2014年05月24日

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌    原題:Inside Llewyn Davis

監督:ジョエル&イーサン・コーエン(『ノーカントリー』『ファーゴ』)
出演:オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランド、ジャスティン・ティンバーレイク

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Photo by Alison Rosa (C) 2012 Long Strange Trip LLC


1961年、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ。ガスライト・カフェでステージを終えたフォークシンガーのルーウィン・デイヴィスは、友人が待っていると言われ裏通りに出る。いきなり殴られ意識を失ったルーウィン。目覚めると大学教授の友人宅のベッドの上。メモを残して部屋を出るが、友人夫妻の飼い猫ユリシーズも一緒に外に出てしまう。これがケチのつき始めだった。
売れないシンガーのルーウィンは、住む場所もなく一文無し。猫を連れてミュージシャン仲間のジーンとジムのカップル宅にころがりこむが、ジーンから妊娠してしまったと打ち明けられる。ルーウィンとの浮気がもとだと言うのだ。中絶費用を捻出するために、レコード会社に印税を督促しにいくが、レコードはほとんど売れてない。金の為、ポップソングのレコーディングに参加するが、自分の信念に沿わない仕事は苦痛だ。歌を続ける自信をなくしたルーウィンは、船員に戻る決心をするが、船員組合の会費が未払いではそれもままならない・・・

ジョエル&イーサン・コーエン監督が、ボブ・ディランたちの活躍でフォークソングが人気となる前に活動していたデイヴ・ヴァン・ロンクをモデルに描いた物語。
何をやってもうまくいかない男ルーウィン。そんな彼のそばで我が道をいく猫。なんとも悲惨なルーウィンなのに、思わず笑わせられてしまいます。痴呆の父親に、父が好きだった歌を聞かせる場面には、ほろっ。
10代だった1960年代、ビートルズと共にフォークが大好きでした。中でもお気に入りはブラザース・フォーとピーター・ポール&マリー(PPM)。ルーウィンの友人ジーンとジムのカップルが「500マイル」を歌う場面があって、遠い昔を思い出しました。
あの頃は、自分がこの先、どんな人生をおくるのか、まだまだ夢をみていたような気がします。結局、好きなことをして過ごしてはいるけれど、平々凡々。
ボブ・ディランのように頭角を表わして名を残す人はほんの一握り。ルーウィン・デイヴィスのように、無名で終わるのが大半でしょう。でも、自分の人生に納得がいけばそれでいい!?(咲)


2013年/アメリカ/104分/カラー/ビスタ/5.1ch
配給:ロングライド
公式サイト:http://insidellewyndavis.jp/
★2014年5月30日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館他全国公開
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2014年05月19日

ぼくたちの家族

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監督・脚本:石井裕也
原作:早見和真「ぼくたちの家族」(幻冬舎文庫)
出演:妻夫木聡(若菜浩介)、原田美枝子(若菜玲子)、池松壮亮(若菜俊平)、長塚京三(若菜克明)、黒川芽以(深雪)

郊外の一戸建てに住む若菜家はごく普通の家族だった。小さな会社を経営する父克明、専業主婦の母玲子。中学生のときは引きこもりだったが今は会社員、結婚もしてもうすぐ父親になる長男浩介、気楽な大学生の次男俊平は家を出て自活、ときどき母に無心している。
このごろ物忘れが多くて、という玲子のようすがおかしい。嫁の深雪の両親との会食で独り言をつぶやき、何度も名前を間違う。克明と浩介は玲子を病院に連れて行き、医師に「脳腫瘍で末期。治療法がなく、余命は1週間」と告げられる。慌てふためく克明と浩介。玲子の病状は進み、俊平を他人だと思ったり、急に明るく笑ったりする。今後の費用を心配する浩介と俊平は、父の多額の負債と家のローン、母のサラ金からの借金を初めて知って愕然とする。

『舟を編む』で昨年度の映画賞を総なめにした石井裕也監督・脚本の新作。試写室は満員でした。
突然母を襲った病魔に、家族が大揺れに揺れ、それまで見えなかったひずみが大きく出てきます。童女のような無邪気な母の本音が可愛らしくも涙を誘い(原田美枝子さん素敵!)、いたたまれない気弱な父と生真面目な長男(まじめな妻夫木くん似合う!)にしっかりしてといいたくなります。次男(池谷くん儲け役!)はヘラヘラしながらも存外に役に立ち、幸運を呼び込んできてくれるのでした。
妻夫木くん扮する長男の「悪あがきしてみる」のセリフに、自分だったら1週間で何ができるだろう?と考えてしまいました。どこの家にでも似たような問題がひとつふたつはありそうですが、投げ出さずに悪あがきすれば道は開けていくのだ、と背中を押してもらった気分です。いや、崖っぷちで押すのはなしね。(白)


2014年/日本/カラー/117分/シネスコ
配給:ファントム・フィルム
(C)2013「ぼくたちの家族」製作委員会
http://bokutachi-kazoku.com/

★5月24日(土)より、新宿ピカデリー他全国ロードショー
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ディス/コネクト(原題:Disconnect)

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監督:ヘンリー・アレックス・ルビン
キャスト:ジェイソン・ベイトマン(リッチ・ボイド)、ホープ・デイビス(リディア・ボイド)、フランク・グリロ(マイク・ディクソン)、ミカエル・ニクビスト(シューマッカー)、ポーラ・パットン(シンディ・ハル)

内気な少年が、SNSで知り合った相手に送信した1枚の画像が、あっというまに拡散してしまった。架空の女性になりすまして少年をからかったイタズラだったのだ。傷ついた少年は自殺未遂を起こし、加害者になった少年は自分のしたことの深刻さに慄く。父には絶対に知られたくなかった。
孤独な主婦は、夫には話せない本音をチャットでなら言える。銀行の残高がなくなったことに気づいた夫が調査を依頼して、妻がネット詐欺にかかったことを知った。
ポルノサイトで働く少年を取材したい女性記者は、彼に近づくことに成功する。テレビ放映が評判になったことで、少年は彼女に裏切られたと思い込む。
ネット事件が専門の探偵をしている父親は、息子がネットでしでかしたことに気づかない。わが子には厳しくしていれば愛情は伝わるはず・・・?!

一昔前には想像もできなかったほどのパソコンやスマホの普及率。家でも外でもその画面を見つめない日はない、と言い切れるほどです。気軽にコミュニケーションがとれるSNSは、つい自分と相手だけが直接結びついているような気になってしまいがちです。この作品はネットで繋がりを求める人に忍び寄る悪意や、落とし穴に嵌ってしまう怖さを描いています。別々の物語がちょっとした繋がりで、一つに収束していきます。
ここに挙げられた事例はとてもリアルです。日本でもネットのいじめは多発しているようですし、他人になりすまして悪意の加害者となる事件が起こっています。ネットで他人とは話せても、実際の家族や友達との意志の疎通がおろそかになっている人もいることでしょう。便利さに依存してしまって、それがなければお手上げの事態を作っている自分にも気づきます。何もないときには戻れないけれど、なんとかしなきゃとまじめに反省しました。(白)


2012年/アメリカ/カラー/115分/
配給:クロックワークス
(c) DISCONNECT, LLC 2013
http://dis-connect.jp/

★5月24日(土)より 新宿バルト9他にて公開
posted by shiraishi at 01:16| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月18日

マンデラ 自由への長い道(原題:Mandela: A Long Walk To Freedom)

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監督:ジャスティン・チャドウィック
脚本:ウィリアム・ニコルソン
原作:ネルソン・マンデラ自伝「自由への長い道」(NHK出版)
出演:イドリス・エルバ(ネルソン・マンデラ)、ナオミ・ハリス(ウィニー・マンデラ)、トニー・ギゴロギ(ウォルター・シスル)
主題歌:「オーディナリー・ラヴ」U2
オリジナル・サウンドトラック:ユニバーサル・ミュージック

1918年生まれのネルソン・マンデラは、ヨハネスブルグで法律を学び弁護士資格を取得する。都会での人種の格差を身にしみて感じ、アフリカ民族会議(ANC)に入党。アパルトヘイト政策の強化とともに、運動に力を注いでいく。「民族の槍」を組織し、武装闘争で逮捕された後、1964年、国家反逆罪で終身刑となった。獄中生活はそれから27年も続くことになる。

ネルソン・マンデラの自伝「自由への長い道」をもとに、自由と平等のために闘った激烈な生涯を描いた作品。プロデューサーのアナント・シンは、1995年マンデラ本人から自伝を手渡され「君に作ってほしい」と指名されたそうです。シン自身も南アフリカで、反アパルトヘイト運動に参画した1人であり、『サラフィナ!』などを送り出しています。
決して美化しないという条件のもと、監督、脚本をはじめとするスタッフ、キャストたちが実在した人々をスクリーンに息づかせています。マンデラの次に重要な1人、妻ウィニーとの出会い、つかのまの幸福、そして長期の獄中生活を支え続けたウィニーの献身。釈放後の再会と別れも描いています。この人も十分映画になりそう、と思ったらジェニファー・ハドソン主演で『ウィニー』(2011年/日本未公開/マンデラはテレンス・ハワード)が作られていました。
ネルソン・マンデラは、惜しまれつつ2013年12月5日95歳で亡くなりました。作品の中に散りばめられた彼の言葉は、きっといつまでも残るはずです。(白)


2012年/アメリカ/カラー/2時間27分/シネスコ/ドルビーSRD
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(c)2014 Long Walk To Freedom(Pty)Ltd
http://disney-studio.jp/movies/mandela/

★5月24日(土)全国ロードショー
posted by shiraishi at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ラスト・ベガス(原題:Last Vegas)

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監督:ジョン・タートルトーブ
キャスト:マイケル・ダグラス(ビリー)、ロバート・デ・ニーロ(パディ)、モーガン・フリーマン(アーチー)、ケビン・クライン(サム)、メアリー・スティーンバージェン(ダイアナ)

ビリーとパディ、アーチー、サムの4人は悪ガキ時代から58年来の幼なじみだ。1人だけ独身を通していたビリ
ーがついに結婚を決心した。それも相手はまだ32歳!結婚式はお約束のラスベガス。バチェラー・パーティを
せにゃ〜とオヤジ4人は久しぶりに再会する。
ようやく着いたホテルの予約が入っていなかったり、パディがいつまでもすねていたり、先行き不安。しかし美人歌手のダイアナに出会えた上、アーチーが年金をつぎこんだカジノで大当たり。最上階のスイートルームでのパーティができることになった。

アカデミー賞俳優が揃ったなんとも豪華なコメディです。子どものころから個性的で、大人になっても基本は変わらない4人。それぞれのドラマもよく描かれていて、なんだか皆楽しそうに演じています。1人ひとりのエピソードにホロリとさせられるかと思えば、ホテルでのバカ騒ぎや、年の功で乗り切るあれこれに大笑い。女性だっていつまでも「少女」の部分があるのですが、男性の「少年」の部分はもっと多く、長〜く残っているのかもしれないですね。(白)

2013年/アメリカ/カラー/105分/シネスコ
配給:KADOKAWA
(c) Copyright 2013 CBS Films Inc. ALL RIGHTS RESERVED.
http://lastvegas.jp/

★5月24日(土)全国ロードショー
posted by shiraishi at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする