2015年10月06日

先生と迷い猫

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監督:深川栄洋(『60歳のラブレター』)
原案:木附千晶
脚本:小林弘利
撮影:月永雄太
音楽:平井真美子
出演:イッセー尾形(森衣恭一)、染谷将太(小鹿祥吾)、北乃きい(松川真由美)、ピエール瀧(広川)、嶋田久作()もたいまさこ(森衣弥生)、岸本加世子(井上容子)

森衣恭一は元校長先生。定年退職してから妻の弥生に先立たれ、教え子が今も校長先生と呼ぶこの小さな街で一人暮らしをしている。弥生がミイと呼んで可愛がっていた野良猫が毎日どこからか現われ、仏壇の前に座り込む。気持ちの折り合いがつかないまま、不器用に毎日を過ごしている先生は、邪険にミイを追い出してしまった。
来なければ来ないで、どうしているのか、事故にあってはいないかと気にかかる。探しているうちに弥生の行きつけの美容室にミイそっくりの猫の貼紙を見つけた。ミイはあちこちでいろんな名前で呼ばれてエサをもらい、高校生やおばあちゃん、に親しまれていたのだった。

埼玉県の岩槻市で実際にあった地域猫失踪事件を元ネタに、オリジナルの人物や出来事を加えてできあがった物語。ガンコで偏屈な先生は、毎日あてのない翻訳をするくらいしかすることがない。放り出した猫を探すうちに、それまで深く関わることのなかった街の人たちとの交流が広がっていきます。さまざまな事情をかかえた人々が猫と触れ合うことで、心のスキマが埋められいつしか、やわらかくなっていきます。かなり誇張したキャラの校長先生ですが、久しぶりの主演のイッセー尾形さんが演じると、リアルになってくるから不思議です。イッセーさんの猫イラストがまた味があります。
もう一人の主演といえるミイは、動物プロダクションに在籍し、NHKの朝ドラ「あまちゃん」にも出演したプロ猫女優のドロップ。ミルクティー色と灰色ののブチと縞とが混じったような毛並みが独特のせいか、スタントはなく単独で通しているようです。ずーっと前に飼ってた猫と似ているのでしんみりしてしまいました。(白)


2015年/日本/カラー/ビスタ/107分
配給:クロックワークス
(C)2015「先生と迷い猫」製作委員会
http://www.sensei-neko.com/
★2015年10月10日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月04日

ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男 英題:ALTMAN

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監督・製作:ロン・マン
脚本:レン・ブラム 撮影:サイモン・エニス 編集:ロバート・ケネディ 他
出演:ロバート・アルトマン、ポール・トーマス・アンダーソン、ジェームズ・カーン 他

第71回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門正式出品。『ナッシュビル』『ロング・グッドバイ』など多くの名作で知られ世界三大映画祭で最高賞、アカデミー賞名誉賞を受賞した監督ロバート・アルトマン。妻キャサリンの全面協力のもと彼を師と仰ぐ監督や、ジュリアン・ムーアら縁のある俳優や家族も登場。ハリウッドをクビになるも権力に頼らず、映画を撮り続けたアルトマンの人生を追った初のドキュメンタリー。

生誕90周年、インディペンデント映画の父・アルトマンの知られざる素顔と映画人生が描かれている。その人生は波乱万丈! ウソ八百で映画業界に潜り込み、独学で映画制作を学び、ヒッチコックに見いだされて大出世! ハリウッドで映画を作るようになっても自分流に映画を撮ってクビに…。それでも権力に媚びず、タブーを恐れず、撮影・録音方法に革命を起こし自由に映画を撮り続ける・・ 大尊敬です。「ロバート・アルトマンのスタイルは誰にも真似ができないほど独創的。彼の感性と芸術的視点はあまりに鋭く、私には到底手が届かない」とマーティン・スコセッシ監督をも唸らせる--他にも影響を受けた監督は数知れず。映画スター達もこぞって出演を熱望したそうです。微笑ましいホームムービーの映像にも心が打たれました。 (千)

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(C) 2014 sphinxproductions


2014/カナダ/95分
配給:ビターズ・エンド
公式サイト
★2015年10月3日より恵比寿ガーデンシネマほか全国順次公開中


posted by chie at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

真珠のボタン   原題, El boton de nacar

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監督・脚本:パトリシオ・グスマン
プロデューサー:レナート・サッチス
撮影:カテル・ジアン
編集:エマニュエル・ジョリー
写真:パス・エラスリス、マルティン・グシンデ
製作:アタカマ・プロダクションズ

チリ南部に位置する西パタゴニアの海底から、真珠貝のボタンが発見された。そのボタンは、かつて植民者によって祖国と自由を奪われた先住民の記憶を浮かび上がらせ、ピノチェト独裁政権下で政治犯として海に沈められた犠牲者たちの声をすくい上げていく・・・

南米チリを代表するドキュメンタリー作家パトリシオ・グスマン監督が、祖国チリがたどってきた苦難の歴史を大自然の圧倒的な映像美とともに描き、2015年ベルリン国際映画祭で銀熊賞(脚本賞)を受賞したドキュメンタリー。

『光のノスタルジア』で、ピノチェト独裁政権下、チリ北部アタカマ砂漠に埋められた人々のことを描いたグスマン監督。本作では、同時期に最南端の西パタゴニアの海に葬られた人々のことを描いている。氷河や、海の中の世界が、圧倒的な美しさで描かれ、そこにそんな悲劇が潜んでいるとは・・・と、胸が締め付けられる思いだった。
ぜひ、『光のノスタルジア』とあわせて観てほしい。(咲)


今年の山形国際ドキュメンタリー映画祭 インターナショナル・コンペティション部門で上映されます。
2015年/フランス、チリ、スペイン/16:9/82分
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト:http://uplink.co.jp/nostalgiabutton/
★2015年10月10日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開
posted by sakiko at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

光のノスタルジア   原題:Nostalgia de la luz

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監督・脚本:パトリシオ・グスマン
プロデューサー:レナート・サッチス
撮影:カテル・ジアン
編集:エマニュエル・ジョリー
天文写真:ステファン・ガイザード
製作:アタカマ・プロダクションズ

チリ北部、アタカマ砂漠。太平洋とアンデス山脈の間、標高3000メートルに位置し、空気も乾燥しているため天文観測拠点として世界中から天文学者たちが集まっている。パラボラアンテナが並ぶ様は圧巻である。一方、砂漠には、2000年以上前の村の廃墟や、19世紀の鉱夫たちがそのままにした列車も残る。また、ピノチェト独裁政権下で政治犯として捕らわれた人々の遺体が埋まっている場所でもある。天を仰ぐ学者たちのかたわらで、行方不明の肉親の遺骨を探して地を掘り返す女性たちがいる・・・

息を呑むような美しい映像と裏腹に、語られるのは、あまりにも悲しい独裁政権下で犠牲になった人たちと、その家族の物語。
チリでは、1970年の大統領選挙でサルバドール・アジェンデが当選。世界史上初めて、選挙によって社会主義政権が成立する。アジェンデ大統領は、銅産業の国有化など様々な改革政策を実施するが、保守派は反発。銅企業を無償接収された米国の後押しもあって、1973年9月11日、軍事クーデターでピノチェト政権が成立し、アジェンデ派は徹底的に弾圧された。本作で描かれるアタカマ砂漠の強制収容所はその象徴である。19世紀の硝石工場の宿舎を利用した収容所内では、学者が天文学の講義を行い、人々は星を眺めて心にせめてもの自由を得たという。だが、星座を頼りに逃亡するのを恐れて、軍は天文学の講義を中止させたそうだ。
独裁政権下で行われた暗殺の60%が未解決だという。本作と同時に公開される『真珠のボタン』では、南のパタゴニアの海に沈められた人たちのことが描かれる。
グスマン監督自身、1973年のクーデター直後、サンチャゴのナショナル・スタジアムに2週間監禁され、その後、出国した経験を持つ。
チリの暗黒の時代を、かくも美しく描いた監督。犠牲になった方々への深い思いを感じさせられる2作品を続けさまに観て、指導者の資質がかくも多くの人々の人生を変えることに胸が痛んだ。(咲)


2011年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀作品賞を受賞
映画祭上映時タイトル:『光、ノスタルジア』

2010年/フランス、ドイツ、チリ/16:9/90分
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト:http://uplink.co.jp/nostalgiabutton/
★2015年10月10日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開
posted by sakiko at 21:36| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

木屋町DARUMA

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監督:榊英雄
プロデューサー:榊英雄、丸野裕行
原作:丸野裕行
脚本:丸野裕行
撮影:今井裕二
音楽:榊いずみ
主題歌:「空が泣いている」
出演:出演:遠藤憲一(勝浦茂雄)、三浦誠己(坂本健太)、武田梨奈(新井友里)、木下ほうか(金内秋生)、寺島進(新井英一)、木村祐一(古澤武志)、烏丸せつこ

京都木屋町をかつて牛耳っていたヤクザの勝浦茂雄は、ある事件で両手両脚を失くした。今は弟分の古澤の仕事を黙々とこなしている。古澤から命ぜられた坂本が身の回りの世話をしているが、内心いやいやなのが見て取れる。坂本は債権者の家を回り、勝浦をプレゼントだと置いていく。ダルマのように転がされた勝浦は悪態をつき、債権者を脅して借金を回収する。嫌がらせを受けた債権者は勝浦の迫力に恐れをなして、さらに他から借金を重ねたり娘を差し出したりするほかなくなってしまう。

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なんかもう凄い映画を観てしまいました。映画らしい映画というか。「怖い思いしたくない」私がこわごわ観た試写ですが、遠藤さんはじめ役者さんたちの迫力ある演技に圧倒され、映画だからできる表現だ!と感心したのでありました。この原作を見つけた榊監督、原作者&脚本の丸野裕行氏、演じた俳優さんみんなに拍手を送ります。
四肢を失くした人で思い出したのが『ジョニーは戦場へ行った』(1971年/ドルトン・トランボ原作&監督)と『キャタピラー』(2010年/若松孝二監督)ですが、主演の遠藤さんが、「初めて観た映画は『ジョニーは戦場へ行った』だった」と初日舞台挨拶で語っていたようです。そ、それはトラウマになりそう。
チラシ画像の遠藤さんのアップは迫力がありすぎますが載せますね。裏社会の男たちの生き様が切なくもあり、怖い映画でしたが今年のベスト入りです。(白)


2015年/日本/カラー/HD/116分
配給:ファミリーツリー、アークエンタテインメント
(C)2014「木屋町DARUMA」製作委員会
http://kiyamachi-daruma.com/
★2015年10月3日(土)渋谷シネパレスほか全国順次公開
posted by shiraishi at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする