2015年08月02日

ブラック・シー   原題:Black Sea 

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監督:ケヴィン・マクドナルド 
出演:ジュード・ロウ、スクート・マクネイリー、ベン・メンデルソーン、デヴィッド・スレルフォール、コンスタンティン・カベンスキー

海洋サルベージの専門家ロビンソン(ジュード・ロウ)は、ある日突然、11年間勤めた会社からクビを言い渡される。イギリス海軍に所属した15年も含め、30年近くも潜水艦一筋で、「もう潜水艦の操舵手の時代じゃない」と言われても、ほかの仕事は考えられなかった。仕事で留守がちのロビンソンに愛想をつかして、妻クリシー(ジョディー・ウィットテイカー)は彼のもとを去り、今や見知らぬ金持ちの男が12歳の息子マーティンを育てている。途方にくれていた折、彼はかつての同僚のカーストンから、第二次大戦時に莫大な金塊を積んだドイツ軍のUボートが黒海のジョージア(旧グルジア)沖の深海に沈没したままになっているという話を聞く。深海に潜って船を見つけ金塊を手に入れようともくろむ。仲介する男から金持ちのスポンサーも紹介され、老朽化したロシア製のディーゼル潜水艦を入手し、自ら艦長を買って出る。潜水艦経験者を中心に、ロシア人とイギリス人の荒くれ男12人でチームを組み、黒海に沈む金塊をめざす・・・

黒海に沈むナチスドイツのUボートに積まれた金塊を探せ・・・という、うたい文句にぐっと惹かれました。黒海沿岸の地が映画に写るのは一瞬。その後は、ずっと海の奥底。英語とロシア語が行き交う潜水艦の中で、次々に事件が起こります。金塊を目の前にした人間の欲望・・・ 自分も海の底にいるような圧迫感の中で、どうなることかと手に汗握る展開! 最後の最後まで息が抜けませんでした。
(咲)


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c2014 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

2014年/イギリス・ロシア/1時間55分/シネスコ
提供:カルチュア・パブリッシャーズ  配給:プレシディオ   
公式サイト:http://blacksea-movie.net
★2015年8月15日(土)より 新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー
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最後の1本 ペニス博物館の珍コレクション   英題:The Final Member

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製作・監督:ジョナ・ベッカー、ザック・マース
出演:シグルズル・”シッギ”・ヒャールタルソン、パゥットル・アラソン、トム・ミッチェル

北極圏から50キロ、アイスランドの小さな港町フーサヴィークにある世界で唯一の“ペニス博物館”。館長シグルズル・”シッギ”・ヒャールタルソンは、ラテンアメリカ史で学位を取得後、歴史とスペイン語で教鞭をとり、中学の校長も務めた人物。
博物館には、40年にわたって収集したアイスランドの海と陸に生息する哺乳類のほぼすべてのペニスの標本200点以上が展示されている。唯一ないのは、ホモサピエンス=人間のペニス。ここまで集めたら、館長シッギにとって、なんとでもして死ぬまでに手に入れたい最後の1本! 
シッギの願いを知って、地元の名士でアイスランドを代表する著名な冒険家、パゥットル・アラソンが名乗りをあげる。300人以上の女性と関係を持ったという元・プレイボーイでもある。95歳の彼は、自分の亡き後、提供することを約束する。
一方、アメリカ・カリフォルニア州に住むトム・ミッチェルからは、生前贈呈の申し入れが届く。自身のペニスを“エルモ”と名付け、星条旗のタトゥーと入れるという念の入れようだ。二人の熱烈なアピールが繰り広げられる・・・

収集のきっかけは、シッギさん33歳の時に同僚から譲り受けた牛のペニス。やがて、自宅の棚がホルマリン漬けのペニスでいっぱいになり、奥さんから博物館を作ったらと言われてしまいます。奥さんにしてみたら、毎日、生活の中で見たくはない光景だから当然のアドバイス。 
よくこれだけ集めたと感心してしまいますが、やっぱり人間のモノがなければと欲が出るのもわかります。生前の同意を得ていないと、亡くなった方のモノを切り取るわけにもいかずと悩んでいたところに、二人の候補者! 映画は、この顛末を楽しく伝えてくれます。無事最後の1本も展示できることになり、シッギさんは息子に館長を譲って引退。
どちらの方のモノが展示されているかは、ぜひ映画でご確認を!
女性の方はタイトルに引いてしまうかもしれませんが(身を乗り出したのは誰?)、いたって真面目で可笑しいドキュメンタリーです。 (咲)


ペニス博物館:http://www.phallus.is/en/
*標本のほか、民族学資料など、テーマに沿ったアイスランド国内外の多数の資料が収蔵されている。現在は、フーサヴィークから首都レイキャビックに場所を移している。

カナダ/2012年/73分/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/英語・アイスランド語
後援:駐日アイスランド大使館
配給:ギャガ映像事業部
公式サイト:http://saigo-no-ippon.gaga.ne.jp/
★2015年8月8日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
posted by sakiko at 17:44| Comment(0) | TrackBack(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

フリーダ・カーロの遺品 石内都、織るように

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監督・撮影:小谷忠典
出演:石内都

メキシコの女性画家フリーダ・カーロが亡くなって50年が経ち、遺言によって浴室に封印されていた遺品に光があてられた。2012年、それらを撮影するプロジェクトが立ち上がり、日本の女性写真家 石内都さんに依頼が届く。不自由な身体を支えたコルセットや靴、愛用した色鮮やかな衣装の数々を3週間をかけて撮影。小谷監督は石内さんの仕事に密着しながら、フリーダの愛したメキシコの風景、原色の民族衣装をまとう現代の女性の姿も追う。

2013年のドキュメンタリー『ひろしま 石内都・遺されたものたち』(リンダ・ホーグランド監督)では被爆者たちの焼け残った衣服と対峙していた石内都さん。今度は陽光溢れるメキシコシティにあるフリーダ・カーロの博物館「青の家」での撮影です。
丁寧に並べられ、太陽にあたり、風に吹かれて、遺品たちがほ〜っと息をしたような気がしました。写真集「Frida by Ishiuchi」はスペインから出版されています。(白)

フリーダ・カーロが亡くなってから20年くらいかと思っていたが、この作品を観て、亡くなってから50年もたっているのかとびっくりした。そんなに前の時代の人という感じがしない。
石内さんの目を通して撮影された遺品は、フリーダが時空を越えて甦ったように感じる。遺品は物なのに、亡くなった人がそこにいるような存在感を放つ。きっとフリーダの遺品を石内さんに撮ってもらいたいと思った人もそれを感じたのではないだろうか。石内さんの写真は、新しいフリーダ像を紡ぎだした。(暁)


2015年/日本/カラー/HD/89分
配給:ノンデライコ
(C)ノンデライコ2015
http://legacy-frida.info/
★2015年8月8日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
posted by shiraishi at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この国の空

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監督・脚本:荒井晴彦
原作:高井有一「この国の空」(新潮社刊)
撮影:川上皓市
出演:二階堂ふみ(里子)、長谷川博己(市毛)、工藤夕貴(里子の母)、富田靖子(里子の伯母)、利重剛、上田耕一、石橋蓮司、奥田瑛二

1945年夏の東京・杉並区。19歳の里子はたびたび飛来するB29に脅えながらも、疎開するところもなく、母と焼け出された叔母と3人で暮らしている。隣家には妻子を疎開させた銀行員の市毛が一人住み、里子はときどき頼まれごとを引き受ける。互いに出入りするうちに、里子は市毛に次第に惹かれていく。母や叔母は心配しているが、若い男たちはみな戦地へ赴き、身近にいるのは徴兵されていない男だけなのだ。空襲が続き、明日の命もしれない中、里子はこのまま愛も知らず結婚もできないまま、死んでしまうのかと不安になる。

長く続いた戦争が終わりを迎えるころ。19歳の里子を中心に、小さなシーンを積み重ねて銃後の暮らしを綴っています。飛散防止のためガラスに和紙を貼る。配給が豆と玉蜀黍だけと少なくなり、食べ物を巡って諍いが起こる。食料を補うために庭を耕して野菜を作る。リュックを背負っての農家への買出し。取っておきの和服を乱暴に扱われてハッとする。そんな暮らしのシーンを、ことさら深刻ぶるのでなく丁寧に見せていきます。
二階堂ふみさんは、非常時だろうが身体と一緒に人を恋う気持ちも育っていく若い娘の焦燥感を体現していました。長谷川博巳さん演じる市毛は今は誠実そうだけれど、戦争が終ったら妻子が戻ってくるわけで、そのときは里子ではなく家庭を取りそうなのがほの見えます。
この舞台となる杉並区には数年住んだことがあり、友人たちに戦争体験を聞きました。映画のように配給の食糧がだんだんとぼしくなったこと、勤労動員されたこと、空襲警報のたびに防空壕へ逃げたことなど、2度と味わいたくないと異口同音に語ります。どの国の、誰の命も等しく大切なのだということを忘れずにいたいものです。(白)


2015年/日本/カラー/ビスタサイズ/130分
配給:ファントム・フィルム=KATSU-do
(C)2015「この国の空」製作委員会
http://kuni-sora.com/
★2015年8月8日(土)より、テアトル新宿ほかにて全国ロードショー
posted by shiraishi at 17:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

天皇と軍隊(原題:Le Japon, l'Empereur et l'Armee)

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監督:渡辺謙一
プロデューサー:オリビエ・ミル、渡辺クリスティーヌ
撮影:エマニュエル・ヴァレット
編集:ファブリス・タブリエ
音楽:ジェローム・クレ
出演:田英夫、ジョン・ダワー、樋口陽一、ベアテ・シロタ・ゴードン、小森陽一、五百旗頭真

憲法第9条はなぜ必要だったのか? なぜ天皇制は存続したのか? 
昭和天皇と自衛隊を正面から見据えたフランス制作ドキュメンタリー

パリ在住の渡辺監督はフランスや欧州のテレビ向けに「ヒロシマの黒い太陽」「フクシマ後の世界」といったドキュメンタリー作品を手がけている方。
この作品も日本の戦後史と、憲法の矛盾をわかりやすく見せてくれます。記憶にある映像もあれば、初めて観る映像もあり、特にチラシの画像にもある「広島で壇上に立つ昭和天皇」の映像にはっとしました。
国内外の論客のインタビューもたいへん貴重です。女性映画祭にゲストでいらしていたベアテ・シロタ・ゴードンさんのお元気だったころの映像に、今の第9条をめぐるあれこれをベアテさんが知ったら、なんと言われるだろうかとふと思いました。(白)

2009年製作で、TVでも放映されたらしいが、私はこの作品のことを全然知らなかった。これを観て、改めて戦後処理のいきさつ、流れを知ることができた。これをぜひ、政治家に観てほしいと思った(特に安保関連法案を通そうとしている人に)。戦後の日本国憲法はアメリカに押し付けられたものだというくせに、辺野古や安保関連法案などアメリカからの要求を無理やり押し付けようとする。これって矛盾していませんか?
これを観て、ベアテ・シロタ・ゴードンさんにインタビューしたことを思い出した。憲法に女性の権利を盛り込んでくれたベアテさんの「憲法草案作成のいきさつ」をぜひ読んでみてください。
シネマジャーナルHP 『ベアテの贈りもの』ベアテ・シロタ・ゴードンさんインタビュー記事
http://www.cinemajournal.net/special/2005/beate/


2009年/フランス/カラー/HDV/90分
配給:きろくびと
Copyright cきろくびと All Rights Reserved. LE JAPON, L’EMPEREUR ET L’ARMEE
http://www.kiroku-bito.com/article1&9/
★2015年8月8日(土)〜14日(金)ポレポレ東中野ほか順次公開
 連日15:40〜 スペシャルトークイベント付き特別上映
posted by shiraishi at 16:47| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「あなたが選ぶ アジアフォーカス・ザ・ベスト」『神に誓って』8/30上映!

25周年となるアジアフォーカス・福岡国際映画祭。
今年は5連休をはさんだ9月18日〜25日に開催されます。
多彩なラインナップも発表され、8月1日からチケットも発売開始されました。
スケジュール詳細はまだ発表されていませんが、時折サイトをチェックしてみてください。
http://www.focus-on-asia.com/


さて、アジアフォーカス・福岡国際映画祭の25周年を記念して行われた「あなたが選ぶ アジアフォーカス ザ・ベスト」の上映作品が、パキスタン映画『神に誓って』(2007年/ショエーブ・マンスール監督)に決定しました。
プレイベント上映会で上映されますので、ご覧になりたい方はぜひ応募を!
 
◆プレイベント上映会 「あなたが選ぶ アジアフォーカス ザ・ベスト」
上映作品:『神に誓って』
日時:8月30日(日)  開演14時00分
会場:福岡市総合図書館映像ホール・シネラ

応募の締め切り 8月14日(金)必着

詳しい内容や応募方法については、ホームページでご確認ください。
アジアフォーカス・福岡国際映画祭ホームページ
http://www.focus-on-asia.com/


『神に誓って』
監督: ショエーブ・マンスール
英題: In the Name of God・原題: Khuda Kay Liye )2007年/パキスタン/168分
2008年のアジアフォーカスで福岡観客賞を受賞した作品です。

『神に誓って』はマンスール監督の長編第一作。続く、長編第二作である『BOL 〜声をあげる〜』も、2012年のアジアフォーカスで福岡観客賞を授賞しました。
この時のインタビューや授賞式の模様をシネマジャーナル特別記事にアップしています。
『神に誓って』についても一部触れています。

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パキスタン映画『BOL 〜声をあげる〜』2012年福岡でのショエーブ・マンスール監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2015/BOL/index.html

posted by sakiko at 09:35| Comment(0) | TrackBack(0) | パキスタン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする