2015年06月29日

ブラフマン

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監督・撮影:箭内道彦 語り:横山健、りょう、井浦新
出演:BRAHMAN 他

今年、結成20年を迎えた4人組ハードコアパンクバンド「BRAHMAN(ブラフマン)」のドキュメンタリー。タワーレコードの「NO MUSIC, NO LIFE.」をはじめ、CMや広告なども手がけるクリエイティブディレクターの箭内道彦が初めて映画監督を務めた。人間の深い思いと怒り、悲しみに満ちた思いを音に昇華させ圧倒的なパフォーマンスでヨーロッパやアジアなど海外でもライブ活動を行っている。普段は見せることのないメンバーたちの内面や、家族などの思いを綴っている。

1995年に結成、ちょうど私は学生の頃でバンドブームだった。なのでブラフマンの名前も音も少しは知っていたが、こんなに激しいギグをおこなっていたとは… ボーカルのトシロウ氏や初期のメンバーは茨城県水戸市出身。カリスマ的な人気を得て、華々しい活躍をするいっぽうで、途中でやめていったメンバーのことが語られる。強烈な個性で「鬼」と呼ばれるボーカルも、「何のためにバンドを続けているのか」という根本的な問いに悩んでいたようだ。その顔つきからは並々ならぬ意志の力が感じられるが、ほんとうはこの人がいちばん繊細なのだという証言もあった。この人は、歌うことでカルマを解消しているようにも見える。ボーカル含めメンバーみんなほんとうにいい顔をしている。パン屋さんになった元メンバーも、ブラフマンというバンド名を付けた今はもうこの世に居ない元メンバーも、目には見えないけれど、時空を超えてこのバンドの精神性を支えているのかもしれない。ブラフマンは震災直後から被災地に入り支援活動を続けているとのことで、感謝したいと思う。 (千)


2015年/日本/118分
配給:プレシディオ
公式サイト
★7月4日より新宿バルト9ほか2週間限定公開!




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2015年06月28日

映画ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜(原題:Shaun the Sheep Movie)

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監督・脚本:マーク・バートン、リチャード・スターザック
音楽:イラン・エシュケリ

牧場で暮らしているひつじのショーンと仲間たち。平和だけれど、牧場主の指示通り判で押したような毎日を繰り返すのにあきあきした彼らは、自由に遊べる時間がほしくなる。そこで、真夜中ぐっすり眠っている牧場主をキャンピングカーに移し、いつまでも夜が明けていないように見せかけた。ところが車が町に向かって大暴走してしまい、牧羊犬のビッツアーは慌てて後を追っていく。のんびり遊ぶどころでなくなったショーンと仲間たちも、初めての都会へと旅することになった。動物収容所のトランパーの追跡をかわしながら、心優しい野良犬のスリップに助けられるショーンたち。はたして無事に牧場主とビッツアーを見つけられるのか??

アカデミー賞を受賞した『ウォレスとグルミット』シリーズのアードマン・スタジオ製作の大人気テレビアニメ、初の劇場版が登場しました。粘土でできたボディを少しずつ動かして作るクレイアニメーションで、洋服もちゃんと着せています。ちょっと作ってみたくなります。シンプルな造形ですが、それぞれのキャラがしっかり立っていて表情ゆたかです。セリフはないので小さなお子様から大人まで楽しめます。危険がいっぱいの都会へ牧場主を探しに出かけ、知恵を働かせるひつじたちの冒険にワクワクしてください。(白)

2015年/イギリス・フランス/カラー/85分
配給:東北新社
(C)2014 Aardman Animations Limited and Studiocanal S.A.
http://www.aardman-jp.com/shaun-movie/
★2015年7月4日(土)より 新宿ピカデリー他全国ロードショー 
posted by shiraishi at 18:32| Comment(0) | TrackBack(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

みちていく

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監督・脚本・編集:竹内里紗
撮影:松島翔平
出演:飛田桃子(みちる)、山田由梨(新田)

高校2年生のみちるは陸上部でエースとして活躍しているが、それだけにかけているわけでもない。年上の彼に身体を噛んでもらうと、見えないすきまが埋まっていくような気がする。噛まれた跡は大きな絆創膏で隠し、誰にも気づかれていないはず。真面目な努力家の新田は、陸上部の部長を3年生から引き継いだが、部員がついてきてくれずひとり空回りしている。新田がこまめに記録していたノートをみちるが持ち去ったことから、2人の距離が近づいていく。

思春期のゆれる女子高生の日常を活写した作品。立教大学映像身体学科の卒業制作だったそうですが、若い女優さんたちがうまいので驚きました。同じ映像身体学科卒で監督の以前からのお友達、飛田桃子さんはpffの『くじらのまち』で主演女優を受賞、山田由梨さんは劇団を主宰しています。ほかの生徒たちも「こんな人いるいる」と思えるようなリアルさ。同い年なら男子より女子のほうが大人だった、とウン10年前を思い出しました。
この作品は「第15回 TAMA NEW WAVE コンペティション」でグランプリとベスト女優賞(山田由梨)、「うえだ城下町映画祭第12回自主制作映画コンテスト」で大賞を受賞。これからも映画製作を続けるかどうか考えていた竹内里紗監督には、おおいに自信と励みになったようです。今後どんな作品を見せてもらえるか楽しみです。(白)


2014年/日本/カラー/89分
配給:シネマトグラフ 配給協力:トラヴィス
http://www.michiteiku.com/
★2015年6月27日(土)より ユーロスペースにてレイトショー
posted by shiraishi at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月27日

Beauty of Tradition 〜ミャンマー民族音楽への旅〜

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監督:川端潤 撮影:万琳はるえ 製作:プロジェクトラム/エアプレーンレーベル
出演:ドー・シュンレアウン、ウー・ポーラピエ、ウー・ミョーミンタンほか

*シネマジャーナル本誌最新号94号にも掲載してます

写真家、作曲家、映画プロデューサーとして数々の作品を手掛けてきた川端潤が監督を務め、ミャンマーの民族音楽を録音する旅を描いたドキュメンタリー。200年前から伝わる音楽を録音している一部始終を撮影し、また僧院やシュエダゴン・パゴダ、ヤンゴン川といったミャンマー独特な風景や、水かけ祭りの様子もカメラに収められており、アウンサンスーチーが解放されて民主化へと変化している様子も垣間見れる。

CD制作を撮影したドキュメンタリー。40日間のあいだに100曲収録したとは驚きです。見たことも聞いたこともないヘンテコな楽器も登場、その音階は琉球音楽に似ていて日本人からすると懐かしいような 癒されメロディです。譜面が無く耳で覚えて人から人へと伝えられてきたミャンマーの伝統音楽・・ アウンサンスーチーが解放されて民主化へと変化している国ですが、まだまだ難民問題など多くの問題を抱えていることも私のアタマからは離れません・・ (ちなみに我が家からほど近い群馬県館林市にミャンマーのロヒンギャ族難民約200人が暮らしているとか 朝日新聞デジタル) 映画の中の街並みやライフスタイルを見ていると私の知らないアジアが沢山存在しており、とても訪れたくなりました!! (千)


2015/日本/105分/カラー
配給協力:太秦
公式サイト
★6月27日よりポレポレ東中野にて公開!

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きみはいい子

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監督:呉美保 原作*中脇初枝 脚本:高田亮 
製作:川村英己 プロデューサー:星野秀樹
出演:高良健吾、尾野真千子、池脇千鶴、高橋和也ほか

*シネマジャーナル本誌最新号94号にも掲載してます

前作「そこのみにて光輝く」で各地の映画祭で賞を総ナメにした呉美保監督の最新作。中脇初枝の同名短編小説集を映画化した。5つの短編から「サンタさんの来ない家」「べっぴんさん」「こんにちは、さようなら」という3編を1本の映画に。真面目だがクラスの問題に正面から向き合えない小学校の教師、モンスターペアレンツ、小さい頃の暴力がトラウマとなり自分の子どもを傷つけてしまう母親、発達障害等、現代社会が抱える問題を通して人と人との交流、愛することの大切さを描いている。

過去の傷を引きずって生きるか バネにして生きるか、の違いで人生はこうも大きく変わるのかと自分の人生と照らし合わせてしまった… どちらを選択するのは自由だが、はたしてどちらが幸福な人生だろうか。芸術家は得てして傷つきながら生きていくことで作品表現する人間が多いが(シアワセだと良い作品は生まれない、と思っているとも言う…) 呉美保監督の作品は前作も傷つきながら磨かれていくダイヤモンドみたいなストーリー・・ なのでハッピーエンドじゃなくっても、なぜか爽快感をもらって帰ることができるのであった・・ こんな表現方法で作品づくりできる監督が羨ましいです!! (千)


2015年/日本/121分
配給:アークエンタテインメント
公式サイト
★6月27日よりテアトル新宿ほか全国順次ロードショー!


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