくなくても見えてしまうので、ご注意ください。(白)


2015年/アメリカ/カラー/シネスコ/123分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
http://www.thewalk-movie.jp/
★2016年1月23日(土)全国ロードショー
posted by shiraishi at 11:51| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月18日

ビューティー・インサイド(原題:The Beauty Inside)

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監督:ペク
脚本:キム・ソンジュン、パク・ジョンイ
撮影:キム・テギョン
音楽:チョ・ヨンウク
出演:ハン・ヒョジュ(ホン・イス)、ムン・スク(ウジンの母)、イ・ドンフィ(サンベク)、パク・ソジュン、キム・デミョン、イ・ヒョヌ、パク・シネ、上野樹里ほか(ウジン)

ウジンは18歳の誕生日以来、眠りから覚めると中味は同じまま、外見が別の人間に変わるようになってしまった。 性別も年齢も違う人種になることもあった。自分の意思に関わりなく、なぜこんなことになったのか、どうしたら元に戻るのかわからない。ウジンの秘密を知るのは母親と親友のサンベクだけ。同じ人に会わずに済む家具製作をサンベクと始めて10年余りたった。普通の人生などもう望んでいなかったが、ある日イスに出会って恋に落ちてしまう。

毎日変わるウジン役のため123人が参加。セリフのある役は21人の俳優が演じ、上野樹里もウジンの一人で出演しています。たくさんの俳優が出演しているので、書き切れませんでした。原案は2013年のカンヌ国際広告祭でグランプリを受賞した、インテルと東芝によるソーシャルフィルム「The Beauty Inside」。CMディレクター出身のペク監督が、ドラマを足して長編映画にしました。一人ひとりの短いエピソードを積み重ねるので、CM出身の監督にはぴったりだったかも。
不老不死になって姿が変わらないというお話はこれまでにもいくつもありましたが、目が覚めるたびに姿が変わるというのは初めてです。どんな姿になるのかは、なってみないとわからないので、イスに会いたいウジンは苦心惨憺。そこが笑いを呼ぶのですが、本当にこんな目にあったら気が変になるかもしれません。諦めて折り合いをつけたり、面白いと思う余裕ができるには時間がかかりそうです。自分だったらどうするか、考えてみるのも一興。(白)


老若男女、韓国人じゃなくて異国の人だったりと、毎日変わるウジン! 演じた123人の名前すべてが「輝国山人の韓国映画」のサイトに出ています。もしかして、お気に入りの俳優さんが出ているかも。ぜひチェックしてから映画を観にいってください。登場順で出ていますので、出てきそうなあたりで心構えを!
もっとも私が知っている人はごくわずか。皆、プレス資料に名前が出ていたので、いつ出るかなぁ〜と待ち構えました。イ・ジヌク(『卑劣な街』『怪しい彼女』)は、いつものようにいかにもの好青年。キム・ジュヒョク(「プラハの恋人」「武神」)は、昨年末にKBSの人気バラエティ番組「1泊2日」を惜しまれながら降板したばかりですが、本作でもなかなか重要なポジションで登場。独特の禿げ頭のキム・サンホは、ドラマ「棚ぼたのあなた」や『黒く濁る村』『海にかかる霧』『ワンドゥギ』など数多くの映画の名脇役で、もう、この人が出てくるだけで笑ってしまうおじさん。今回も絶妙のタイミングで登場します。(『きみに微笑む雨』で成都に出張したチョン・ウソンを出迎えた駐在員で酒好きのおっさんといえばわかるでしょうか・・・) 
恋に落ちてしまったウジンは、思いを告白するのにイケメンで朝を迎える日を待ちます。そして、この顔を保つために3日間寝ないでイスとの逢瀬を重ねます。
さて、このイケメン役は誰なのか・・・ これは観てのお楽しみ! (咲)


2015年/韓国/カラー/シネスコ/127分
配給:ギャガ・プラス
(C)2015 NEXT ENTERTAINMENT WORLD. All Rights Reserved.
公式サイト:http://gaga.ne.jp/beautyinside/
2016年1月22日(金)TOHOシネマズ新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 20:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月17日

老兵挽歌 〜異郷に生きる〜

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1/9(土)〜22(金)2週間限定モーニングショー
監督・撮影 林雅行 
撮影・編集 高良沙葵
撮影 伊藤文美、市川絵理子
音楽 林恵吾 
 
『風を聴く〜台湾・九份物語〜』(2007年)、『雨が舞う〜金瓜石残照〜』(2009年)、『呉さんの包丁〜戦場からの贈り物(2013年)』など、台湾現代史を紐解くドキュメンタリーを製作してきた林雅行監督。
2011年に製作された『老兵挽歌』が公開されている。
シネマジャーナル本誌では2012年発行の85号で紹介しているが、公開が延期になっていた。

中国大陸で生まれ、日本軍と戦い、中国共産党軍と戦い、アメリカ軍とも戦い、台湾で余生を過ごす老兵たちの物語

1945年、日本の敗北で太平洋戦争は終わり、抗日戦争で一緒に戦っていた蒋介石率いる国民党軍と毛沢東率いる共産軍は、1946年、内戦に突入する。1949年、勝利した毛沢東は中華人民共和国建国を宣言。敗れた蒋介石は台湾へ渡った。その数200万人、うち兵士は60万人。彼らは外省人と呼ばれる。
 「反攻大陸」をスローガンに、蒋介石は台湾全土に戒厳令をしき、1年準備、2年反攻、3年掃蕩、4年成功を企図し、下級兵士には結婚を禁じた。数々の優遇措置を受けた兵士たちは「戦士」と呼ばれていたが、退役する者が増える頃、「栄民(栄誉国民)」と呼ばれるようになり、国家は栄民に数々の特典を与えた。
 栄民は大別すると4つに分けられる。まず、台湾社会に入った栄民で、数は少ない。次に眷村(けんそん)と呼ばれる村に家族と住む栄民、陸軍、海軍、空軍など部隊ごとに住んでいる。土地は軍が所有し、栄民には国から終身俸給が与えられる。水道、電気、ガス料金は半額。1982年時点で880の眷村があった。眷村出身者にはテレサ・テン、候孝賢、エドワードヤンなどがいる。3つめが「栄民の家」で、家族をもたない独居栄民が集団で生活している。台湾全体で18ヶ所(2010年時点で約10万人)あり、施設内には食堂、売店、理髪店、娯楽場、映画館、病院などが完備している。眷村と「栄民の家」は、軍の管理下にある。そして、軍の管理下でなく自由に生活したいと思う栄民の集落がある。蒋介石の時代は、国民党にとって台湾は仮の住まい。いずれ大陸に戻るはずだった。しかし、その機会は訪れなかった。
 1987年7月、38年間続いていた戒厳令が解除され、野党の結成が認められたり、報道の自由が保障され、老栄民が中国に戻り肉親を探すことが可能になった。台湾と中国の経済交流は、年を追うごとに増え、観光客だけでなく多くの経済人も行き来している。栄民=老兵たちのほとんどは、一時的に中国に行き、肉親と再会することがあっても人生の大半を過ごした台湾で余生を送っている。
 国共内戦終了後も中台の武力衝突は1970年代後半まで続いた。1950年に朝鮮戦争が勃発し、中国共産党軍の兵士として出兵し、捕虜になった兵士の中で、中国への帰国でなく台湾行きを望んだ者もいた。彼らは反共義士と呼ばれ、その数14000人ともいわれる。
そんな老兵たちのことを丁寧に取材したのがこの作品である。
老兵挽歌栄民の家.jpg


去年、山形ドキュメンタリー国際映画祭で『陳才根と隣人たち』(呉乙峰/ウー・イフォン監督/1996)、『河北台北』(李念修/リ・ニェンシウ監督/2015)の2作品を観た。また、東京国際映画祭では王童(ワン・トン)監督の『風の中の家族』を観た。これらは、みな老兵たちのことを扱った作品である。シネマジャーナル95号(2015年冬号)では、この老兵たちを扱った作品がとても印象に残ったとも書いた。
それは2012年に、この『老兵挽歌 〜異郷に生きる〜』を観ていたからこそだと思う。『老兵挽歌 〜異郷に生きる〜』を観て、ほとんど描かれてこなかったこの老兵たちのことが気になっている。
いつか大陸に戻りたいという思いで生きている外省人の老兵たち。老兵たちはほとんどが80代以上になった。これらの作品は、波乱万丈の生涯を送った人たちの記憶が忘れ去られてしまわないように、歴史を伝えたいという思いが伝わってくる。しかし、台湾の戒厳令が解除された1987年までは、台湾ではこういう内容はタブーで作ることができなかったという。外省人というと大陸からやってきて台湾を支配しているというイメージだけど、故郷と家族、生きる希望を奪われ、孤独で貧しい老人たちこそ、実は〈外省人〉の多数を占めていることを実感できる。(暁)



posted by akemi at 03:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月16日

ふたりの死刑囚

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監督:鎌田麗香
プロデューサー:齊藤潤一
撮影:坂井洋紀

昭和41年「袴田事件」:清水市の味噌会社専務の住宅が焼け、家族4人の焼死体が見つかった。当時従業員だった袴田巖(30歳)の部屋から血のついた衣服が発見され逮捕。公判開始から無実であること、自白は強要されたとして冤罪を主張したが1980年死刑が確定する。
2014年3月27日静岡地方裁判所は再審開始を決定、死刑の執行と拘置の執行を停止した。同日47年7ヶ月ぶりに釈放。78歳になっていた。長年の拘置所生活による拘禁反応で精神に障害が残っている。

昭和36年「名張毒ぶどう酒事件」:三重県名張市の小さな村の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した。奥西勝(35歳)が容疑者とされ、三角関係を清算するため農薬を混入したと自白するが、逮捕後無実を訴える。1972年の死刑判決後、冤罪を主張して再審請求を繰り返したが、2012年より体調悪化のため医療刑務所に収容。寝たきりの生活を送っていたが、肺炎により2015年10月4日死亡(享年89歳)、第9次の請求は奥西勝の死亡により棄却された。

死刑判決の出た事件で後に逆転無罪になった例はどのくらいあるのでしょう?容疑者の自白を重く見ていた時代には、冤罪が多発していたのでは?と素人の私でも思いが至ります。DNA鑑定が精確になり、科学的な証拠を積み重ねられる現代は潔白を証明しやすくなったのかもしれません。しかし、冤罪事件の真実と真犯人はいったいどこに?(白)

2015年/日本/カラー/HD/16:9/85分
配給:東海テレビ放送
(C)東海テレビ放送
http://www.futarinoshikeisyu.jp/
★2016年1月16日(土)ポレポレ東中野にて緊急公開
posted by shiraishi at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最愛の子(原題:親愛的)

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監督:ピーター・チャン
脚本:チャン・ジー
撮影:チョウ・シューハオ
音楽:レオン・コー
出演:ヴィッキー・チャオ(リー・ホンチン)、ホアン・ボー(ティエン・ウェンジュン)、トン・ダーウェイ(カオ・シア)、ハオ・レイ(ジュアン/ルー・シャオジュアン)、チャン・イー(ハン)、キティ・チャン(ファン・ユン)

2009年の中国広東省シンセン。ネットカフェを経営しているティエンは、妻と別れて3歳の一人息子ポンポンと暮らしている。ある日ポンポンは友だちと遊んでいるときに、母親の車を見かけて後を追っていく。なかなか戻らない息子を探し、元妻のジュアンと警察に知らせるティエン。ようやく駅の防犯ビデオに見知らぬ男と一緒にいるポンポンの映像が見つかるが、手がかりはとぎれてしまう。わが子を探しながら励ましあう親たちの会にも入会し、探し続けて3年、遠く離れた安徽省の農村でポンポンらしい子がいるとの情報が入った。
誘拐犯はすでに病死して、妻のホンチンが一人で育てていた。駆けつけるティエンとジュアンだったが、6歳になったポンポンに実の親の記憶はなく、ホンチンを慕って泣くばかり。ホンチンは自分が不妊症のため、夫が愛人に産ませた子と信じてジーガンと名づけ、3年の間実の子のように可愛がっていた。

中国では実際に子どもの誘拐事件が多発し、ピーター・チャン監督はそれを報じたテレビ番組を見て、この作品を作ったのだそうです。前半は誘拐されたわが子を探す両親、後半は突然実の親に子どもを連れていかれた母親が、会いたいと追いかけるストーリーです。必死に手を尽くして探し続ける父親をホアン・ボー。育ての親ホンチンをヴィッキー・チャオ。テレビドラマ「環珠格格」(1998)でおてんばな姫様だった小燕子も、大きな子のお母さん役ができる年頃になりました。出身地の安徽省方言を駆使し(聞き分けられませんが、東北の方言かな)すっぴんで演じています。
どちらの話も哀切で、やりきれない思いになるのですが、ピーター・チャン監督は実話とは違うラストを加えて、さらに印象深くしていました。最後に流れる「親愛的小孩」は香港のディニー・イップとアンディ・ラウが親子として共演した『法外情』(1985年/香港)の主題歌。懐かしい〜。(白)


2014年/中国・香港/カラー/シネスコ/130分
配給:ハピネット/ビターズ・エンド
(C)2014 We Pictures Ltd.
http://www.bitters.co.jp/saiainoko/
★2016年1月16日(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 香港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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