2014年06月20日

浮城    原題:浮城  英題:Floating City

監督:イム・ホー(『ホームカミング』『レッドダスト』)
出演:アーロン・クォック(『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』)、チャーリー・ヤン(『天使の涙』『楽園の瑕 終極版』)、パウ・ヘイチン、ジョシー・ホー(『エグザイル 絆』)、アニー・リウ、カールソン・チェン

1940年代後半、戦後間もない香港。水上生活を送る貧しい蛋民の若い妻が荒れる船の上で流産してしまう。もう子どもを望めないと言われ、英国水兵にレイプされた香港女性が産んだ子を媽祖廟の境内で買い取る。ワーチュン(華泉)と名付けられた赤毛で色白の男の子は、周囲から「あいの子」とからかわれるが、母親はその後に自身が産んだ弟や妹たちと区別することなく可愛がって育てた。
母の影響で教会に通うようになったワーチュンは、牧師から学ぶことを勧められる。父の反対を押し切って夜学に通い始めるが、間もなく父が海で命を落とす。自分が買われてきた子だと知るが、一家の長として身を粉にして働き始める。東インド会社に採用されれば、住む家も貰えると知り、必死になって自分を売り込み、雑用係の職を得る。働きながら、正式な学校教育を受け、正社員となり、幼馴染の蛋民の娘・タイ(娣)と結婚する。次第に頭角を表わしてきたワーチュンに、アメリカで建築学を学んだエリート女性のフィオン(菲安)が目をかけ、上流社会での振舞い方も教え込む。時が経ち、ついにワーチュンは、東インド会社で初のアジア系重役にまで上りつめる・・・
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(C) 2012 Mandarin Films Limited. All Rights Reserved

実在の人物二人の人生を、ワーチュン(華泉)という一人の男に仕立てて描いた物語。
訳ありであいの子として生まれ、蛋民の貧しい夫婦に買い取られて育ったワーチュンを、ちょっとバタ臭い風貌のアーロン・クォックが好演。『コールド・ウォー 香港警察 二つの正義』で、警察の副長官という貫禄あるアーロンに感慨深いものがありました。本作では、20代から50代までを演じていて、20代のワーチュンは『ケネディ・タウン・ストーリー 嵐の季節』(1990年)の時のアーロンを彷彿させてくれました。
引き取った子を必死になって育てる蛋民の若い母親を演じたジョシー・ホー、年老いた母親を演じたパウ・ヘイチン、幼馴染で妻となる蛋民の女性を演じたチャーリー・ヤン、仕事上のパートナーとなる美しいエリート女性のアニー・リウ。4人の女優たちそれぞれが魅力的。
1967年の反英運動、ベトナム戦争の影響を受けた時代、1997年の香港返還と、戦後の香港を巡る歴史的出来事を背景にした物語は、混血の一人の男だけでなく、中国とイギリスの狭間で彷徨う香港そのものの物語のようにも思えました。『レッドダスト』のイム・ホー監督の新作とあって、楽しみにしていた本作。期待を裏切りませんでした。久しぶりに香港映画らしい香港映画を観た!という思いです。(咲)


提供:ポリゴンマジック 配給・宣伝:太秦 
コピーライトマーク2012 Mandarin Films Limited. All Rights Reserved
2012年/香港/104分/広東語・北京語・英語/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD
公式サイト:公式サイト:http://www.pm-movie.com/ukishiro/
★6月21日(土)よりシネマート六本木ほか全国順次ロードショー.
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2014年06月17日

石川文洋を旅する

監督 : 大宮浩一(『ただいま、それぞれの居場所』『長嶺ヤス子 裸足のフラメンコ』)
出演 : 石川文洋

戦場カメラマンとしてベトナム戦争の現実を世界に伝えた石川文洋さん。従軍取材開始から50年が経ち、75歳になった彼と共に沖縄やベトナムを巡りながら、反戦への思いや、その生き様に迫るドキュメンタリー。

石川文洋さんは1938 年沖縄に生まれ、4歳の時、千葉県船橋市へ。両国高校定時制に通いながら、毎日新聞社で働く。卒業後は、毎日映画社でニュース映画の助手を経験。1964年、26歳の時、世界一周無銭旅行をしようと会社を辞め、沖縄からオランダ船に乗り、まず香港へ。米国人経営のフォーカス・スタジオに勤め、トンキン湾事件取材のため2度ベトナムへ。その後、フォーカス・スタジオを辞め、1965年から1968年までの4年間ベトナムに滞在。南ベトナム政府軍・米軍の従軍カメラマンとして、最前線で撮影する。帰国し、1969年から1984年まで朝日新聞社に勤務。退職後、長野県諏訪に居を移し、故郷沖縄をはじめ、国内外の取材を続けている。
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4歳で千葉に引っ越し、沖縄で地上戦を体験せずに済んだことに引け目を感じているという文洋さん。それが、沖縄取材の原動力にもなっているといいます。
ベトナムの最前線で、目をそむけたくなるような場面も躊躇なく撮影したのは、戦争の現実を世界に知って貰いたいという思いから。写真は、戦争が庶民の犠牲を伴うものだということを、まざまざと感じさせてくれます。
公開を前に、文洋さんにお話を伺う機会をいただきました。映画の中でも、熱血漢の戦場カメラマンというよりも、温厚な雰囲気の方。お目にかかった文洋さんは、世界無銭旅行に旅立った時のことを実に楽しそうに話してくださいました。
最初に降り立った香港では、ジュディ・ガーランドとチークダンスの思い出も。
たっぷり語ってくださったインタビューの模様は、特別記事でお届けします。(咲)

インタビューに同行して、貴重な話、意外な話を聞くことができました。
サイゴンの街での生活、人々の生活、街の様子などを聞きたいと思っていたのですが、ついつい脱線して、1964年の香港の話、山に行った時の話など、それはそれで石川さんの人となりを知る話でした。
山好き、中央沿線好きが高じて、諏訪に住むことになった話などを聞き、とても興味深かったです。私も山に行く時、よく乗っていた新宿23時55分発の各駅停車の夜行列車の話で盛り上がりました。私も1970年代、その列車によく乗って山に行っていたので、「どこかで石川さんとも会っていたのかもしれませんね」などと笑い合いました。(暁)


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配給:東風
助成:文化芸術振興費補助金
製作:大宮映像製作所
2014年/日本/109分/カラー
公式サイト: http://tabi-bunyo.com/
★6月21日(土)、東京・ポレポレ東中野、沖縄・桜坂劇場ほか全国順次公開
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2014年06月11日

『春を背負って』

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(C)2014「春を背負って」製作委員会

原作:笹本稜平「春を背負って」(文藝春秋刊)
監督・撮影:木村大作
音楽:池辺晋一郎
主題歌:山崎まさよし「心の手紙」
脚本:木村大作/瀧本智行/宮村敏正
出演:松山ケンイチ 蒼井 優 檀 ふみ 小林 薫 豊川悦司 
2014年製作
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『劔岳 点の記』から5年、木村監督の最新作は笹本稜平の同名小説を原作として、立山連峰大汝山に建つ菫(すみれ)小屋を舞台にした物語。
菫小屋≠営んでいた厳格な父(小林薫)に反発して、息子の長嶺亨(松山ケンイチ)は都会の金融会社で働いていた。しかし、多額の金を動かすトレーダーの仕事に虚しさを覚えた頃、父親・勇夫が死亡。これをきっかけに都会での生活を捨て山小屋を継ぐ決心をする。
 麓の村で民宿を営む母菫(檀ふみ)は、息子の慣れない山小屋での生活を心配するが、一緒に菫小屋で働いている高澤愛(蒼井優)と、父の友人と名乗るゴロさん(豊川悦司)のサポートの中、亨は新しい自分の人生に向き合い始める。迷いや挫折を味わった3人の男女が山小屋で働き、登山客や山仲間と触れあう中で、生きる力を取り戻し、自分の居場所をみつけてゆく。山に生きる人々の”家族“を描く。
原作では舞台は奥秩父だが、監督は舞台を立山に移し、大汝の休憩所を山小屋として設定したという。
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 ドラマの合間に映し出される山小屋からの景色。ここからは、すぐ近くの剣岳や大日岳を始め、黒部湖を挟んだ向いには鹿島槍ヶ岳や五竜岳など後立山連峰、槍穂高も見えるし、遠く富士山も見ることができる最高のロケーション。原作の舞台・奥秩父を立山に移したそうだが、やはりスケール感が違う。
昔、立山を縦走した時には、この作品の舞台になった大汝の休憩所にも立ち寄ったことがある。それに、雄山の乗越からスキーで滑り降りていくシーンに、かつて私もこの斜面をスキー滑走したことを思いだした。
「人は皆、何かを背負って生きていくしかない」という木村監督の人生哲学に、山小屋は様々な想いを背負った人がたどりつく場所としてふさわしい舞台かもしれない。ただ、出てくる人がいい人ばかりで、前作『劔岳 点の記』の重厚さと較べると、物足りない感じはする。でも、大好きな鹿島槍ガ岳が何度も出てきて嬉しかった。(暁)

公式サイト www.haruseotte.jp/
上映時間 1時間56分・ビスタビジョン
製作:フジテレビジョン 東宝 ホリプロ 北日本新聞社
製作プロダクション:東宝映画
配給:東宝
助成:文化庁藝術振興費補助金

posted by akemi at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月08日

ノア 約束の舟(原題:NOAH)

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監督:ダーレン・アロノフスキー
脚本:ダーレン・アロノフスキー、アリ・ハンデル
出演:ラッセル・クロウ(ノア)、ジェニファー・コネリー(ナーマ)、レイ・ウィンストン(トバル・カイン)、エマ・ワトソン(イラ)、アンソニー・ホプキンス(メトシェラ)、ローガン・ラーマン(ハム)、ダグラス・ブース(セム)

妻と子を守り、神の教えに従って生きるノアは、ある日恐ろしい夢を見る。それは堕落した人間を地上から消し去り新たな世界を作り直すという神からの啓示であった。洪水が襲ってくる前に、総ての動物をつがいで収容する巨大な箱舟を作らねばならない。ノアは嘲笑を受けながらも家族と共に黙々と作業をする。激しい雨が降り始めると、人々は慄きわれ先に助かろうとノアの箱舟をめざした。ノアの父親を殺した傲慢なトバル・カインも剣を手に襲ってくる。

創世記の記述は真実か伝説か?壮大なミステリーか?古くから数多の学者や研究者が謎を解こうと力を注いできた、ノアの箱舟が『ブラック・スワン』のアロノフスキー監督により映画化されました。これまでのどの映像よりもダイナミックなだけでなく、1人の人間として、父親としてのノアの苦悩も描かれています。神に忠実であろうとしながら、ほかの人々や、一つがい以外のほかの命を助けられないことで苦しみます。これまでの創世記にはなかった家族、ことに養女であるイラとのやりとりが、ノアの内面に光をあてているようです。いつまでもハーマイオニーではなかったのでした。エマ・ワトソン。
ノアと敵対するトバル・カインのセリフときたら、まるで現代人みたい。あぶれてしまう次男は悲痛。それにしてもノアたちって、500歳とか600歳だったの?知らなかった。(白)


配給:パラマウント
(C)2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
http://www.noah-movie.jp/
★6月13日(金)TOHOシネマズ日劇1ほか全国ロードショー

ラッセル・クロウ来日舞台挨拶レポはこちらのスタッフ日記をご参照下さい。
http://cinemajournal.seesaa.net/article/398800987.html
posted by shiraishi at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オープン・グレイヴ 感染(原題:Open Grave)

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監督ゴンサロ・ロペス=ギャレゴ
キャスト:シャルト・コプリー、トーマス・クレッチマン、ジョシー・ホー、ジョセフ・モーガン

深い穴の中で気がつく男。まわりは夥しい死体に埋め尽くされている。見上げると高い穴の縁から覗き込む女がいた。女の降ろしてくれた縄に掴まって助け出されるが、女は何を尋ねても答えない。なぜ穴にいたのか、なぜ多くの死体があるのか、何より自分が誰なのかまるで思い出せない。一軒の家に向かうとそこには自分と同じように、記憶を無くした男女がいた。

次々と謎が増えて積み重なっていくので、何が何やらわかりにくいところがあります。もっとヒントをくれ〜と思ってしまいました。1人だけアジア人の女性が出ていて、このストーリーの全体を知るキーパーソンなのですが、口が聞けず、英語を書くことができない設定です。それが香港の女優ジョシー・ホーでした。なぜこんなところに? 謎解きがあるのはかなり経ってからで、そのときは・・・おっと書いちゃいけないんだわ。(白)

2013年/アメリカ/カラー/102分
配給:プレシディオ
(C)2013 OG DISTRIBUTION LLC. All rights reserved.
http://opengrave.jp/
★6月14日(土)よりヒューマントラスト渋谷他全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 19:40| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする