2014年11月15日

デビルズ・ノット(原題:Devil's Knot)

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監督:アトム・エゴヤン
原作:マーラ・レヴァリット
脚本:ポール・ハリス・ボードマン、スコット・デリクソン
撮影:ポール・サロッシー
出演:コリン・ファース(ロン・ラックス)、リース・ウィザースプーン(パム・ホッブス)、アレッサンドロ・ニヴォラ(デリー・ホッブス)デイン・デハーン(クリス・モーガン)、ブルース・グリーンウッド(バーネット判事)、エイミー・ライアン(マーガレット・ラックス)、ミレイユ・イーノス(ヴィッキー・ハッチソン)、ジェームズ・ウィリアム・ハムリック(ダミアン・エコールズ)

1993年アメリカ、ウェスト・メンフィスの小さな町で、男の子3人が惨殺死体で発見されるという事件が起った。猟奇的な手口から警察は悪魔崇拝者の仕業と考え、オカルトに興味を持つ問題児のダミアンと仲間、ティーンエイジャー3人を容疑者として逮捕する。息子をなくした母親の一人、パム・ホッブスは裁判を見つめるにしたがい、警察の捜査や矛盾点に不審を抱いていく。私立探偵のラックスも事件に興味を覚えて独自に捜査を開始する。

事件の背景、裁判の記録がドキュメンタリー映画としてテレビ放映されて、冤罪ではないかと広く知られている事件だそうです。警察のずさんな捜査や嘘の証言、地域の偏見などから犯人とされた少年たちは、2011年「罪を認める代わりに釈放」という司法取引に応じ、司法上の犯人は確定したとか。何それといいたくなるような結果で、今も真犯人は野放しと信じる人は多いそうです。映画では実在の主要人物を実力派俳優たちが演じて、藪の中にいる犯人をあぶりだそうとしています。キャッチコピーは「悪魔は誰か」。ああもうみんな怪しく見える〜。(白)

2013年/アメリカ/カラー/114分
配給:キノフィルムズ
(C)2013 DEVILS KNOT LLC. ALL RIGHTS RESERVED
http://devilsknot.jp/

2014年11月14日 TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテほかにて全国ロードショー!
posted by shiraishi at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月08日

最後の命

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監督:松本准平
脚本:高橋知由、松本准平
原作:中村文則「最後の命」講談社刊
撮影:長野泰隆
主題歌:Cocco『Snowing』
出演:柳楽優弥(明瀬桂人)、矢野聖人(冴木裕一)、比留川游(小泉香里)、内田慈(やっちり)、池端レイナ(エリコ)、りりィ(カウンセラー)、滝藤賢一(山下刑事)

幼馴染の明瀬桂人と冴木裕一はいつもつるんで遊ぶ仲間、二人で家出を決行した晩、ある事件にまきこまれる。トラウマを抱えたまま成長する二人は、高校卒業以来疎遠になっている。大人になった桂人は、なるべく人に関わらずひっそりと生き、心を病んでいる香里とだけはお互いによりそうように支えあっている。
冴木と7年ぶりに会った日、桂人の部屋には顔なじみのデリヘル嬢の遺体があった。警察で事情聴取された桂人は、冴木が連続婦女暴行事件の容疑者として指名手配中と知る。

芥川賞作家(2005年「土の中の子供」)の中村文則原作の映画化。この試写を観たのをきっかけに読んだ中村文則氏のミステリーは、海外でも高く評価されているのを知りました。松本監督が本屋で原作に出会って衝撃を受け、映画化を切望する手紙を書いて話が進んだとか。
桂人役の柳楽優弥はついこの前『闇金ウシジマくん Part2』でストーカーの蝦沼を演じて怖かったのですが、今度は一転、トラウマを抱いて大人になった静かな青年を演じています。主演の二人とも役にどっぷり入る性質らしく、ストーリーが佳境に入ると熱が迸るようです。
このごろ気になっている女優の内田慈(うちだ ちか)さんが、この作品でも印象に残る役どころ。
チェルシー映画祭で<最優秀脚本賞受賞>とのニュースが入りました。
公開に弾みがつきましたね!(白)


2014年/日本/カラー//110分
配給:ティ・ジョイ
(C)2014 beachwalkers.
http://saigonoinochi.com/
★2014年11月8日(土)新宿バルト9ほか全国公開
posted by shiraishi at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

0.5ミリ

監督・脚本・原作:安藤桃子
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撮影:灰原隆裕
音楽:TaQ
出演:安藤サクラ(山岸サワ)、柄本明(佐々木健)、坂田利夫(茂)、草笛光子(真壁静江)、津川雅彦(真壁義男)、織本順吉(片岡昭三)、木内みどり(片岡雪子)、土屋希望(片岡マコト)、井上竜夫(康夫)、東出昌大(カラオケ店員)、ベンガル(斉藤末男)、角替和枝(浜田)、浅田美代子(真壁久子)

介護ヘルパーの山岸サワは、派遣先の片岡家の寝たきりのおじいちゃんと「冥土の土産に寝てやってくれない」と頼まれる。添い寝だけと事務所にナイショで泊り込んだが、大事件勃発。サワは仕事を首になり、寮を追い出され、いきなり寝るところもお金もないどん底に陥ってしまった。町のカラオケ店で意味不明の交渉をしているお爺ちゃんを見つけ、一晩の宿を確保しようと強引に連れになる。康夫と名乗ったお爺ちゃんは、朝別れ際にサワへ自分のコートをくれて、お金を握らせた。以来、サワは生きるため一人ぼっちの老人を見つけては、おしかけヘルパーで暮らしていく。

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監督・脚本の安藤桃子が自身のヘルパー体験から紡いだストーリー。個性的なワケアリお爺ちゃんたちとのエピソードがリアルなのも頷けます。サワを演じる実妹の安藤サクラは、サワを生き生きと演じて本当に上手い!彼女が動いているとどんな役でも全く無理がありません。押しかけられて初めは迷惑がっていたお爺ちゃんたちも、料理上手で家事万端こなすサワに皆心を開いてゆきます。
女子高生写真集を万引きしてサワに付け込まれる、津川雅彦扮するもと先生宅での暮らしの部分が一番印象的でした。先にいた家政婦役の角替和枝とのやりとりがおかしいです。実生活では嫁姑ですね。舅の柄本明も後で出てきます。息子二人もいい役者さんだし、柄本家最強!?
この作品は196分もの長丁場で見せるのでなく、寅さんが全国を旅したように、サワのシリーズにすれば良かったのに、と思わずにいられません。芸達者な役者が揃っていますが、3時間あまりはどうにも長いです。そこがとっても惜しい。(白)


2014年/日本/カラー/196分
配給:彩プロ
(C)2013 ZERO PICTURES / REALPRODUCTS
http://www.05mm.ayapro.ne.jp/

★2014年11月8日(土)、有楽町スバル座他全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 19:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

100歳の華麗なる冒険(原題:HUNDRAARINGEN SOM KLEV UT GENOM FONSTRET OCH FORSVANN)

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監督・脚本:フェリックス・ハーングレン
原作:ヨナス・ヨナソン
「窓から逃げた100歳老人」(西村書店刊)
出演:ロバート・グスタフソン(アラン・カールソン)、イヴァル・ヴィクランデル(ユリウス・ヨンソン)、ダーヴィッド・ヴィーベリ(ベニー)

老人ホームで100歳の誕生日を迎えたアラン。みんながお祝いを用意している間に窓から脱出。あてのないまま出かけた先で、ギャングの金がぎっしりつまったスーツケースを手に入れてしまった。運び役が死んで、思いがけずギャングと警察に追われる身になったアラン。少しも動じることなく、知り合ったユリウスと酒を酌み交わしている。実はその100年の人生の間に、名だたる歴史上の人物と関わってきたツワモノだったのだ。
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少年のころから爆弾作りが趣味、その腕を生かして様々に活躍?してきた危ないじい様のアラン。誕生日から始まった自由な旅とかつての活躍のシーンを織り交ぜて、奇想天外な話が進行します。歴史上の人物と関わったというと、トム・ハンクスの『フォレスト・ガンプ』を思い出しますが、フォレストがひたすら走るのが好きな優しい平和な男だったのに比べると、アランときたらとにかく爆破できるものなら何でも、いきがかりで戦争に加担するわ、2重スパイもやるわの危険人物。このはちゃめちゃで空気の読めないマイペースぶりが受けてか、原作は世界中で翻訳出版されました。映画ではスウェーデンで人気のコメディアンがアランを演じてヒットしています。(白)

2013年/スウェーデン/カラー/115分
配給:ロングライド
(C)NICE FLX PICTURES 2013. All Rights Reserved
http://www.100sai-movie.jp/

★2014年11月8日(土)、新宿ピカデリー他全国ロードショー
posted by shiraishi at 18:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 北欧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月01日

祝宴!シェフ  (原題:總舗師:移動大廚  英題:ZONE PRO SITE:The Moveable Feast)

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監督/脚本:チェン・ユーシュン(陳玉勳)
出演:リン・メイシウ(林美秀)、トニー・ヤン(楊祐寧)、キミ・シア(夏于喬)

かつて台湾では、祝いごとがあると屋外で宴が開かれ、総舗師(ツォンポーサイ)と呼ばれる宴席料理人が腕を振るったものだった。20年前、台湾には北部の「人」、中部の「鬼」、南部の「神」と呼ばれた3人の伝説の料理人がいた。
神と称された蝿師を父に持つシャオワン(キミ・シア)は、モデルを夢見て台北に行ったが、恋人の借金を抱えて追い出されるように帰郷。父亡き後、継母の経営する食堂は閑古鳥が鳴いていた。旅する料理ドクター、ルーハイ(トニー・ヤン)の手助けで持ち直す。
ある日、50年越しの初恋を実らせた老カップルが訪ねてくる。出会った時の宴会料理で結婚披露宴を開きたいというのだ。なんとか彼らの願いを叶えたいと思うシャオワンだが、料理は初心者。亡父のレシピを頼りに全国宴席料理大会に挑む決意をする。賞金で借金を返したいという思いもあった。借金取りまでをも助っ人にするが、さてはて、優勝することはできるのか・・・

冒頭に出てくる素朴な壁画に惹きこまれました。監督に伺ったら、洪通(ホントン)さんという素人の方の民画が好きで、その画風を真似て美術担当に描いてもらったものとのこと。
『熱帯魚』(95)『ラブゴーゴー』(97)で世を沸かせたチェン・ユーシュン監督の16年ぶりの長編映画。前2作では、いわゆる美男美女が出て来ませんでしたが、今回の主演二人は違います。料理中でも、取材が入るというと化粧直しに余念のないシャオワンが、とってもキュート。♪ドソラシファ・・・と、ギター片手に歌う料理ドクターのルーハイは、これまでのトニー・ヤンのイメージを崩す2枚目半ですが、やっぱり美男です。
太っちょの継母が廟の前で客引きのために踊ったり、ウー・ニエンチェン監督が演じるホームレスがありあわせの材料で見事な料理を作ったりするなど、楽しい場面満載の作品。
そして、宴席料理大会で思い出したのが、レスリー・チャン主演の『金玉満堂〜決戦!炎の料理人』。テイストはもちろん違うのですが、最後の最後まで、どちらが勝つかハラハラドキドキは同じでした。(咲)


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特別記事 『祝宴!シェフ』チェン・ユーシュン監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2014/shukuen/index.html

配給:クロックワークス 
日本語字幕:鮑智行
後援:台北駐日経済文化代表処
2013年/台湾/145分/中国語、台湾語/カラー/スコープ/DCP5.1ch
公式サイト:http://shukuen-chef.com
★2014年11月1日(土)シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
posted by sakiko at 15:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする