2014年01月09日

鉄くず拾いの物語   (原題:Epizoda u zivotu beraca zeljeza  英題:An Episode in the Life of an Iron Picker)

監督:ダニス・タノヴィッチ(『ノー・マンズ・ランド』)

出演:セナダ・アリマノヴィッチ、ナジフ・ムジチ

 

ボスニア・ヘルツェゴヴィナに住むロマのナジフと妻セナダ。二人の娘に恵まれ、貧しいながらも幸せな日々を送っていた。ある日、3人目を身籠っているセナダが腹痛に見舞われる。ナジフは車を借りてセナダを病院に連れていくが、5ヶ月の胎児がお腹の中で既に亡くなっていて、直ぐに手術しないと命に係わると診断される。鉄くずを拾って細々生計を立てているナジフは保険証もなく、手術代980マルク(約500ユーロ)はとても払えない額だ。分割払いでなんとか手術してくれないかと懇願するも、拒否されてしまう。ナジフは妻の命を救うことができるのだろうか・・・

 

家族を守るために、必死になって駆けずり回るナジフの姿に、なんとかしてあげて〜と心の中で叫んでいました。東京フィルメックスで上映された折に、実話に基づく話とは知っていたのですが、演じたのがまさにナジフさんたち一家そのものと後から知ってびっくり。手術を拒否した医師以外は、皆、実在の人たちが当時を再現して撮影に応じたそうです。なによりナジフさんの粗野だけど暖かい人柄に惹かれます。ベルリン国際映画祭で、みごと銀熊賞・主演男優賞を受賞。ナジフさんは地元のヒーローとなり、定職にも就いたそうです。奥さんのセナダさんも幼い二人の少女たちも、カメラを意識しない自然な演技。というか、普段の姿をそのまま見せています。
IMG_1580.JPG
東京フィルメックスの上映後のQ&Aで、ダニス・タノヴィッチ監督は、「人間誰しも役者。例えばお母さんと恋人では接し方が違いますよね。人は常に演技してるといえます」と語りました。また、各国で差別を受けているロマの人たちですが、ユーゴスラビアから独立した新生ボスニア・ヘルツェゴヴィナでも、ロマの90%以上が正式雇用されず、その日暮らしの生活を送っているそうです。生きていくことは大変! それでも、ナジフさんたちの表情が柔らかいのは、家族の絆が強いからでしょうか。(咲)

 

2013年/ボスニア・ヘルツェゴヴィナ=フランス=スロベニア/74分/ビスタサイズ

配給:ビターズ・エンド


2014111日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次 ロードショー!

公式サイト:http://www.bitters.co.jp/tetsukuzu/

『グォさんの仮装大賞』    原題:飛越老人院 (英題:FULL CIRCLE)

監督・脚本:チャン・ヤン (『スパイシー・ラブスープ』『こころの湯』『胡同のひまわり』)
出演:シュイ・ホァンシャン、ウー・ティエンミン、リー・ビン、ワン・ダーシュン、ツァイ・ホンシアン、チャン・フアシュン
 

妻に先立たれたグォさん。妻の連れ子だった息子夫婦との同居は居心地悪く、友人チョウさんの入居している老人ホームで余生を過ごすことに。チョウさんは、老人ホームのリーダー的存在。引き篭りがちの皆の気持ちを盛り立てようと、人気テレビ番組「仮装大賞」への出演を申し込む。皆の猛練習が始まる。けれども、遠く離れた天津での大会に出演するのを、ホームの職員や家族たちは猛反対。なんとか抜け出して行くしかない! おんぼろバスを調達して、元バス運転手だった者の運転で天津を目指す・・・

 

2012年の東京国際映画祭「アジアの風」部門で『老人ホームを飛びだして』のタイトルで日本初上映された作品。その折、最初の30分しか観られず、老人ホームを飛びだす姿をいつか観たいと思っていました。おんぼろバスでモンゴル族の住む草原を抜けて天津に向かって行く一行の姿に大喝采。


グォさん役は、『孔子の教え』で老子を演じたシュイ・ホァンシャン。チョウさん役は、『古井戸』『變臉 この櫂に手をそえて』の監督で俳優としても活躍するウー・ティエンミン、アルツハイマーでチョウさんを夫だと思い込んでいるリー夫人役に、『初恋のきた道』のおばあさん役のリー・ビン。老練俳優たちの名演技にうなります。
guosan.jpg@
 2012 Desen InternationalMedia Co., Ltd

「病院で死にたくない。笑って死にたい」「目標がなくなれば終わり」など、いずれ人生の終末を迎える身に染みる言葉の数々・・・。グォさんの老人ホームの仲間たちは、それぞれに身体が思うように動かなかったり、家族との亀裂など悩みを抱えているけれど、仮装大賞に向かって突き進みます。好きなことをして、いつまでも笑って過ごしたい! ()
 

2012/中国/北京語/104/シネマスコープ/カラー/ドルビーデジタル/

配給:コンテンツ・セブ
 

2014111日シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開!

公式ホームページ http://guosan.jp/

☆公開を前にチャン・ヤン監督から届いたコメント
「両親との関係が良好でなかった私は、家族、特に父子関係について問う作品をつくってきました。しかし彼らが年老いた今、身近な高齢者である両親が何を考えてきたのか、理解したいと強く思うようになってきました。伝統的な家族の形を失いつつある今の中国で、その受け皿である老人ホームは、まだまだその役割を果たせていません。子供と過ごすことを望むお年寄りたちと、個人主義が広がる家族との間には溝が生まれ、孤立したお年寄りの中では孤独死も起きています。だからこそ、彼らの思いに触れたこの作品で、高齢者問題にスポットを当てたいと思いました。」

guosan poster.jpg 
楽しいポスターも届きました!



posted by sakiko at 09:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『7BOX ‐セブン・ボックス‐』 原題 : 7CAJAS

監督&脚本:フアン・カルロス・マネグリア


市場で運び屋をしている17歳のビクトル。7つの箱を運べば100ドルと言われ、携帯電話が欲しい彼は中身不明のまま引き受ける。彼が箱を運び始めたとたん何者かが襲ってくる・・・

パラグアイの首都アスンシオンのメルカード・クアトロ(第4市場)で撮影したスリルあふれる物語。様々な民族が交錯して興味深い。

映画産業が発達していないパラグアイでは、これまでに20本位しか製作されていない。映画館もほとんどない中で大ヒットした作品。

 IMG_9686skiip.JPG

20137月に開催された「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」で脚本賞を受賞。映画祭にフアン・カルロス・マネグリア監督が登壇。ハンサムな監督は48歳。同行されたお母様、50歳前後にしか見えない! アスンシオンに住む元会社の先輩に「パラグアイの人って、年をとってもスマートで若く見える人が多い?」と尋ねたら、「それは、少数派ですな」との返事。さらに人種についても聞いてみた。「スペイン出身が多いのは当然として、伊、独、仏、英、北欧、東欧、旧ソ連、アラブ諸国、ユダヤ、アジア(日本、韓国、台湾、中国)とまことに様々。映画は大ヒット。観るのに半端な行列ではなかったからこれが驚き。パラグアイでも高いレベルの映画が作れる様になったかと感慨に浸りました」と返事をいただいた。ほんとに面白くて、日本での公開を望んでいたもの。新宿シネマカリテで、ポスターを見てびっくり。劇場公開を経ずにDVD発売された秀作を上映する「オト カリテ」シリーズ第3弾と判明。画面で観る迫力を味わえる貴重な機会は嬉しい。(咲)


シネマカリテ新宿 ―オト カリテ Vol.3 ―

1月18日(土)〜24日(金)1週間限定レイトショー (連日20:40より)

ワンコイン(500) 

http://qualite.musashino-k.jp/coming.php#1385114748

 

2012 / パラグアイ / スリラー・アクション / 105

 

DVD発売元URL

http://www.transformer.co.jp/products/TMSS_282.html



posted by sakiko at 09:04| Comment(0) | TrackBack(0) | パラグアイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月02日

1月4日公開『マイヤーリング』

mayerring.jpg

原題:MAYERLING
監督:アナトール・リトヴァク
出演:オードリー・ヘプバーン(マリー)、メル・ファーラー(ルドルフ王子)

オーストリア=ハンガリー帝国の王子ルドルフと、男爵令嬢マリーの悲恋を描いた「うたかたの恋」が原作。
1957年当時生放送のテレビ映画として一度だけ放送された。テレビ画面をフィルム撮影(キネスコープ)したマスターフィルムが見つかって復元されたもの。27歳のオードリーが10代のマリーを演じて違和感なく、可憐な美しさで魅了する。
相手役のメル・ファーラーとは1954年に結婚し、1960年一人息子ショーンを授かるも1968年に離婚。


1957年/アメリカ映画/モノクロ/75分
1月4日(土)TOHOシネマズ六本木ほか全国順次公開


(C)1957 Showcase Productions,Inc. (C)2009 Films Around the World,Inc. All Rights Reserved.

http://www.mayerling.jp/
posted by shiraishi at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする