監督:スティーヴン・フリアーズ
脚本:スティーヴ・クーガン、ジェフ・ホープ
出演:ジュディ・デンチ、スティーヴ・クーガンほか
英国に住むフィロミナ。ある日、娘のジェーンに「今日は息子の50歳の誕生日なの」と、結婚前に生んだ子のことを打ち明ける。それは10代だった1952年のこと。アイルランドにいたフィロミナは、未婚で妊娠して家を追い出され、修道院に入れられた。出産の面倒を見て貰うかわりに、朝から晩までこき使われ、出産後も子供に会えるのは一日1時間だけ。3歳になると息子は突然養子に出されてしまい、その後、何度修道院に問い合わせても息子の行方は教えて貰えなかった。この話を聞いた娘のジェーンは、元ジャーナリストのマーティンに記事にして貰えないかと持ちかける。最初は乗り気でなかったマーティンだが、フィロミナと共にアイルランドの修道院を訪れ、アメリカに養子に出されたことをつきとめ、息子の行方を追う二人の旅が始まる・・・
2012PHILOMENA LIMED, PATHE PRODUTIONS, BRITISH FILM INSTITUTE AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION. ALL RESERVED
『あなたを抱きしめる日まで』という邦題から、母親が生き別れになった息子と再会するまでの物語かと思ったら、思いもかけない結末。(それはご覧になって確認を!) 邦題にまんまと騙されたけれど、ジュディ・デンチ演じるおしゃべりな田舎のおばちゃんと、スティーヴ・クーガン扮するちょっととぼけたジャーナリストの珍道中が楽しかった。
それにしても、10代で妊娠させられてしまったフィロミナの相手の男のことがほとんど語られなかったが、彼女にとってその男の存在がどういうものだったのかが気になった。一瞬でも愛し合った男だったのか、それとも男の勝手で妊娠させられたものだったのか・・・ どちらだとしても、一生、彼女の心の片隅から消えなかったはずだ。
カソリックの道徳観が支配する国で未婚の母となってしまったのだから、社会の風当たりは想像以上に厳しいものだと思う。未婚の母を隔離するだけでなく、生まれた子供たちの存在も養子に出すという形で封印してしまうという非情さ。妊娠させた男は、もしかしたら、我が子の存在すら知らないと思うと、ほんとにずるい。
もう50年も経ったし、それなりに幸せな家庭を築くことができたので、そんな恨みも忘れてしまったのか、ジュディ・デンチ演じるフィロミナはあっけんからんとしていて、まぁ人生、過去を引きずるよりは前向きでいいかしら。(咲)
本年度ヴェネチア国際映画祭 脚本賞受賞/本年度トロント国際映画祭正式出品
製作:パテ/BBC
2013年/イギリス/カラー/98分
後援:ブリティッシュ・カウンシル
提供・配給:ファントム・フィルム
公式サイト:http://www.mother-son.jp/
★2014年3月15日、全国公開
posted by sakiko at 17:56|
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