2015年07月18日

アロハ・デス

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監督:木村衛
出演:ジェリー・ロペス、ケリー・スレーター、トム・カレン、ジョエル・チューダー、リッキー・グリッグ、ディック・ブリューワー

2011年3月11日、テレビに映し出される映像に呆然となる一方、津波が人間の敵のような論調で多くのメディアが無惨な現実を伝えていることに違和感を覚えた監督。人間は自然を、自分たち自身を、どのような存在としてとらえればいいのか。その一つの大きな『キー』は死生観ではないか・・・ この映画を撮る決心をした瞬間だった。

オーストラリア、カリフォルニア、ハワイ、日本、オレゴン・・・ 海に人生を捧げた伝説のサーファーたちを訪ねて歩く。海のもたらす喜びと、死の恐怖、その両方を知っている人たちだ。彼らは、「自然」「生」そして「死」をどのように受け止めているのか・・・

最初に訪れたオーストラリアで、2012年に亡くなった伝説的サーファーであるマイケル・ピーターソンさんの散骨に立ち会うことになる。散骨の場所はサーファーにとっての聖地ベルズビーチ。ゴールドコーストの実家から2000キロ、空路で遺骨を運べない規則があり、陸路、遺骨を運ぶのに同行する。息子に先立たれた老いたお母様には、栄誉は誇りではあっても、虚しい思いはぬぐえないと思った。
ダライ・ラマ14世のお言葉も出てくる。人間はいつか必ず死ぬもの。その死にむかって、どう生きていくかを問われたような気がする。そして、自然には逆らえないことも。(咲)


配給・宣伝:レイドバック・コーポレーション
2015年/86分/カラ―/日本映画/日本語・英語字幕/デジタル
コピーライトマークWOOD'S OFFICE
公式サイトhttp://www.alohadeath-mov.com/jp/index.html
★7月25日(土)- 8月7日(金)2週間限定、ヒューマントラストシネマ渋谷にてスペシャル・レイトショー!!
posted by sakiko at 11:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月15日

『奇跡の2000マイル』 原題:『TRACKS』

2015年7月18日(土)より有楽町スバル座、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
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監督:ジョン・カラン 撮影監督:マンディ・ウォーカー
制作:イアン・カニング、エミール・シャーマン
原作:ロビン・デビッドソン 脚本:マリオン・ネルソン
出演:ミア・ワシコウスカ、アダム・ドライバー

1977年、たった一人でオーストラリア西部の砂漠約2000マイル(3000キロ)を横断するという冒険の旅に出たロビン・デヴィッドソン。ラクダと愛犬とともに、1日あたり約32キロのペースで歩き、7ヵ月をかけ踏破した。旅の記録を綴った回顧録「TRACKS」は、およそ18の言語に翻訳され、1981年の発売以来何度も映画化の企画があったが遂に映画化。
オーストラリア各地で大がかりなロケーション撮影を敢行。実際にロビンが辿ったアリス・スプリングスからウルル(エアーズロック)を経由し、インド洋へと至る道程を撮影。険しい岩場、草原、砂漠に35ミリのフィルム・カメラを持ち込んで再現した。砂漠を中心とした映像は、かんかん照りの乾いた砂漠光景だけでなく、朝夕の神秘的な美しさも描かれ、乾いた景色の中にも緑が点在する景色なども描かれ、壮大なロードムービーが完成した。
主人公ロビンを演じるのは、『アリス・イン・ワンダーランド』のアリス役でブレイクしたミア・ワシコウスカ。ラクダの扱い方も徹底的に学び、旅を再現した。

冒険好き、探検好きな私だけど、このオーストラリアを横断した実話のことは全然知らなかった。このことを映画で知り、びっくりした。それにオーストラリアにラクダがいるとは思わなかったので「オーストラリアにラクダがいるの?」と二度びっくり。もともとはいなかったけど、開拓時代に荷物の運搬のために輸入したらしい。その後、車の発達と共に、ラクダは必要なくなり、砂漠に放したラクダが野生化したらしい。
それにしても、ラクダに荷物を背負わせての旅というのは正解。テントや食料、食事を作るための道具など、一切合切背負ったら40sくらいはいく。これを背負って歩いたら、たまらない。私も35s以上を背負って山登りしたことあるけど、背負うだけで大変。これで、何ヶ月もなんて耐えられない。でも、これを背負ってアメリカを1600kmも歩いて縦断した人もいる。その旅を描いた『わたしに会うまでの1600キロ』も8月28日に公開される。どちらも女性一人で歩いたまさに冒険実話。
でも、両作とも帽子はかぶらず、短パンだったり、肩からの肌を露出させて歩いているシーンもあり、これって本当?って思ってしまった。かんかん照りの太陽の下、こんな格好で歩くなんて信じられない。肌は大荒れだよね。それとも映画的演出?
私の友人は(日本人とオーストラリア人)、オーストラリア西部のパースというところに住んでいるけど、1989年頃、オーストラリア東部からパースまで、車で6000kmくらい移動した。その時は2週間くらいかかったと言っていた。それを考えると徒歩で7ヶ月も歩くなんてすごい! オーストラリアはオオカミや熊などはいないのかな? だから女性一人でもやってみようと思ったのか。
オーストラリアには『裸足の1500マイル』という作品もあった。政府の政策によって連れ去られたアボリジニーと白人の混血の女の子たちが、母の元まで歩いてもどる物語だったけど、これも感動的な物語だった(暁)。
「奇跡の2000マイル」メイン _R.jpg

コピーライトマーク 2013 SEE-SAW (TRACKS) HOLDINGS PTY LIMITED, A.P. FACILITIES PTY LIMITED, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, SCREEN NSW AND ADELAIDE FILM FESTIVAL

公式HP http://www.kisekino2000mile.com/
2013年/ オーストラリア /112分
配給:ブロードメディア・スタジオ
posted by akemi at 19:18| Comment(0) | TrackBack(0) | オーストラリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月12日

ボヴァリー夫人とパン屋(原題:Gemma Bovery)

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監督:アンヌ・フォンテーヌ
原作:ポージー・シモンズ
脚本:パスカル・ボニツェール、アンヌ・フォンテーヌ
撮影:クリストフ・ボーカルヌ美術アルノー・ドゥ・モレロン衣装パスカリーヌ・シャバンヌ
出演:ファブリス・ルキーニ(マルタン)、ジェマ・アータートン(ジェマ・ボヴァリー)、ジェイソン・フレミング(チャーリー・ボヴァリー)、ニールス・シュナイダー、イザベル・カンディエ

パリの出版社に勤めていたマルタンは故郷のノルマンディーに戻り、父のパン屋を継いだ。美しいほかこれといって何もない村でのマルタンの楽しみといえば、この地方が舞台の「ボヴァリー夫人」を繰り返し読むこと。そんな彼の近所にイギリスから若い夫婦が引っ越してくる。なんとボヴァリー夫妻!魅力的な妻の名はエマならぬジェマ。以来マルタンはジェマをいつも目で追うようになる。ジェマが年下の男と親密になったのを見て、小説のエマと同一視して妄想が膨らんでいく。

『屋根裏部屋のマリアたち』(2010)、『危険なプロット』(2012)でも知られるファブリス・ルキーニ主演のユーモラスな大人のおフランス映画。妄想癖のマルタンのせいで物事がややこしくなり、思わぬラストに繋がってしまいます。コミックが原作だそうですが、「ボヴァリー夫人」って今でもそんなに人気なのでしょうか?くすぐりと皮肉が同居していて、愛することに熱心なのがフランスらしいです。
セクシーで可愛らしいイギリス女優のジェマ・アータートンは、口元が加賀まり子さんに似ていませんか。イケメンの若い恋人エルヴェ役のニールス・シュナイダーはグザヴィエ・ドラン監督の2作に出演して、ドランに愛される役でした。これからも要注目!(白)


2014年/フランス/カラー/シネスコ/99分
配給:コムストックグループ 配給協力:クロックワークス
(C)2014 - Albertine Productions - Cine - @ - Gaumont - Cinefrance 1888 - France 2 Cinema - British Film Institute
http://boverytopanya.com/
★2015年7月11日(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月11日

パージ(原題:The Purge)

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監督・脚本:ジェームズ・デモナコ
製作ジェイソン・ブラム、マイケル・ベイ
出演:イーサン・ホーク(ジェームス・サンディン)、レナ・ヘディ(メアリー)、アデレイド・ケイン、マックス・バークホルダー、エドウィン・ホッジ

ジェームス・サンディンはセキュリティシステムの会社のトップセールスマン。政府が定めた一年に12時間だけ「殺人を含む全ての犯罪」が合法になる“パージ”により、セキュリティシステムが売れに売れ、高級住宅地に家を構え、今日も昇進が決定したばかり。美しい妻メアリーと彼氏に夢中な高校生の娘、引っ込み思案の息子との生活を満喫していた。
この法律が設定されて以来、ガス抜き効果で犯罪は激減し、社会の安定が保たれていた。
パージでは一定の水準以上の武器の使用を禁じ、また政府高官はそのターゲットにしてはならない。夜7時から翌朝の7時まで警察・消防・医療など救急サービスは全てストップする。いきおい堅牢なセキュリティシステムを導入できる富裕層は安全な一夜を過ごし、貧困層はターゲットにならないよう息を潜めて嵐の過ぎ去るのを待つことになる。
サンディン家も自慢のセキュリティシステムを始動し、全ての窓や出入り口は封鎖された。しかしパージ開始のサイレンが鳴った直後、ターゲットとなった黒人男性が追われるのを見た息子が家に匿ってしまう。すぐに追っ手が現われて、ジェームスに引き渡すよう要求する。

フィクションとはいえ全くなんという法律でしょう。よく成立したものです。普段恨まれている人間がターゲットになるシーンも出てきますが、合法で罰せられなければ何をしてもいいという輩が跋扈して手当たり次第という感じです。「殺された人間は浄化された」と手を下すほうに都合の良い理屈までついて、それじゃあ殺され損、残された遺族に保障があったりお見舞金でも出るわけ?と「?」が噴出します。
法律は作った方になんらかの得があるはず、それは何?と考えると先が読めてきますが、背景はちょっと置いといて。低予算ながらヒットしたこの作品は、襲うものと襲われるものとの攻防が見せ場です。
『パラノーマル・アクティビティ』シリーズを製作したジェイソン・ブラムと『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイが共同プロデュースして、第2弾の『パージ:アナーキー』に続き、第3弾も来年公開が決まっているそうです。「殺すなかれ」という戒めはどこに?(白)


2013年/アメリカ/カラー/HD/85分
配給:シンカ、パルコ
(C)Univesal Pictures
http://purge-movie.jp/
★2015年7月18日(土)TOHOシネマズ日劇ほか全国公開
posted by shiraishi at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ルンタ

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監督・企画:池谷薫
製作:権洋子
撮影:福居正治
音響構成渡辺丈彦
出演:中原一博、ダムチュ・ドルマ、ジャミヤン・ジンパ、ロプサン・ジンパ、ロプサン・ノルブ

1949年中国はチベットに侵攻、2年後チベットは事実上支配下におかれた。ダライ・ラマ14世が1959年インドに亡命した後、多くのチベット人がヒマラヤを越えてインドやネパールに亡命した。チベットでは中国の圧政に対し抗議行動が続き、取り締まりがさらに厳しくなった。一人我が身に火をつけての焼身抗議≠ェ2009年から141件(2015年3月現在)もあった。
建築家の中原一博(62歳)は、亡命政府が樹立されたダラムマサラに1985年から移住。亡命政府の建築設計を手がけ30年間住み、ブログからチベット人の非暴力の抗議活動リポートを発信し続けている。

1989年に中原氏に出会った池谷監督は、中原氏を案内人に「慈悲と利他の心」を持つチベット人を訪ね始めました。外国のメディアに必死で訴える若い僧侶、長い監獄生活でも自分の信仰を捨てなかった男性。拷問に耐え抜いた元尼僧…チラシを配っただけで逮捕、何年も収監される人もいます。なぜこんなにもひどい目に会わねばならないのでしょう。昔でなく今のチベットの話です。撮り溜めたフィルムが作品になり長い準備期間を経てようやく上映までたどりつきました。
下の公式HPに監督がチベットに出会ったエピソードから書かれた「ルンタへの旅」が掲載されています。「ルンタ」とは天翔けて人々の願いを仏や神々に届けてくれる「風の馬」のこと。この映画にこめられた思いがルンタに乗って各地の人々へ届くように願ってやみません。(白)


2014年/日本/カラー/DCP/111分
配給:蓮ユニバース
(C)Ren Universe 2015
http://lung-ta.net/
★2015年7月18日(土)よりシアターイメージフォーラムほか順次公開
posted by shiraishi at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする