2014年03月09日

オール・イズ・ロスト 最後の手紙   原題 ALL IS LOST

監督:JC・チャンダー

出演:ロバート・レッドフォード


スマトラ海峡から3150キロ沖の海。“すべて失った……すまない”と、ボートの上で家族に手紙をしたためる男。

インド洋を自家用ヨットで航海していた男。8日前、水の音で目覚める。何かがぶつかって穴が開き、船室に水が入ってきたのだった。穴を応急修理し、水を一生懸命掻き出すが、やがて暴風雨に襲われ、無線もパソコンも使えなくなる。男はヨットを捨てる決意をし、食糧や必要最低限の道具などを持って救命ボートに乗り移る。男は助かるのか・・・
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(C) 2013 All Is Lost LLC


設備は整っていても、大海原で小さなヨットが遭難する可能性もひとりぼっちの孤独も覚悟の上での単独航海。災難に襲われ、すべてを失った時、それでも男は生きる望みを失わない。

暗い海の中、遠くに見えてきた船体。なんとも面白い形・・・と思ったら、コンテナ船だった。かつて、船積みの手配をしていたことがあったけど、実際の船を見たことがなかった。コンテナって、こんな風に積まれるんだと興味津々。コンテナ船には、船員の姿も見えず、静かに男の前を通り過ぎていく。すごく不気味で、この映画で一番ぞくっとした場面。(咲)


配給:ポニーキャニオン 
2013年/アメリカ/カラー/ドルビーデジタル/シネマスコープ/106
公式サイト:http://allislost.jp/
★2014
314日(金)TOHOシネマズシャンテほか、全国ロードショ-
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あなたを抱きしめる日まで  原題:Philomena.

監督:スティーヴン・フリアーズ 

脚本:スティーヴ・クーガン、ジェフ・ホープ

出演:ジュディ・デンチ、スティーヴ・クーガンほか


英国に住むフィロミナ。ある日、娘のジェーンに「今日は息子の50歳の誕生日なの」と、結婚前に生んだ子のことを打ち明ける。それは10代だった1952年のこと。アイルランドにいたフィロミナは、未婚で妊娠して家を追い出され、修道院に入れられた。出産の面倒を見て貰うかわりに、朝から晩までこき使われ、出産後も子供に会えるのは一日1時間だけ。3歳になると息子は突然養子に出されてしまい、その後、何度修道院に問い合わせても息子の行方は教えて貰えなかった。この話を聞いた娘のジェーンは、元ジャーナリストのマーティンに記事にして貰えないかと持ちかける。最初は乗り気でなかったマーティンだが、フィロミナと共にアイルランドの修道院を訪れ、アメリカに養子に出されたことをつきとめ、息子の行方を追う二人の旅が始まる・・・

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コピーライトマーク2012PHILOMENA LIMED, PATHE PRODUTIONS, BRITISH FILM INSTITUTE AND BRITISH  BROADCASTING CORPORATION. ALL RESERVED


『あなたを抱きしめる日まで』という邦題から、母親が生き別れになった息子と再会するまでの物語かと思ったら、思いもかけない結末。(それはご覧になって確認を!) 邦題にまんまと騙されたけれど、ジュディ・デンチ演じるおしゃべりな田舎のおばちゃんと、スティーヴ・クーガン扮するちょっととぼけたジャーナリストの珍道中が楽しかった。


それにしても、10代で妊娠させられてしまったフィロミナの相手の男のことがほとんど語られなかったが、彼女にとってその男の存在がどういうものだったのかが気になった。一瞬でも愛し合った男だったのか、それとも男の勝手で妊娠させられたものだったのか・・・ どちらだとしても、一生、彼女の心の片隅から消えなかったはずだ。

カソリックの道徳観が支配する国で未婚の母となってしまったのだから、社会の風当たりは想像以上に厳しいものだと思う。未婚の母を隔離するだけでなく、生まれた子供たちの存在も養子に出すという形で封印してしまうという非情さ。妊娠させた男は、もしかしたら、我が子の存在すら知らないと思うと、ほんとにずるい。

もう50年も経ったし、それなりに幸せな家庭を築くことができたので、そんな恨みも忘れてしまったのか、ジュディ・デンチ演じるフィロミナはあっけんからんとしていて、まぁ人生、過去を引きずるよりは前向きでいいかしら。(咲)


本年度ヴェネチア国際映画祭 脚本賞受賞/本年度トロント国際映画祭正式出品


製作:パテ/
BBC
  

2013年/イギリス/カラー/98

後援:ブリティッシュ・カウンシル 

提供・配給:ファントム・フィルム

公式サイト:http://www.mother-son.jp/

2014315日、全国公開



posted by sakiko at 17:56| Comment(0) | TrackBack(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月07日

アナと雪の女王(原題:Frozen)

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監督:クリス・バック、ジェニファー・リー
脚本:ジェニファー・リー
製作総指揮:ジョン・ラセター
音楽:クリストフ・ベック
オリジナル・サウンドトラック:ディズニー・レコード
ジュニアノベル:偕成社刊
声の出演: クリステン・ベル(アナ)、イディナ・メンゼル(雪の女王/エルサ)、ジョナサン・グロフ(クリストフ)、ジョシュ・ギャッド(オラフ)、サンティノ・フォンタナ(ハンス)、アラン・テュディック(ウェーゼルトン公爵)、キアラン・ハインズ(パビー)

日本語吹替版:神田沙也加(アナ)、松たか子(雪の女王/エルサ)、原慎一郎 (クリストフ)、ピエール瀧(オラフ)、津田英佑(ハンス)、多田野曜平(ウェーゼルトン公爵)、安崎求(パビー)

触れたものを凍らせてしまう力を持って生まれたエルサ姫は、事故をきっかけに誰とも触れ合わずに閉じこもって暮らすようになった。小さな妹のアナはエルサの心を知らず、寂しい日々を送っていた。時が流れて、エルサが女王となる大切な日、2人は久しぶりに再会する。しかし戴冠式でエルサの力が暴走してしまい、真夏の王国はみるみるうちに雪と氷に閉ざされてしまった。城から逃れたエルザは初めて力を解き放ち、一人雪山に登って氷の宮殿を作り上げる。
残されたアナは、これまで姉が自分を守るために払った大きな犠牲と深い愛情に気づき、氷に閉ざされてしまった王国と、エルサを救おうと雪山へ向かうのだった。

アンデルセン童話「雪の女王」をベースに、王家の姉妹の愛と冒険を描いた物語。禁断の魔力を持って生まれた姉エルサの孤独。反対に、明るく無邪気に育った妹のアナが、夢見た王子に出会ってポーっとなる幼さ、これはアナの成長物語でもあります。凍った町がどうなるのか、自由を得た代わりに家族を失ってしまったエルサの心をどうやって溶かしていくのか、原作とは違う脚色をお楽しみください。アナの旅の仲間となる山男のクリストフと雪だるまのオラフが、躍動感とユーモアを加えます。
スクリーンいっぱいに舞う雪が美しく、エルサやアナの歌も素晴らしいです。女の子ならドレスにも目が丸くなるはず。先日発表されたばかりのアカデミー賞では主題歌賞と長編アニメーション賞の2冠に輝きました。
この公開を記念して、2011年のディズニーのアニメ作品『塔の上のラプンツェル』が3月19日(水)21時〜 TBSテレビ系列で放映されます。『アナと雪の女王』の未公開シーンを含む7分間の特別映像も観られるとか。また、エルサの戴冠式の日、城門に集まった人の中にラプンツェルとフリンの姿があるそうです。私は試写のときには気づかず、公開されたら劇場で確かめようっと。(白)



2013/アメリカ/カラー/1時間48分(短編「ミッキーのミニー救出大作戦」含む)/シネスコ/ドルビー7.1
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(C)2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

★3月14日(土)より2D、3Dロードショー

別のスタッフの感想
posted by shiraishi at 18:35| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

グランドピアノ 狙われた黒鍵(原題:Grand Piano)

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監督:エウヘニオ・ミラ
脚本:デイミアン・チャゼル
撮影:ウナクス・メンディア
音楽:ビクトル・レイェス
出演:イライジャ・ウッド(トム・セルズニック)、ジョン・キューザック(スナイパー)、ケリー・ビシェ(エマ・セルズニック)

若き天才ピアニストのトム・セルズニックは、恩師パトリック・ゴーダルーの追悼コンサートのため5年ぶりにステージに立った。かつて大きな失敗をして以来人前で演奏ができなくなっていたが、愛妻エマの支えでようやく克服できたのだ。ステージには恩師の遺したグランドピアノ”インペリアル”がある。深呼吸をして開いた譜面には「1音でも間違えるとお前を殺す」と書かれていた。誰が何のために?震えるトムはスナイパーの照準がぴたりと自分を捉えていることに気付く。彼はエマをも楯に、演奏中のトムを操る。難曲中の難曲「ラ・シンケッテ」の演奏を完璧にこなさなければエマもトムも命はない。

ステージ恐怖症になったピアニストが演奏中に様々な命令を受けながら、難曲を弾きこなすという今までになかったサスペンス。イライジャ・ウッドがこの難しい状況で、ピアノを弾きつつあの大きな目で不安や恐怖と戦う感情を表現しています。ホビットと違って孤立無援。セルフォンが大活躍です。一昔前ならこの設定は無理でしたね。ほぼコンサート会場内で、しかも演奏中です。監督は長編3作目だそうですが、この采配ぶりと、「ラ・シンケッテ」の作曲もされた音楽家でもあるというのに驚きました。(白)
 
2013/スペイン、アメリカ/カラー/91分/シネスコ
配給:ショウゲート

(c)NOSTROMO PICTURES SL /NOSTROMO CANARIAS 1 AIE /TELEFONICA PRODUCCIONES SLU /ANTENA3 FILMS SLU 2013
http://grandpiano-movie.jp/


★3月8日(土)より新宿シネマカリテほか全国ロードショー


posted by shiraishi at 13:34| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月02日

偉大なる、しゅららぼん

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監督:水落豊
原作:万城目学「偉大なる、しゅららぼん」(集英社刊)
脚本:ふじきみつ彦
音楽:瀬川英史
主題歌: ももいろクローバーZ 「堂々平和宣言」
出演:濱田岳(日出淡十郎)、岡田将生(日出涼介)、深田恭子(日出清子)、渡辺大(棗広海)、貫地谷しほり(藤宮濤子)、佐野史郎(日出淡九郎)、高田延彦(棗永海)、森若香織(棗の母)、田口浩正(日出洋介)、大野いと(速水沙月)、柏木ひなた(棗潮音)、小柳友(葛西)、津川雅彦(日出淡八郎)、笹野高史(源治郎)、村上弘明(速水義治)

琵琶湖湖畔の町、石走(いわばしり)に住む一族「日出家」には、代々琵琶湖の神より賜った不思議な力が伝えられていた。1300年にわたって守ってきた力は・・・「琵琶湖エリア限定」??分家の涼介は高校入学と同時にその力の修行をすべく本家に寄宿することになった。源治郎の迎えの船で住まいとなる城に送り届けられる。最強の力を持つと言われる跡取りの淡十郎、その姉の清子、師匠の濤子たちとの暮らしが始まった。淡十郎とおそろいのオーダーメイドの制服で登校した涼介は、日出家と長年の宿敵である棗一族の兄妹と出会う。

原作は「鴨川ホルモー」(2006年)で文壇デビューした万城目(まきめ)学氏。2009年に映画化されて、その摩訶不思議な世界と、濱田岳さんのちょんまげに驚いたものです。その後「プリンセス トヨトミ」も映画化されていますが、今回は原点に戻ったかのような不思議なパワーが炸裂するファンタジー作品。
濱田岳さんは今度もビジュアルで驚かせる真っ赤な詰襟で登場。いそうにないキャラでもこの人が演じると説得力が増しますね。恐れるもののないこの「殿」に、涼介はすっかりお供のもの扱いで、面食らうことばかり。青春っぽい恋模様と両家の争いが進むにつれ、不思議な力の秘密が明かされていきます。(白) 

2013年/日本/カラー/114分/ビスタ
配給:東映=アスミック・エース 
(C)2014映画「偉大なる、しゅららぼん」製作委員会 
(C)万城目学/集英社 
http://shurara-bon.com/ 

 ★3月8日(土)より全国順次公開
posted by shiraishi at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする