2017年08月19日

日曜日の散歩者 わすれられた台湾詩人たち  原題:日曜日式散歩者

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監督:黃亞歷(ホアン・ヤーリー)
出演:梁俊文(リァン・チュンウェン)、李銘偉(リー・ミンウェイ)、沈君石(イアン・シェン)、沈華良(イーブン・シェン)、何裕天(デヴン・ホー)

1933年春、台湾南部の古都、台南の町でモダニズム詩人のグループ「風車詩社」が結成された。日本による統治が40年ほど経ち、日本語で教育を受けた若者たちによる、新しい台湾文学を創ろうという動きだった。日曜日になると、皆で集まり、台南の町を散歩しながら詩を語った。
1945年、日本の統治が終焉を迎え、日本語が禁じられた中で、二二八事件、白色テロなど、彼らは迫害を受けるようになる・・・

「風車詩社」に集った人たちの詩が数多くの写真や映像とともに紹介され、日本統治時代の台湾を垣間見ることができました。戦前の10年ほど、母が台湾の基隆で暮らしていた時代とも重なり、感無量でした。戦争が始まり、戦勝を祝っての提灯行列や、出征する男たちを旗を振って見送る人々の姿・・・ 母もあの中にいたような思いにかられました。母の台湾人の同級生からの美しい日本語で綴られた手紙のことも思い出しました。あの時代、日本語教育を受けた台湾の人たちにとって、詩も手紙も日本語で綴るのが自然なことだったのだと。
戦後70年以上経った今になって、「風車詩社」を通じて日本統治時代の台湾のことを台湾人の監督が映像に残してくれたことに感謝したい。(咲)


◆トークイベント: シアター・イメージフォーラムにて10:45回上映後

8/19(土) 吉増剛造(詩人)
8/20(日) 河原功(一般財団法人台湾協会理事)
日本統治期の台湾文学について・実際の書籍資料を用いて
8/26(土) 三木直大(台湾現代詩研究/前・広島大学教授)
詩と歴史のモンタージュ・台湾超現実主義詩の1930年代と1950年代
8/27(日) 笠井裕之(20世紀フランス文学/慶應義塾大学教授)
コクトーと日本のモダニズム−−風車詩社の視点から
9/2(土)  陳允元(映画顧問/政治大学台湾文学研究科博士)
映画『日曜日の散歩者』が出来るまで―風車詩社の文学を中心に
9/3(日)  八木幹夫(詩人/元日本現代詩人会理事長)
台湾のモダニズム詩と西脇順三郎の初期詩篇について

配給:ダゲレオ出版
配給協力/宣伝:太秦
後援:台北駐日経済文化代表処 、台湾新聞社
2015年/台湾/カラー/DCP/5.1ch/162分
公式サイト:http://www.sunpoday.com
★2017年8月19日(土)よりシアター・イメージフォーラムにてロードショー!


posted by sakiko at 08:04| Comment(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月13日

ダイバージェントFINAL(原題:Allegiant)

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監督:ロベルト・シュベンケ
原作:ベロニカ・ロス
脚本:ノア・オッペンハイム
撮影:フロリアン・バルハウス
出演:シャイリーン・ウッドリー(トリス)、テオ・ジェームズ(フォー)、オクタビア・スペンサー(ジョアンナ)、マイルズ・テラー(ピーター)、アンセル・エルゴート(ケイレブ)、ゾーイ・クラビッツ(クリスティーナ)、ナオミ・ワッツ(イブリン)、ジェフ・ダニエルズ(デイビッド)

近未来のシカゴ。最終戦争の後、人類は「無欲」「平和」「高潔」「勇敢」「博学」の5つの派閥に分けられ管理されてきた。「無欲」の両親のもとで育ち、16歳になって派閥を選ぶ試験を受けたトリスは、実際は「異端者(ダイバージェント)」と診断されたが「勇敢」に行く。厳しい訓練を経て生き残ってきたが、大規模なクーデターにより体制は崩壊してしまった。新しく支配者となったイヴリンもまた強権を振るい、以前の抑圧された日々となんら変わらない。内戦の気配が濃くなったころ、封印されていた祖先からの「真実の声」を聞いたトリスたちは、壁とフェンスを越えて、新天地へと向かう。そこには驚愕の世界が待っていた。

シリーズ第3作目。タイトルのとおりこれで全ての決着がつきます。このシリーズ、出演者も豪華でした。シャイリーン・ウッドリー演じるヒロイン、トリスは強くたくましい女性に成長しています。
ダイバージェントであることを隠してきたトリスや仲間たちも、全ての派閥が崩壊したおかげで自分の行きたい道を選ぶことができます。必ずどれかに属さなければならない、という生き方は安心かもしれませんが窮屈でもあります。人間はそうきっちりと分けられない曖昧な存在であり、変化もしていくものです。
ほかにはなかったこの設定が面白くて、映画の原作本6冊(「異端者」「反乱者」「忠誠者」各上下巻/角川文庫)を一気に読んでしまいました。映画は3部作になっていますが、どうしても端折らねばならない部分が出ます。原作本を読むと登場人物たちが映画のキャストで浮かんでくるのと、見逃したことや疑問だったことが氷解するのが嬉しいです。
70年代後半、角川書店が映画制作に参入したとき「読んでから見るか、見てから読むか」と広告をうちました。ネタバレもわりあい平気な私は単純に先に出会った方、手に入った方から。皆様はどちらでしょうか? (白)


2016年/ アメリカ/カラー/シネスコ/120分
配給:シンカ
TM & (C)2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved./(C)Murray Close.
http://divergent.jp/
★2017年8月19日(土)より角川シネマ有楽町ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 17:26| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

いつも心はジャイアント(原題:Jatten)

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監督・脚本:ヨハネス・ニホーム
撮影:ヨハン・ルンボリ
音楽:ビョルン・オルソン
出演:クリスティアン・アンドレン(リカルド)、ヨハン・シレーン(ロランド)、アンナ・ビェルケルード(エリザベス)、リンダ・フェイス(リナ)

骨が変形する難病を抱えて生まれたリカルド。母親は精神を病んで子どもを育てられず施設に入り、リカルドも別の施設で育った。母の愛を知らないままだったが、母を恋しく思う気持ちは人一倍強かった。言葉が不自由なことや外見から差別を受けながらも、夢見る心は自由。リカルドは自分が巨人になってはるか下界を見下ろし、闊歩するところを想像する。リカルドはペタンクという球技と出会い、多くの仲間を得た。夢中になったロランドだったが、練習中にケガをしてしまう。リカルドを理解してくれる唯一の友人ロランドは、一緒にペタンクでスウェーデン代表になろう、と励ましてくれるのだった。

どういう病気かの説明はありませんが、リカルドは胎内にいるころからの奇形なのか、頭部が大きく変形し目も口の動きも不自由です。ロランドのように限られた人としか会話ができません。けれども自由に想像の羽を広げてはばたくことは、どんな状況でも誰にも邪魔されることはありません。生活のようすはドキュメンタリータッチで、リカルドの想像部分はスウェーデンの雄大な景色を背景にした色鮮やかなファンタジータッチです。その差が大きいほどちょっと辛い気持ちになるのですが。
ペタンクは2チームで木製のボールを標的に金属のボールを投げてより近づけるのを競うスポーツです。フランスで生まれて老若男女が楽しめるスポーツとして日本にも普及しました。実際に試合をしているのを見たのはこの映画が初めてでした。大きなビー玉遊びみたいな感じです。ゆっくり狙いをつけて投げるので、障害のあるリカルドも楽しく挑戦することができます。投げるボールが重そうなので危ないなぁと思っていた矢先に事故が。リカルドは実際の障がいのある方かと思ってしまいましたが、長時間かけた特殊メイクをした俳優さんが演じています。母親の住む雑然とした部屋がまるで自分の部屋のようで、愕然。私も病んでいるのか??
スウェーデンのアカデミー賞にあたるゴールデン・ビートル賞で作品賞を含む3部門を受賞。(白)


2016年/スウェーデン、デンマーク/カラー/90分
配給:ブロードメディア・スタジオ
(C)2016 Garage Films SE. ALL RIGHTS RESERVED.
http://www.giant-movie.jp/
★2017年8月19日(土)より新宿シネマカリテ他全国順次公開
posted by shiraishi at 17:17| Comment(0) | スウェーデン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月06日

草原に黄色い花を見つける(原題:Toi Thay Hoa Vang Tren Co Xanh)

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監督:ヴィクター・ヴー
原作:グエン・ニャット・アイン
脚本:ヴィエト・リン
撮影:グエン・クリン
音楽:クリストファー・ウォン
出演:ティン・ビン(ティエウ)、チョン・カン(トゥオン)、タイン・ミー(ムーン)、グエン・アイン・トゥー(ダンおじさん)、カイン・ヒエン(ヴィン)

1980年代後半のベトナム中南部のフーイエン。ティエウとトゥオンは仲の良い兄弟。両親と4人暮らしだ。ティエウは近所の幼馴染のムーンが気にかかっている。学校でもつい目で追ってしまうけれど、内気で話しかけることもできない。
ある日、不幸な目に遭ったムーンをしばらくティエウの家で預かることになった。ティエウはムーンと一日中一緒にいられるので気もそぞろ。けれどもムーンは無邪気なトゥオンとばかり遊んで、ティエウは面白くない。嫉妬にかられてとんでもないことをしてしまった。

ホラーやアクション作品が多かったというヴィクター・ヴー監督が初めて子どもが主役の映画を手がけました。ベトナムでは知らない人がいないという小説家グエン・ニャット・アインの原作をベースに、緑豊かな農村で育っていく少年の淡い初恋を描いています。
たくさんの登場人物を絞り込んだ脚本は、シネジャでも何度か取り上げたベトナムのヴィエト・リン監督によるもの。思春期にさしかかった少年の視線で語られる家族や学校、農村の暮らしがたっぷりの光と澄んだ空気の中で展開します。ベトナムでの公開ではハリウッドの大作に負けない大ヒットだったそうです。近代化した今では懐かしい風景が広がり、誰もが共感できる少年期の心の成長という要素が入っているからでしょう。

このほど来日したヴィクター・ヴー監督にインタビューさせていただけました。特別記事で大使館でのレポートと一緒にアップしました。ぜひご覧ください。
写真は7月31日会見が行われたベトナム大使館でのヴィクター・ヴー監督とアオザイ姿で花束贈呈の中西美帆さん。下段は落合賢監督とのツーショット。(白)


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2015年/ベトナム/カラー/103分
配給:アルゴ・ピクチャーズ
(C)2015 Galaxy Media and Entertainment. All rights reserved.
http://eiga.com/jump/oCVHT/
★2017年8月19日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 21:15| Comment(0) | ベトナム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

チャルカ 未来を紡ぐ糸車

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監督・撮影:島田恵(しまだ けい)
音楽:河原一紗
イラスト:はらだゆうこ

原発が動いている限り排出され続ける「核のゴミ」。何十万年単位で残ってしまうものを、日本ではいまだ安全に処分できないでいる。すでに広島型原爆の120万発分はある(小出裕章 元京大助教授)という「未来への負の遺産」をどうしたらいいのか。国内外での処分施設の現状と、そこに生きる人々の暮らし、様々な立場からの声を紹介するドキュメンタリー。

北海道の北部、幌延町には高レベル放射性廃棄物の地層処分研究施設があります。その隣町で酪農業を営んでいる久世薫嗣(しげつぐ)さん一家の毎日を映します。
フィンランドでは高レベル放射性廃棄物処分場を建設中。マイケル・マドセン監督のドキュメンタリー映画『100,000年後の安全』(2009年)に登場したオンカロの今。フランス、ビュール村には処分場建設予定地に賛成の村民と、建設反対派の拠点「抵抗の家」に集まる人たちを島田監督はカメラに収めていきます。
チャルカとはインドで使われている手紡ぎの糸を巻き取る糸車のこと。因果がめぐるように、今がかつての所業の結果ならば、今の私たちは未来の人たちへ良いものを手渡せるように、人生を紡ぐチャルカを回していかねばなりません。
『福島 六ヶ所 未来への伝言』(2014年)島田恵監督インタビューはこちらにあります。合わせてお読みください。(白)


2016年/日本/カラー/HD/90分
配給:六ヶ所みらい映画プロジェクト
http://rokkashomirai.com/
http://shimadakei.geo.jp/charkha 島田監督公式サイト
★2017年8月12日(土)より新宿K’s cinemaにてモーニングショー公開
posted by shiraishi at 20:31| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする