2017年06月24日

ラオス 竜の奇跡(原題:サーイ・ナームライ)

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監督:熊澤誓人
脚本:熊澤誓人、守口 悠介
撮影:金子正人
音楽:栗コーダーカルテット
出演:井上雄太(川井)、ティダー・シティサイ(ノイ)

1960年(昭和35年)ラオス。ダム建設の調査のため日本からやってきた青年・川井。調査中の事故で行方不明となったが、首都ビエンチャンは内戦が勃発。川井の捜索は打ち切られてしまう。
2015年のラオス。ノイは家族との軋轢で家を飛び出し、憧れていた都会生活を始めていた。友人に誘われ湖の観光に来たが、いつしか友人とはぐれてしまう。アイフォンも不通になり、困っているノイを村人が世話をしてくれた。話が食い違うのを怪訝に思っていたが、タイムスリップして1960年に来てしまったらしい。半信半疑のまま村で暮らすしかないノイは、ある日川のほとりに流れ着いた川井を見つける。

ラオスと日本、初の合作映画です。まず、ラオスってどこにあるの?というくらい馴染みのない国でした。インドシナ半島の内陸部にあり、5つの国(ミャンマー、中国、ベトナム、タイ、カンボジア)と国境を接しています。本州くらいの広さに約700万人が暮らしています。東南アジアで海に面していない唯一の国で、国の7割が山岳地帯と高原。都市部は急激に開発が進んでいます。
この映画にはまだ開発の波が来る前の、緩やかな川が恵みをもたらす農村の風景と、近隣との絆や風習を大切にする暮らしがありました。祭りのようすなどなんだか懐かしくほっこりします。
タイムスリップして、知らなかった時代の人や暮らしにふれ、これまでの自分を振り返る、少しだけいい方向に変わるというのはよくある設定ですが、全然知識のなかったラオスが舞台なのが新鮮でした。最初何かと文句の多いノイはほんとに今どきの女の子で、これはいずこも同じ。
川井役の井上雄太さんは、イケメン+長身でモデル経験もあり。大卒後サラリーマンだったのが俳優の道が諦められず、転身したのだそうです。これが初主演ということで注目しています。これからもぜひ精進してくださいね。(白)


2016年/日本・ラオス合作/カラー/シネスコ/112分
配給:アークエンタテインメント
http://saynamlai.movie/
★2017年6月24日(土)有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー
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いつまた、君と 何日君再来(ホーリージュンザイライ)

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監督:深川栄洋
原作:芦村朋子
脚本:山本むつみ
撮影:石井浩一
音楽:平井真美子
主題歌:高畑充希「何日君再来」
出演:尾野真千子(芦村朋子)、向井理(芦村吾郎)、岸本加世子(芦村真美/現代)、駿河太郎(高杉幹夫)、イッセー尾形(芦村忠)、成田偉心(芦村理)、野際陽子(芦村朋子/現代)

昭和15年。3年文通を続けていた芦村吾郎と初めて会った朋子は、南京に戻る予定だという吾郎に「共に生きたい」という思いがわきあがる。結婚して子供を授かるも戦争は激化。上海で終戦を迎えた二人は、幼い子供たちを連れてようやく日本に引き揚げてきた。身を寄せた朋子の実家で、父に罵倒され慣れない農作業に苦労する吾郎に、朋子は実家を出て自分たちだけで暮らそうという。落ち着いた暮らしを求めて一家は茨城、福島、大阪へと移り住んでいく。まっすぐで誠実な吾郎をたびたび不運が襲うが、2男1女に恵まれ、朋子は弱音を吐かず明るく支えていく。

俳優の向井理さんが大学生のころ祖母の芦村朋子さんの手記をまとめ、家族や親せきと自費出版。7年かけて映画化にこぎつけたもの。手記には戦前の祖父母の出会いから終戦後の厳しい生活、夫を失って女手一つで三人の子を育てあげるまでが書かれていました。それはそのまま多くの日本人たちの暮らしや思いと重なります。街の風景やこまごました家の作り、調度品や衣服、子どもたちの遊ぶようすを懐かしく思い出す人も多いはずです。いかにも昭和の顔立ちの子どもをよく探し出されたこと!
向井さんが若き日の実直な祖父・吾郎を、いつも笑顔だった祖母・朋子を尾野真千子さんが演じています。つい先ごろ亡くなられた野際陽子さんが現代の朋子さん役で出演しています。タイトルの「何日君再来」は吾郎と朋子の思い出の歌で、上海で大ヒットし日本でも多くの歌手に歌われました。私にはテレサ・テンの歌ですが、この映画のエンドロールでは高畑充希さんが澄んだ歌声を聞かせてくれています。(白)


2017年/日本/カラー/ビスタ/115分
配給:ショウゲート
(C)2017「いつまた、君と 〜何日君再来〜」製作委員会
http://itsukimi.jp/
★2017年6月24日(土)より、TOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー
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2017年06月18日

心に吹く風

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監督・脚本:ユン・ソクホ
撮影:高間賢治
音楽:イ・ジス
出演:眞島秀和(日高リョウスケ)、真田麻垂美(春香)、鈴木仁(高校時代のリョウスケ)、駒井蓮(高校時代の春香)、菅原大吉(春香の夫)、長谷川朝晴(リョウスケの友人)

ビデオアーティストのリョウスケは友人のつてで富良野を訪れ、撮影を続けていた。車のトラブルのため近所の家を訪ねたリョウスケは、応対に出たその家の主婦を見て言葉を失う。高校生のときに心通わせた初恋の相手の春香だった。23年の時は流れても、リョウスケの心にはずっと春香がいた。春香がすでに結婚しているのに気づいても、このまま別れることができない。あと数日富良野にいるからと、撮影に春香を誘う。

[松竹ブロードキャスティングオリジナル映画プロジェクト]の第4弾。『滝を見にいく』『恋人たち』『東京ウィンドオーケストラ』が送り出されています。ユン・ソクホ監督はこれが劇場用映画デビューですが、韓流ブームのさきがけとなった韓国ドラマ「冬のソナタ」(2002)を手がけた方です。それはもうロマンチックな初恋物語になるだろうという期待は裏切られません。富良野でのロケーションも美しく、冬ソナファンはもう一度、ユジンとチュンサンに再会した気になるでしょう。23年ぶりに会った恋人同士がどうなってほしいか、人それぞれ。監督はとってもロマンチストでした。(白)

2016年/日本/カラー/ビスタ/107分
配給:松竹ブロードキャスティング=アーク・フィルムズ
(C)松竹ブロードキャスティング
http://kokoronifukukaze.com/
★2017年6月17日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
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2017年06月11日

世界にひとつの金メダル(原題:Jappeloup)

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監督:クリスチャン・デュゲイ
脚本:ギヨーム・カネ
原作:カリーヌ・ドゥヴィルデ
撮影:ロナルド・プラント
出演:ギヨーム・カネ(ピエール・デュラン)、マリナ・ハンズ(ナディア)、ダニエル・オートゥイユ(父セルジュ)、ルーデ・ラージェ(ラファエル)、チェッキー・カリョ(マルセルコーチ)、ドナルド・サザーランド(ジョン)

1980年代初めのフランス、ドルドーニュ地方。ピエールは子どものころから父の指導で障害飛越競技(馬術の一つでいくつもの障害を飛び越すもの)にうちこんでいた。長じるにつけ父の期待が重く、逃れるように弁護士の道を歩み始める。友人と弁護士事務所を開くが、もう一度ライダーに戻ろうと決心する。キャリアを捨てて戻って来た息子を父は手放しで喜び、迎え入れた。新しい相棒となったのは小柄な若馬ジャップルー。気性が荒く乗り手に従順ではないが、素晴らしいジャンプ力があった。ピエールは父と二人でジャップルーを調教し、いくつもの競技会で良い成績をあげる。そしてロサンゼルスオリンピックが近づいてきた。

実話の映画化です。のどかな風景の中、競技場、設定に関わらず馬がとても美しく撮られていました。これはスタッフやキャストが馬に並々ならない愛情を持っているに違いない、と画面を眺めていました。後で資料を見て納得。
主役のピエールを演じたギヨーム・カネは父親が馬を飼育していて競技選手だった経験があり、ナディア役のマリナ・ハンズも乗馬クラブの仲間。二人は実際に作品中で見事な跳躍を見せています。ギヨーム・カネは脚本を書きながら、自分の人生を重ねたそうです。オリンピック代表に見えるように厳しい特訓をしてくれたのは、ピエール・デュラン本人が紹介したコーチとか。クリスチャン・デュゲイ監督は馬術競技の元カナダ代表だったというのにもびっくり。
こちら馬術の知識は全くないのですが、挑戦と挫折、家族の愛情と軋轢などドラマに不可欠な要素がしっかり入っています。馬好きな方はもちろん必見。(白)


2013年/フランス、カナダ/カラー/シネスコ/130分
配給:レスペ
(C)2013 - ACAJOU FILMS - PATHE PRODUCTION - ORANGE STUDIO - TF1 FILMS PRODUCTION - CANEO FILMS - SCOPE PICTURES - CD FILMS JAPPELOUP INC.
http://sekakin.com/
★2017年6月17日(土)
posted by shiraishi at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

TAP THE LAST SHOW

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監督:水谷豊
脚本:両沢和幸
撮影:会田正裕
音楽:佐藤準
出演:水谷豊(渡新二郎)、北乃きい(森華)、清水夏生(MAKOTO)、西川大貴(JUN)、HAMACHI(RYUICHI)、前田美波里(松原貞代)、岸部一徳(毛利喜一郎)、太田彩乃(MIKA)、佐藤瑞希(YOKO)、さな(夏木萌)、島田歌穂(八王子のジンジャー)、HIDEBOH(アステア太郎)、六平直政(吉野完治)

1988年12月24日「THE TOPS」。天才と呼ばれたタップダンサー渡新二郎はステージで大けがを負い、それを最後に表舞台から退いた。
30年後。渡は振付師としてショウビジネスの世界で暮らしてきたが、鬱屈した思いを抱え酒が手放せない毎日だった。「THE TOPS」オーナーの毛利が訪ねてくる。古き良き時代は遠ざかり、渡がかつて踊ったその劇場も閉館になるという。ラストショウの演出をぜひ渡にという毛利は「最後にいい夢見ようや」と去っていく。
しぶしぶ参加したオーディションで席を立った渡は、ある青年のタップの音に立ち止まる。働きながらタップを続けるMAKOTOだった。若いダンサーたちと渡の情熱に火がつき、厳しいオーディションを勝ち抜いた彼らとの過酷な日々が始まった。

水谷豊さんが20代のころブロードウェイでショーを見て以来40年間、映画にしたいと願い続けてきたタップダンスの映画が完成しました。40代までは自分で踊りたかったそうですが、今60代になって、怪我で退いた元ダンサーの役に。哀愁ただよわせながら、もう一度夢を見たいと願う渡新二郎がいいです。集ってきた個性的なダンサーたち、盟友の毛利とのやりとりも味があります。
映画と同じようにオーディションで選ばれ(500人から9人!)、厳しい練習にあけくれた若いダンサーたちに光があたり、圧巻のショーを見せるラストが素晴らしいです。思わず拍手したくなるでしょう。スタッフを見れば、水谷さんと長い間共に走り続けてきた方々のお名前が並んでいました。どの世界にも夢を見続けて努力をあきらめない若い人たちがいるはずです。そんな方々にもエールを送る作品。(白)


2017年/日本/カラー//133分
配給:東映
(C)2017 TAP Film Partners
http://www.tap-movie.jp/
★2017年6月17日(土)より全国公開
posted by shiraishi at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする