2014年12月28日
シン・シティ 復讐の女神(原題:Sin City: A Dame to Kill For)
監督:ロバート・ロドリゲス、フランク・ミラー
原作・脚本:フランク・ミラー
撮影:ロバート・ロドリゲス
出演:ミッキー・ローク(マーヴ)、ジェシカ・アルバ(ナンシー・キャラハン)、ジョシュ・ブローリン(ドワイト・マッカーシー)、ジョセフ・ゴードン=レビット(ジョニー)、ロザリオ・ドーソン(ゲイル)、ブルース・ウィリス(ジョン・ハーティガン)、エヴァ・グリーン(エヴァ・ロード)、パワーズ・ブース(ロアーク上院議員)
悪徳がはびこる街シン・シティ。場末のストリップバー「ケイディ」で、男たちの目を楽しませる踊る「女神」ナンシー。彼女は愛するハーディガン刑事を殺した男に復讐しようとして未だ果たせず、酒びたりになっていた。マーヴはそんなナンシーを兄のように見守っている。しがない探偵のマッカーシーは、自分を捨てて金持ちの男に走ったエヴァが忘れられず、呼び出しに応じてしまった。流れ者のギャンブラーのジョニーは、街を牛耳る上院議員のロアークに勝負を挑む。
2005年公開の『シン・シティ』の続編。ロバート・ロドリゲス監督がコミックス原作者のフランク・ミラーと脚本・監督にあたり、シン・シティ(罪の街)で生きるアウトサイダーたちを描いています。前作に加えて豪華俳優陣が集結、ほんのちょっとのシーンにあっ!という人がいますので、よーく見ていてください。
ストリップダンサー役のジェシカ・アルバは衣装つけたままで、それほどセクシーではありません。補ってあまりあるのがエヴァ・グリーン。「魔性の女」の看板つけたいほど妖艶で、メデューサばりの視線も恐ろしいです。印象的な色を配した白黒の画面が鮮烈。飛び散る血しぶきが白なので、エグさ半減。それでも十分に濃い世界です。(白)
2014年/アメリカ/カラー/ビスタ/103分/R15+
配給:ギャガ
http://sincity.gaga.ne.jp/
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★2015年1月10日(土)TOHOシネマズ スカラ座他全国ロードショー
トラッシュ! この街が輝く日まで(原題:Trash)
監督:スティーブン・ダルドリー
脚本:リチャード・カーティス
原作:アンディ・ムリガン
撮影:アドリアーノ・ゴールドマン
音楽:アントニオ・ピント
出演:リックソン・テベス(ラファエル)、エデュアルド・ルイス(ガルド)、ガブリエル・ウェインスタイン(ラット)、マーティン・シーン(ジュリアード神父)、ルーニー・マーラ(オリヴィア)
リオデジャネイロ郊外。14歳のラファエルとガルドは、毎日ゴミ山からお金に換えられそうなものを集めて生活している。ある日ラファエルはゴミに混じっていた財布を拾う。中にはIDカード、女の子の写真、ロトカードそれにカギが一つ入っていた。なぜか警察が血眼で探していて懸賞金まで出すという。不審に思ったラファエルとガルドは下水道に住むラットも仲間に加え、財布に隠された秘密を突き止めようとする。
最初に正面に向かって語りかけるラファエルが登場します。その内容に「えっ!」と驚き、いったいどうなってしまうのだろうとグッと掴まれます。その後の展開をハラハラしながら見守りました。主人公は少年3人、元CIAの凄腕などではありません。大人が躍起になって追い回すのをかわしながら、隠された真実に近づいていく彼らに喝采。幅広い観客に訴える物語ですが、特に主人公と同世代の子どもたちに見て欲しいです。
親代わりのジュリアード神父や心配するオリヴィアに、ラファエルが返す答えは…ここで書いてはいけませんね。金儲けと保身に汲々としている大人が恥じ入ってしまう一言でした。貧困層と一握りの富裕層、警察の腐敗、悪辣な政治家など背景をきちんと描き、現地で見つけたという少年たちが生き生きして、素晴らしくいいです。(白)
2014年/イギリス/カラー//114分
配給:東宝東和
(c) Universal Pictures
http://trashmovie.jp/
★2015年1月9日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー
2014年12月21日
海月姫(くらげひめ)
監督:川村泰祐
脚本:大野敏哉、川村泰祐
原作:東村アキコ
撮影:福本淳
美術:笠井亜紀
衣装:井手珠美
音楽:前山田健一
出演:能年玲奈(倉下月海)、菅田将暉(鯉淵蔵之介)、長谷川博己(鯉淵修)、池脇千鶴(ばんばさん)、太田莉菜(まやや)、馬場園梓(千絵子)、篠原ともえ(ジジ様)、片瀬那奈(稲荷翔子)、速水もこみち(花森よしお)、平泉成(鯉淵慶一郎)
イラストレーターを目指して鹿児島から上京した倉下月海が住んでいるのは、年代モノのアパート天水館(あまみずかん)。ここには男を必要としない人生を満喫する「尼〜ず」の巣窟であった。家主の娘の和物オタク千絵子、鉄道オタクばんばさん、三国志おたくのまやや、枯れ専のジジ様といった個性豊かな面々が暮らしている。クラゲオタクの月海の夢の実現ははるか彼方だったが、まことに居心地の良い空間だった。
行きつけの熱帯魚店で、死にそうなクラゲを見つけた月海は、勇気をふりしぼって店員に訴えるがわかってもらえない。その危機を救ったのは、通りすがりのおしゃれ女子。部屋にこっそり泊めたのはいいが、朝起きてびっくり!女子ではなく、ファッション大好きの女装男子、蔵之介だった!!
漫画から抜け出してきたようなキャラたちに、原作者の東村アキコさんも大満足だったそうです(カメオ出演しています)。能年玲奈はポジティブの見本のような「あまちゃん」から、コンプレックスにとらわれ引っ込み思案な月海。蔵之介と尼〜ずのチーム力が成長を後押ししていきます。
女子力を全開させたハイライトのファッションショーでは、それまで顔が半分しか見えなかったまやや役の太田莉菜(元々モデル出身)と、ドレスが似合いすぎる菅田将暉が華やかに魅力を振りまきます。おくてな月海の淡い恋模様と、天水館の存続の危機とをうまくからめて楽しい仕上がりになりました。(白)
2014年/日本/カラー/126分
配給:アスミック・エース
(C)2014映画『海月姫』製作委員会
(C)東村アキコ/講談社
http://www.kuragehi.me/
★2014年12月27日(土)ロードショー!
真夜中の五分前
監督:行定勲
原作:本多孝好
脚本:堀泉杏
撮影:中山光一
出演:三浦春馬(リョウ)、リウ・シーシー(ルーメイ/ルオラン)、ジョセフ・チャン(レオン)
上海の古い時計店で修理工として働く青年リョウは、たまたま知りあった若い女性ルオランの買い物の相談に乗る。妹ルーメイへの婚約祝いの品を選ぶのだという。
姉妹は見た目はそっくりな双子だが、妹のルーメイは姉のルオランよりいつも積極的だった。ルオランは先に知り合いながら、妹と婚約したティエルンを愛していた。リョウはすこし寂しげなルオランに惹かれていく。
上海で働く青年を演じた三浦春馬が、全編中国語のセリフで通しています。一人二役のリウ・シーシーもお疲れ様でした。姉妹2人が登場する場面も違和感ありません。
友人に一卵性双生児の姉妹が2組いて、それと知らずにもう片方と会ったときすごく驚きました。目がまん丸くなっていたはずです。映画の中でもリョウがからかわれて驚く場面があります。入れ替わっても周りに気づかれないかも、便利?!と思いましたが、長い時間過ごした親しい人なら気づくのではないでしょうか。1年後リョウが再会したのは、ルオランかルーメイか?あなたの判断はどちら?(白)
なぜ三浦春馬が上海で時計修理をしているのかとか、なぞはあるけど、ミステリータッチの興味深い作品。それにしても三浦春馬の中国語はけっこう上手かった。監督によると「まじめに勉強して、監督の思惑以上に上達してしまった」とか。ジョセフ・チャンと言い争うシーンなど、あまりに中国語が上手くてジョセフが驚いたと語っていた。
古風な店と雰囲気のある古い街角と今時の新しい店。時計修理工とTVプロデューサーという対照的な組み合わせ。意外性のある双子の姉妹をめぐる物語。(暁)
2014年東京フィルメックスにて 行定勲監督
スタッフ日記ブログに下記を掲載しています。
★12/27公開の始まった『真夜中の五分前』 東京フィルメックスでの滅茶面白かった行定勲監督のQ&A (咲)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/411372865.html
2014年/日本・中国合作/カラー/129分
配給:東映
(C) 2014 “Five Minutes to Tomorrow” Film Partners
http://mayonaka5.jp/
★2014年12月27日(土)新宿バルト9他にて全国ロードショー
2014年12月20日
私の恋活ダイアリー 英題:Sixty and the City
監督・出演:ニリ・タル
60歳を迎えたニリ・タル監督。
同じ男性と結婚・離婚を計3回繰り返し、2児をもうけ孫8人。かつて新聞記者やテレビ局のレポーター兼ディレクターとして活躍し、現在は映像作家として何不自由ない日々をおくっている。
でも、ふっと、このまま独りで年を取り続けるのは寂しい、連れ合いを見つけようと思い立つ。さっそく自己紹介文と写真をあちこちの恋活サイトに登録するも、一向に反応がない。写真が決め手かもと、ミニスカートに胸元を開けたブラウスで色っぽい写真を撮ってアップする。結果、20代から80代までの男性1320人からメールが届く。
本作は、監督が1年8ヶ月の間に実際にデートした男性のうち、撮影許可をくれた人たちとの顛末を綴ったもの。果たして、監督はこれからの伴侶を得ることができるのか・・・
なんといっても私と同年代の女性の恋活とあって、興味津々。しかも、イスラエル。「安息日には映画を観ない」と、デートを断った男性が、ほかの女性と映画館に来ていたとか、ユダヤの新年にニューヨークにいる息子に会いにいったりするくらいで、宗教的にどうのといった特別な要素はほとんどなかったのはちょっと残念だった。でも、時に真剣に、時におもしろおかしく自身の経験をあからさまに語った本作、世の中、こんなにも人生を分かち合える人を探している人が多いのだと、なんだか勇気付けられた。その気になれば、私にも良きパートナーが見つかる?!
お正月に公開される『トレヴィの泉で二度目の恋を』でも、シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマー演じる黄昏を迎えた二人が恋に落ちるように、恋に年は関係ない! 出会いを楽しみにしなくっちゃ! (咲)
配給:パンドラ
後援:イスラエル大使館
協力:あいち国際女性映画祭/シニア女性映画祭
*あいち国際女性映画祭2014では『私は都会派、60歳』のタイトルで上映
2010年/イスラエル/カラー/70分
公式サイト:http://www.koikatsu-diary.com
★2014年12月20日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町他にて、 全国順次ロードショー