2014年12月20日

私の恋活ダイアリー  英題:Sixty and the City

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監督・出演:ニリ・タル

60歳を迎えたニリ・タル監督。
同じ男性と結婚・離婚を計3回繰り返し、2児をもうけ孫8人。かつて新聞記者やテレビ局のレポーター兼ディレクターとして活躍し、現在は映像作家として何不自由ない日々をおくっている。
でも、ふっと、このまま独りで年を取り続けるのは寂しい、連れ合いを見つけようと思い立つ。さっそく自己紹介文と写真をあちこちの恋活サイトに登録するも、一向に反応がない。写真が決め手かもと、ミニスカートに胸元を開けたブラウスで色っぽい写真を撮ってアップする。結果、20代から80代までの男性1320人からメールが届く。
本作は、監督が1年8ヶ月の間に実際にデートした男性のうち、撮影許可をくれた人たちとの顛末を綴ったもの。果たして、監督はこれからの伴侶を得ることができるのか・・・

なんといっても私と同年代の女性の恋活とあって、興味津々。しかも、イスラエル。「安息日には映画を観ない」と、デートを断った男性が、ほかの女性と映画館に来ていたとか、ユダヤの新年にニューヨークにいる息子に会いにいったりするくらいで、宗教的にどうのといった特別な要素はほとんどなかったのはちょっと残念だった。でも、時に真剣に、時におもしろおかしく自身の経験をあからさまに語った本作、世の中、こんなにも人生を分かち合える人を探している人が多いのだと、なんだか勇気付けられた。その気になれば、私にも良きパートナーが見つかる?!
お正月に公開される『トレヴィの泉で二度目の恋を』でも、シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマー演じる黄昏を迎えた二人が恋に落ちるように、恋に年は関係ない! 出会いを楽しみにしなくっちゃ! (咲)


配給:パンドラ
後援:イスラエル大使館
協力:あいち国際女性映画祭/シニア女性映画祭
*あいち国際女性映画祭2014では『私は都会派、60歳』のタイトルで上映
2010年/イスラエル/カラー/70分
公式サイト:http://www.koikatsu-diary.com
★2014年12月20日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町他にて、 全国順次ロードショー
posted by sakiko at 21:26| Comment(0) | TrackBack(0) | イスラエル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サンバ(原題:SAMBA)

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監督・脚本:エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ
出演:オマール・シー(サンバ)、シャルロット・ゲンズブール(アリス)、タハール・ラヒム(ウィルソン)、イジア・イジェラン(マニュ)

フランスに移民して10年、飲食店で働いて故郷に送金していたサンバは、うっかりビザを失効させて国外退去を告げられてしまった。移民支援協会に掛け合いにいくが、応対に出た係員のアリスに助けてもらうどころか逆ギレされる。大手企業のキャリアだったアリスは仕事のストレスで心を病み治療中だった。サンバは移民仲間のウィルソンが紹介した日雇い仕事で食いつなぎ、アリスを巻き込みながら打開策を練ることにした。

2011年の東京国際映画祭でサクラグランプリと主演男優賞を受賞した『最強のふたり』のトリオ、エリック・トレダノ&オリビエ・ナカシュ監督+オマール・シーの最新作。今年の映画祭の特別招待作品となり、オリビエ・ナカシュ監督とオマール・シーが来日して舞台挨拶に登場しました(『サンバ』HPで動画が見られます)。
『最強のふたり』より先に着想を得ていたというこの作品は、移民の青年と燃え尽き症候群のキャリアの女性との心の触れ合いを描いています。リアルな問題とコメディの配分が良く、辛酸をなめてきた叔父や移民を取り巻く環境を見せたかと思うと、パワフルな同僚や陽気な仲間との交流で明るく照らします。逞しいサンバと折れそうなアリス、ま逆の男女が「最強のふたり」になっていく過程をお楽しみください。(白)

サンバに仕事を紹介する陽気な移民仲間ウィルソンを演じるタハール・ラヒム。初主演作『預言者』(ジャック・オディアール監督)以来、注目している俳優さん。アルジェリア・オランから移民した両親のもと、フランスで生まれたことから、『預言者』でも、ロウ・イエ監督の『パリ、ただよう花』でも、アスガル・ファルハーディー監督の『ある過去の行方』でも、アルジェリア系と思われる役柄。
今回、『サンバ』では、陽気なブラジル移民とあって、彼ならそれも有りか〜と思ったら、それにはワケが・・・ 屋根の上で、パリの素晴らしい風景を眺めながらサンバが語る「初のアラブ系ブラジル人に感動した」の言葉をお見逃しなく! (咲)


2014年/フランス/カラー/119分
配給:ギャガ
(C) Quad - Ten Films - Gaumont - TF1 Films Productions - Korokoro
http://samba.gaga.ne.jp/
★2014年12月26日(金) TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他 全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

王の涙 イ・サンの決断(原題:逆鱗)

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監督:イ・ジェギュ(「チェオクの剣」)
脚本:チェ・ソンヒョン
撮影:コ・ラクソン
出演:ヒョンビン(イ・サン)、チョン・ジェヨン(尚冊 カプス)、チョ・ジョンソク(刺客 ウルス)、ハン・ジミン(貞純王后)、チョ・ジェヒョン(近衛隊長 ホン・グギョン)、キム・ソンニョン(母 恵慶宮)

25歳で王位を継承した李王朝第22代目国王イ・サン。
宮廷の最大派閥・老論(ノロン)派の陰謀で、祖父である先代王・英祖(ヨンジュ)が父・思悼世子(サドセジャ)を米櫃に閉じ込め死に至らせたことを目の当たりにした幼い日の記憶がよぎる。理想の治世を実現するため老論派の排除に動き始めるが、自身も暗殺の脅威にさらされる日々だ。書庫と寝殿を兼ねる尊賢閣で不測の事態に備えて体を鍛えるイ・サンを、書庫を管理する尚冊として仕える宦官カプスがいつも見守っていた。
即位から1年を迎えた1777年7月28日、「今日主君を殺せ」と紙に記す者がいた・・・

のちに正祖(チョンジョ)と呼ばれる李朝の名君イ・サン。ドラマでお馴染みの方も多いでしょう。本作は、王の寝殿まで刺客が押し入った暗殺未遂事件「丁酉逆変」の24時間を資料をもとに想像力を駆使して描いた物語。(事件の真相は未解決)
イ・サンを演じるのは、これが時代劇初出演となるヒョンビン。除隊後初の役柄に、「私の名前はキム・サムスン」や『レイトオータム』で見せた軽いノリの男と違って、思慮深い名君を選んだヒョンビンの今後の俳優人生への思いを感じます。
ドラマ「イ・サン」で、サンの幼馴染ソン・ソンヨンを愛らしく演じていたハン・ジミンが、本作では、老論派の後ろ盾である若く美しい貞純王后役で悪女ぶりをみせています。
また、刺客ウルス役のチョ・ジョンソク(『建築学概論』)、女官役チョン・ウンチェ(『自由が丘で』)、闇商人役チョ・ジェヒョン(『悪い男』『メビウス』「階伯(けべく)」)と、豪華な脇役陣にも目が離せません。
そして、なにより印象に残るのは、チョン・ジェヨン(『さまよう刃』)が演じた悲しい過去を背負った宦官カプス。若き王を見守る宦官カプスの心の奥に潜む思いがぐっと迫りました。(咲)


2014年/韓国/カラー/137分
配給:ツイン
(c)2014 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
http://www.ounonamida.net/

★2014年12月26日(金)、TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開
posted by shiraishi at 20:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

みんなのアムステルダム国立美術館へ(原題:HET NIEUWE RIJKSMUSEUM)

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監督:ウケ・ホーヘンダイク
撮影監督:サンダー・スヌープ、グレゴール・メールマン
録音:マーク・ウェスナー
音響:ミシェル・ショーピン
音楽:モーリス・ホルストフイス

2004年にスタートしたオランダ・アムステルダム国立美術館の改修工事。2008年には完成の予定だったが、遅れに遅れて10年。ようやくグランドオープンの日を迎えた。これは、その間の様々な作業や話し合いや揉め事まで、あますところなく映し出したドキュメンタリー。

レンブラントの「夜警」、フェルメール「牛乳を注ぐ女」など美術の教科書などで一度は目にしたことのある名画を所蔵している美術館の改修がなにゆえそんなに手間取ったのでしょうか?日本なら絶対映させないだろう内輪の会議や、サイクリスト協会との攻防シーンまであります。自転車が通れない!とのクレームに設計変更を余儀なくされたり、長丁場にすっかり疲れてしまった館長が退陣。新館長が選出されます。このへんの人事も面白いです。美術館が運営されるために多くの人々の力が寄り集まっていることを内側から見せてもらいました。
一方施設の改修が滞っても、名画の修復は粛々と進み、アジア館には日本の金剛力士像が搬入されます。小さなお寺にひっそりと保存されていた力士像を見つけてくれたアジア館長さんにお礼を言いたくなります。日本の学芸員さんは臍を噛んだでしょうか?数々の名画を至近距離で観られて得した気分です。(白)

『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』(2008年)で、改修工事が遅れている最大の理由が、美術館の真ん中にある通路が自転車で通り抜けなくなることへの市民団体の反対運動であることが描かれていました。という次第で、続編である本作で、その通路がどのように解決されたのかを確認するのが楽しみでした。
新所長の椅子を巡る候補者の思惑も、実に楽しく描かれています。
そして、なにより、日本の金剛力士像搬入の折のお坊様たちによるダイナミックなご祈祷には、感動を覚えました。(咲)


2014年/オランダ/カラー/97分
配給:ユーロスペース
http://amsmuseum.jp/
★2014年12月20日(土)渋谷 ユーロスペースにて上映
posted by shiraishi at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | オランダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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