2016年01月31日

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります(原題:5 Flights Up)

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監督:リチャード・ロンクレイン
原作:ジル・シメント
脚本:チャーリー・ピータース
音楽:デヴィッド・ニューマン
出演:モーガン・フリーマン(アレックス・カーバー)、ダイアン・キートン(ルース・カーバー)、シンシア・ニクソン(リリー・ポートマン)、クレア・バン・ダー・ブーム(若き日のルース)、コーリー・ジャクソン(若き日のアレックス)

アレックスとルースの夫婦は、結婚以来40年間住み続けている我が家を売って住み替えようと話し合っている。ブルックリンが一望できるこの最上階の住まいには愛着があるが、年を重ねた今エレベーターなしで5階まで上り下りするのが負担になってきたのだ。
不動産業エージェントをしている姪のリリーが明日の準備に訪れる。購入希望者が家の内覧にやってくるので、事細かにテクニックを伝授するリリー。妻の心配はわかるが、アレックスの本音はここから移りたくない。

ロングセラーの小説が名優二人の初共演で映画化されました。ニューヨークのブルックリンを舞台に、老境に入った仲睦まじい夫婦の物語が語られます。黒人と白人のカップルが珍しかった40年前、親の反対も押し切って結婚した二人は若く、階段などものともしませんでした。長い年月を経て足腰に痛みが出る年頃になり、住み替えを余儀なくされるとは身につまされます。
面白いのはオープンハウスにやってくる様々な人々の描写です。まだ暮らしているところにずかずかと他人が入り込んで値踏みし、価格交渉もするのがアメリカでは普通のことなんでしょうか。全然買う気のないただのひやかしまで混じっているのも可笑しいです。つましく暮らしていたところが大きな額のお金の話になってしまい、舞い上がるルースに「落ち着いて〜」と言いたくなってしまいました。アクシデントもからませて、短い時間によくまとめられた作品でした。さて、結末は?どうぞ劇場で。(白)


2014年/アメリカ/カラー/シネスコ/92分
配給:スターサンズ
(C)2014 Life Itself, LLC ALL Rights Reserved
http://nagamenoiiheya.net/
★2016年1月30日(土)シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
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2016年01月24日

ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来る(原題Om de wereld in 50 concerten:)

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監督:エディ・ホニグマン
撮影:フフト・ヒルタイ
出演:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)

オランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルと並ぶ世界三大オーケストラ。2013年に創立125年を迎えるのを記念して、一年に50回の公演を開催することになった。このワールドツアーに密着し、舞台裏や指揮者、楽団員、コンサートを楽しむ観客たちを撮影した公式記録映画。

エディ・ホニグマン監督は山形国際ドキュメンタリー映画祭にたいへん縁の深い方で、これまで何度も作品が上映され受賞もしています。この楽団の公式記録映画として撮影された本作は、観客が興味を持ちそうなバックステージ、練習風景がおさめられています。それだけでなく、オフの楽団員のようす、世界各地でコンサートを楽しみにしているファンたちの表情を細やかにとらえていて、門外漢の私にも音楽の良さがしみじみと伝わってきました。厳しい生活を送っている南アフリカの学生たちが、楽器の演奏中に見せるはじける笑顔、ステージを食い入るように見る強い視線に生の音楽の力をびんびんと感じます。(白)

2014年/オランダ/カラー/ビスタ/98分
配給:S・D・P
(C)2014 Cobos Films & AVRO
http://rco-movie.com/
★2016年1月30日(土)より渋谷ユーロスペース 他全国順次公開
posted by shiraishi at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | オランダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

俳優 亀岡拓次

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監督・脚本:横浜聡子
原作:戌井昭人
撮影:鎌苅洋一
音楽:大友良英
出演:安田顕(亀岡拓次)、麻生久美子(室田安曇)、宇野祥平(宇野泰平)、新井浩文(山之上)、
染谷将太(横田)、三田佳子(松村夏子)

亀岡拓次は37歳、独身。俳優業だが脇役メインで、声がかかればどこへでも行き、オファーはほぼ断らない。おかげで重宝されて、そこそこ仕事は切れ目なくある。諏訪市のロケ先で、たまたま入った居酒屋の娘あづみさんに一目ぼれしてしまう。笑顔と気の利いた会話に心もほっこり温まり再会を楽しみに店を後にする。
ある日、世界的な巨匠のアラン・ペッソ監督が極秘で来日、かねてより心酔していた監督の作品に参加できるとあって、オーディションを受けることにした。拓次の恋の行く末はいかに?そして海外監督作品への出演は果たしてかなうのか?

昨年の東京国際映画祭で一足お先に観ることができた脇役俳優が主役の作品。久しぶりの横浜聡子監督が脚本も手掛けています。
2015年に5本の映画に出演、短い出番でも印象に残る安田さんが、堂々の主役。2014年の『小川町セレナーデ』でのエンジェル役(女装もお似合い)が目に焼き付いています。新宿2丁目のおねえさんたちが集合した試写会も、強烈なインパクトがありました。
安田さんは高そうなスーツのマル暴系の役も長身に似合いますが、今回の亀岡拓次は金なし、彼女なしでいつも背を丸めて歩いています。ベテランの脇役として監督には覚えめでたく、たくさんの監督(俳優さんが次々に登場!)がひいきにしています。そんな拓次が恋した若女将におずおずと話しかける様子がなんとも可愛らしく、うまくいくようにと思わず祈ってしまいます。あづみ役の麻生久美子さんは出戻り子持ちの設定ですが、清楚な色気も漂って、こんな人がカウンターにいたらさぞお客が増えることでしょう
大学時代からの演劇ユニット「TEAM NACS」では大泉洋さんが早くから主役を張って活躍していますが、安田さんの善悪どちらもいける外見とキャラも貴重です。地元北海道では1週間早く公開。(白)


2015年/日本/カラー/シネスコ/123分
配給:日活
(C)2016「俳優 亀岡拓次」製作委員会
http://kametaku.com/
★2016年1月30日(土)全国ロードショー、1月23日(土)北海道先行ロードショー
posted by shiraishi at 19:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月23日

メモリーズ 追憶の剣(英題:Memories of the Sword)

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監督・脚本:パク・フンシク
撮影:キム・ビョンソ
武術監督:シン・ジェミョン
音楽:モグ
出演:イ・ビョンホン(ユベク)、チョン・ドヨン(ウォルソ)、キム・ゴウン(ホンイ)、ジュノ(ユル)、ペ・スビン(プンチョン)

身分に関わらず、力次第で覇者となれた高麗末期。ドッキ、プンチョン、ドッキの恋人ソルランの3人は最強の剣を携え反乱軍を導いていた。王の目前にせまったとき、ドッキの裏切りにより反乱は失敗。プンチョンと妻は命を落とし、ソルランはプンチョンの遺児と姿を消した。
 18年後、ドッキはユベクと名を変え権力の座を登り詰めようとしていた。武術大会に飛び入りした少女に、ソルランの太刀筋を認めたユベクは後を追う。少女はウォルソ(ソルラン)が親代わりとなって武術を教えてきたホンイ。ウォルソは、ユベクと自分が親の仇と打ち明けた。茫然とするホンイにプンチョンの形見の剣を渡し、次に会うときはどちらかが死ぬ、と言い放って袂を分かつ。

『王になった男』(2013年)の後、ハリウッド作品が続いていたイ・ビョンホンが久しぶりに時代劇に出演しました。衣を翻してのワイヤーアクション、野心に取り付かれた男が涙を見せるロマンスもやっぱり似合います。
『我が心のオルガン』(1999年/日本公開は06年)以来の共演というチョン・ドヨンは、『シークレット・サンシャイン』でカンヌ映画祭主演女優賞受賞。海外での評価も高いです。
運命に引き裂かれた悲恋の二人、そこまで厳しく思いつめなくても、と思ってしまうのは現代感覚。義を重んじる侠客は仲間を裏切ることは万死に値するのです。血は血で、と決意するソルランが悲愴でした。
伸びやかなホンイ役のキム・ゴウンはどこか安藤サクラ似で、いい女優さんになれそうです。2PMのイ・ジュノがホンイに手を貸す若き剣士でさわやか。ちょっとだけラブシーンあり。(白)


2015年/韓国/カラー/シネスコ/120分
配給:クロックワークス
(C) 2015 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
http://memories-movie.com/
★2016年1月23日(土)全国ロードショー
posted by shiraishi at 13:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

愛しき人生のつくりかた  原題:LES SOUVENIRS

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監督・脚本:ジャン=ポール・ルーヴ
原作・共同脚本:ダヴィド・フェンキノス(『ナタリー』)
出演:アニー・コルディ(『雨の訪問者』)、ミシェル・ブラン(『仕立て屋の恋』)、シャンタル・ロビー、マチュー・スピノジ、ジャン=ポール・ルーヴ(『エディット・ピアフ〜愛の賛歌〜』)
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パリ、モンマルトル墓地。クリスマスを前に旅立ってしまった最愛の夫の埋葬を済ませたマドレーヌのもとに、孫のロマンが遅れてやってくる。育て上げた3人の息子よりも一番話し相手になってくれる孫。一人暮らしになってしまったマドレーヌは、息子ミシェル一家と共に暮らすことになる。引き払うことになったアパルトマンを整理しながら、孫ロマンに思い出を聞かせるマドレーヌ。作家志望のロマンにとって、祖母の人生の物語は興味津々だった。
マドレーヌが怪我をして病院に運び込まれたことを機に、息子たちの意向で老人ホームに入ることになる。入居して間もなく、マドレーヌは突然いなくなってしまう。ロマンは祖母から聞いた思い出話から、行先はここに違いないと祖母を探す旅に出る・・・

もう、ほんとに愛しい映画なのに、紹介がすっかり遅くなってしまいました。
とにかく観てほしい! 珠玉の1作です。
孫ロマンは、こんな孫ならいてほしい!と思うような好青年。戦争の時代を経てきた祖母マドレーヌの人生を、きっといつか小説にしてくれると思わせてくれます。映画では、ロマンの恋物語も描かれます。
息子ミシェルは、郵便局を定年退職したばかりで、いつも家にいて、妻はうんざり気味。この中年夫婦の物語に身につまされる方も多いかも。
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そして、ロマンの友人にカリームというお調子者のアラブ系青年もいて、フランス社会にはまわりに必ずイスラーム系移民がいることも感じさせてくれます。(咲)


2015年/フランス映画/フランス語/93分/原題:Les Souvenirs/
配給:アルバトロス・フィルム
c2013 Nolita cinema – TF1 Droits Audiovisuels – UGC Images – Les films du Monsieur – Exodus – Nolita invest
公式サイト:http://itoshikijinsei.com
★2016年1月23日(土)、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
posted by sakiko at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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