2018年08月13日

ゲンボとタシの夢見るブータン(原題:The Next Guardian) 

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監督:アルム・パッタライ、ドロッチャ・ズルボー
撮影:アルム・バッタライ
音楽:アダム・バラージュ

ブータンの小さな村で1000年の歴史ある古刹を守る家族。16歳の長男ゲンボは、父の希望に沿って僧院の学校に進学するかどうか迷っている。15歳の長女タシは自分を男の子だと感じていて、髪を刈り上げ、サッカーに打ち込んでいる。兄のゲンボはたった一人の理解者なので、遠くの学校に行ってほしくない。
父親は仏教の教えと伝統を守り、子どもたちの幸せを願っている。息子を僧籍に入れたいのも、娘に女らしく育ってほしいのも、彼らにとって一番いいことだと信じているからだ。親と子どもの夢は今ひとつかみ合わない。

なかなかイケメンな仲良し兄弟と思って見ていたら、1人は女の子でした。ブータンにもジェンダーに悩む子がいました。古くからの信仰を集めるお寺を守ってきた父は、そのまま子どもたちに引き継ぎたいと思っています。仏像やお寺の内部の装飾に長く積み重なった歳月を感じます。一方タシはサッカーの代表選手を決める大会に出場しています。世の近代化と共に暮らしや人も変化してきました。
親子が声高に争ったりすることはなく、結論を押し付けたりもせず淡々と進んでいきます。ブータン出身のアルム・パッタライ監督とハンガリー出身のドロッチャ・ズルボー監督によって作られたドキュメンタリー。
東京公開初日にアルム・バッタライ監督 とゲンボくんが「Skypeでの挨拶」予定です。12:20の回上映後、13:40頃より約20分。HPでご確認ください。(白)


2017年/ブータン・ハンガリー合作/カラー/74分
配給:サニーフィルム
(C)ECLIPSEFILM / SOUND PICTURES / KRO-NCRV
https://www.gembototashi.com/
★2018年8月18日(土)よりポレポレ東中野ほか全国劇場ロードショー
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2018年08月12日

SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班 原題 拆弾専家 Shock Wave

劇場公開 シネマート新宿、シネマート心斎橋 2018年8月18日(土)

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c2017 ALL RIGHTS RESERVED BY UNIVERSE ENTERTAINMENT LIMITED / INFINITUS ENTERTAINMENT LIMITED

監督・脚本 邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
アクション監督:林迪安(ディオン・ラム)
脚本 李敏 (エリカ・リー)
製作 劉徳華(アンディ・ラウ),林小強(アルビン・ラム)
製作総指揮 ダニエル・ラム
キャスト
劉徳華(アンディ・ラウ):チョン・チョイサン
姜武(チアン・ウー):ホン・ガイパン (火爆)
宋佳(ソン・ジア):カルメン・リー
姜皓文(フィリップ・キョン):コン警官
吳卓羲(ロン・ン):ベン

香港警察爆弾処理班VS凶悪テロリストの壮絶な対決!

中国で興行収入60億円を記録。香港、マレーシア、シンガポールなど東南アジアで大ヒットした、香港警察爆弾処理班VSテロリストの対決を描いた作品。第37回香港電影金像奨では7部門(作品、監督、主演男優、助演男優、編集、音響効果、視覚効果)でノミネートされ、警官役のフィリップ・キョンが最優秀助演男優賞を受賞した。
香港、紅磡(ホンハム)の海底トンネルを舞台に、テロリストと戦う香港警察爆弾処理班の姿を描いている。果たして爆弾処理は間に合うのか。アンディ・ラウがテロリスト(チアン・ウーがリーダー役)と戦う爆発処理班の隊長を演じ、プロデューサーも務めた作品。『29歳問題』に出演したベイビージョン・チョイ(ウォン・ティンロック役)も出演している。

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左 最優秀助演男優賞を受賞したフィリップ・キョン 右 プロデューサーも兼ねるアンディ・ラウ


チョン(アンディ・ラウ)は香港警察爆弾物処理局(EOD)に所属する警官で、指名手配中の爆弾犯、火爆=ホン(チアン・ウー)率いる犯罪組織に潜り込み潜入捜査していた。そして警官隊の支援により爆破を防ぎ、その弟と犯罪組織を一網打尽にすることに成功したのだが、主犯の火爆をとり逃し爆弾処理班であることを知られてしまう。それを知った火爆は復讐を誓う。
 七年後、香港で立て続けに爆弾事件が発生し街中を恐怖に陥れていた。そして香港の要ともいえる香港島と九龍を結ぶ紅磡(ホンハム)の海底トンネルを占拠し、1000キロの爆弾をトンネル内に仕掛け、車とともに数百人の人質をとった。姿を現した犯人は火爆で捕まっている弟の解放と莫大な身代金を要求し、トンネルを爆破すると脅す。火爆は交渉人としてチョンを指名するが、それは彼に対する復讐でもあった。チョンは人質を救うため爆発物の解体に向かう。タイムリミットまでに人質を救出し、火爆を捕えようと奔走するチョンのだが、様々に仕掛けられた罠で窮地にたたされる。
監督、脚本は「イップマン 最終章」のハーマン・ヤウ。冷酷な爆弾犯罪グループのボス火爆を、中国の名優姜文(チアン・ウェン)の弟であるチアン・ウーが演じている。大ヒットを受けてアンディ・ラウ主演によるPART2の製作も決定しているという。

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右端 チアン・ウー


昨年(2017年)の中国映画週間で上映された作品だが、この時上映されたのは北京語版。今回の日本公開版は広東語版でより香港を感じられる。最近の香港映画は北京語版での公開が多いけど、今回の公開は香港映画ファンの広東語版熱望願望をかなえてくれてとてもうれしい。
それにしても香港の大動脈である紅磡の海底トンネルを爆破するという大胆な設定の作品に度肝を抜かれた。でも犯人たちの描き方も極端。テロリストということだけど、主義主張があるというより復讐のためにトンネル爆破を計画というところは、テロリストという感じがしない。爆破のための前提という感じを受けた。
劉徳華は、今回爆発物処理班ということで活躍していたけど、犯人グループに潜入というのは『インファナル・アフェア』のようでもある。一方、テロリストのボス役の姜武はすごみのある人物を演じていて、人の良い人物を演じることが多かった頃から比べると演技の幅を広げたなあと思った。もしかして兄の姜文の演技力を超えたかも。悲劇の若い警官役の人、どこかで見たことあるなと思ったら、『29歳問題』に出演していた青年だった。『29歳問題』を見直してみて気がついた。
ハーマン・ヤウ監督はハードなものからソフトなものまでこなすマルチな監督だと思うけど、ハードなものはけっこうここまでやるか的なところがある。この作品もきっと監督はど派手な爆破シーンを撮りたかったんだろうなと思った。去年、大阪アジアンに登場した監督は優しい感じがしたんだけど、それは作品のせい? でも、これからも、いろいろなものに挑戦していってほしい。(暁)

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ハーマン・ヤウ監督 2017大阪アジアン映画祭『77回、彼氏をゆるす』Q&Aで


2017年 中国・香港合作 上映時間118分
配給 アーク・フィルムズ
公式HP http://shockwave-movie.jp/
提供:TBSサービス 配給:アーク・フィルムズ

『SHOCK WAVE ショックウェイブ 爆弾処理班』今後の公開予定
シネマート心斎橋 8月18日(土)
フォーラム仙台 8月31日(金)
小田原コロナシネマワールド 9月21日(金)
中川コロナシネマワールド 9月21日(金)
半田コロナシネマワールド 9月21日(金)
大垣コロナシネマワールド 9月21日(金)
福井コロナシネマワールド 9月21日(金)

posted by akemi at 21:17| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オーケストラ・クラス(原題:La Melodie)

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監督:ラシド・ハミ
脚本:ラシド・ハミ、ギィ・ローラン
製作:ニコラ・モヴェルネ
音楽:ブリュノ・クーレ
出演:カド・メラッド(シモン・ダウド先生)、サミール・ゲスミ(ブラヒミ先生)、アルフレッド・ルネリー(アーノルド)、ザカリア・タイエビ・ラザン(サミール)、シレル・ナタフ(ヤエル)、ユースフ・ゲイエ(アブ)

バイオリニストのシモン・ダウドは小学校の音楽講師をすることになった。子どもが苦手で気難しいが、生活のためにしかたなくやってきた。本物の楽器をはじめて手にする生徒たちは、6年生。遊び盛り、なまいき盛りで30秒も集中することができない。すっかり自信喪失し、やめる口実を考えるシモン。そのとき外から教室を覗き込む男子生徒に気づいた。招き入れてみると、アーノルドはバイオリンの才能の片鱗を見せた。ほかの生徒たちもアーノルドに触発されて、やっとやる気になってきた。他校との合同練習で恥かしい思いもしながら自主的に練習に打ち込むようになる。

ダウド先生が派遣される音楽教育プロジェクト「Demos(デモス)」。音楽に触れる機会の少ない子供たちに、無料で楽器を贈呈しプロの音楽家が音楽の技術と素晴しさを教えるものです。フィルハーモニー・ド・パリが運営するこのプロジェクトは終了後も約半分の生徒たちがその後も音楽を続けるそうです。この活動を紹介するドキュメンタリーを見たのがきっかけで、映画作品が生まれました。
生徒と一緒に目標に向かって努力するうち、頑なだった親や気難しかった先生も変わっていくという、王道の音楽映画です。生徒たちが目指すのは、パリ19区の公園内にあるフィルハーモニー・ド・パリのホールでのコンサート。19区はパリの東北部にある移民が多い地区で、教室の生徒たちの顔ぶれも様々。オーディションで選ばれた子どもたちが個性豊かで『パリ20区、僕たちのクラス』(2008)を思い出します。
ニコラ・モヴェルネは『コーラス』『幸せはシャンソニア劇場から』を製作したプロデューサーです。ラシド・ハミ監督はこれが長編2作目。俳優としても出演した監督第1作『Choisir d'aimer』(08)は日本未公開。(白)


2017年/フランス/カラー/シネスコ/102分
配給:ブロードメディア・スタジオ
(C)2017 / MIZAR FILMS / UGC IMAGES / FRANCE 2 CINEMA / LA CITE DE LA MUSIQUE - PHILHARMONIE DE PARIS
http://www.orchestra-class.com/
★2018年8月18日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
“夏休み親子割引き”を実施!
対象:高校生以下のお子様と保護者の方
料金:お二人で2,000円
posted by shiraishi at 20:38| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大人のためのグリム童話 手をなくした少女(原題:La jeune fille sans mains)

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監督・脚本・作画:セバスチャン・ロデンバック
出演:アナイス・ドゥムースティエ(少女)、ジェレミー・エルカイム(王子)

水車の回る貧しい家。父親が金貨と水車の後ろにあるものを引き換えると契約する。リンゴの木があるだけだった水車の裏には、一人娘が立っていた。父親を騙したのは悪魔で、契約を取り消すことができず、娘の両手は自分の命を惜しんだ父親に切り落とされてしまった。娘は1人で生きていこうと家を出るが、悪魔は執拗に追いかけていく。娘は精霊に導かれ、川の水を飲み、森の中で木の実を食べて命をつなぐ。そこに通りかかった王子が清らかな娘を不憫に思い、城に連れ帰った。娘のために金の手を作らせて大切にするが、戦争に出ることになった。悪魔はまたも娘の邪魔をする。娘は王子の子どもを産み、城を出て無人となった家で赤ん坊と2人で暮らしていく。戦から戻った王子は、娘を探して国中を訪ねまわる。
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元のお話はグリム童話に収録されている民話「手なしむすめ」。世界各地に似たような話が伝えられていて、日本の話で娘が両手をなくすのは、悪魔ではなく継母のせいとなっています。宗教の違いでしょうが、鬼ではないんですね。
セバスチャン・ローデンバック監督は、たった一人でこの作品を描き上げました。背景も人物もシンプルで、水墨画をみるようです。高畑勲監督の『かぐや姫の物語』の作画もシンプルですが、かけた時間と予算が段違い。ローデンバック監督は予算も少なく早く描くために工夫して、これまでにないアニメーションを作り出しています。
いろいろなものをなくしながらも、生き抜く力を身につけていく娘の物語は、2017年フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で、審査員賞と最優秀作品賞をダブル受賞しました。(白)


2016年/フランス/カラー/シネスコ/80分
配給:ニューディアー
(c)Les Films Sauvages - 2016
http://newdeer.net/girl/
★2018年8月18日(土)東京・ユーロスペースほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 19:33| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

タリーと私の秘密の時間(原題:Tully)

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監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ディアブロ・コディ
撮影:エリック・スティールバーグ
音楽:ロブ・シモンセン
出演:シャーリーズ・セロン(マーロ)、マッケンジー・デイヴィス(タリー)、マーク・デュプラス(クレイグ)、ロン・リヴィングストン(ドリュー)、アッシャー・マイルズ・フォーリカ(ジョナ)、リア・フランクランド(サラ)

仕事と子育てを両立してきたマーロに3人目の子供が生まれた。夫はあてにできず、完璧にしたい家事も子育ても負担になって、すっかり疲れてしまった。マーロの兄はそんな妹を心配して、ベビーシッターをプレゼントしてくれた。半信半疑で迎え入れたシッターはまだ若いイマドキ女性のタリー。夜だけやってきて子どもの面倒を見、散らかっていた部屋も片付けて夜明け前に帰る。タリーは自分のことを少しも語らなかったが、その仕事ぶりと屈託のない人柄に、マーロは心を開いていく。やっと子どもたちと向き合う余裕もできてきた。

これを観て「マーロは私だ」と思う人がきっとたくさんいるでしょう。あ、子育て中のママは劇場に来ることは難しいですね。映画を観た後は、マーロのように疲れ果てている家族や友人や同僚に思いをはせてください。マーロは将来の貴女かもしれません。
子育てに1人奮闘するママの孤独、というのが主軸。もうひとつ、障害のある子どもの周りのエピソードもあります。対応が学校によって違いました。その子にぴったりの学校と先生に会えるのは僥倖です。
冒頭にマーロが息子の身体をブラシでやさしくマッサージする場面が疑問でした。子どもにはママの手で“手当て”するのが一番いいです。それと同じに妻の身体も夫がゲーム機から手を離してマッサージしてほしいものです(夫も妻にそう思っているかな)。それだけでもうんと癒される、救われるはずです。振り返るとたくさん積もり積もった問題を一つずつ解決して、ちょっと煙にまきながらも希望を見せてくれる作品でした。
美人の誉れ高いシャーリーズ・セロン、『モンスター』(2003)で役に合わせて激太りして驚かされましたが、今回は臨月の母親役なので、もっと増やしています。あのたぷたぷのお腹の贅肉は自前です。そしてちゃんと元の体型に戻すのですから、驚異的!(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/110分
配給:キノフィルムズ=木下グループ
(c)2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
http://tully.jp/
http://www.7-taizai-movie.net/
★2018年8月17日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 18:30| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする