2016年12月04日

福田敬子〜女子柔道のパイオニア

原題 Mrs. Judo: Be Strong, Be Gentle, Be Beautiful
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(C)小学館/福田敬子

監督・製作・編集 ユリコ・ガモウ・ロマー
キャスト 福田敬子 シェリー・フェルナンデス 山口香

つよく、やさしく、うつくしく 

世界に柔道を普及させることに尽力した女性柔道家・福田敬子の生涯を記録したドキュメンタリー。1913年、東京で生まれた福田敬子は、21歳(1935年)の時、講道館柔道の創始者嘉納治五郎の薦めで講道館女子部に入門。男子柔道が正式種目になった1964年の東京オリンピックでは、エキシビションで柔道の型を披露。1966年、52歳で柔道の国際的普及のために渡米。80歳を過ぎるまで世界各地で柔道の普及のため尽力。
本人への取材、関係者の証言、講道館女子部の乱取りの貴重な映像をところどころに挟み、様々な苦難に遭いながらも柔道とともに歩んだ生涯を描いている。2013年に、99歳で亡くなるまで、柔道の心を説き続けた。結婚しても柔道を続けられる時代ではなく「結婚ではなく柔道の道を選んだ」と語っていた。女子の試合は禁止されていて世界柔道選手権大会女子の部は1980年から。そんな中で柔道を続け、2011年にアメリカ柔道連盟より柔道の最高段位である十段を授与された。女性では唯一の十段取得である。日本での段位は講道館九段とのこと。
2009年の「日本への里帰り」の様子も描かれるが、最晩年、車いすの姿ながらサンフランシスコの道場で「大外刈や膝車が柔道ではありません。良い人間になることが柔道です」と弟子達に英語で語りかける。
監督は、何かやってみたいと思っているけどできていない人、チャレンジしてみたいけどなかなか最初の一歩が踏み出せない人にぜひ観てほしいと語っています。
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(C)小学館/福田敬子


柔道を世界に広めた女性がいたなんて、全然知らなかった。しかも1964年の東京オリンピックの時のエキシビションで柔道の型を披露していたということは、私はそれをTVで見たかもしれない。50代で渡米後、日本に戻っても活躍する場がなく、アメリカに留まったというような事情もあったらしいが、その時、アメリカの友人が手を差し伸べてくれて、アメリカで柔道を続けることができた。女性の活躍という意味では、オリンピックで活躍した女性でも、今も日本では活躍の場が開けていないということがトークシショーで語られていた。そのレポートはまた、のちほどスタッフ日記に。
福田敬子さんは嘉納治五郎に直接指導を受けた最後の人で、祖父福田八之助は嘉納治五郎の柔術の師だったという。(暁)


製作年 2013年 アメリカ 上映時間58分
配給 パンドラ
2016年12月3日アップリンク渋谷にて公開
http://www.pan-dora.co.jp/?p=3535
posted by akemi at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

皆さま、ごきげんよう  原題:Chant d‘Hiver / Winter Song

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監督:オタール・イオセリアーニ
出演:リュファス、アミラン・アミナラシヴィリ、ピエール・エテックス、マチュー・アマルリック、トニー・ガトリフ

フランス革命の時代。ギロチンに賭けられる罪人を、楽しそうに編み物しながら見物する女たち。刑が執行され、パイプをくわえたままの首を大事そうに受け取る女性。

とある戦場。金品を奪い、女を強姦する兵士たち。陣地に戻り、洗礼を受ける兵士たち。テントに入り軍服に着替える牧師の身体には入れ墨が。

現代のパリ。ローラースケートで路上強盗をする少女たち。
酔っ払いがロードローラーに轢かれてしまう。のされてぺしゃんこになった男を自宅に届けると、「ドアの下から入れて」という奥さん。
アパートの庭で編み物を楽しむ女性たち。
貴族で博学のアパートの管理人は、怪しげな男たちと武器取引をしているらしい。
骸骨集めが趣味の人類学者・・・

フランス革命の時代、戦争の時代、そして現代のパリと、人々の営みがユーモアを交えながらも辛辣に描かれます。
上記に紹介したほかにも、現代のパリでは、警察署長とその娘、男爵、貴婦人、ローラースケート強盗団の青年などなど、様々な人が登場して、観終わってみると、なんだったのかよくわからない不思議な感じ。

グルジア(現ジョージア)出身でパリ在住のオタール・イオセリアーニ監督が、半自伝映画『汽車はふたたび故郷へ』の日本公開から5年ぶりに来日。芸術として誕生した映画が商売人の手に落ちてしまったと嘆く一方、東京は町で煙草も吸えない冷たい町になったとも。映画同様、監督に煙に巻かれたような記者会見でした。(咲)


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煙に巻かれた記者会見の模様は、こちらで!
http://cinemajournal.seesaa.net/article/444128506.html

2015年/フランス=ジョージア(グルジア)/121分 
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/gokigenyou/
★2016年12月17日より岩波ホールほか全国順次公開
posted by sakiko at 18:34| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ミス・シェパードをお手本に   原題:The Lady in the Van

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監督: ニコラス・ハイトナー
出演: マギー・スミス、アレックス・ジェニングス、ジム・ブロードベント

ロンドンの北にある静かな住宅地カムデンに引っ越してきた劇作家のベネット(アレックス・ジェニングス)。近くには、路上に止めた黄色いおんぼろ車で暮らす名物女性ミス・シェパード(マギー・スミス)がいて、近所の人たちが時折差し入れをしている。ある日、路上駐車をとがめられているのを見かけたベネットは、親切心から自宅の駐車場に招き入れる。ほんのちょっと避難場所のつもりで声をかけたのが運の尽き。高飛車な態度をとるミス・シェパードだが、時折フランス語でつぶやき、ピアノも弾けるらしい謎めいた彼女を、なぜだか見捨てることのできないベネット。なんと、ミス・シェパードは亡くなるまでの15年、そこに居続けた。そして明らかになる過去・・・

イギリス屈指の劇作家アラン・ベネットの経験に基づく“ほとんど本当の話”。
ミス・シェパードを演じたイギリスの名女優マギー・スミスが、16年間にわたり主演してきた舞台劇の映画化。
映画は、カムデンのグロスター・クレセント通り23番地にある実際にベネットとミス・シェパードが暮らした家で撮影されました。
だんだん老いてくるミス・シェパード。「介護は汚れ物の世話だ」という言葉がぐっと迫ります。実はベネットは自分の老いた母親は養護施設に預かってもらっているのに、自宅でミス・シェパードの下の世話までしているのです。情がうつって見捨てられなくなったとはいえ、なかなかできることではないと感服です。自問自答するベネットと分身。本音もちらりと見えて、そうそう!と楽しい。(咲)


2015年/イギリス/英語/104分/アメリカンビスタ
後援:ブリティッシュ・カウンシル、英国政府観光庁
配給: ハーク
公式サイト:http://www.missshepard.net
★2016年12月10日 (土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー!
posted by sakiko at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アズミ・ハルコは行方不明

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監督:松居大悟(『ワンダフルワールドエンド』『スイートブールサイド』『私たちのハァハァ』)
原作:「アズミ・ハルコは行方不明」山内マリコ(幻冬舎文庫)
劇中アニメーション:ひらのりょう / 音楽:環ROY
出演:蒼井優、高畑充希、太賀、葉山奨之、石崎ひゅーい、菊池亜希子、山田真歩、落合モトキ、芹那、花影香音 /柳憂怜、国広富之/加瀬亮

夜の町、二人の青年がじゃれあいながら壁にスプレーで女性の顔を描きつけていく。
元は、交番の巡査が掲示板に貼った「行方不明者、安曇春子」のポスター。
アズミハルコとは何者か?

安曇春子、27歳、独身。地方都市で両親と高齢の祖母と猫のみーちゃんと暮らしている。勤務先の小さな会社では、社長や上司の男性から、そろそろ結婚退職したらといびられている。昼休み、会社の外階段でパンをかじりながら先輩の女性と愚痴る春子。その先輩が、ある日、フランス人と結婚するので会社を辞めるという。
そして、春子は失踪する・・・

壁にグラフティーアートを拡散させていく男子二人に、男狩りをする女子高生集団、そして、成人式で中学校の同級生と再会して関係を持ってしまう男女と、安曇春子の物語と同時進行で若い人たちが登場してきて、くらくら。
春子の勤める会社は、旧態依然とした男社会なのだけど、先輩が辞めると宣言した時の男二人の口あんぐりには、してやったり。(咲)


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東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、ラインナップ発表会に登壇した蒼井優さん。「行方不明なら、出番は少ないと思ってお引き受けしたら、そう甘くはなかった」と語りました。
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松居大悟監督、若い! この若さだから、この作品!

2016年/日本/100分/カラー
配給:ファントム・フィルム
公式サイト:http://azumiharuko.com
★2016年12月3日(土)より新宿武蔵野館他全国ロードショー
posted by sakiko at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月27日

ヒッチコック/トリュフォー   原題:Hitchcock/Truffaut

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監督:ケント・ジョーンズ
出演:マーティン・スコセッシ、ウェス・アンダーソン、デビッド・フィンチャー、オリヴィエ・アサイヤス、ピーター・ボグダノヴィッチ、アルノー・デプレシャン、ジェームズ・グレイ、黒沢 清、リチャード・リンクレイター、ポール・シュレイダー、ボブ・バラバン(ナレーター)

1962年、フランソワ・トリュフォー監督が『突然炎のごとく』の宣伝でニューヨークを訪れた折、ある批評家に「影響を受けた監督はヒッチコック」と答えた際に冷ややかな反応をされる。敬愛する巨匠に正当な評価をと決意した瞬間だった。トリフォーはヒッチコックに長い手紙を書いてインタビューを申し入れる。
ヒッチコックの63歳の誕生日の日から1週間、通訳ヘレン・スコットの手助けを得て50時間におよぶインタビューを敢行。1作ごとにテクニックと映画理論を紐解く解説。
4年後の1966年、「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」がフランスとアメリカで同時出版される。ヒッチコックを真の映画作家として世界に認識させることになった伝説の映画本である。
本作は、この映画本誕生を巡るドキュメンタリー。ヒッチコックを敬愛するマーティン・スコセッシ、黒沢清など10人の監督たちにも取材。トリフォーが試みたヒッチコックの映画術の解明を、また別の視点で紐解いている。

ヒッチコックといえば、映像美溢れるサスペンスの巨匠。今や、その評価は定着しているけれど、本作を観て、ヒッチコックがハリウッドに呼ばれてイギリスから渡ってきて、数々の名作を作り出したにもかかわらず、それほど評価されていなかったことを知りました。
ヒッチコックは、トリフォーからの手紙に涙したそうです。なにしろ「インタビュー本出版の暁には、あなたが世界中で最も偉大な監督であると、誰もが認めることになるでしょう」と書かれていたのですから。
本作には、1962年当時のヒッチコックとトリフォーの二人の貴重な会話も出てきます。子どものころ、ヒッチコック劇場でよく見ていた太っちょのおじさまを懐かしく思い出しました。ヒッチコック作品の名場面の数々も出てきて、嬉しい1作です。(咲)


2015年/アメリカ=フランス/80分/英語、仏語、日本語/カラー&モノクロ/ビスタサイズ/5.1ch
配給:ロングライド
公式サイト:http://hitchcocktruffaut-movie.com/
★2016年12月10日(土)新宿シネマカリテほか 全国順次公開.

posted by sakiko at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする