2014年09月27日

ハッピー・リトル・アイランド ―長寿で豊かなギリシャの島で― (原題:Little Land)

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監督:ニコス・ダヤンダス
プロデューサー:レア・アポストリデス、ユーリ・アヴェロフ

エーゲ海に浮かぶ長寿で有名な小さなイカリア島。島民は怠惰で変わった宗教・習慣を持っていて、共産主義者が多く、夜通しパーティーもよく開くらしい。そんな噂のあるイカリア島に移住する35歳の若者トドリスに付いて、監督は島へ。
ギリシャは、2010年頃からの経済危機で、3人に一人は貧しく、若者の半分は無職。アテネは治安も悪くなり、皆が不安を抱え、格差が生まれて助け合わなくなった。
そんな中、IT関連の仕事をしていたトドリスは彼女のアナを説き伏せ移住を決意したのだ。生活基盤設営の為、アナより一足先に島に赴いたトドリス。買った古い家に草をかきわけ辿り着く。家を改修しながら、畑も作る。畑を作ったら、生きていけると安心するトドリス・・・

この映画を観ながら、お金というものが存在しなかった時代、人々がどうやって暮らしていたのかに思いを馳せました。基本は自給自足。物々交換で欲しいものを手に入れる。そんなシンプルな暮らし。お金が存在するから、人間は余計な欲を持つことを痛感します。

イカリア島のお年寄りの言葉の数々が心に残りました。
のんびりでも毎日働く。
長生きの秘訣は人生を楽しむこと。
お互いを思いやって生きたい。

島の人たちは、お金に困っている人がいれば、資金集めのパーティーを開きます。
お酒を飲んで、夜通し踊って、楽しみながら人助け。
困った時には、自分も助けて貰える。
なんだかいいなぁ〜 (咲)


ダヤンダス監督の前作『サヨメ』(2011年)は、四国出身で22歳の時、ギリシャのクレタ島に移住した叔母サヨメを描いたドキュメンタリー。

配給:ユナイテッドピープル 
ギリシャ/2013年/ギリシャ語・英語/52分/HD/16:9/カラー/ドキュメンタリー
公式サイト:http://unitedpeople.jp/littleland/
★2014年10月11日(土)渋谷アップリンク他にてロードショー!
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2014年09月26日

不機嫌なママにメルシィ!(原題:Les garçons et Guillaume, à table!、英題: Me, Myself and Mum)

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監督・脚本・主演:ギヨーム・ガリエンヌ 
出演:アンドレ・マルコン、フランソワーズ・ファビアン、ダイアン・クルーガー、レダ・カテブ他 

女の子が欲しかったママのもと3人兄弟の末っ子として生まれたギヨーム・ガリエンヌ。ママはいつも不機嫌だけど、子供たちを呼ぶ時は「男の子たちとギョーム!」と彼を特別扱い。美容院にも一緒に行って、女の子のように育てられたギヨームは、優雅なママのようになりたくて、完璧にママを真似てきた。そんなギヨームを、パパは男らしく育てたいと、無理矢理男子校の寄宿舎に送り込む。オカマといじめられたギヨームは、英国の学校に転校。そこで親切な男子学生ジェレミーに恋をする。ジェレミーが女の子とキスしているのを目撃して泣きじゃくるギヨーム。ママから「幸せは人それぞれ。そっちの人も幸せになれるわ」と慰められて、ママからもゲイだと思われていたことを知ってショックを受ける。自分は女の子だと思っていたのに・・・

実業家の父とロシア系グルジア人で貴族の血を引く母のもと、4人兄弟の三男として裕福な家庭に生まれ育ったギヨーム・ガリエンヌの自伝的物語。
国立劇団コメディ・フランセーズの一員として数々の舞台に立ってきたギヨームが、自作自演の一人芝居を映画用に翻案。舞台同様、ママとボクを一人で演じている。ボクは、見た目は男なのに、どこか女性的。貫禄あるママはどこか男っぽい。もう、笑わずにいられない場面ばかり。
さて、この人、最近何かで観たと思ったら、『イヴ・サンローラン』(2014年9月6日公開)で公私ともにイヴ・サンローランのパートナーだったピエール・ベルジェを演じていました。
冒頭、ステージ裏の楽屋で待つギヨームの背景に、バレエ・ダンサーの写真の隣に能楽師のポスターもある。どんな影響を受けたのでしょうか・・・
ギヨーム自身の自分探しの旅の物語は、まわりがどう思おうと、自分らしく生きていく勇気を与えてくれます。(咲)


第66回カンヌ国際映画祭 監督週間 アートシネマ賞/SACD賞受賞
第19回リュミエール賞 男優賞/第1回作品賞受賞
第39回セザール賞 作品賞/主演男優賞/脚色賞/編集賞/第1回作品賞受賞

2013年/フランス、ベルギー/87分/仏語、英語
配給:セテラ・インターナショナル
協力:アンスティチュ・フランセ日本、ユニフランス・フィルムズ
公式サイト:http://www.cetera.co.jp/merci
★2014年9月27日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
posted by sakiko at 09:31| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月21日

悪童日記(原題:A nagy fuzet)

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監督:ヤーノシュ・サース
原作:アゴタ・クリストフ「悪童日記」(早川書房刊)
出演:アンドラーシュ・ジェーマント(双子)、ラースロー・ジェーマント(双子)、ピロシュカ・モルナール(祖母)、ウルリッヒ・トムセン(将校)、ウルリッヒ・マテス(父)

双子の僕たちは両親と街で暮らしていたが、戦争が激しくなってきたので田舎にいるおばあちゃんの家に預けられることになった。お母さんのお母さんがいたなんて今まで聞いたこともなかったのに。お父さんは「日記をつけるように」とノートを渡して戦場に行き、お母さんは「勉強をやめてはいけない」「生き延びるのよ」と僕たちを置いて行ってしまった。
僕たちは“おばあちゃん”と呼ぶ。おばあちゃんは村で“魔女”と呼ばれ、僕たちを“メス犬の子ども”と呼び、言いつけられた仕事をしてやっと食べさせてくれた。おばあちゃんは僕たちをすぐにぶつ。村では誰もが蹴ったり殴ったりするので、僕たちは強くなって生き延びられるように訓練を始めることにした。

戦争場面を描かない戦争映画。原作は双子の目線で描かれた日記で、目に入ったこと聞いたこと、自分たちがしたことだけが書かれ、映画も日記が影の主役です。
監督が出会ったのは奇跡だという双子は、ハンガリーの貧しい地域の出身で、この役を体現するのにうってつけの目力とハンサムぶり。監督がめざしたとおり余計なものがなく、シンプルでとても力強い作品でした。ヤーノシュ・サース監督の名前はお初ですが、この作品ですっかり刻み込まれました。
原作の同名小説は、ハンガリー出身の作家アゴタ・クリストフが母国語ではないフランス語で書き、51歳にして初めて出版したもの。「ふたりの証拠」「第三の嘘」との3部作で、世界的なベストセラーとなっています。ぜひ読んでみようと思います。
ハンガリーの映画の公開は数少ないですが、『ニーチェの馬』(2011/タル・ベーラ監督)『人生に乾杯!』(2007)『タクシデルミア ある剥製師の遺言』(2006)といくつか観ていました。どれも強く残って忘れられません。(白)


2013年/ドイツ、ハンガリー合作/カラー/111分/シネスコ
配給:アルバトロス・フィルム
(C) 2013 INTUIT PICTURES - HUNNIA FILMSTUDIO - AMOUR FOU VIENNA - DOLCE VITA FILMS
http://akudou-movie.com/

★2014年10月3日(金)TOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテ他全国順次公開
posted by shiraishi at 17:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

聖者たちの食卓 (原題:Himself He Cooks)

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監督:フィリップ・ウィチュス、ヴァレリー・ベルト

黙々と野菜の皮をむく人たち。じゃがいも、人参、ニンニク・・・
チャパティを何枚も何枚も焼き続ける人たち。
そして大勢で一斉に食事をする姿。
裏方では、食器を洗う人々。 時に、ステンレスの皿が飛び交う。
大きなお鍋に入って、鍋を洗う男・・・

シク教の総本山、インド北西部アムリツァルにある黄金寺院(ハリマンディル・サーヒブ)。ここでは、毎日10万食の豆カレーが無料で提供されている。
映画は、ナレーションなしに、人々の姿を映し出す。
食器の触れあう音や、水の音が響いてくる・・・

監督のフィリップ・ウィチュスとヴァレリー・ベルト夫妻は、ベルギー出身。『Sarega』(2010年)というインドの伝統音楽についてのドキュメンタリー製作の過程で、2004年にパキスタンのラホールに行くことになり、国境近くのアムリツァルに滞在する。その折に、黄金寺院で途方もなく大勢の人たちが無料で食事の提供を受けている姿を目の当たりにし驚く。写真や映像を撮り、帰国後、すぐに『黄金寺院』という5つの短編にまとめる。この素晴らしい光景を世界に見せなければならないと、黄金寺院を再訪して許可を取り、1ヵ月かけて撮影したのが本作。

1回で10万食?と驚いたら、1日24時間体制で、1回5千人分が20回。
それにしても半端な量じゃない。それも毎日!
シク教の巡礼者だけでなく、人種や身分や宗教に関係なく、誰しもがお腹を満たすことのできる聖なる場所。
公開を前に、監督の一人フィリップ・ウィチュス氏が来日。
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撮影:宮崎暁美

監督を囲む会で、日本在住のシク教徒の方にお話を伺ったら、振る舞われる料理は、辛くないし、塩も控え目、ギー(バターオイル)もあまり使わない、そして、お肉も使わないと教えてくれました。どんな宗教の人でも食べられるし、子どもにもOKという次第。
こんな場所が世界の隅々にあれば、飢える人を救えるのになぁ〜 (咲)


特別記事 『聖者たちの食卓』フィリップ・ウィチュス監督来日レポート 
http://www.cinemajournal.net/special/2014/seija/index.html

配給: アップリンク
2011年/ベルギー/65分/カラー/16:9
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/seijya/
★2014年9月27日(土)より渋谷アップリンク他、全国順次公開
posted by sakiko at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ベルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

世界一美しいボルドーの秘密  (原題: Red Obsession)

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監督:デヴィッド・ローチ、ワーウィック・ロス
ナレーション:ラッセル・クロウ
登場する人物:ロバート・パーカー、オズ・クラーク、フランシス・フォード・コッポラほか

何世紀にもわたり、富と権力の象徴として、マリー・アントワネットなどにも愛されたボルドーワイン。1855年のパリ万国博覧会で、ナポレオン3世が初めて公式にワインを格付けし、ラフィット、マルゴー、ラトゥール、オー・ブリオンの4つのシャトーが第一級とされた。その後、1973年に第一級に昇格したムートン・ロートシルトを含め、5大シャトーが世界のワイン愛好家たちを魅了する存在として君臨している・・・

『世界一美しいボルドーの秘密』という邦題から想像していたのは、甘美なワインを巡る物語。ところがどっこい、本作は、今や中国をはじめとする新興国の富裕層がボルドーワインを凄まじい価値に押し上げているのを探ることがメイン。
コメントを語るのは、シャトー経営者やワイン評論家やコレクターなど、西側の人たちばかり。中国や香港で取材をしているけれど、高級ワインに目を向ける人たちの本音が聞こえてこない。中国の富裕層は、5大シャトーのうち、ラフィットとラトゥールの二つにしか興味を示さないとか、ブランド品を買いまくる姿にバッグとワインを一緒に語ってほしくないなど、なんだか高級ワインに群がる成金のイメージ。思えば、原題は、Red Obsession。“赤い資本主義国”中国が、高級赤ワインに執着する??でしょうか。
ワインには疎くて、かつて、ワインに詳しい上司が高級フランスレストランで選んでくれた高級ワインも渋くて飲めなかったという私。ブランドよりも、飲みやすいのが一番とワインにはこだわりがないけれど、本作では、こだわりを求める人たちの姿を楽しませていただいた。中国のワイン事情にも驚くばかり!(咲)


配給:アットエンタテインメント
2013年/豪・中国・フランス・イギリス・香港/英語/78分
公式サイト:http://www.winenohimitsu.com
★9月27日(土)ヒューマントラスト シネマ有楽町ほかにてロードショー!
posted by sakiko at 17:00| Comment(1) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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