2014年08月31日

ケープタウン(原題:ZULU)

cape.jpg

監督:ジェローム・サル
脚本:ジュリアン・ラプノー、ジェローム・サル
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:オーランド・ブルーム(ブライアン・エプキン)、フォレスト・ウィテカー(アリ・ソケーラ)、コンラッド・ケンプ(ダン・フレッチャー)、ジョエル・カイエンベ(ジーナ)

 南アフリカのケープタウン。元人気ラグビー選手バイツの娘ニコールの惨殺死体が発見された。捜査の指揮に当たるのは、ズールー族出身ながら警部まで昇進したアリ・ソケーラ。アリの捜査チームのブライアンは酒と女にだらしなく、妻子にも見捨てられ署長にはクズとまで言われている。しかしアリがもっとも信頼を置く部下だった。捜査を進めていくと新しい麻薬、最新の銃器で武装した凶暴なギャングたちの存在、さらに子供たちの失踪にも関わっていることが明らかになる。事件の背後には想像もつかない秘密と大きな組織があり、2人にも危険がせまってくる…。

オーランド・ブルームといえば『ロード・オブ・ザ・リング』の美しいエルフ、弓の名手のレゴラスが思い浮かびますが、ここでは酔っ払いで女ったらしの刑事ブライアン。落差に驚かず、俳優としてのオーリーの幅広さを楽しんでください。悲惨な過去のあるアリとの良きバディぶりも。ヨレヨレでも刑事の仕事だけはちゃんとやるんですね、これが。女が放っておけない可愛さがあって、子どものままの部分を本人も自覚しているセリフが出てきました。
オーリーにうっとりしている場合じゃありません。映画に甘い部分はなく、治安が悪化し警察が奔走している厳しい現実が描かれます。南アフリカの陽光の下での銃撃戦や惨殺死体が白日夢のようです。小さな点が次第に線で結ばれていくこの原作はキャリル・フェリー作(2008年)で、フランスで推理小説大賞を受賞しているそうです。読んでもとても面白そうですが残念ながら日本では発刊されていません。(白)


2013年/フランス、南アフリカ/カラー/107分/シネスコ
配給:クロックワークス
(C)2013 ESKWAD-PATHE PRODUCTION-LOBSTER TREE-M6FILMS
http://capetown-movie.com/

★2014年8月30日(土) 新宿バルト9他にてロードショー

☆シネジャ特別記事にオーランド・ブルーム来日記者会見を掲載しています。
http://www.cinemajournal.net/special/2014/capetown/index.html
posted by shiraishi at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

テロ,ライブ(原題:The Terror Live)

terolive.JPG

監督・脚本:キム・ビョンウ
撮影:ピョン・ボンソン
美術:キム・シヨン
音楽:イ・ジュノ
出演:ハ・ジョンウ(ユン・ヨンファ)、イ・ギョンヨン(チャ報道局長)、チョン・ヘジン(パク・ジョンミン主任)、イ・デビッド(パク・シヌ)、キム・ホンパ(ジュ長官)、キム・ソジン(元妻)

テレビの人気キャスターだったユン・ヨンファはある不祥事からラジオ局へ左遷された。朝の生放送中にリスナーから1本の電話を受けるとそれは「爆破予告」の脅迫電話であった。ヨンファがいたずらだと決め付けて電話を切った直後、背後に見える麻浦(まぽ)大橋が予告どおりに爆発する。驚きながらも、テレビに返り咲くための絶好のチャンスと、上司と交渉するヨンファ。テロの犯人と通話を続け、次々と発生する爆破テロの独占実況放送を開始する。犯人の要求は巨額の現金と大統領の謝罪だった。犯人は何者なのか?

爆破による死傷者よりも自分の出世に頭が回るヨンファに最初むっとしますが、それ以上に視聴率を気にする上司たちにメディアの残酷さが見えてぞっとしました。リアルタイムで進む事件にヨンファと同じ体験をしているような感覚になります。
この緊密に構築されたストーリーを書き、演出したのが32歳の新人のキム・ビョンウ監督と知ってもう一度びっくり。出ずっぱりのヨンファ役ハ・ジョンウの熱演はもちろんのこと、ほぼ放送局のスタジオだけで進むシーンに緊迫した空気を作り出した撮影と美術の力も大きいです。アナウンサーと犯人の攻防に手に汗を握ってください。(白)


2013/韓国/カラー/98分/ビスタサイズ
配給:ミッドシップ、ツイン
(C)2013 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
http://terror-live.com/

★8月30日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、テアトル梅田ほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 14:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

NO ノー (原題:No)

no.jpg

監督:パブロ・ラライン
脚本:ペドロ・ペイラノ
オリジナル戯曲:アントニオ・スカルメタ
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル(レネ・サアベドラ)、アルフレド・カストロ(ルチョ・グスマン)、ルイス・ニェッコ(ホセ・トマ・ウルティア)、アントニア・セヘルス(ベロニカ)、マルシアル・タグレ(アルベルト)
1988年、ピノチェト独裁政権末期の南米チリ。政権の信任継続を問う国民投票が行われることになり、政権賛成派は「YES」、反対派は「NO」を選んで投票する。広告マンのレネのもとに友人で反対派の主要メンバーのウルティアが訪ねてくる。投票に向けた選挙キャンペーンの責任者にレネを抜擢し、深夜15分だけの放送枠で、「NO」派のCMを作ろうという。独裁政権のマイナスを前面に出した内容を考えていた首脳陣に、レネは明るくて斬新な広告を提案する。レネの上司は「YES」派のアドバイザーになり、熾烈なCM合戦が展開していく。

パブロ・ラライン監督によるチリ独裁政権3部作の完結編。実話をもとにして、実際の当時の映像もおり込み、わざわざビンテージカメラで撮影したそうです。
初めは出来レースだろうとあまり乗り気でなかったレネが、反対派の活動家の元妻が逮捕されるに及んで広告マンとしての力を発揮していく過程と、広告キャンペーンが人々に働きかけていくようすがとても面白いです。こうやって世の中を変えていくことができるのね〜!圧倒的な上からの力に対抗できるのは、抑えつけられた一人ひとりの集合体なのでした。逆にメディアに扇動されることもあるはずで、見極めが大事と心しました。ガエル・ガルシア・ベルナルが息子を守る父親役。もうそんな年頃でしたか・・・。(白)


2012年/チリ・アメリカ・メキシコ合作/カラー/118分/
配給:マジックアワー
(C)2012 Participant Media No Holdings, LLC.
http://www.magichour.co.jp/no/
★2014年8月30日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 13:09| Comment(0) | TrackBack(0) | チリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

監視者たち   英題:『COLD EYES』

kansisya.jpg

監督:チョ・ウィソク、キム・ビョンソ 
出演:チョン・ウソン、ハン・ヒョジュ、ソル・ギョング、ジュノ(2PM)

混雑した地下鉄の車内。韓国警察特殊犯罪課の凶悪犯行動監視専門班に配属された新人女性ハ・ユンジュ(ハン・ヒョジュ)が、その記憶力と洞察力を班長であるファン・サンジュン(ソル・ギョング)に試されるために乗車していた。その頃、銀行襲撃事件が発生する。用意周到な犯罪グループによるもので、犯行は成功したかに思えた。が、ユンジュの驚異的な記憶力から、地下鉄に乗り合わせていた男(チョン・ウソン演じるジェームズ)が、銀行襲撃の関係者だと推察。記憶を頼りにジェームズを探し出し、犯罪組織を追い詰めていく・・・

大好きなチョン・ウソンさまが初の悪役という言葉に惹かれて観始めたら、どこかで観たようなシチュエーション。観終わってから香港映画『天使の眼、野獣の街』(2007年 ヤウ・ナイホイ監督、ジョニー・トー製作)のリメイクと知りました。どうりで!と思う一方、それを感じさせないほど、しっかり韓国テイストの映画に仕上がっています。
『天使の眼、野獣の街』では、トラムの中での場面から始まり、上環の坂道で繰り広げられる追跡に、香港の街をたっぷり味わったものでした。『監視者たち』は地下鉄から始まり、ソウルの近代的な街が舞台。ヨイド(汝矣島)やテヘラン路を始め、大都会ソウルがたっぷり楽しめます。イテウォン(梨泰院)のハラールフード屋さんにモスクまで出てきました!(撮影場所については、「輝国山人の韓国映画 監視者たち」に詳しく出ています。www.hf.rim.or.jp/~t-sanjin/chouisok_kanshisha.html)

『天使の眼、野獣の街』で、サイモン・ヤムが演じた警察・監視班班長をソル・ギョング、レオン・カーファイが演じた犯罪組織のリーダーをチョン・ウソンが演じていて、いずれも安定した演技を見せます。何より、観たものをすべて記憶する新人刑事を演じたハン・ヒョジュ(「トンイ」役といえばおわかりでしょう!)が印象に残りました。(『天使の眼、野獣の街』のケイト・ツィは申し訳ないけど、印象が薄い!)

★ネタバレ注意です!
 『監視者たち』の最後の方にサイモン・ヤムが出てきて、おおっと声が出そうになりました。最近、韓国映画によく顔を出す彼ですが、『天使の眼、野獣の街』の主役として本作に友情出演なのですね。今回、どんな役で出てくるのかは、ご覧になってのお楽しみ! (咲)


2013年/韓国/118分/カラー/ドルビーデジタル/韓国語
配給:クロックワークス  
公式サイト:http://kanshisya-movie.com
2014年9月6日(土)シネマート新宿ほか、ロードショー!

posted by sakiko at 11:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月23日

水の声を聞く 

mizunokoe.jpg

監督・脚本:山本政志 
プロデューサー:村岡伸一郎
出演:玄里(ヒョンリ)、趣里、村上淳、鎌滝秋浩、中村夏子、萩原利久、松崎颯、薬袋いづみ、小田敬

東京・新大久保コリアンタウン。
在日韓国人のミンジョンは、友人の美奈に頼まれ占いを行う巫女役を引き受ける。見よう見まねのにわか巫女だったが、評判を呼び、やがて新興宗教団体「真教・神の水」が設立され、ミンジョンは教祖様となる。救済を求めて信者は増え、それに乗じて一儲けしようと広告代理店の男も現れる。自分を頼ってくる信者たちと、宗教を金儲けの手段にしようとする人々との板挟みに耐えられなくなったミンジョンは、ある日、突然いなくなってしまう。信者の前に美奈が身代わり巫女となって現れる・・・

玄里演じるミンジョンは、透明感があって、彼女が教祖様なら信じてついていく人たちがいるのも納得。インチキ宗教とわかっていても、巫女を演じるうちに悩む人々を救いたいという思いにかられるミンジョン役を玄里は見事に演じています。
そして、ミンジョンが突然いなくなって、訪ねる先は済州島。ここで、彼女の父親が、1948年の43事件(*注)を機に、家族を連れて日本に逃げてきたことが判明します。ミンジョンは、済州島に帰ってしまったお祖母さんに会いに行くのです。
映画の中盤まで、あやしげな新興宗教団体の話かと思っていたら、後半になって、ぐっと映画が社会的なものになっていきます。在日朝鮮(韓国)人になぜ済州島出身の人が多いのかに思いが至ることと思います。(咲)

*注:43事件  
1948年4月3日、米国が後押しする南朝鮮だけの単独選挙に反対して、済州島の一部島民が武装蜂起。それに対し、米軍と韓国軍が、「海岸線五Km以外にいる人間は暴徒と見なし、無条件で射殺する」という焦土作戦を実行したもの。弾圧は1954年まで続き、3万人以上が無差別虐殺の犠牲になったと言われていますが、つい最近までこの事件のことを口にするのはタブーとされていました。
オ・ミヨル監督が2012年に製作した『チスル』で43事件が描かれています。


製作:CINEMA☆IMPACT
2014年/カラー/HD/129分
公式サイト:http://www.mizunokoe.asia/
★2014年8月30日(土)〜9月23日(火)オーディトリウム渋谷にてロードショー
posted by sakiko at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする