2017年05月26日

ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー(原題:Harold and Lillian: A Hollywood Love Story)

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監督・脚本:ダニエル・レイム
製作総指揮:ダニー・デビート
撮影:バティスト・フェンウィック、ダニエル・レイム
出演:ハロルド・マイケルソン、リリアン・マイケルソン、メル・ブルックス、フランシス・フォード・コッポラ、ダニー・デビート

ハロルド・マイケルソン(1920〜2007年)、リリアン・マイケルソン(1928〜)は、ハリウッド全盛期に絵コンテ作家とリサーチャーとして活躍した。弾2次大戦で爆撃機搭乗員だったハロルドは帰還してハリウッドに移る。ハロルドの母親の反対を押し切ってリリアンと結婚し、イラストレーターを経て映画制作スタジオに入り、絵コンテ作家として頭角を表す。リリアンは主婦として子育てと家事のかたわら、ハロルドと同じスタジオでリサーチャー(映画の資料集め)を始め、のちにリリアン・マイケルソン・リサーチ図書館を設立。数々の名作・大作を手掛け、ハリウッド映画を支えてきた二人をインタビューや映像資料とともに振り返る。

ダニエル・レイム監督はアメリカン・フィルム・インスティチュートの学生だった1997年、講師だったハロルドに出会い親交を深めていったそうです。2000年ころから二人の映画を作ろうと準備を始め、多くの映画関係者にインタビューをし、ハロルドの絵コンテを探しました。まだ若かったころの二人の映像やハロルドの絵コンテと実際の映像の比較などとても興味深いシーンばかりでした。
黒澤明監督の絵コンテを見たことがあります。画家を目指したこともあったという監督の絵コンテは、骨太の力強い線に色もしっかりつけられていました。監督の思いがその中に凝縮されているようでした。
速い線描きのものが多いハロルドの絵コンテは、当時の制作本数が多かったのと時間がかけられなかったせいかもしれません。絵コンテは脚本から映像を起こすので、監督のようなものです。ハロルドの絵は的確でセンスがよく、そのまま名場面の元にもなっています。それなのに職人仕事のひとつでクレジットされることもなかったというのは不思議です。同じく映画を見えないところで支えてきたリリアンの仕事も。
思い出を語るリリアンが表情豊かで、とっても可愛らしいです。あらゆる知識と人とのネットワークを駆使して資料や情報を集めたというのも、この人好きのするリリアンの魅力が大いに役立ったはず。舞台裏を観るのが好きな方は必見。(白)


2015年/アメリカ/カラー・モノクロ/16:9/94分
配給:ココロヲ・動かす・映画社○
(C)2015 ADAMA FILMS All Rights Reserved.
http://www.harold-lillian.com/
★2017年5月27日(土)YEBISU GARDEN CINEMAほかで公開
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おじいちゃんはデブゴン(原題:我的特工爺爺 The Bodyguard)

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監督:サモ・ハン
脚本:チアン・チュン
撮影:アルディ・ラム
主題歌:アンディ・ラウ
アクション監督:サモ・ハン
出演:サモ・ハン(ディン)、ジャクリーン・チャン(チュンファ)、アンディ・ラウ(レイ・ジンガウ)、フォン・ジャーイー(チョイ)、リー・チンチン(ポク)、チャウ・ユーチェン(ポクの息子)、ジェームズ・リー・ロイ(セルゲイ)

かつて中国の人民解放軍で要人警護にあたっていた拳法の達人ディン。66歳になった今は退役してわびしい一人暮らし。一人娘とは絶縁状態になって久しい。この頃は物忘れが多く、初期の認知症と診断されている。近所の主婦ポクが気にかけてくれるが、ディンが心を許すのは隣家の少女チュンファだけ。チュンファの父親ジンガウはギャンブル狂で中国マフィアに借金を作り、母は家を出てしまっていた。弱みを握られているジンガウは危険な仕事を強要されロシアまで行った挙句、受け取った宝石を持ち逃げしてしまう。ジンガウを追ってきたマフィアはチュンファをも狙い、一度は撃退したもののチュンファの行方がわからなくなってしまった。ディンはチュンファを救うために一人マフィアに立ち向かう。

サモ・ハン20年ぶりの監督で主演です。4月初め『SPL/狼よ静かに死ね』以来11年ぶりに来日し、先行特別上映会の舞台挨拶に登壇しました。記事はこちらです。日本ではデブゴンという愛称で親しまれ、大きな身体にかかわらず身軽なアクションで魅了してきました。ますます貫禄がつきましたが、本作ではアクション監督も兼任、元警護役らしいアクションを心掛けたようです。やっぱり足腰が心配でしたが、手技・関節技を多用、スピードとカット割りで力強いシーンを作っていました。家族や人情にも重きをおいたジーンとさせるドラマでもあります。
プロデューサーにも名を連ねているアンディ・ラウが可愛いチュンファのダメ父役で、マフィアに追われるという珍しい役。主題歌も歌っています。
香港映画ファンには懐かしい方々がたくさんゲスト出演、顔を見つけるたびに「おお!」と喜んでしまいました。年は重ねても元気な皆さんにスクリーンで再会できたのが嬉しいです。(白)


<サモ・ハンis BACK!>
桜咲く東京にサモ・ハンがやってきました!
〜先行特別上映会 舞台挨拶報告〜 は、こちらで! 

2015年/中国・香港合作/カラー/シネスコ/99分
配給:ツイン
(C)2016 Irresistible Alpha Limited, Edko Films Limited, Focus Films Limited, Good Friends Entertainment Sdn Bhd. All Rights Reserved.
http://sammohungisback.com/
★2017年5月27日(土)新宿武蔵野館、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー
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2017年05月21日

光をくれた人(原題:The Light Between Oceans)

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監督・脚本:デレク・シアンフランス
原作:M・L・ステッドマン「海を照らす光」(早川書房刊)
撮影:アダム・アーカポー
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:マイケル・ファスベンダー(トム・シェアボーン)、アリシア・ヴィカンダー(イザベル)、レイチェル・ワイズ(ハナ)、ブライアン・ブラウン(セプティマス・ポッツ)、ジャック・トンプソン(ラルフ・アディコット)

1918年オーストラリア。トム・シェアボーンは第一次世界大戦から深い心の傷を抱えて戻った。人と関わらずにすむ無人の孤島・ヤヌス島の灯台守に志願する。3ヶ月の試用期間をすぎて本採用となり、契約のために町に戻ったトムは生命力に溢れた娘イザベルに出会う。町の名士である校長の一人娘のイザベルもトムに好意を抱き、二人は手紙をかわすようになった。やがて祝福されて結婚し、夫婦はヤヌス島で幸せな新婚生活を送る。
イザベルが妊娠して喜んだのもつかの間、流産してしまう。悲しみを乗り越え、細心の注意を払って2度目の妊娠期間を過ごしたにも関わらず、死産となってしまった。イザベルが立ち直れず、夫婦が悲劇に沈んでいたとき、沖に漂流するボートを見つけた。すでに亡くなっている男性と泣き声をあげる女の子の赤ちゃんがいた。トムは早速打電しようとするが、イザベルは赤ちゃんを休ませてからと懇願する。一日母子のように過ごしたイザベルは、もはや手放すことができなくなっていた。イザベルの頼みに負けたトムは悪いことと思いつつ遺体を埋め、イザベルが早産したことにする。女の子をルーシーと名付け、二人は我が子として愛情を注いで育てていく。

イザベルは太陽のように明るく、戦争で傷ついたトムを癒しますが、2度の流産で悲しみの淵に沈んでしまいます。そんなときに海から赤ちゃんがやってきたら、イザベルならずとも“神様からの贈り物”と思いたくなるでしょう。愛する妻が喜ぶことをしてやりたいと思うのも道理。二人が救わなければすでになかったはずの命ですが、実の親のことを考えないのは、やはり罪でしょうね…。案の定、実の母親であるハナと出会ってもっと辛い選択をしなければならなくなりました。あなたがトムだったら、イザベルだったらどんな選択をしたでしょうか?
島の名前“ヤヌス”とは前後二つの顔を持つローマ神話の出入り口と扉の神。二つの顔が違うものを見るので、二つの間で引き裂かれるトムとイザベルを象徴しているように思えます。(白)


2016年/イギリス・ニュージーランド・アメリカ合作/カラー/シネスコ/133分
配給:ファントム・フィルム
(C)2016 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC
http://hikariwokuretahito.com/
★2017年5月26日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(原題:Lo chiamavano Jeeg Robot)

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監督:ガブリエーレ・マイネッティ
脚本:二コラ・グアッリャノーネ
撮影:ミケーレ・ダッタナージオ
音楽:マッシミリアーノ・ストュリアーレ
出演:クラウディオ・サンタマリア(エンツォ)、イレニア・パストレッリ(アレッシア)、ルカ・マリネッリ(ジンガロ)

現代のイタリア郊外。街のチンピラのエンツォは、追っ手から逃れるために汚れた川に入る。その後これまでになかった超人的なパワーを得たことがわかった。喜んだエンツォはATMを破壊して現金を盗むなどやりたい放題。監視カメラの映像が出回って大騒ぎになってしまう。世話になっていたオヤジが殺され、生き残ったエンツォはオヤジの一人娘アレッシアの面倒を見る羽目になった。アレッシアはアニメ「鋼鉄ジーグ」の熱狂的なファンで、怪力のエンツォを「ジーグ」の主人公である司馬宙(しばひろし)と呼ぶ。アレッシアに頼りにされ彼女を守るため、エンツォは正義に目覚めていった。極悪組織のリーダー、ジンガロがエンツォの能力を手に入れようと接近してくる。

なぜイタリア映画で「鋼鉄ジーグ」??と疑問でしたが、75年にテレビで人気だった永井豪原作のアニメが79年にイタリアでも放映され、ガブリエーレ・マイネッティ監督が大ファンなのだとか。それまで短編を発表していた監督が大好きなヒーローを主人公に、満を持しての初長編作品。
3月に来日した折に、永井豪氏、アニメソングの水木一郎氏に会えて大感激されたようです。当時永井氏原作のヒーローもの(グレンダイザー、マジンガーZなど)は一世を風靡していて、私も主題歌まで覚えています。
主人公エンツォ役に『ジョルダーニ家の人々』(2012)『緑はよみがえる』(2016)のクラウディオ・サンタマリア。ゴロツキっぽくするためか髯と太めの体形(20s増量!)ですぐには見分けられず。敵のジンガロ役のルカ・マリネッリは切れっぷりが凄くて、開いた口がふさがりません。エンツォとのガチバトルが見ものです。アレッシア役のイレニア・パストレッリは“すきっ歯”が可愛く、傷ついた娘を好演。イタリアで受賞多数、ハリウッド映画をおさえて大ヒットしたそうなので、続編も観られるのではないでしょうか。(白)


2015年/イタリア/カラー/シネスコ/119分
配給:ザジフィルムズ
(C)2015 GOON FILMS S.R.L. Licensed by RAI Com S.p.A. ? Rome, Italy. All rights Reserved.
http://www.zaziefilms.com/jeegmovie/
★2017年5月20日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
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夜明け告げるルーのうた

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監督:湯浅政明
脚本:吉田玲子、湯浅政明
音楽:村松崇継
主題歌:斉藤和義「歌うたいのバラッド」
出演:谷花音(ルー)、下田翔大(カイ)、篠原信一(ルーのパパ)、柄本明(カイのじいさん)、斉藤壮馬(国夫)、寿美菜子(遊歩)、千鳥(大悟、ノブ)

中学生の少年カイは両親の離婚により、東京から寂れた漁港の日無(ひなし)町に移ってきた。父と祖父と男ばかりの3人所帯で、自分の気持ちを口に出すこともなく暮らしていた。たった一つの楽しみは、自分で作った曲をネットにアップすること。匿名なので誰にも知られていない。同級生の国夫と遊歩のバンド“セイレーン”に誘われ、気乗りしないまま練習場所の人魚島に行く。演奏を始めると人魚の少女ルーが3人の前に現れて、楽しそうに歌い踊る。それからたびたび現れるルーに、カイの心がしだいにほぐれて行く。

『夜は短し歩けよ乙女』に続いて公開される湯浅監督の新作。人魚の女の子と人間の男の子の交流ということで、ジブリの『崖の上のポニョ』を思い出しました。海外作品だとディズニーアニメ、実写だと古くは『スプラッシュ』(1984)、中国の『ふたりの人魚』(2000)『人魚姫』(1月公開)など人魚モノは多いですね。
人魚は漁師にとっては不吉で災いをもたらすというのは世界共通なんでしょうか。この作品では、漁師からいやがられるだけでなく、人魚を金儲けに利用しようと企む大人も登場。愛らしいルーがどうなってしまうのか、カイが自分の心からの声を出すことができるのか?が見どころ。大人も子供も楽しめること請け合います。2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門公式コンペティション作品(白)


音楽を聴くと、足が生えて踊りだす人魚のルー。苦手なのは、お日さま。活発に動くのは夜明け前まで。人魚伝説のある町の名前が「日無町」なのも納得です。
海に突き出た家屋の下から、小船がそのまま出せる構造の家がずらっと並んだ様に、あ、これは丹後半島の伊根の光景!と、かつて訪れた時の感動を思い出しました。
裏日本にある日無町は架空の町ですが、「伊根の舟屋」のほかにも、名古屋の島の港町、倉敷の商店街、尾道の旧泉屋別邸などを参考にして描いたそうです。町並みを眺めながら、これはどこかなと想像するのも楽しいです。(咲)


2017年/日本/カラー/107分
配給:東宝映像事業部
(C)2017ルー製作委員会
http://lunouta.com/
★2017年5月19日(金)より上映中
posted by shiraishi at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする