2014年05月24日

闇のあとの光   原題:Post Tenebras Lux

監督・脚本・プロデューサー:カルロス・レイガダス 
出演:アドルフォ・ヒメネス・カストロ、ナタリア・アセベドほか

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(C) No Dream Cinema, Mantarraya Productions, Fondo para la producci'on Cinematogr'afica de Calidad (Foprocine-Mexico), Le Pacte, Arte France Cinema


薄暗い大地。牛が走る、女の子が追いかける、犬が走る、馬が駆ける・・・ そして落雷。
家の中、赤く光る不思議な物体がうろついている。
森の中の一軒家で幸せそうに暮らす若い夫婦とふたりの子供たち。兄エレアサルと妹ルートゥ。まだ幼い。
静寂を打ち砕く犬の悲鳴。夫ファンが一匹の犬をほかの犬を噛んだとして殴ったのだ。
夫ファンがアルコールや薬物依存症の人たちの懺悔の会に参加している。ポルノ映像を毎晩8年間も見続けているネット中毒だと告白するファン・・・
ラグビー場。10代の男の子たちがウォーミングアップしている。汗がほとばしる。
ゴージャスなレストラン。少年少女に成長したアレアサルとルートゥが親戚の集まりに参加している。
太陽が満ち溢れた浜辺。青年になったアレアサルとルートゥ・・・

不思議な光景が次々にあらわれて、なんだか訳がわからないままに映画は終わりました。でも、一つ一つの場面が妙に脳裏に残っているのです。最初の幼い時代の子供たちは、監督の実のお子たち。大地を駆け回る女の子の可愛いこと! 後に出てくる若者たちが、この子供たちの成長した姿だとは、実はとっさにはわかりませんでした。なにしろなんと説明したらいいのかわからない映画の筋なのです。
それにしても、ちょっと滑稽にも思える赤い物体。何を象徴していたのでしょうか・・・ (咲)


メキシコ=フランス=ドイツ=オランダ/2012年/カラー/115分
配給:フルモテルモ、コピアポア・フィルム 
公式サイト:http://www.yaminoato.com/
★2014年5月31日(土)ユーロスペースほか全国順次ロードショー
posted by sakiko at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | メキシコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌    原題:Inside Llewyn Davis

監督:ジョエル&イーサン・コーエン(『ノーカントリー』『ファーゴ』)
出演:オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランド、ジャスティン・ティンバーレイク

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Photo by Alison Rosa (C) 2012 Long Strange Trip LLC


1961年、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ。ガスライト・カフェでステージを終えたフォークシンガーのルーウィン・デイヴィスは、友人が待っていると言われ裏通りに出る。いきなり殴られ意識を失ったルーウィン。目覚めると大学教授の友人宅のベッドの上。メモを残して部屋を出るが、友人夫妻の飼い猫ユリシーズも一緒に外に出てしまう。これがケチのつき始めだった。
売れないシンガーのルーウィンは、住む場所もなく一文無し。猫を連れてミュージシャン仲間のジーンとジムのカップル宅にころがりこむが、ジーンから妊娠してしまったと打ち明けられる。ルーウィンとの浮気がもとだと言うのだ。中絶費用を捻出するために、レコード会社に印税を督促しにいくが、レコードはほとんど売れてない。金の為、ポップソングのレコーディングに参加するが、自分の信念に沿わない仕事は苦痛だ。歌を続ける自信をなくしたルーウィンは、船員に戻る決心をするが、船員組合の会費が未払いではそれもままならない・・・

ジョエル&イーサン・コーエン監督が、ボブ・ディランたちの活躍でフォークソングが人気となる前に活動していたデイヴ・ヴァン・ロンクをモデルに描いた物語。
何をやってもうまくいかない男ルーウィン。そんな彼のそばで我が道をいく猫。なんとも悲惨なルーウィンなのに、思わず笑わせられてしまいます。痴呆の父親に、父が好きだった歌を聞かせる場面には、ほろっ。
10代だった1960年代、ビートルズと共にフォークが大好きでした。中でもお気に入りはブラザース・フォーとピーター・ポール&マリー(PPM)。ルーウィンの友人ジーンとジムのカップルが「500マイル」を歌う場面があって、遠い昔を思い出しました。
あの頃は、自分がこの先、どんな人生をおくるのか、まだまだ夢をみていたような気がします。結局、好きなことをして過ごしてはいるけれど、平々凡々。
ボブ・ディランのように頭角を表わして名を残す人はほんの一握り。ルーウィン・デイヴィスのように、無名で終わるのが大半でしょう。でも、自分の人生に納得がいけばそれでいい!?(咲)


2013年/アメリカ/104分/カラー/ビスタ/5.1ch
配給:ロングライド
公式サイト:http://insidellewyndavis.jp/
★2014年5月30日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館他全国公開
posted by sakiko at 09:56| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする