2015年12月06日

I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE(原題:The Peanuts Movie)

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監督:スティーブ・マーティノ
原作チャールズ・M・シュルツ
脚本:クレイグ・シュルツ
ブライアン・シュルツ
音楽:クリストフ・ベック
日本語版主題歌:絢香
声の出演:ノア・シュナップ(チャーリー・ブラウン)、ビル・メレンデス(スヌーピー/ウッドストック)、フランチェスカ・カパルディ(赤毛の女の子)、マリエル・シーツ(サリー)、ハドリー・ベル・ミラー(ルーシー)
日本語吹き替え:鈴木福(チャーリー・ブラウン)、芦田愛菜(赤毛の女の子)、小林星蘭(サリー)、谷花音(ルーシー)

内気なチャーリー・ブラウンは、なにをやってもうまくいかない不器用な少年。そんな彼の飼い犬で大親友のスヌーピーは、いつも犬小屋の屋根で大好きな空想にふけっている。今日もお気に入りのパイロット、フライング・エースになりきって大空を飛び回っている。ある日チャーリーのクラスに、赤毛の女の子が転校してきた。ひとめで恋に落ちたチャーリーは、なんとかして彼女に話しかけたい。

原作「PEANUTS」がアメリカの新聞に掲載されたのは1950年。作者のチャールズ・M・シュルツが亡くなる2000年2月まで、50年もの間連載された大人気コミックです。日本では1969年に谷川俊太郎さんの名訳で単行本が発売されました。大人が登場しない子供達だけの世界を描いたコミックが世界中で親しまれ、セリフのない飼い犬のスヌーピーが世界で一番有名な犬になったのはご存知の通り。
今回初めてCG/3Dアニメでお目見えしましたが、シュルツ氏の息子のクレイグとそのまた息子のブライアンが脚本にあたっています。監督は柔らかい色調が印象的なアニメ『ホートン ふしぎな世界のダレダーレ』(2008年)『アイス・エイジ4 パイレーツ大冒険』(2012年劇場未公開)のスティーブ・マーティノ。監督をはじめ、スタッフが原作ファンぞろいというのがわかる愛情あふれる作品でした。(白)


2015年/アメリカ/カラー/88分
配給:20世紀フォックス映画
(C) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. 
PEANUTS (C) Peanuts Worldwide LLC

http://www.foxmovies.jp/snoopy/
★2015年12月4日(金)より公開
posted by shiraishi at 13:51| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

イスラーム映画祭

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会期: 2015年12月12日(土)〜18日(金)
会場: 渋谷ユーロスペース
主催: イスラーム映画祭実行委員会
特別協力: TRANSIT編集部
運営:シネヴィル(シーハウス)
オフィシャルWEBサイト:http://cineville.jp/iff/

イスラームというと、最近は真っ先に浮かぶのがイスラーム国の名で浸透してしまったISISという超過激なグループ。そうでなくても、これまでもとかくマイナーな報道が多く、怖い宗教、排他的といったイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。
世界3大宗教の一つで、信者は世界の人口の2割強にあたる16億人強。一番イスラーム人口の多いのが、実はインドネシアで2億人強。2位がパキスタンで、3位は宗教の違いで分離独立したはずのインド。いずれも2億人近く。
国や民族によって、同じイスラームといっても多種多様。
そんな多彩なイスラーム世界を9本の映画を通じて垣間見ることのできる素敵な企画を立ててくださった藤本高之さんに感謝!(咲)

オープニング作品

『禁じられた歌声』
2014年/フランス=モーリタニア/カラー/97分/DCP
監督:アブデラマン・シサコ
マリの古都ティンブクトゥ近郊のニジェール川沿いで暮らす少女トヤ。父の奏でる音楽が大好きだ。町はいつしかイスラーム過激派に占拠され、音楽に煙草やサッカー、そして笑うことさえも禁じられてしまう。女性には肌を隠すよう強要し、魚を売る女性に手袋をしろとまで命じる。やがてトヤの家族にも、過激派の不気味な影が忍び寄ってくる・・・・
配給:レスぺ/配給協力:太秦
12月26日(土)よりユーロスペースにて公開 
http://cineville.jp/iff/archives/product/36

『トンブクトゥのウッドストック』
2013年/ドイツ/90分/カラー/ブルーレイ
監督:デズィレ・フォン・トロタ
サハラ砂漠に暮らす遊牧民トゥアレグが、『禁じられた歌声』と同じ舞台で毎年開催してきた音楽祭「砂漠のフェスティバル」。現在、関係者の多くは難民となっている。
2011年に開かれたフェスの模様を、詩情豊かに描いた音楽ドキュメンタリー。

『ガザを飛ぶブタ』
2010年/フランス=ベルギー/99分/カラー/DCP
監督:シルヴァン・エスティバル
ブタを釣ってしまうパレスチナ人の漁師役をイスラエルの名優サッソン・ガーベイ、売り込み先のユダヤ人女性をチュニジア出身女優が演じている。イスラームとユダヤ双方にとって禁忌の豚をめぐる珍騒動を通じて和平を考える。
東京国際映画祭で観客賞受賞。
タイトルに惹かれ、観てさらに気に入り、シネジャ83号の表紙に採用。
当時シルヴァン・エスティバル監督はウルグアイ在住。記者会見は英語でしたが、合同取材の時にはフランス語・・・ 思わず、「あなた、何者?」と質問してしまいました。AFP通信の記者で現在中南米担当という次第でした。主演女優のミリアム・テカイアさんはチュニジア出身。監督とはプライベートでもパートナー。とてもラブリーなカップルでした。
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83号にインタビュー掲載


『長い旅』

2004年/モロッコ=フランス/108分/カラー/35mm
監督:イスマエル・フェルーキ
モロッコ移民の父のメッカ巡礼に付き添うフランス育ちの息子。南仏からサウジアラビアへと七ヵ国をまたぐ旅の間に、少しずつ近づく父子の心。本物のメッカの映像が圧巻。
67号 アラブ映画祭2006

『法の書』
2009年/イラン/94分/カラー/35mm
監督:マズィヤール・ミーリー
出張先のベイルートでキリスト教徒の女性と恋に落ちイランに連れ帰る40歳の独身男。改宗した嫁がクルアーン片手に講釈するのが気に食わない姑は、嫁のいびり出し作戦を企てる。異教徒との国際結婚を通じて、文化や宗教の違いを乗り越える術をコメディータッチで描く。主演は名優パルヴィーズ・パラストウィー。
78号 東京国際映画祭2010年
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★東京国際映画祭で上映した折に来日したマズィヤール・ミーリー監督インタビュー 
http://www.cinemajournal.net/special/2009/honosho/index.html

『二つのロザリオ』
2009年/トルコ/90分/カラー/35mm
監督:マフムト・ファズル・ジョシュクン
モスクで礼拝の時刻を告げる仕事に就いた青年ムサ。隣に住むカトリックの女性クララに恋心を抱く。ある日、彼女が落としたロザリオを拾う・・・ もどかしく切ない恋物語。
78号 東京国際映画祭2010年  
トルコ映画祭2014年12月、『はかない期待』の題で上映された。

『カリファーの決断』
2011年/インドネシア/90分/カラー/HD-COM
監督:ヌルマン・ハキム
厳格なムスリムと結婚したカリファー。夫の要求で外出時にはニカブをまとうようになる。次第に精神的に追い詰められていく彼女を通して、真のイスラームを考える。
83号 東京国際映画祭2011年

『ムアラフ 改心』
2009年/マレーシア/87分/カラー/35mm
監督:ヤスミン・アフマド
父親の虐待から逃れて暮らす敬虔なムスリムの姉妹。敬虔な華人のカトリックの教師と出逢い、お互いの世界観を広めてゆく…。

『神に誓って』
2007年/パキスタン/168分/カラー/35mm
監督:ショエーブ・マンスール
共にミュージシャンの兄弟。過激派思想に走る弟。兄はアメリカに留学するが、9.11事件の後、テロの関与を疑われて逮捕されてしまう。パキスタン国内における原理主義とリベラルなムスリムの軋轢や、異教徒間での結婚など、様々なテーマをダイナミックに捉えた重量級の社会派ドラマ。
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75号 アジアフォーカス・福岡国際映画祭(福岡観客賞受賞)
ショエーブ・マンスール監督『BOL〜声をあげる〜』インタビューの中で、少しこの作品についても触れています。
http://www.cinemajournal.net/special/2015/BOL/index.html
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2015年12月04日

海難1890

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企画・監督:田中光敏
脚本:小松江里子
音楽:大島ミチル
出演:内野聖陽、ケナン・エジェ、忽那汐里、アリジャン・ユジェソイ、小澤征悦、宅間孝行、大東駿介、渡部豪太、徳井 優、小林綾子、螢 雪次朗、かたせ梨乃、夏川結衣、永島敏行、竹中直人、笹野高史

日本トルコ友好125周年を迎えた2015年。
本作は、両国の深い絆の証である二つの史実を描いた物語。

その1「1890年エルトゥールル号海難事故編」
1890年9月、和歌山県串本町沖でオスマン帝国の軍艦「エルトゥールル号」が台風に遭遇して座礁し大破する。船には、明治天皇への謁見を終えたオスマン帝国初の親善訪日使節団一行と乗組員618人が乗っていた。大惨事を知った串本の人たちは、町をあげて暴風の中、献身的な救助を行った。500名以上が命を落としてしまったが、69名の命が救われた。備蓄の少ない中から食事や衣服を提供し、手厚い看病を続けた串本の人たち。その後、69名は無事故国に帰還する。

その2「1985年テヘラン邦人救出劇編」
海難事故から95年後。1985年、イラン・イラク戦争の停戦合意が破棄され、空爆の続くのイランの首都テヘラン。サダム・フセイン大統領が48時間後、イラン上空を飛行するすべての飛行機を無差別攻撃すると宣言。日本大使が外務省に救援機を要請するが、就航便がないことから無理だと言われる。他の国々の人たちが自国の救援機で脱出する中、日本人は取り残されてしまう。それを救ったのがトルコの救援機だった。日本の官民からの要請を受けたトルコのオザル首相は、自国民を危険にさらすことになるとの周囲の反対を押し切って、日本人のための救援機の追加派遣を決断する・・・

串本沖で海難事故にあったエルトゥールル号に乗っていたトルコの人たちを串本の人たちが助けた美談が、トルコの教科書にも載っていて語り継がれていると聞いたのは、32年前、初めてトルコを訪れた頃のことでした。トルコの人たちが親日的なのは、日露戦争でトルコの敵ロシアを倒したからという話は、それ以前にも聞いたことがあったのですが、それ以上にこのエルトゥールル号事件がトルコの人たちの日本への思いに深くかかわっていると知りました。
1985年、イラクからの無差別攻撃宣言の中、オザル首相が英断をくだしたのも、1890年に自国民が日本で助けられたという思いもあったのでしょう。(オザル首相は1993年に亡くなられました。本作で演じた方、なかなかよく似ています)
そして、このトルコの救援機で、私の勤務していた会社の上司ご夫妻(ご自宅もすぐそばでした)と、大学の1年先輩がテヘランを脱出しています。上司の奥様から、「テヘランの航空会社をいくつも回って航空券を入手しようとしたけど駄目だったのよ」と聞かされたのを思い出します。そして、大学の先輩はその後イスタンブルに駐在中の1999年、トルコで大地震が発生。1985年に救援機で助けられた関係者を中心に義捐金を集め、トルコ政府に手渡すという大任を預かりました。
95年を経た二つの物語を一つの映画の中で描いたと知って、違和感はないのかと、ちょっと心配したのですが、エルトゥールル号に乗っていた大尉ムスタファを語り手にして、時代を超えた物語をうまく紡いでいます。
テヘラン市内の様子やメヘラバード空港の場面などは、トルコのイスタンブル周辺で撮影されています。一瞬映るテヘランの空港近くのアーザーディ・タワーは、イラン映画の日本への紹介でお馴染みのショーレ・ゴルパリアンさんが撮影し提供したものとのことです。テヘラン編では、ペルシア語も聞くことができます。
歴史の中の美談、人と人は繋がり合えることを実感できる物語をぜひ映画を通じて知っていただければと思います。(咲)


2015年/日本・トルコ/カラー/2時間12分
配給:東映
公式サイト:http://ertugrul-movie.com/
★2015年12月5日(土)公開
posted by sakiko at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月03日

放浪の画家ピロスマニ  デジタルリマスター版  原題:Pirosmani

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監督:ギオルギ・シェンゲラヤ
脚本:ギオルギ・シェンゲラヤ、エルロム・アフヴレディアニ
出演:アヴタンディル・ヴァラジ、ダヴィト・アバシ、ギヴィ・アレクサンドリア

一杯の葡萄酒と乾し草のベッド グルジアは私のキャンパス
古い歴史、豊かな山河 ―― 美しい映像で語る孤高の画家への追憶

グルジアを代表する画家ニコ・ピロスマニ(1862年-1918年)。
ロシア帝政下のグルジアのチフリス(現在の首都トビリシ)。幼い頃に両親を亡くしたピロスマニ。長年世話になっていた家の娘に恋文を送ったことから騒ぎとなり、その家族のもとを離れ、鉄道員として全国を旅した後、友人ディミトリと乳製品の店を開く。やがて、故郷の姉夫婦の取り持つ縁で結婚式を挙げている最中に、彼の金が目当てだとわかり式を抜け出し、姉とは仲たがい。ディミトリとも関係が悪化し、ピロスマニは店の商品を貧しい人々に分け与えて店を閉める。その後は、画材を抱えて酒場を回り、酒代の代わりに店の看板や壁に飾る絵を描く放浪の日々。ある日、フランスからきた女優マルガリータに一目惚れするが、報われない愛に、ピロスマニは一層孤独に陥る。やがて、彼の絵が中央の画壇に注目されるようになるが、それも長くは続かない・・・

乳製品の店が繁盛していても、乾し草の上で寝転がっているほうが好きなピロスマニ。
パブロ・ピカソに「私の絵はグルジアには必要ない。なぜならピロスマニがいるからだ」と言わしめたピロスマニの絵は、なんともユニーク。上手なのか下手なのか、どことなくユーモアの漂う牛の絵が微笑ましいです。また、最後の作品となった『カヘティの叙事詩』からは、当時のグルジアの村の様子が目に見えるようです。この絵を画くことになった経緯が映画で描かれていますが、人の優しさを知ることのできるエピソードです。
ピロスマニは、貧しい絵描きと女優の哀しい恋を歌った「百万本のバラ」のモデルでもあるそうです。孤独のまま病に倒れ最期を迎えたピロスマニ。自分の人生が歌や映画になるなんて夢にも思ってみなかったことでしょう。
本作はソ連時代の1969年に製作され、日本では1978年に『ピロスマニ』のタイトルでロシア語吹き替え版が劇場公開されています。今回は、デジタルリマスター版がオリジナルのグルジア語で37年ぶりに劇場公開となりました。
お薦めの1作、紹介がすっかり遅くなりました。(咲)


1969年/グルジア(現ジョージア)/グルジア語版/カラー・スタンダード/87分
配給:パイオニア映画シネマデスク
岩波ホールの作品サイト:
http://www.iwanami-hall.com/contents/now/about.html#info3
★2015年11月21日より岩波ホール他全国順次公開
posted by sakiko at 08:14| Comment(0) | TrackBack(0) | グルジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月02日

とちぎ国際有機農業映画祭 2015

今年も、とちぎ国際有機農業映画祭が開催されます!!

★12月6日日曜日、佐野市中央公民館にて9:30〜
入場料 前売:半日券(午前・午後)各800円 / 一日券1,600円
   当日:半日券(午前・午後)各1,000円 / 一日券2,000円
作品等、詳細


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posted by chie at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする