2014年11月15日
天才スピヴェット(原題:L'extravagant voyage du jeune et prodigieux T.S. Spivet)
監督・脚本:ジャン=ピエール・ジュネ
原作:「T・S・スピヴェット君 傑作集」(早川書房刊)
撮影:トマス・ハードマイアー
美術:アリーヌ・ボネット
出演:カイル・キャトレット(T・S・スピヴェット)、ヘレナ・ボナム=カーター(母 クレア博士)、カラム・キース・レニー(父 テカムセ・E・スピヴェット)、ニーアム・ウィルソン(姉 グレーシー)、ジュディ・デイヴィス(G・H・ジブセン)
スピヴェットは10歳の天才科学者。カウボーイの生き方を目指す父、昆虫博士の母、スターを夢見る姉、父のお気に入りの元気な双子の弟とモンタナの牧場で暮らしている。ある日弟が銃の事故で亡くなり、それ以来家族の心には、ポッカリと穴が空いてしまった。スピヴェットはバラバラになった家族を繋ぎ合わせようとひとり苦心する。
スピヴェットの発明がスミソニアン博物館の科学賞に決定し、彼は誰にも告げず授賞式に出席することにした。モンタナから大都市ワシントンD.C.までは、大陸横断の長い旅。小さなスピヴェットは無事たどり着くことができるのか。
『アメリ』のジュネ監督が送り出す3D最新作。並外れた才能は田舎で発揮することもできず、弟の死以来孤独な天才少年スピヴェット。大きなスーツケースを引きずっての一人旅に、孫を見るようにハラハラ。しか〜し、そこはジュネ監督、ユーモアを織り交ぜながらちゃんと先導してくれます。『ロング・エンゲージメント』『ミックマック』でもジュネ監督と組んだアリーヌ・ボネットの美術がすみずみまで楽しいです。
スピヴェットを演じるカイル・キャトレットは、7歳以下の武道選手権の世界チャンピオンで、ロシア語始め6ヶ国語を話す天才少年。アジアンプレミアとなった東京国際映画祭にジュネ監督とゲストで登場。人気子役の鈴木福くんと顔合わせしたようです。(白)
2014年/フランス、カナダ/カラー/105分/2D,3D
配給:ギャガ
(C)EPITHETE FILMS - TAPIOCA FILMS - FILMARTO - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA
http://spivet.gaga.ne.jp/
★2014年11月15日 シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開
ショート・ターム(原題:shortterm12)
監督・脚本:デスティン・ダニエル・クレットン
撮影:ブレット・ポウラク
出演:ブリー・ラーソン(グレイス)、ジョン・ギャラガー・Jr(メイソン)、ケイトリン・デヴァー(ジェイデン)、キース・スタンフィールド(マーカス)、ラミ・マレック(ネイト)
「ショート・ターム」は様々な事情で親と暮らせないティーンエイジャーの短期保護施設。20代のグレイスは、入所している子どもたちからの信頼も厚いケアマネージャー。今朝も外へと走り出すサミーを間一髪抱き止めるのに成功した。新人職員のネイトは不用意な発言をして、寡黙なマーカスを怒らせてしまう。マーカスは18歳になったらこの施設を出なければならない。
ジェイデンという新しい少女が加わった。誕生日に父が来ないと荒れるジェイデン、心のよりどころの人形を取り上げられて引きこもるサミー、施設では大小の事件がひっきりなしに起こる。
デスティン・ダニエル・クレットン監督の体験を盛り込んだ20分の同名短編(サンダンス映画祭で審査員賞)を長編版にリメイクしたもの。グレイスは長編を作るにあたって新しく創作されたキャラクターなのだとか。自身も問題を抱え、見ないようにしてきた事実を、施設の子どもたちと触れ合うことで認め、乗り越えていきます。個性溢れる子どもたち、優しくグレイスを包むメイソン、あまり馴染みのない俳優だったからか、自分の目に色がついていなくて誰もが実際にそこにいる人に見えました。多くの映画祭で上映され、数々の賞を獲得しています。(白)
2013年/アメリカ/カラー/97分
配給:ピクチャーズデプト
(C)2013 Short Term Holdings, LLC. All rights reserved.
http://shortterm12.jp/
★2014年11月15日 ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国順次公開
6才のボクが、大人になるまで。(原題:Boyhood)
監督・脚本:リチャード・リンクレイター
出演:エラー・コルトレーン(メイソン)、ローレライ・リンクレイター(サマンサ)、パトリシア・アークエット(オリヴィア)、イーサン・ホーク(メイソン・Sr.)
米テキサス州に住む6歳の少年メイソンは、母と姉サマンサと暮らしている。ミュージシャンを夢見る父は離婚して遠くにいる。家計を背負って働く母はキャリアアップのために大学に入学した。ヒューストンに転居して、父と再会する。母は大学の教授だったビルと再婚。ビルの子どもたちとは仲良くなるが、アル中のビルは暴力を振るうようになり、3人は着の身着のままで逃げ出す。青春期を過ごし大人になっていくメイソンとサマンサ。大学を卒業して教鞭をとるようになった母。父も再婚して子どもが生まれる。
4人の俳優が、12年間同じ役を演じ続けたなんとも贅沢な作品。天使のような可愛い男の子だったメイソンが18歳の若者になり、自分の道を見つけて旅立つまでが描かれます。逞しい母親を演じたパトリシア・アークエットは、細身だったのが体つきまで逞しくなっていて、子どもの成長とともに時間を感じさせます。イーサン・ホークはあまり変わらず、いつも子どもの目線寄りの父親が似合っていました。
間になにげなくその時代を感じるものをはさみながら、一人の少年の成長を淡々と追う作品ですが、少しも長いと感じませんでした。ベルリン映画祭銀熊賞(監督賞)受賞。(白)
2014年/アメリカ/カラー//165分
配給:東宝東和
(c)2014 boyhood inc./ifc productions I, L.L.c. aLL rights reserved.
http://6sainoboku.jp/
★2014年11月14日(金)TOHOシネマズ シャンテ他にて公開
デビルズ・ノット(原題:Devil's Knot)
監督:アトム・エゴヤン
原作:マーラ・レヴァリット
脚本:ポール・ハリス・ボードマン、スコット・デリクソン
撮影:ポール・サロッシー
出演:コリン・ファース(ロン・ラックス)、リース・ウィザースプーン(パム・ホッブス)、アレッサンドロ・ニヴォラ(デリー・ホッブス)デイン・デハーン(クリス・モーガン)、ブルース・グリーンウッド(バーネット判事)、エイミー・ライアン(マーガレット・ラックス)、ミレイユ・イーノス(ヴィッキー・ハッチソン)、ジェームズ・ウィリアム・ハムリック(ダミアン・エコールズ)
1993年アメリカ、ウェスト・メンフィスの小さな町で、男の子3人が惨殺死体で発見されるという事件が起った。猟奇的な手口から警察は悪魔崇拝者の仕業と考え、オカルトに興味を持つ問題児のダミアンと仲間、ティーンエイジャー3人を容疑者として逮捕する。息子をなくした母親の一人、パム・ホッブスは裁判を見つめるにしたがい、警察の捜査や矛盾点に不審を抱いていく。私立探偵のラックスも事件に興味を覚えて独自に捜査を開始する。
事件の背景、裁判の記録がドキュメンタリー映画としてテレビ放映されて、冤罪ではないかと広く知られている事件だそうです。警察のずさんな捜査や嘘の証言、地域の偏見などから犯人とされた少年たちは、2011年「罪を認める代わりに釈放」という司法取引に応じ、司法上の犯人は確定したとか。何それといいたくなるような結果で、今も真犯人は野放しと信じる人は多いそうです。映画では実在の主要人物を実力派俳優たちが演じて、藪の中にいる犯人をあぶりだそうとしています。キャッチコピーは「悪魔は誰か」。ああもうみんな怪しく見える〜。(白)
2013年/アメリカ/カラー/114分
配給:キノフィルムズ
(C)2013 DEVILS KNOT LLC. ALL RIGHTS RESERVED
http://devilsknot.jp/
2014年11月14日 TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテほかにて全国ロードショー!