2015年07月19日
人生スイッチ(原題:Relatos salvajes)
監督・脚本:ダミアン・ジフロン
製作:ペドロ・アルモドバル
出演:リカルド・ダリン
オスカル・マルティネス、レオナルド・スバラーリャ、エリカ・リバス、リタ・コルテセ、フリエタ・シルベルベルグ、ダリオ・グランディネッティ
人生には決して押してはならない「スイッチ」がある。それを押してしまったために、悪夢の連鎖に巻き込まれた男女6人のエピソード。
『アナと雪の女王』にダブルスコアの大差でアルゼンチン歴代興行収入ナンバー1の座を勝ち取ったブラックコメディ。ラテンの血がそうさせたのか、わびさびの国に育った我々には想像できないオチに口がポカーンと開いてしまいました。すごく濃い作品。(白)
2014年/アルゼンチン・スペイン合作/カラー/シネスコ/122分
配給:ギャガ
(C)2014Kramer & Sigman Films / El Deseo
http://jinseiswitch.gaga.ne.jp/
★2014年7月25日(土)ヒューマントラスト有楽町、シネマライズ 他 全国順次公開
☆ミッキーさんの詳しい紹介はこちら
バトルヒート(原題:Skin Trade)
監督:エカチャイ・ウアクロンタム
脚本:ドルフ・ラングレン
出演:ドルフ・ラングレン(ニック)、トニー・ジャー(トニー)、ロン・パールマン(ドラゴビッチ)、マイケル・J・ホワイト(リード)、セリーナ・ジェイド(ミン)
バンコク警察で人身売買グループを捜査しているトニーは顧客になりすまして組織に近づき、売られる寸前の娘を助け出す。背後にはドラゴビッチをボスとする大掛かりな組織があった。ニュージャージーで同じマフィア組織を追っていたニック刑事は、ボスの恨みをかって愛する妻子を襲われてしまう。復讐の鬼と化したニックは刑事をやめ、単身ドラゴビッチを追いかける。
『エクスペンダブルズ』シリーズ出演だけでなく、自身で映画製作・監督も続けているドルフ・ラングレンの製作・脚本・主演の作品。そういえばこの方とってもインテリだったのでした。悪役が多かったイメージがありますが、この作品では美人の妻と娘を爆殺されて暴走してしまう刑事。親子ほど年の違うトニー・ジャーを相手に、バイク・チェイスや肉弾戦と身体をはったアクションを見せています。そのトニー・ジャー、今回は象探しではなく、スーツ(初めて見た!)や革ジャン姿の刑事。今までになかったちょっとしたラブシーンもあります。
この刑事たちは警察モノでよくある「犯人に発砲する前に警告したり、権利を早口で言ったり」することなど一切なく、まさに問答無用です。悪人たちは覚悟が必要。(白)
2014年/アメリカ・タイ合作/カラー//96分
配給:ブロードメディア・スタジオ
(C)SC FILMS THAILAND CO., LTD 2014
http://www.battleheat.jp/
★2015年7月25日(土)より丸の内TOEIほか全国順次公開
お盆の弟
監督:大崎章
脚本:足立紳
出演:渋川清彦(タカシ)、光石研(マサル)、岡田浩暉(藤村)、河井青葉(涼子)、渡辺真起子(タカシの妻)、田中要次
タカシは売れない映画監督。ガンにかかった兄マサルを看病すると実家に舞い戻っていたが、しっかり者の妻には別居を宣言されてしまっている。新作を作れば妻とヨリが戻せると信じて、家事にいそしみながら地元の神社にお参りする毎日。同じく売れない脚本家の藤村とシナリオ作りをしているが、目下彼女と付き合うのに夢中の藤村はちっとも本気になってくれない。藤村の紹介で出会った涼子を兄貴の嫁さんにどうか、と目論むタカシだったが、涼子はタカシが独身と思い込んでしまった。
『キャッチボール屋』(2005年)の大崎章監督10年ぶりの新作です。タカシにはたっぷり大崎監督の思いが詰め込まれているようです。お兄さんの病気で食事作りをしたというのもほんとで、この男2人の食事シーンが実にいいです(我が家の食卓より皿数が多いわ)。
奥さんとのくだりは、脚本の足立さんの離婚寸前体験ががっつり入っているそうで、奥さん役の渡辺真起子さんの迫真のシーンをご覧下さい。夢見て生きている男と、今日のご飯と子どもの心配を抱えている女の立っている場所の違いが如実にわかります。ロケ地の群馬県の玉村町は監督の生まれ故郷。モノクロの画面に同じく群馬出身の渋川さんがぴたりとはまって、ちょっと昔の日本映画の雰囲気がありました。(白)
2015年/日本/白黒/ビスタ/107分
配給:アルゴ・ピクチャーズ
(C)2015映画「お盆の弟」製作委員会
http://obonbrothers.com/
★2015年7月25日(土)新宿K’s cinema他にて順次ロードショー
チャップリンからの贈りもの(原題:La rancon de la gloire)
監督:グザヴィエ・ボーヴォワ
脚本:グザヴィエ・ボーヴォワ、エチエンヌ・コマール
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:ブノワ・ポールブールド(エディ・リカルト)、ロシュディ・ゼム(オスマン・ブリチャ)、キアラ・マストロヤンニ(ローザ)、ピーター・コヨーテ(ジョン・クルーカー)、セリ・グマッシュ(サミラ)
お調子者のエディが出所し、貧しいけれど友情に厚いオスマンの家に厄介になる。まもなくオスマンの妻が入院するが、保険もないオスマンには手術費用が捻出できない。金のないのはエディも同じだが、なんとかしたいととんでもない計画を思いつく。喜劇王チャップリンの訃報をニュースで見たエディは、チャップリンの棺を掘り出して、遺族に身代金を要求しようというのだった。
「チャップリンはいつだって貧しい者の味方だった。ちょっと借りるだけ」
始めは反対するオスマンもついに墓荒らしに加担し、誘拐犯になってしまった。電話をしても警察にも遺族にもはじめは相手にされず、穴だらけの計画はすぐに破綻する。
チャップリンの棺が盗まれ、トウモロコシ畑で見つかったというのは実話。チャップリンの遺族の全面協力を得て、邸宅と墓地をロケに使用、実の息子さんや孫娘も映画に登場しています。サーカス団長と未亡人の役ですのでお見逃しなく。ミシェル・ルグランの美しい音楽とチャップリンの名画を髣髴させるシーンに、心あたたかくなる現代のおとぎ話。
ドジな誘拐犯人を演じた2人のベテランを相手に子役がとても落ち着いて可愛いのと、サーカスの団員役のキアラ・マストロヤンニが両親そっくり(マルチェロ・マストロヤンニ&カトリーヌ・ドヌーヴ)なのにびっくり。(白)
2014年/フランス/カラー/シネスコ/115分
配給:ギャガ
(c)Marie-Julie Maille / Why Not Productions
http://chaplin.gaga.ne.jp/
★2015年7月18日(土)YEBISU GARDEN CINEMA、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
『共犯』 原題 共犯 英題 Partners in Crime
7月25日より新宿武蔵野館 ほか全国順次公開
監督:チャン・ロンジー 製作:チェン・ホンユエン、ジャッキー・パン
原作:シア・ペアウーヌーヌー
キャスト
ウー・チエンホー:ホアン・リーファイ
チェン・カイユアン:イエ・イーカイ
トン・ユィカイ:リン・ヨンチュン
ヤオ・アイニン:シャー・ウェイチャオ
ホアン、リン、イエの3人の男子生徒は、帰宅途中、通りがかった路地で女生徒シャーが変死しているのを発見。同じ高校に通っているけど、口もきいたことがなかったが、奇妙な縁で知り合った3人は、死の真相を探り始めた。友人もいなかった女生徒のお葬式に出かけ、友人と名乗る。留守がちな母親のことを知り、3人は女生徒の部屋に侵入し、何か手がかりはないか探る。そんな中から、彼女が同級生からいじめられていたのではないかという疑惑が持ち上がる。SNSの炎上、女生徒の日記、秘密の森と沼。少年たちの犯人捜しが復讐へと進むかに思わせながら、新たに起こる悲劇。話は思いがけない方向に展開する。
監督は本作が第2作目となるチャン・ロンジー。デビュー作は、視覚障害を持つピアニストを描いた『光にふれる』(12)。2作目は、前作とはガラリと違う学園ミステリー。現代の若者たちの孤独、いじめ、誤解、絶望、ソーシャルネットワークに振り回される社会を描く。
台湾の青春ものというと爽やかなものが多いけど、これは違う。社会に潜む悪意や、思い込み、社会からの疎外などを描いている。唯一の救いは、奇妙な縁で知り合った男の子たちの探究心、冒険心。たぶん、友人も少ないメンバーなのだろうけど、これが縁で、何かを一緒にやってゆくという手ごたえをつかんだのではないかなと思った。しかし、心の問題に向き合う大人たちのそっけなさ、事務的な仕事も描いていた。これが現実だとすると、ちょっと寂しい。(暁)
2014年 台湾 上映時間89分
配給 ザジフィルムズ
オフィシャルサイト http://www.u-picc.com/kyouhan/
監督:チャン・ロンジー 製作:チェン・ホンユエン、ジャッキー・パン
原作:シア・ペアウーヌーヌー
キャスト
ウー・チエンホー:ホアン・リーファイ
チェン・カイユアン:イエ・イーカイ
トン・ユィカイ:リン・ヨンチュン
ヤオ・アイニン:シャー・ウェイチャオ
ホアン、リン、イエの3人の男子生徒は、帰宅途中、通りがかった路地で女生徒シャーが変死しているのを発見。同じ高校に通っているけど、口もきいたことがなかったが、奇妙な縁で知り合った3人は、死の真相を探り始めた。友人もいなかった女生徒のお葬式に出かけ、友人と名乗る。留守がちな母親のことを知り、3人は女生徒の部屋に侵入し、何か手がかりはないか探る。そんな中から、彼女が同級生からいじめられていたのではないかという疑惑が持ち上がる。SNSの炎上、女生徒の日記、秘密の森と沼。少年たちの犯人捜しが復讐へと進むかに思わせながら、新たに起こる悲劇。話は思いがけない方向に展開する。
監督は本作が第2作目となるチャン・ロンジー。デビュー作は、視覚障害を持つピアニストを描いた『光にふれる』(12)。2作目は、前作とはガラリと違う学園ミステリー。現代の若者たちの孤独、いじめ、誤解、絶望、ソーシャルネットワークに振り回される社会を描く。
台湾の青春ものというと爽やかなものが多いけど、これは違う。社会に潜む悪意や、思い込み、社会からの疎外などを描いている。唯一の救いは、奇妙な縁で知り合った男の子たちの探究心、冒険心。たぶん、友人も少ないメンバーなのだろうけど、これが縁で、何かを一緒にやってゆくという手ごたえをつかんだのではないかなと思った。しかし、心の問題に向き合う大人たちのそっけなさ、事務的な仕事も描いていた。これが現実だとすると、ちょっと寂しい。(暁)
2014年 台湾 上映時間89分
配給 ザジフィルムズ
オフィシャルサイト http://www.u-picc.com/kyouhan/