2014年12月20日

サンバ(原題:SAMBA)

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監督・脚本:エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ
出演:オマール・シー(サンバ)、シャルロット・ゲンズブール(アリス)、タハール・ラヒム(ウィルソン)、イジア・イジェラン(マニュ)

フランスに移民して10年、飲食店で働いて故郷に送金していたサンバは、うっかりビザを失効させて国外退去を告げられてしまった。移民支援協会に掛け合いにいくが、応対に出た係員のアリスに助けてもらうどころか逆ギレされる。大手企業のキャリアだったアリスは仕事のストレスで心を病み治療中だった。サンバは移民仲間のウィルソンが紹介した日雇い仕事で食いつなぎ、アリスを巻き込みながら打開策を練ることにした。

2011年の東京国際映画祭でサクラグランプリと主演男優賞を受賞した『最強のふたり』のトリオ、エリック・トレダノ&オリビエ・ナカシュ監督+オマール・シーの最新作。今年の映画祭の特別招待作品となり、オリビエ・ナカシュ監督とオマール・シーが来日して舞台挨拶に登場しました(『サンバ』HPで動画が見られます)。
『最強のふたり』より先に着想を得ていたというこの作品は、移民の青年と燃え尽き症候群のキャリアの女性との心の触れ合いを描いています。リアルな問題とコメディの配分が良く、辛酸をなめてきた叔父や移民を取り巻く環境を見せたかと思うと、パワフルな同僚や陽気な仲間との交流で明るく照らします。逞しいサンバと折れそうなアリス、ま逆の男女が「最強のふたり」になっていく過程をお楽しみください。(白)

サンバに仕事を紹介する陽気な移民仲間ウィルソンを演じるタハール・ラヒム。初主演作『預言者』(ジャック・オディアール監督)以来、注目している俳優さん。アルジェリア・オランから移民した両親のもと、フランスで生まれたことから、『預言者』でも、ロウ・イエ監督の『パリ、ただよう花』でも、アスガル・ファルハーディー監督の『ある過去の行方』でも、アルジェリア系と思われる役柄。
今回、『サンバ』では、陽気なブラジル移民とあって、彼ならそれも有りか〜と思ったら、それにはワケが・・・ 屋根の上で、パリの素晴らしい風景を眺めながらサンバが語る「初のアラブ系ブラジル人に感動した」の言葉をお見逃しなく! (咲)


2014年/フランス/カラー/119分
配給:ギャガ
(C) Quad - Ten Films - Gaumont - TF1 Films Productions - Korokoro
http://samba.gaga.ne.jp/
★2014年12月26日(金) TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他 全国順次ロードショー


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王の涙 イ・サンの決断(原題:逆鱗)

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監督:イ・ジェギュ(「チェオクの剣」)
脚本:チェ・ソンヒョン
撮影:コ・ラクソン
出演:ヒョンビン(イ・サン)、チョン・ジェヨン(尚冊 カプス)、チョ・ジョンソク(刺客 ウルス)、ハン・ジミン(貞純王后)、チョ・ジェヒョン(近衛隊長 ホン・グギョン)、キム・ソンニョン(母 恵慶宮)

25歳で王位を継承した李王朝第22代目国王イ・サン。
宮廷の最大派閥・老論(ノロン)派の陰謀で、祖父である先代王・英祖(ヨンジュ)が父・思悼世子(サドセジャ)を米櫃に閉じ込め死に至らせたことを目の当たりにした幼い日の記憶がよぎる。理想の治世を実現するため老論派の排除に動き始めるが、自身も暗殺の脅威にさらされる日々だ。書庫と寝殿を兼ねる尊賢閣で不測の事態に備えて体を鍛えるイ・サンを、書庫を管理する尚冊として仕える宦官カプスがいつも見守っていた。
即位から1年を迎えた1777年7月28日、「今日主君を殺せ」と紙に記す者がいた・・・

のちに正祖(チョンジョ)と呼ばれる李朝の名君イ・サン。ドラマでお馴染みの方も多いでしょう。本作は、王の寝殿まで刺客が押し入った暗殺未遂事件「丁酉逆変」の24時間を資料をもとに想像力を駆使して描いた物語。(事件の真相は未解決)
イ・サンを演じるのは、これが時代劇初出演となるヒョンビン。除隊後初の役柄に、「私の名前はキム・サムスン」や『レイトオータム』で見せた軽いノリの男と違って、思慮深い名君を選んだヒョンビンの今後の俳優人生への思いを感じます。
ドラマ「イ・サン」で、サンの幼馴染ソン・ソンヨンを愛らしく演じていたハン・ジミンが、本作では、老論派の後ろ盾である若く美しい貞純王后役で悪女ぶりをみせています。
また、刺客ウルス役のチョ・ジョンソク(『建築学概論』)、女官役チョン・ウンチェ(『自由が丘で』)、闇商人役チョ・ジェヒョン(『悪い男』『メビウス』「階伯(けべく)」)と、豪華な脇役陣にも目が離せません。
そして、なにより印象に残るのは、チョン・ジェヨン(『さまよう刃』)が演じた悲しい過去を背負った宦官カプス。若き王を見守る宦官カプスの心の奥に潜む思いがぐっと迫りました。(咲)


2014年/韓国/カラー/137分
配給:ツイン
(c)2014 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
http://www.ounonamida.net/

★2014年12月26日(金)、TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開
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みんなのアムステルダム国立美術館へ(原題:HET NIEUWE RIJKSMUSEUM)

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監督:ウケ・ホーヘンダイク
撮影監督:サンダー・スヌープ、グレゴール・メールマン
録音:マーク・ウェスナー
音響:ミシェル・ショーピン
音楽:モーリス・ホルストフイス

2004年にスタートしたオランダ・アムステルダム国立美術館の改修工事。2008年には完成の予定だったが、遅れに遅れて10年。ようやくグランドオープンの日を迎えた。これは、その間の様々な作業や話し合いや揉め事まで、あますところなく映し出したドキュメンタリー。

レンブラントの「夜警」、フェルメール「牛乳を注ぐ女」など美術の教科書などで一度は目にしたことのある名画を所蔵している美術館の改修がなにゆえそんなに手間取ったのでしょうか?日本なら絶対映させないだろう内輪の会議や、サイクリスト協会との攻防シーンまであります。自転車が通れない!とのクレームに設計変更を余儀なくされたり、長丁場にすっかり疲れてしまった館長が退陣。新館長が選出されます。このへんの人事も面白いです。美術館が運営されるために多くの人々の力が寄り集まっていることを内側から見せてもらいました。
一方施設の改修が滞っても、名画の修復は粛々と進み、アジア館には日本の金剛力士像が搬入されます。小さなお寺にひっそりと保存されていた力士像を見つけてくれたアジア館長さんにお礼を言いたくなります。日本の学芸員さんは臍を噛んだでしょうか?数々の名画を至近距離で観られて得した気分です。(白)

『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』(2008年)で、改修工事が遅れている最大の理由が、美術館の真ん中にある通路が自転車で通り抜けなくなることへの市民団体の反対運動であることが描かれていました。という次第で、続編である本作で、その通路がどのように解決されたのかを確認するのが楽しみでした。
新所長の椅子を巡る候補者の思惑も、実に楽しく描かれています。
そして、なにより、日本の金剛力士像搬入の折のお坊様たちによるダイナミックなご祈祷には、感動を覚えました。(咲)


2014年/オランダ/カラー/97分
配給:ユーロスペース
http://amsmuseum.jp/
★2014年12月20日(土)渋谷 ユーロスペースにて上映
posted by shiraishi at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | オランダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月19日

アンドレイ・ズビャギンツェフ監督の2作品公開!

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エレナの惑い (原題:ELENA)
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
出演:ナジェジダ・マルキナ(エレナ)、アンドレイ・スミルノフ(ウラジミル)、エレナ・リャドワ(カテリナ)
エレナは、勤め先の病院で看護したのが縁で、資産家のウラジミルと再婚した。前の夫との息子はすでに家庭を持っていたが、働き口も意欲もなくエレナからの援助に頼っていた。ウラジミルには不快極まりなく「そんな義務はない」と突き放す。心臓発作で倒れたのを機に、ウラジミルは遺言書を作ると言い出す。疎遠になっていた一人娘のカテリナが父を気遣って訪れ、エレナは夫がどうするつもりなのか疑心暗鬼にとらわれる。

夫に尽くすエレナの住む家は広々とした豪華なマンションで、インテリアも雑誌のグラビアのようです。息子は郊外の低所得者向けの狭いアパートに親子4人で暮らして(再婚前はエレナも一緒だったのだろうか?)孫は不良になりかけています。
だらしない息子と違って、ウラジミルの娘は知的で自立しており、生活と教育の格差が見えてきます。この息子家族を背負うつもりなのか、と私などうんざりするのだけど、エレナの母心は暴走。冬木立が寒々しく、これから営まれる暮らしを暗示するようでした。エレナ役が高い評価を受けたナジェジダ・マルキナは、『ガガーリン 世界を変えた108分』で、ガガーリンの母親役で出演しています。
第64回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員特別賞を受賞。(白)


2011年/ロシア/カラー/109分
(C)NON-STOP PRODUCTIONS - IMP. LEVILLAIN RCS CRETEIL B 322 482 710

ヴェラの祈り(原題:IZGNANIE)
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
原作:ウィリアム・サロイヤン「どこかで笑っている(The Laughing Matter)」
出演:コンスタンチン・ラヴロネンコ(アレックス)、マリア・ボネヴィー(ヴェラ)、アレクサンドル・バルーエフ(マルク)

アレックスは父親の遺した田舎の家に、妻と二人の子どもを連れて休暇を過ごしにきた。日ごろ仕事に忙しく、家族サービスのつもりだった。旧友の家族たちと食卓を囲み、子どもたちも楽しんでいる。ようやく二人になれたアレックスに、妻のヴェラは思いがけない告白をする。「妊娠したの。でもあなたの子じゃない」。動揺するアレックスは兄のマルクに相談する。

丘の上にポツンと建つ家と広い草原。絵のような風景に既視感がありました。説明を読んだら監督の念頭にはアンドリュー・ワイエスの絵があったのだそうです。ワンピースの女性が草原に半身を起こして、丘の上の家を見つめている後姿の絵が有名。灰色がかった壁に白いベッドの寝室、古びた窓枠など、克明な描写に寂寥感の漂う絵です。映画でも子どものいる情景は暖かいのに、ヴェラが母親の顔をやめると孤独がひたひたと寄ってくるようでした。ヴェラの告白にもナマの反応をしないアレックスですが、兄には取り乱して愚痴るのです。
帰り道に本屋さん店頭で「察しない男、説明しない女」という書名を見て、この映画そのものだ!と思ってしまいました。男女入れ替えた逆もまた真なんですけどね。
夫役のコンスタンチン・ラヴロネンコが第60回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞しています。(白)


2007年/ロシア/カラー/157分/スコープサイズ
配給:アイ・ヴィー・シー
(C)REN-Film
http://www.ivc-tokyo.co.jp/elenavera/
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2014年12月17日

ガガーリン 世界を変えた108分(原題:GAGARIN. PERVYY V KOSMOSE)

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監督:パヴェル・パルホメンコ
脚本:オレグ・カペネツ
撮影:アントン・アントノフ
音楽:ジョージ・カリス
出演:ヤロスラフ・ザルニン(ユーリー・ガガーリン)、ミハイル・フィリポフ(セルゲイ・コロリョフ)、オルガ・イワノワ(ヴァレンチナ)、ナジェジダ・マルキナ(母親)、ヴィクトル・プロスクリン(父親)

1961年4月12日、ロシア(旧ソ連)では、初の有人宇宙船ボストーク1号を打ち上げた。搭乗しているのは、ユーリー・ガガーリン27歳。3000人以上のパイロットの中から選抜された精鋭の候補生20人が厳しい訓練の日々を過ごし、最終的にユーリーが選ばれることになった。人工衛星の軌道を回るユーリーの眼下には、広大な宇宙とそこに浮かぶ美しい青い地球があった。

ユーリー・ガガーリン生誕80周年記念作品。
子どものころ初の宇宙飛行のニュースに沸き、「地球は青かった」というガガーリンの言葉が流行語になったのを覚えています。忠実に再現されたというこの作品によって、米ソの対立と激烈な宇宙開発競争のこと、この宇宙飛行も、まだまだ確固とした安全も保障されない中での命がけの挑戦であったことがよくわかりました。名誉とはいえ、まるで死地に赴く兵を送るように家族は不安を隠せません。50年以上も前の宇宙船や装備が現在と比べるとあまりにも素朴で、結果がわかっているのにハラハラしてしまいました。
お偉方の発言にカチンと来るところも多々ありますが、一躍英雄となったユーリー・ガガーリンをはじめ、宇宙飛行を夢見る若者たちが明るくまっすぐで、さわやかな感動を呼びます。(白)


2014年/ロシア/カラー/113分
配給:ミッドシップ
(C)2013. Kremlin Films All Rights Reserved.
http://www.gagarin.jp/
★2014年12月20日(土)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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