2015年11月01日

尚衣院 サンイウォン (英語題:The Royal Tailor)

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監督:イ・ウォンソク
出演:ハン・ソッキュ(チョ・ドルソク)、コ・ス(イ・ゴンジン)、パク・シネ(王妃)、ユ・ヨンソク(王)

王室の衣装を製作している尚衣院(サンイウォン)を取り仕切るドルソクは、30年もの一途な功績が認められて、半年後には両班(ヤンバン)に昇格することになっていた。
誤って焼け焦げを作ってしまった礼服を修復するため、巷で評判のイ・ゴンジンが急遽王妃のもとに呼ばれた。若く腕のいいゴンジンは、妓生(キーセン)の服もわけ隔てなく仕立て、斬新で動きやすいデザインが人気を博していた。見事に一日で礼服を修復し王妃の信頼を得たばかりか、たちまちに王宮でも競ってゴンジンに仕立を頼むものが現われる。ドルソクは内心苦々しい思いだが、ゴンジンは尊敬の念を持って仰ぎ見ている。ドルソクも次第にうちとけていくが、その若さと自由で飛びぬけた才能に嫉妬心もわくのだった。
王夫妻の仲は睦まじいとはいえず、寂しげな王妃のためにゴンジンは心をこめて最高の衣装を作り始める。

きらびやかな王朝内部の、それも衣装作りが観られるとは!あのたっぷりと布を使った韓服がどうやって作られるのか、興味津々でした。下着についてもこの作品で初めてわかりました。贅と技術の限りを尽くした衣装が素晴らしいです。間近で観てみたい!
伝統を重んじるもの、新しい工夫や改革を目指すもの、どこの国のいつの時代でも共通する対立や争いが、俳優の競演で描かれます。権力のトップであっても満たされない思いを抱える王と、豪華な衣装に包まれても寂しい王妃、どちらにも満足してもらいたと思っていた職人の二人だったのに、共存できる道はなかったのか?そうするとドラマにならないのですが、たたき上げのドルソクと天才肌のゴンジン、惜しいなぁと思わず肩入れしてしまったのでした。王妃役のパク・シネさんがとっても可憐です。(白)


2014年/韓国/カラー/ビスタ/127分
配給:クロックワークス
(C)2014 WAW PICTURES All Rights Reserved.
http://saniwon-movie.com/
★2015年11月7日(土)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シネマの天使

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監督・脚本・編集:時川英之 
出演: 藤原令子、本郷奏多、阿藤快、岡崎二朗、安井順平、及川奈央、小林克也(声の出演)

100年以上続く老舗映画館「大黒座」が閉館することになった。苦渋の選択をしながらも気丈に振舞う女性支配人(石田えり)のもと、新入社員 明日香(藤原令子)は閉館に向けて全力投球だ。閉館を惜しむ馴染み客たちが連日足を運んでくる。劇場の壁という壁がメッセージで埋まっていく。そんなある日、明日香は長いあご髭の老人が奇妙な言葉を残し、映画館の壁の彼方に消えていくのを目撃する。
いよいよ閉館の日を迎えた大黒座。スクリーンに最後の映画が映し出されたとき、あの不思議な老人が再び現われる・・・

広島県福山市にあった日本最古級の映画館「シネフク大黒座」。1892年芝居小屋として開館し、徐々に映画館に移行。最盛期の1960年代には40万人を動員、深夜まで1日7回上映したこともあったという。122年間にわたり地元の人たちから愛された映画館も、建物の老巧化などを理由に2014年8月に閉館。
製作総指揮は、『風の絨毯』(2003年)以来、映画作りに邁進する益田祐美子さん。取り壊しが決まって映画館の姿をなんとか映像に残したいという関係者の思いを聞いて、これはなんとかしてあげたい!と、立ち上がった姿が目に浮かびます。
シネフク大黒座の運営担当者から相談を受けて監督を引き受けたのは、広島在住の時川英之監督。オリジナル脚本を執筆して撮影に臨み、閉館までの日々、そして、取り壊しが始まるところまで映像に納めています。
映画館というのは、ただ、そこで上映された映画を観たというだけでない、人それぞれにたくさんの思い出が詰まった場所。映画の最後にクレジットが流れる脇に、各地の閉館された映画館の写真が映し出されました。横浜かもめ座、三百人劇場、渋谷パンテオンなどなど、私にとっても懐かしい映画館がいくつか出てきて、胸が熱くなりました。
さて、映画館に住みつく髭の老人が、最後に隠し部屋に誘ってくれます。その光景、実は、この夏、神戸・元町映画館で観たものでした! 
ヒントは、ここに! (咲)


配給:東京テアトル
後援:広島県 福山市 福山市市制100周年記念事業 
2015年/94分/日本/カラー/シネマスコープ/5.1chデジタル
公式サイト:http://cinemaangel.jp/
★2015年10月31日(土)広島先行公開 八丁座(広島市)、福山駅前シネマモード(福山市)
2015年11月7日(土)、ヒューマントラスト渋谷他 全国ロードショー
posted by sakiko at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

1001グラム ハカリしれない愛のこと(原題:1001grams)

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監督・脚本・製作:ベント・ハーメル
出演:アーネ・ダール・トルプ(マリエ)、ロラン・ストケル(パイ)、スタイン・ヴィンゲ(アーンスト・アーンスト)

科学者のマリエはノルウェー国立計量研究所に勤めている。あらゆる計測に関するエキスパートだが、実生活では結婚に破れ、離婚手続き中。人生では規格ハズレになっている。そんなとき父親が倒れ、代理としてパリの国際セミナーに出席することになった。重さの基準となる「キログラム原器」を肌身離さず携えていかねばならない。

普段の生活でなにげなく使っている重さの規格の大元になるものを「原器」というんですね。聞いたことはあっても見たのは、この映画が初めてです。マリエの勤め先「ノルウェー国立計量研究所」と、マリエが出席する会議が開かれるパリ郊外の「国際度量衡局」は、撮影が許可されたほんもの。
にこりともしないマリエは、四角い部屋を丸く掃いたりはしないだろう、クールな理系女子なんだろうとつい思ってしまいます。ところが、パリで出会った男性パイのおかげですこしずつ表情がほぐれていき・・・。
『キッチン・ストーリー』『ホルテンさんのはじめての冒険』で、男性を主人公にしたベント・ハーメル監督。規則遵守、決まりきった日常からちょっと外れてしまうところにドラマが生れましたよね。この作品は規格そのものの「原器」を抱えた女性。なんということもないシーンにクスっと笑える種がまかれていました。(白)


2014年/ノルウェー、ドイツ、フランス/カラー/シネスコ/91分
配給:ロングライド
BulBul Film, Pandora Film Produktion, Slot Machine (c)2014
http://1001grams-movie.com/
★2015年10月31日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 北欧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

裁かれるは善人のみ(原題:Leviathan)

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監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
脚本:アンドレイ・ズビャギンツェフ、オレグ・ネギン
撮影:ミハイル・クリシュマン
音楽:フィリップ・グラス
出演:アレクセイ・セレブリャコフ(コーリャ(ニコライ)・セルゲーエフ)、エレナ・リャドワ(リリア)、ウラジーミル・ウドビチェンコフ(ディーマ(ドミトリー)・セレズニョフ)、ロマン・マディアノフ(ヴァディム・シェレヴャト市長)、セルゲイ・ポホダーエフ(ロマ)

ロシア北部の小さな街。コーリャは父祖の代から住んできた海に面した土地で自動車の修理工場を営んでいる。妻に先立たれた後、若い後妻を娶って息子と3人で暮らしている。工場と住宅のあるこの土地を市長は再開発のために手に入れたがっていた。がんとして譲らないコーリャに手を焼いた市長は、権力をかさにあらゆる手を使ってくる。モスクワから旧友の弁護士を呼び寄せ、市長の弱点を握って攻勢に出ようとしたコーリャだったが。

アンドレイ・ズビャギンツェフ監督作品。2004年の『父、帰る』の後、10年の間を置いて『エレナの惑い』と『ヴェラの祈り』が続いて公開されています。どれにも共通する、苦いコーヒーを飲み干したような感じが残る作品です。それなのに最後まで目を背けさせない力があり、理不尽な世の中にため息をつきつつも、画面にひきつけられます。
大きなクジラの骨が残る海岸にびょうびょうとした風が吹きすさび、こちらまで寒くなって暖かいものが食べたくなります。ポトフかおでんの用意をしてから観るのをおススメ。(白)


2014年/ロシア/カラー/シネスコ/140分
配給:ビターズ・エンド
(C)2014 Pyramide / LM www.bitters.co.jp/zennin
http://www.bitters.co.jp/zennin/
★2015年10月31日(土)より新宿武蔵野館他、全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

エール!(原題:La famille Belier)

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監督:エリック・ラルティゴ
出演:ルアンヌ・エメラ(ポーラ・ベリエ)、カリン・ヴィアール(ジジ・ベリエ)、フランソワ・ダミアン(ロドルフ・ベリエ)、エリック・エルモスニーノ(トマソン)

ベリエ家はフランスの田舎町で農場を営んでいる。働き者の父、明るくて優しい母、女子高生の長女ポーラ、弟。ポーラ以外みな耳が聞こえない。子どものときからポーラは家族の耳と口の代わりをつとめてきた。
ポーラの歌の才能に気づいた音楽の教師は、パリの音楽学校で勉強するように勧めるが、ポーラは自分が家を出た後のことを思って逡巡する。進学したいと打ち明けられた母は、娘を失ってしまうと大反対。ポーラは家族のために夢を諦めようとするが…。

両親役のフランソワ・ダミアンとカリン・ヴィアールはフランス映画ではほんとうによく見かける俳優さん。口がきけない役なので、いつにも増して表情たっぷりです。手話もこの作品のために覚えたそうで、手の動きと表情を見ているだけでも結構伝わるものだなぁと感心しました。言語のように国による違いはあるのでしょうが、手話を万国共通にすると世界中の人と話せるのに、と思ってしまいました。
素晴らしい歌声を聞かせてくれたポーラ役のルアンヌ・エメラは、テレビのスター発掘のオーディション番組で脚光を浴びた少女で、すでにCDも出ています。臆せず力まず、家族思いの女子高生を演じています。どなたが観てもほっこりと温まる作品です。(白)


2014年/フランス/カラー/ビスタ/105分
配給:クロックワークス=アルバトロス・フィルム
(C)2014-Jerico-Mars Films-France 2 Cinema-Quarante 12 Films-VendOme Production-Nexus Factory -Umedia
http://air-cinema.net/
★2015年10月31日(土)新宿バルト9他全国ロードショー
posted by shiraishi at 15:50| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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