オーストラリアの先住民、アボリジニー初の女性4人組ボーカルグループ<サファイアズ>の実話を元にした作品。公開はすでに始まっていますが、お薦めの作品なので紹介します。
2014年1月11日(土)公開
ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、109シネマズ川崎、京都シネマ、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸ほかで公開
(C) 2012 The Sapphires Film Holdings Pty Ltd, Screen Australia, Goalpost Pictures Australia Pty Ltd, A.P. Facilities Pty Ltd and Screen NSW.
*ストーリー
1968年頃のオーストラリア、アボリジニー居住区に暮らすゲイル、シンシア、ジュリーの三姉妹と従姉妹のケイは幼い頃より歌が大好きで、カントリーミュージックを歌いながらスター歌手になることを夢見ていた。しかし、地元のコンテストに出場しても、根強い差別意識から露骨に落選させられる(1975年の人種差別禁止法によって、白豪主義の時代は終わっていたのだが)。
彼女たちは、なんとかこの状況から抜け出てミュージシャンとして活躍したいと思っていたが、このコンテスト会場で、ソウルミュージック好きの自称ミュージシャン、デイヴと出会い、ソウルミュージックに目覚め、音楽活動を始める。
アメリカの黒人の魂の叫びといわれるソウルミュージック。彼女たちも、オーストラリアでの自分たちの立場に重ね合わせ、思いを歌い上あげる。
ベトナム戦争真っ只中のベトナムへのアメリカ軍兵士慰問の音楽の旅。
優しいけど力強いサファイアズの歌は、たちまち兵士たちの人気に。
アボリジニーたちが暮らす原野の中の居住区、白人との混血児を隔離した政策、その中で生きる人々の姿も描かれ、オーストラリアの現代史が伝わってくる。
差別を乗り越え、歌手になる夢を実現した<サファイアズ>の姿は、見る人へ力強いメッセージを投げかけてくる。
*映画を観て
アボリジニーの歌が大好きな少女たちが、歌手を目指して人生を切り開いていく姿が勇気を与えてくれる。久しぶりに感動する作品でした。
1990年、私が初めて行った海外がオーストラリア。西オーストラリアのパースという町に住む友人を訪ねて、2週間の滞在をした。その時、オーストラリアではカントリーミュージックがかなり歌われていた。そして、カウボーイハットにジーンズなどカウボーイスタイルの人が街を歩いていた。なんだかアメリカ西部の街にでも来てしまったような感じがしたのを覚えている。私もカントリーミュージック好きで、1970年代にはよくカントリーミュージックのライブハウスに通っていたので、とても懐かしく嬉しかったのを覚えている。
なので、この作品を見たとき、アボリジニーの少女たちまでもがカントリーミュージックにあこがれていたんだと驚いた。そんな彼女たちが、ソウル音楽と出会って、自身のアイデンティティに目覚めるシーンはジーンとした。
それにしても、ここに描かれた主な活躍の場はベトナム戦争の真っ只中のベトナムのアメリカ軍前線基地(オーストラリア軍ではなかった)。ベトナムでの軍事慰問から帰ってからのオーストラリアでの活躍は描かれていなかったけど、どうだったのだろうか。
ソウルフルな彼女たちの歌声の数々が流れ、とても素晴らしい音楽映画だった。それに、オーストラリアでのアボリジニーへの差別の実体も描かれ、『裸足の1500マイル』でも描かれた、白人との混血児を親から離した政策のことも改めて思い出した。
1990年のパースの街では、アボリジニーのストリートミュージシャンが、ディジリドゥというアボリジニー独特の尺八を大きくしたような楽器を吹いている姿が印象的だったけど、その当時も差別のため、アボリジニーはなかなか仕事に就けない状態だった。
そして、保護政策という名の給付金で生活するアボリジニーの人たちのアルコール中毒が問題になっていた。もう23年も前のことだけど、今はどうなのだろうか…。(暁)
監督:ウェイン・ブレア
製作:ローズマリー・ブライト カイリー・デュ・フレズネ
製作総指揮:ボブ・ワインスタインハーベイ・ワインスタイン
キャスト
デイヴ役:クリス・オダウド
ゲイル役:デボラ・メイルマン
ジュリー役:ジェシカ・マーボイ
ケイ役:シャリ・セベンズ
シンシア役:ミランダ・タプセル
製作年 2012年/オーストラリア /配給 ポニーキャニオン/98分
『ソウルガールズ』公式HP http://soulgirls.jp/
posted by akemi at 01:06|
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