2015年08月16日

かけがえのない人(原題:The Best of Me)

kakegae.jpg

監督:マイケル・ホフマン
原作:ニコラス・スパークス
撮影:オリヴァー・ステイプルトン
音楽:アーロン・ジグマン
出演:ミシェル・モナハン(アマンダ・コリアー)、ジェームズ・マースデン(ドーソン・コール)、ルーク・ブレイシー(若き日のドーソン)、リアナ・リベラト(若き日のアマンダ)、キャロライン・グッドオール(エヴリン)、ジェラルド・マクレイニー(タック)

ルイジアナ州の海上石油採掘基地で働くドーソンは、爆発事故に遭ったものの奇跡的に命をとりとめる。
海に浮かんでいるときも、入院中のベッドでも脳裏をよぎったのは20年前の恋人アマンダの面影だった。そんなときに、若き日の恩人であるタックが亡くなりドーソン宛の遺言があると知らせがきた。
粗暴な父と兄に虐待されていた高校生のドーソンを保護してくれたのがタックだった。その遺言とは、ドーソンとアマンダに一緒にやってほしいことがあるというもの。20年ぶりに再会したアマンダは結婚して子どももいたが、夫と心が通わなくなっていた。昔のままのドーソンに会って、かつての楽しかった日々が甦る。

これまでも多くの作品が映画化されている人気作家パニコラス・スパークスの小説が原作。高校生のころと、20年後に再会してからの二つのラブストーリーがほぼ等分に語られます。一本で2本分楽しめると言ってもいいでしょう。
主人公たちと同じアラフォー年代の方々が一番共感するかと思いますが、忘れられない初恋の思い出は誰もが心の奥底に秘めているはず。いっときラブストーリーに浸って若返ってください。
若いアマンダ役のリアナ・リベラトは6月末公開の『ハッピーエンドが書けるまで』で、晩生な高校生がとりこになるイケイケな女子高生のケイト。美人というより元気で可愛いタイプです。若いドーソン役のルーク・ブレイシーは『スパイ・レジェンド』でピアス・ブロスナンと一騎打ちもする若手の敏腕スパイでした。今回の長髪を見ると時代物のコスプレも似合いそうです。(白)


2014年/アメリカ/カラー/シネスコ/118分
配給:ブロードメディア・スタジオ
(C)2014 Best of Me Productions, LLC All Rights Reserved
http://kakegaenonai.jp/
★2015年8月22日(土)YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
posted by shiraishi at 21:07| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ナイトクローラー(原題:Nightcrawler)

night.jpg

監督・脚本:ダン・ギルロイ
撮影:ロバート・エルスウィット
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ジェイク・ギレンホール(ルイス/ルー・ブルーム)、レネ・ルッソ(ニーナ・ロミナ)、リズ・アーメッド(リック)、ビル・パクストン(ジョー・ロダー)

ロサンゼルスに一人住んでいるルイス・ブルームには定職も家族もない。インターネットで情報をあさり、夜な夜な街に出ては、金網を切り取っては換金して生活している。たまたま事故現場に遭遇してそこに集まる「ナイトクローラー」の存在を知った。彼らはフリーのパパラッチで、事故や事件現場の刺激的な映像を撮ってはテレビ局に売っている。これは金になると踏んだルイスは、盗んだ自転車を売って、ビデオカメラと無線傍受器を手に入れる。カージャックの被害者に近づいて撮影した悲惨な映像は、テレビ局が高く買い取ってくれた。ディレクターのニーナは「視聴者が求めているのは刺激的な映像」「さらにいいのは被害者が白人の富裕層で、犯人がマイノリティか貧困層」と悪びれずに言う。その通りの映像を撮り続けるルイスは、より速い車を入手しアシスタントも雇い入れる。

この役のために2ヶ月かけて12kgも減量したというジェイク・ギレンホール。ただでさえ大きな眼を瞬きもせず見開いて、不気味この上なしです。社会の歪みがそのまま出たような孤独な男ですが、天職ともいえる(?)仕事に出会って、成り上がっていきます。初めはディレクターに対して生真面目に応えていたのが、力関係が変化するにしたがって態度も言葉もぞんざいに。ジェイク怪演。
ひっきりなしに起こる交通事故や凄惨な事件に視聴者の感覚も麻痺してしまい、視聴率のためにより刺激的な映像を求めるテレビ局の裏側を垣間見せ、現場に群がるパパラッチたちの攻防も描いています。倫理はないのか?

ダン・ギルロイ監督は『落下の王国』『ボーン・レガシー』の脚本家として知られていますが、この作品が初監督作品。兄のトニー・ギルロイが製作、双子の弟のジョン・ギルロイが編集にあたっています。ついでに父上のフランク・D・ギルロイも脚本家で1971年のベルリン映画祭で脚本賞を受賞しています。
パパラッチといえば、パリで散々追いかけられた挙句にトンネル内で支柱に激突して亡くなってしまったダイアナ妃の交通事故(1997年)を思い出します。このときにパパラッチという言葉が一気に広まったんじゃなかったかな。(白)


2014年/アメリカ/カラー/シネスコ/118分
配給:ギャガ
(C)2013 BOLD FILMS PRODUCITONS, LLC. ALL RIGHTS
http://nightcrawler.gaga.ne.jp/
★2015年8月22日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 19:44| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

at Home アットホーム

athome.jpg

監督:蝶野博
原作:本多孝好
脚本:安倍照雄
撮影:木村信也
音楽:村松崇継
出演:竹野内豊(森山和彦)、松雪泰子(皐月)、坂口健太郎(淳)、黒島結菜(明日香)、池田優斗(隆史)、村本大輔(ミツル)

森山家は夫婦と子ども3人、長男淳、長女明日香、次男隆史の5人家族。いまどき珍しい仲良しファミリーだが、父親の和彦は空き巣狙い、母親の皐月は結婚詐欺師で生計を立てていた。団欒の場でその日の成果を報告、助言をしあっている。実は彼らには血の繋がりがない。いろいろとワケアリな5人が集まってできた家族なのだ。ある夜、皐月が騙そうとした相手がなんと同業者で、誘拐・監禁されてしまった。和彦は大事な家族を守るため、立ち上がる。

寄せ集めの家族が本物の血縁家族よりも深い愛情で結ばれているという、泣かせるストーリー。それぞれが抱える問題が、家庭という密室の中での暴力が元というのがなんとも辛いです。事件が起きればメディアを賑わせますが、表に出てこないだけでくすぶっている火種がたくさんあるのでは、とつい考えてしまいます。声を上げるにも勇気が要るだろうし・・・。
竹野内豊さん、松雪泰子さんが大きい子どもたちの両親役でも違和感がないことに、時の流れを感じます。坂口健太郎くんはポスト加瀬亮かと思われる爽やかさ、今年の映画出演作は6本。黒島結菜さんは『ストレイヤーズ・クロニクル』で未来への希望に繋がる碧役を観たばかりです。池田優斗くんはミュージカル「エリザベート」に出演中と、子どもたちの先がまた楽しみです。(白)


2015年/日本/カラー/ビスタ/110分
配給:ファントム・フィルム
(C)映画「at Home」製作委員会
http://athome-movie.com/
★2015年8月22日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

未来をなぞる 写真家・畠山直哉

mirai.jpg

監督・撮影・編集:畠山容平
出演:畠山直哉

世界的に活躍する写真家 畠山直哉氏は、2011年3月11日の東日本大震災で、郷里の陸前田高田市の実家が流され、お母さんを亡くされた。
バイクを駆って津波に飲まれた後の故郷に戻って以来、これまでたびたび故郷に帰り、撮影を続けている。監督は小さなビデオカメラを片手に、撮影の邪魔にならないよう映像を撮り溜めてきて、このほど1本のドキュメンタリー作品となった。

大阪の映像学校で、直哉氏に生徒として出会った畠山監督は、震災後に直哉氏の映像作品を作ったのがきっかけで、もっと長いものを作りたいと考えたそうです。写真家としての直哉氏が被災の当事者にもなって、変貌してしまった故郷を撮り続けています。外に現われない怒りや悔しさや悲しみが、報道写真とは違った形で焼き付けられているのではないでしょうか。3月14日、帰郷途中に外国のメディアの取材に答える直哉氏の映像と、生前のお母さんがカメラを構えている1枚の写真に胸が詰まりました。(白)

2015年/日本/カラー/87分
配給:CINEMACTION豊劇―豊岡劇場―
http://www.mirai-nazoru.com/
★2015年8月15日(土)よりシアターイメージフォーラムほか全国順次公開
posted by shiraishi at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

あの日のように抱きしめて(原題:Phoenix)

anohinoyouni.jpg

監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト
原作:ユベール・モンティエ
音楽:シュテファン・ビル
出演:ニーナ・ホス(ネリー・レンツ)、ロナルト・ツェアフェルト(ジョニー・レンツ)、ニーナ・クンツェンドルフ(レネ・ヴィンター)

1945年べルリン。戦争が終ってアウシュビッツ収容所から生還したネリー。顔に大きな傷を負い、できるだけ元の顔にと医師に頼んで手術を受けた。生き別れてしまった夫ジョニーを探し、元の生活に戻りたい思いからだった。ピアニストだったジョニーは酒場の雑役婦として働いていた。駆け寄ったネリーが自分の妻だと気づかず、ネリーは気落ちし説明しそびれてしまう。妻はアウシュビッツで死んだものと決め付けているジョニーは、ネリーに妻の替え玉になってくれれば、手に入る遺産を山分けすると持ちかける。

『東ベルリンから来た女』のキャスト、スタッフが再び集結して送り出した作品。収容所に入れられながら生き延びた人と、送り出してしまった人々の戦後。日本と同じく敗戦を迎えたドイツの一断面です。非人間的な収容所の生活で、ネリーは顔だけでなく自分自身をなくしてしまい、夫に再会することでバラバラになった自分を取り戻そうとします。
しかし、やっと会えた夫は自分を認識しないばかりか、本人になりすまして騙しの片棒をかつげ、と。なんということ!いくら面変わりしても、声や体つきや癖でわかりそうなものです。それとも妻の財産以外に興味がない夫だったの?
ネリーが本物の妻らしくなるたびにジョニーは動揺しますが、逆にヨロヨロとしていたネリーはしっかりと胸を張って歩くようになります。原題になった「Phoenix」は自ら火に飛び込んで焼かれ、灰の中からもう一度生れる「火の鳥、不死鳥」のことです。痛切な恋愛劇であり、ネリーの再生の物語でもありました。(白)


2014年/ドイツ/カラー/シネスコ/98分
配給:アルバトロス・フィルム
(C)SCHRAMM FILM / BR / WDR / ARTE 2014
http://www.anohi-movie.com/
★2015年8月15日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。