2014年11月01日

祝宴!シェフ  (原題:總舗師:移動大廚  英題:ZONE PRO SITE:The Moveable Feast)

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監督/脚本:チェン・ユーシュン(陳玉勳)
出演:リン・メイシウ(林美秀)、トニー・ヤン(楊祐寧)、キミ・シア(夏于喬)

かつて台湾では、祝いごとがあると屋外で宴が開かれ、総舗師(ツォンポーサイ)と呼ばれる宴席料理人が腕を振るったものだった。20年前、台湾には北部の「人」、中部の「鬼」、南部の「神」と呼ばれた3人の伝説の料理人がいた。
神と称された蝿師を父に持つシャオワン(キミ・シア)は、モデルを夢見て台北に行ったが、恋人の借金を抱えて追い出されるように帰郷。父亡き後、継母の経営する食堂は閑古鳥が鳴いていた。旅する料理ドクター、ルーハイ(トニー・ヤン)の手助けで持ち直す。
ある日、50年越しの初恋を実らせた老カップルが訪ねてくる。出会った時の宴会料理で結婚披露宴を開きたいというのだ。なんとか彼らの願いを叶えたいと思うシャオワンだが、料理は初心者。亡父のレシピを頼りに全国宴席料理大会に挑む決意をする。賞金で借金を返したいという思いもあった。借金取りまでをも助っ人にするが、さてはて、優勝することはできるのか・・・

冒頭に出てくる素朴な壁画に惹きこまれました。監督に伺ったら、洪通(ホントン)さんという素人の方の民画が好きで、その画風を真似て美術担当に描いてもらったものとのこと。
『熱帯魚』(95)『ラブゴーゴー』(97)で世を沸かせたチェン・ユーシュン監督の16年ぶりの長編映画。前2作では、いわゆる美男美女が出て来ませんでしたが、今回の主演二人は違います。料理中でも、取材が入るというと化粧直しに余念のないシャオワンが、とってもキュート。♪ドソラシファ・・・と、ギター片手に歌う料理ドクターのルーハイは、これまでのトニー・ヤンのイメージを崩す2枚目半ですが、やっぱり美男です。
太っちょの継母が廟の前で客引きのために踊ったり、ウー・ニエンチェン監督が演じるホームレスがありあわせの材料で見事な料理を作ったりするなど、楽しい場面満載の作品。
そして、宴席料理大会で思い出したのが、レスリー・チャン主演の『金玉満堂〜決戦!炎の料理人』。テイストはもちろん違うのですが、最後の最後まで、どちらが勝つかハラハラドキドキは同じでした。(咲)


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特別記事 『祝宴!シェフ』チェン・ユーシュン監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2014/shukuen/index.html

配給:クロックワークス 
日本語字幕:鮑智行
後援:台北駐日経済文化代表処
2013年/台湾/145分/中国語、台湾語/カラー/スコープ/DCP5.1ch
公式サイト:http://shukuen-chef.com
★2014年11月1日(土)シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
posted by sakiko at 15:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

馬々と人間たち(原題:Of Horses and Men)

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監督・脚本:ベネディクト・エルリングソン
製作:フリズリク・ソール・フリズリクソン
出演:イングヴァール・E・シーグルソン(コルペイン)、シャーロッテ・ボーヴィング(ソルヴェーイグ)、ステイン・アルマン・マグヌソン(ヴェルンハルズル)、キャルタン・ラグナルソン(グリームル)、ヘルギ・ビョルンソン(エーギットール)

アイスランドの小さな村。独身のコルベインは美しい白馬グラウーナが自慢。子持ちの未亡人ソルヴェーイグを憎からず思っているが、なんと愛馬たちの恋のほうが先に進展してしまった。コルベインがグラウーナと散歩中にソルヴェーイグの馬ブラウンが、いきなり行為に及んでしまったのだ。愛馬をキズモノにされたコルベインは怒り心頭。村中が見守る恋は大波乱の様相を見せる。
酒飲みのヴェルンハルズルはウオッカほしさに海に飛び込み、グリームルはエーギットールが張り巡らしたばかりの有刺鉄線を切ってまわる。旅行者のフアンはスウェーデン娘のヨハンナを見初めて、乗馬観光に参加するが…。

まだ春浅いころから秋までのアイスランドの広大な風景をバックに、個性豊かな村人たちが引き起こす騒動。エピソードが変わるたびに、綺麗な馬の眼がアップになります。馬の眼から見たおかしな人間たちのドラマに引き込む装置のようです。昨年の東京国際映画祭で監督賞を受賞しましたが、ベネディクト・エルリングソン監督は舞台の演出家・俳優であり、長編映画はこれが初めての作品。脚本も書かれた、これまでにないスタイルの映画で、強く印象に残りました。
アイスランドの生活にはごく普通に馬がいて、監督も俳優さんたちもみな馬好きとのこと。よく知っているからこそ狙えたシーン、演出できたシーンの連続です。写真は昨年の映画祭での舞台挨拶のようす。ベネディクト・エルリングソン監督(右)とプロデューサーのフリズリク・ソール・フリズリクソン氏です。(白)


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2013年/アイスランド/カラー/81分
配給:マジックアワー)
(C)Hrossabrestur2013
http://www.magichour.co.jp/umauma/
★2014年11月上旬、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 02:47| Comment(0) | TrackBack(0) | アイスランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

グレイトフルデッド

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監督:内田英治
脚本:内田英治、平谷悦郎
撮影:木村信也
出演:瀧内公美(冴島ナミ)、笹野高史(塩見三十郎)、キム・コッピ(スヨン)、矢部太郎(村佐古)、酒井若菜(冴島明日香)、木下ほうか(塩見清直)

冴島ナミは孤独な人間を観察するのが生きがいの「孤独ウォッチャー」。今はまっているのは一人暮らしのガンコ老人塩見三十郎。訪れる人といえば金目当ての息子だけ、追い返した後は何もすることがなく日を送っている。ほくそえみながら一部始終を観察している女がいるなど知るヨシもない。しかし、孤独死寸前かと思われた塩見が、今救われようとしていた。ナミは「幸せになるなんて許せなーい!!」とばかりに邪魔に入る。

ブラックコメディですが、蔓延する無関心と孤独な人々を切り取って、ある面とてもリアルで痛いです。名バイプレイヤーで、仕事は断らない主義の笹野高史さんが「一瞬躊躇した」という過激な作品。ナミの塩見への執着は寂しい自分を投影しているのでしょう。たぶん一緒に孤独を全うしたかったナミは、暴走を始めます。これも愛なのか?反撃する笹野さん演じる塩見の表情にご注目ください。遊びに出かける男の子みたいにすご〜く楽しそうなんですけど。(白)

2014年/日本/カラー/97分
配給:アークエンタテインメント
(C)2013「グレイトフルデッド」製作委員会
http://greatfuldead-movie.com/

★2014年11月1日(土)より新宿ミラノほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 02:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マダム・マロリーと魔法のスパイス(原題:The Hundred-foot Journey)

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監督:ラッセ・ハルストレム 
製作:スティーブン・スピルバーグ、オプラ・ウィンフリー、ジュリエット・ブレイク
原作:リチャード・C.モライス (集英社文庫)
音楽:A.R.ラフマーン
出演:ヘレン・ミレン(マダム・マロリー)、オム・プリ(パパ)、マニッシュ・ダヤル(ハッサン)、シャルロッテ・ルボン(マルグリット)、ミシェル・ブラン(町長) 

インド、ムンバイ。賑やかなバザールの一角にあるカダム家のレストラン。次男ハッサン(マニッシュ・ダヤル)は、料理名人のママから「絶対味覚」を伝授されて腕をふるっていた。ある日、選挙がらみの抗争に巻き込まれ、レストランが焼き討ちにあい、店とママを失ってしまう。失意のパパ(オム・プリ)は、一家を連れてロンドンに渡る。空港近くで店を開くも、寒いし、英国の野菜には魂がないと、1年後、一家は新天地を求めてフランスへ。
南フランスの山間でレストランにぴったりの空き家を見つけたパパ。ほどなく、おんぼろ車が故障して、近くの村に留まることになる。手助けしてくれた女性マルグリット(シャルロット・ルボン)の家で、ありあわせの材料で作った料理に舌鼓を打つ一家。マルグリットは、パパが目を付けた空き家の真向かいにあるミシュラン1つ星のフレンチ・レストラン<ル・ソル・プルルール>の副料理長だった。オーナーのマダム・マロリー(ヘレン・ミレン)は、夫の死後、人生を賭けてレストランを守り、もう一つ星を加えたいという野望を持っていた。
そんな高級レストランの真向かいに開店したインド料理レストラン<メゾン・ムンバイ>は、大音響でインド音楽を流し、気位の高いマダム・マロリーは眉をしかめる。しかも、市場で食材のハトを買い占められてマダムは怒り心頭。両店のバトルが始まる・・・

フランス料理とインド料理の対決かと思ったら、ハッサンはママ秘伝のスパイスをフレンチの隠し味にしてしまうのです。みごとな食文化の融合! 若いハッサンとマルグリットが恋に落ちていくのは当然の成り行きですが、相容れなかったマダム・マロリーとパパが歩み寄っていく姿が素敵です。お互いの文化に敬意を表することが、共生の基本であることを感じさせてくれます。本作、舞台はフランスなのに、皆が英語で意思疎通をはかってしまっているのが気になりますが、まぁそこは映画ですから!

昨年の『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(2011年/イギリス=アメリカ=アラブ首長国連邦、日本公開2013年2月1日)、今年に入って、『聖者たちの食卓』(2011年/ベルギー、日本公開 2014年9月27日)『ミリオンダラー・アーム』(2014年/米、 日本公開2014年10月4日)など、このところ、欧米の映画にインドが登場するのも嬉しい現象。
本作も冒頭のバザールの雑踏が、まさにインドでワクワクしました。(咲)


2014/アメリカ/2時間2分/シネスコ/サウンドシステム:ドルビー5.1
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(c)2014 DreamWorks II Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.
http://disney-studio.jp/spice/

★2014年11月1日(土)全国ロードショー
posted by shiraishi at 02:36| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美女と野獣(原題:La Belle et La Beta)

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監督:クリストフ・ガンズ
脚本:クリストフ・ガンズ、サンドラ・ヴォ=アン
撮影:クリストフ・ボーカルヌ主演:レア・セドゥ(ベル)、ヴァンサン・カッセル(野獣/王子)、アンドレ・デュソリエ(商人)

裕福だった商人一家は船の事故で財産を失い、小さな村に移り住む。不満たらたらの兄や姉たちと違って優しい末娘のベルは、慣れない畑仕事や家事に精を出していた。町からの帰りに吹雪に遭った父は、古い城にたどり着いて難を逃れるが、ベルの好きなバラを折り取って城主である野獣の激しい怒りを買ってしまう。ベルは命を差し出せと言われた父の身代わりに、覚悟をきめて野獣のもとへと出向く。しかしベルへの野獣の要求は、着飾ってディナーを共にすることだけだった。

よく知られたファンタジー『美女と野獣』の実写版。ヴァンサン・カッセルはトウが立ち過ぎている気もするけれど、ゴージャスな衣装に負けない貫禄。レア・セドゥは珍しく大人しい優しい娘役?と思いきや、精神的に自立して野獣にきっちり意見もいえる芯の強いベルを創り上げていました。
『アデル、ブルーは熱い色』での青い髪もいいけれど、こういう古典的なファッションもよく似合います。美術や衣装は凝りにこっていますが、『ジェヴォーダンの獣』『サイレント・ヒル』のクリストフ・ガンズ監督、美しいだけではありません。不気味な雰囲気やあっというようなアクションもお手の物、男女ともに楽しめる作品になっています。
宣伝のため来日したレア・セドゥと監督は日本の野獣代表?くまモンと会ったらしいです。いったいどんな感想だったのでしょう。(白)


2014年/仏独合作/カラー/113分/5.1chデジタル/シネスコ
配給:ギャガ 提供:アミューズソフトエンタテインメント、ギャガ
http://beauty-beast.gaga.ne.jp/
(C)2014 ESKWAD - PATHE PRODUCTION - TF1 FILMS PRODUCTION ACHTE / NEUNTE / ZWOLFTE / ACHTZEHNTE BABELSBERG FILM GMBH - 120 FILMS

★2014年11月1日(土)より、TOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 02:28| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

無知の知

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監督:石田朝也
ゼネラルプロデューサー:大塚馨
撮影:松崎高久
録音:小松一之
編集:石田朝也
出演:枝野幸男、福山哲郎、菅直人、下村健一、班目春樹ほか多数

2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発の事故の後、石田朝也監督は自分自身が原発について何も知らないということに気がついた。当時の状況を知る政府関係者、原子力の専門家に「原発って何?」と素朴な疑問をぶつけ、仮設住宅で暮らす被災した方々の声に耳を傾ける。

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事故の直後から撮影を始め、生々しい映像や声を集めたドキュメンタリーをこれまでいくつも観てきました。このドキュメンタリーは、それらと少し違った作りです。
2年後に初めて被災地を訪ねた石田監督の受けた衝撃と、わいてきた疑問からスタートしています。元総理をはじめ、当時の関係者にアタック。百戦錬磨の方々を相手に苦戦し、勉強不足と叱られながらも果敢に質問。そうそう、それが聞きたかったと同感します。涙ぐむおばちゃんにうろたえる姿に監督の優しさが見えました。原発の是非を問いただすのではなく、観た人に何かを強要するのでなく、いろいろな材料を調達して見せてくれている作品です。
福島映像祭の後、インタビューさせていただきました(92号本誌、シネジャHP特別記事に掲載)。高い敷居も壁もない石田監督のキャラに、名だたる政治家も被災した方々もきっと口元がほころんだに違いありません。(白)


2014年/日本/カラー/107分
配給:アルゴ・ピクチャーズ
コピーライトマーク「無知の知」製作委員会2014
http://muchinochi.jp/
★2014年11月1日(土)ポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー
別のスタッフの感想
posted by shiraishi at 01:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする