2014年02月16日

まちや紳士録

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監督:伊藤有紀

音楽:原みどり

デザイン・写真:白水高広(うなぎの寝床)

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福岡県南部の八女市。その一角にある美しい白壁の町家が軒を並べる福島地区は、2002年に重要伝統的建造物群保存地区に選定され、住民たちは町並み保存に日々奮闘している。

八女茶と並び有名なのが、手漉き和紙や石燈籠、仏壇、提灯などの伝統工芸。年商はかつての1割ほどに落ち込み、技術の継承者不足も悩みの種だ。そんな中、古い建物の魅力に惹かれ、よそから移り住み、町の一員として町の復興を考える若い人たちもいる。

本作は、縁あって町家の一角を借りた伊藤有紀監督が、2年間にわたって町の人たちにカメラを向けて綴った1作。
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「まちや」と聞いて、東京の町屋?と思ったら、福岡・八女福島に残る伝統的な「町家」でした。40年程前、八女に程近い福岡の瀬高にあったルノワルユースホステルに泊まっていた時、八女で燈籠人形の出るお祭りをやっていると聞いたのですが、鉄道駅からは遠く、バスの便もよくわからなくて行くのを諦めたのでした。(今なら、ネットですぐに調べられるのに!) 本作の中で、福島八幡宮の境内にお祭りの期間だけ3層2階建ての大きな屋台が組まれ、そこで燈籠を頭に載せたからくり人形の芝居が上演されることを紹介していました。監督に伺ったら、今年も秋分の日前後に開催されるとのこと。アジアフォーカスと組み合わせて行ける日程。相変わらず交通の便は悪いようですが、ぜひ行かねば!

 

思えば、20代の頃、日本各地の古い町並みが残る町をよく訪ね歩いたものです。その後、ディスカバージャパンのキャッチフレーズで脚光を浴びて、すっかり観光地と化してしまった町も多数。戦前は日本のどこにもあった美しい伝統的な町並み。今や、国から重要伝統的建造物群保存地区に指定されないと、町並みを守れない悲しさ。それでも、伝統的家屋を維持するのは、技術的にも費用的にも大変で、住む人の覚悟が必要なことを本作は教えてくれます。監督と同じようによそからやってきて、八女に住んで、町家を生かして地域の復興に携わる若い人たちの生き生きした姿に、日本人も捨てたもんじゃないと思いました。後に続く人が大勢出てくれることを願うばかりです。(咲)

 

画像提供:グループ現代

 

制作・配給:グループ現代

2013/88/HDCAM/16:9/カラー/日本/ドキュメンタリー

公式サイト:http://www.yame-machiya.info


201431日よりシアター・イメージフォーラムにて公開!!

連日11:00〜 《暮らしと伝統をみつめるモーニングショー!
posted by sakiko at 18:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

怒れ!憤れ!─ステファン・エセルの遺言─    英題:INDIGNADOS

監督:トニー・ガトリフ (『ガッディ・ディーロ』『愛より強い旅』)

出演:ベティほか

 

一人の少女が海からあがってくる。

「アッサラーム・アレイコム。家族の皆さん、ヨーロッパから良い知らせをおくります」と手紙を書き綴る少女。

海を越えてたどり着いたギリシャ。仕事を探すがアテネの町には若いホームレスが溢れている。警察に捕まり指紋を取られ強制送還。だが、少女は諦めず、フランスを目指す。パリの裏通りでも、不法移民や貧しい人たちが炊き出しに並ぶ。バスティーユ広場では、若者たちが「真の民主主義を!」と訴えている。少女はまた警察に捕まり、指紋の記録のあったギリシャに送り返される。少女はめげずに新天地を求めて密航し、スペインを目指す・・・ 

 

空を見上げ、飛ぶ鳥を追いながら一心不乱に踊り続ける少女。

「不法移民でいるより、故郷で動物でいるほうがいい?」という言葉が痛い。

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デモはテロじゃない!

元レジスタンス闘士ステファン・エセル(1917-2013)が、93歳の時に書いた「怒れ!憤れ!」は、平和的な暴動を訴える32ページの書。全世界30ヶ国語に翻訳され、世界の若者たちの心を動かし、2011年のスペイン15-M運動に始まるヨーロッパの大衆運動INDIGNADOS〈怒れる者たち〉に繋がった。

ステファン・エセルの遺したメッセージを、トニー・ガトリフ監督が映像化。

アフリカから夢を求めてヨーロッパに渡った少女の目を通して、パリ、アテネ、イスタンブルのデモの様子が映し出される。さらに、エセルの言葉が影響を与えたといわれるアメリカのウォール街のデモ、アラブの春にも言及する。
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オレンジが坂道をころがるシーンが象徴的。チュニジアで、青果を荷車に乗せて売っていた若者が、販売許可を取ってないとして青果と秤を没収され暴力を受けたことに抗議し焼身自殺を図った。その映像がネットで流れ、全国的な反政府運動となりチュニジアの大統領は追い出された。この「ジャスミン革命」と呼ばれるチュニジアでの事件がアラブの春の皮切りだった。

トニー・ガトリフ流の激しい音楽に乗せて、自由を求める民衆の姿が映し出される力強い作品。(咲)

 

2012/フランス/カラー/1時間28/1:1.85/ドルビーSRD

配給:ムヴィオラ 

公式サイト:http://www.moviola.jp/dofun/

2014年3月1日 (土)より新宿K's cinemaほか全国順次公開

(C) Prince Production



posted by sakiko at 11:51| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする