2014年07月12日
ママはレスリング・クイーン(原題:LES REINES DU RING)
監督:ジャン=マルク・ルドニツキ
製作:トマ・ラングマン
音楽:フレッド・アヴリル
出演:マリルー・ベリ(ローズ)、ナタリー・バイ(コレット)、アンドレ・デュソリエ(ルシャール)、オドレイ・フルーロ(ジェシカ)、コリンヌ・マシエロ(ヴィヴィアン)、イザベル・ナンティ(スーパーの社長)
フランス北部の田舎町。服役していたローズは5年ぶりに出所してすぐに最愛の息子ミカエルに会いに行った。里親のもとでの生活に慣れたミカエルは、母のローズに対してすっかり他人行儀になっていた。ミカエルがプロレス・ファンと知ったローズは、彼の心を取り戻したい一心でプロレスラーになろうと決意する。元プロレスラーのリシャールに「仲間を集めたら指導してやる」と言われたローズは勤め先のレジ係の同僚を誘うことに成功。いろいろ訳アリな仲間たちも、ローズの熱意に押され特訓に参加する。はたしてプロレスデビューは叶うのか?
もう決して若くはない仲間たちと無謀な挑戦をするローズ。少し前に公開になった『人生はマラソンだ!』と似たテイストです。あちらはおじさん、こちらはおばさん。女性のほうがハードルが高く、過激かも。映画の冒頭はメキシコの巨漢レスラーに組み伏せられるローズのシーンから。なんでこうなったの?と遡っていきます。レジ仲間たちが個性的で楽しく、プロレスは無理でもほかのことに挑戦する勇気がもらえる作品。ナタリー・バイがコスチューム姿で飛ぶのにはびっくりです。60代半ばなのに、フランスの女優さんもやりますね!
先日ヒューマントラストシネマ有楽町で本編開始前に流れる映画鑑賞マナーのCMに、この『ママはレスリング・クイーン』が使われていました。「携帯電話の電源は切る」とか「ブーイングはなし」とかいうアレ(いつも近日上映の作品で作っています)。この映画のシーンとかぶせたセリフがあまりにぴったりで吹き出しました。予告編の後ご注目ください。(白)
2013年/フランス/カラー/97分/
配給:コムストック・グループ 配給協力:クロックワークス
(C)2013 KARE PRODUCTIONS - LA PETITE REINE - M6 FILMS - ORANGE STUDIO - CN2 PRODUCTION
http://wrestlingqueen.com/
★2014年7月19日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
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なまいきチョルベンと水夫さん (原題:TJORVEN, BATSMAN OCH MOSES)
監督:オーレ・ヘルボム
製作:オッレ・ノルデマール
原作:アストリッド・リンドグレーン「わたしたちの島で」(岩波書店刊)
脚本:アストリッド・リンドグレーン
出演:マリア・ヨハンソン(チョルベン)、スティーナ(クリスティーナ・イェムトマルク)、ステファン・リンドホルム(ベッレ)、トシュテン・リリエクローナ(ベッレのお父さんメルケル)、ルイーズ・エドリンド(ベッレのお姉さんマーリン)、ベングト・エクルンド(チョルベンのお父さんニッセ)、エヴァ・スティーベリィ(チョルベンのお母さんメルタ)
スウェーデンの避暑地ウミガラス島。ぽっちゃりな女の子チョルベンのお家は雑貨屋さん。大きな犬の水夫さんはどんなときでも一緒で頼もしい親友だ。海から戻った漁師のおじさんにアザラシの子どもをもらったチョルベンは、友だちのスティーナやペッレと一緒にモーセと名づけて飼うことにした。池を作ったり、エサを探したり、モーセに夢中のチョルベンに、水夫さんはちょっと寂しそう。
子どもたちに愛される本を数多く送り出した作家リンドグレーンの「わたしたちの島で」が原作。本人が脚本も担当しています。50年前に映画化された作品がこのほど劇場公開になりました。タイトルに「なまいき」とありますが、大人に物怖じせずに当たり前のことを話すだけ。今どきのガキンチョの「なまいき」度合いとはかなり違います。歯抜け(まだ生え揃っていないので6,7歳かな)のスティーナと一緒にカエルが王子様になると信じているあたり、なんとも子どもらしいではありませんか。
観光客がいっとき過ごす避暑地の暮らしはのんびりしたものですが、珍客のアザラシや水夫さんをめぐる騒動がチョルベンには大事件。子どもたちのセリフやファッションも可愛らしく、それぞれの家族の暮らしも興味深く観ました。
リンドグレーンの著書は書店や図書館にはいまだにずらりと並んで子供たちを待っています。昔から好きでずいぶん読みましたが、また読み直したくなりました。公式HPには公開前からのいくつかのタイアップも紹介しています。(白)
1964年/スウェーデン/カラー/92分
配給:クレストインターナショナル
(C)1964 AB SVENSK FILMINDUSTRI ALL RIGHTS RESERVED
http://suifusan.com/
★2014年7月19日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
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複製された男(原題:ENEMY)
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作:ジョゼ・サラマーゴ「複製された男」(彩流社刊)
脚本:ハビエル・グヨン
出演:ジェイク・ギレンホール(アダム/アンソニー)、メラニー・ロラン(メアリー)、サラ・ガドン(ヘレン)、イザベラ・ロッセリーニ(キャロライン)
大学で歴史を教えるアダムは、同僚から勧められたビデオに自分とそっくりの男が端役で登場しているのを発見する。血縁なのか他人の空似なのか?!アンソニーという名前だとつきとめたアダムは、所属する俳優事務所を訪ねたり、家に電話をかけたりして確かめる。どうしてもじかに本人と会いたくなったアダムは約束をとりつけ、ついにアンソニーと対面する。見た目だけでなく、生年月日も同じなら後からできた傷も同じ。2人はオリジナルとコピーなのか?
ポルトガルのノーベル文学賞作家ジョゼ・サラマーゴの至高のミステリーが原作。『プリズナーズ』に続いてドゥニ・ビルヌーヴ監督とタッグを組んだギレンホールが、自分にそっくりな男との1人2役を演じ分け、驚愕のラストまで観客をひきつけます。
え、ええ〜!?ともう一度見直したくなることうけあい。筆者は「原作はいったいどうなの?」と図書館で手にとってはみましたが、難解との評に違わず句読点なく続く長い文章にあっけなく降参・・・。興味と時間のある方はぜひ読破してみてください。
恋人に『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロラン、妻に『危険なメソッド』のサラ・ガドン、母に『ブルーベルベット』のイザベラ・ロッセリーニと美女に囲まれたギレンホールの苦悩の表情にくらくらしましょう。(白)
2013年/カナダ、スペイン/カラー/90分/
配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム
(c) 2013 RHOMBUS MEDIA (ENEMY) INC. / ROXBURY PICTURES S.L. / 9232-2437 QUEBEC INC. / MECANISMO FILMS, S.L. / ROXBURY ENEMY S.L. ALL RIGHTS RESERVED.
http://fukusei-movie.com/
★7月18日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかロードショー
プレーンズ2 ファイアー&レスキュー(原題 PLANES: FIRE & RESCUE)
監督:ボブス・ガナウェイ
製作総指揮:ジョン・ラセター
プロデューサー:フェレル・バロン
声の出演:瑛太(ダスティ)、ハリセンボン 近藤春菜(ディッパー)、ハリセンボン 箕輪はるか(パインコーン)
オリジナル・サウンドドラック:ウォルト・ディズニー・レコード
ジュニアノベル:偕成社刊
農薬散布用の飛行機だったダスティは、憧れの世界一周レースに出場。見事チャンピオンとなった。しかし大事な部品が壊れてしまい、最大速度を出さねばならないレース出場はできなくなってしまった。
一時は落ち込んだダスティだったが気を取り直し、消防士の足りない飛行場のため、資格を取ろうと思いつく。レスキュー隊チームリーダーの消防救助ヘリコプター・ブレードは、自信過剰のダスティに、チームワークと勇気の大切さが身につくように厳しく指導する。大規模な山火事が発生したある日、仲間たちとともにダスティも消火活動に飛び出すが、火事は拡大していき絶体絶命の危機に陥る。
2013年公開『プレーンズ』の第2弾。前作でお馴染みのキャラに加えて、様々なタイプの飛行機が登場します。男の子たちには「はたらく乗り物」がいつの時代も人気ですが、今回はあまり見る機会のない消火作業のための大型飛行機、ヘリコプター、パラシュート隊の車などが活躍します。たくさんの賑やかなキャラたちのセリフがかぶるお喋りは、シルバーエイジにはちと疲れるものですが、お笑いに慣れた若い方々や子どもたちには問題ないのでしょうね。
飛行シーンは相変わらず素晴らしく、今回特筆すべきは山火事のシーンでの炎のリアルさ!!何十種類もの炎を描き分けたそうです。勢いを増す強風がさらに炎と煙を変化させ、トラウマになりそうな怖さです。その中で繰り広げられるアクションアドベンチャーに、ドキドキハラハラの連続。ダスティを支える仲間たちの友情にホロリとさせられ、大切な贈りものをもらった気になる作品です。
実際は人間が操縦してこの命がけのレスキューをしているわけです・・・・消防隊、レスキュー隊の皆様の無事を祈りつつ。(白)
2014年/アメリカ/カラー/84分
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(C)2014 Disney. All Rights Reserved.
http://ugc.disney.co.jp/blog/movie/category/planes2
★2014年7月19日(土)全国ロードショー!
2014年07月11日
大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院 原題, DIE GROSSE STILLE 英題:INTO GREAT SILENCE
フィリップ・グレーニング監督・脚本・撮影・編集
フランス、アルプスの山合いにあるグランド・シャルトルーズ修道院。カトリック教会の中でも厳しい戒律で知られるカルトジオ会の男子修道院。
撮影申込みから16年後、ようやく許可を得たドイツのフィリップ・グレーニング監督。修道会との約束に従い、礼拝の聖歌のほかに音楽をつけず、ナレーションもつけず、照明も使わず、ただ一人カメラを携えて、6カ月にわたり修道士とともに暮らして彼らのありのままの姿を捉えたドキュメンタリー。
本作を観ながら思い出したのが、今年3月に経験した奈良・東大寺二月堂の修二会。修行僧たちが唱えるお経と、修道士たちの聖歌、いずれも男声の重唱が心に響いて、宗教に帰依する人たちの崇高な思いを感じたものです。
黙々と修行を続ける修道士たちが唯一言葉を交わすことを許されるのが、日曜の昼食後の散歩の時間。ある雪の日、修道士の服装のまま、雪の坂をある者はソリで、ある者は立ったまま滑り降りて戯れる姿が映し出されました。観ている人たちから思わず笑い声が漏れました。厳しい修行をする修道士も、私たちと変わらない人間なのだと、なんだかほっとした場面でした。
かつて、スペインのクェンカの町の広間に面した建物に何気なく入ったら、20名程の修道女が瞑想中でした。微動だにしない彼女たちの姿は不気味にも思えました。宗教の持つ不思議な力を感じた一瞬でもありました。
修行の道を選ぶ人たちの思いは様々。私の叔母がカトリックの修道院で修行していたことがあって、格子越しに面談したことがあったのを思い出しました。小学生の頃のことです。その後、叔母は修道院を出ましたが、今も神様との結婚を貫いています。その原動力が何なのか・・・ それも宗教の力としかいいようがないのでしょうね。(咲)
2005年/フランス・スイス・ドイツ/カラー/ドキュメンタリー/2時間49分/ビスタ
配給・宣伝:ミモザフィルムズ
公式ページhttp://www.ooinaru-chinmoku.jp/
★2014年7月12日(土)より岩波ホール他全国順次ロードショー